脳の病気

ぐるぐるまわるめまいにご用心!?~良性発作性頭位めまい症~

へなお
こんにちは、脳神経外科医のへなおです。

 

このブログでは脳神経外科専門医であるアラフィフおじさんの視点から、主に一般の方に向けて脳の病気や治療について解説していきたいと思っています。

基本的な知識については、ネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉を用いてわかりやすく解説していきいます。

 

 

今回の『脳の病気』は「ぐるぐるまわるめまいにご用心!?~良性発作性頭位めまい症~」と題して解説したいと思いますのでよろしくお願いします。

 

この記事を読んでわかることはコレ!

  • めまいの原因でもっとも多い良性発作性頭位めまい症について知ることができます。
  • 自分のめまいが良性発作性頭位めまい症かどうかがわかります。
  • 良性発作性頭位めまい症にどう対処したらよいかがわかります。

 

めまいの診察は難しい!?

へなお
脳神経外科の外来や救急の外来にめまいを訴えて受診される方はとても多いですよ!

 

めまいは診察する機会がとても多い病態ですが、めまいの診断はとても難しいです。それは患者さんにとっても同じで、

 

へなえさん

めまいがするんだけど、脳神経外科?脳神経内科?耳鼻科?

吐き気もあるから消化器内科?

どの科に受診すればいいの?

 

どの科に受診したらよいか迷ってしまってわからない、とよく耳にします。めまいの原因はほんとさまざまですが大きく分けると、

 

へなお
めまいには中枢性のめまい末梢性のめまいがあります!

 

中枢性のめまいとは、めまいの原因がにある場合です。

 

へなお
原因は脳腫瘍、脳内出血、くも膜下出血、脳梗塞などさまざまです。

 

ココがポイント

中枢性のめまいは脳に異常があるので、めまい以外に手足が動かしづらい、手足がしびれる、言葉が出づらい、ろれつが回らないなどほかの症状を伴っていることが多いです。

CTやMRI検査で脳腫瘍、脳内出血、くも膜下出血、脳梗塞などの異常が見つけやすいので診断に困ることは比較的少ないです。

中枢性のめまいは末梢性のめまいと比較するとその頻度は少ないです。

 

一方で末梢性のめまいは、脳から神経がスタートして体のすみずみまでいきわたる途中に問題がおきてめまいがおこるので、どこに原因があるか見つけ出すのは大変です。

 

へなお
いつから、どのようなめまいがしているんですか?

 

患者さんの訴えを聞いて、次に実際に体中を診察するのですが、めまいがして気持ち悪がっている患者さんは、

 

へなえさん

話しかけないで!

じっとしていたい!

動きたくない!

 

と訴えます。当然ですよね。まためまいの表現の仕方は人それぞれで、

 

へなえさん
ぐるぐるまわる!

 

へなえさん
ふわふわする!

 

へなえさん
地震のようにぐらぐらゆれる!

 

などさまざまで、だいたい擬態語をもちいて表現されます。めまいの感じ方は本人しかわからなくそれをうまく伝えることはなかなか大変です。

 

へなお
ですからめまいの診断は難しいのです。

 

末梢性のめまいについて

末梢性のめまいを診断する前にその原因をあらかじめある程度理解しておく必要があります。

 

ココがポイント

中枢性のめまいとの大きな違いは、脳に異常はないのでめまい以外には大きな症状がほとんどないことが特徴です。

末梢性めまいの半数以上は良性発作性頭位めまい症です。

 

へなえさん
むずかしい言葉がでてきたなあ…

 

と思われるでしょう。

 

さらに詳しく

以前サッカーの日本女子代表の澤穂希選手がワールドカップで優勝した後に良性発作性頭位めまい症になりテレビでも一時話題になったので何となく聞いたことがある人もいるかもしれません。

 

へなお
良性発作性頭位めまい症は起き上がるとぐるぐるまわるめまいがして気持ち悪くなってしまいます。

 

そんな症状が特徴的です。

 

そのほかにも前庭神経炎などがありますが、

 

ココがポイント

末梢性のめまいを考える場合は良性発作性頭位めまい症を押さえておくことが重要です。

 

良性発作性頭位めまい症ってどんな病気?

へなお
原因は耳の中にあります。

 

耳の中に半規管という小さく細い管があり、その中に耳石(じせき)という小さな石が迷い込んでめまいがおこります。そのため耳石が半規管から外に出てしまえばめまいはなおります。

 

へなえさん
そもそもなんで耳の中に石があるの?

 

ココがポイント

もともと耳石は耳の中の別の場所にあって、平衡感覚のバランスや重力を感じることに関わっています。

耳石の一部がはがれ落ちて半規管の中に迷い込んでしまうい、頭を動かすと耳石が半規管の中をころころと転がりめまいがおこります。

安静にじっとしていれば耳石は転がらずめまいはおこりません。

再び頭を動かすと耳石が転がりめまいがおこります。これの繰り返しです。

良性発作性頭位めまい症の多くは回転性めまいといってぐるぐるまわるめまいが特徴的です。

 

頭位めまい症とはあたまの位置をかえることによっておこるめまいを意味しています。そのため患者さんは、

 

へなえさん
朝起き上がったら突然ぐるぐるまわってめまいがしたけど、寝ていると大丈夫みたい…

 

と訴えます。

 

へなお
耳石はあまりに小さいのでCTやMRI検査ではうつりません。

 

そのため良性発作性頭位めまい症の診断は難しいのです。

 

正確に診断するにはめまがおきている時に眼振(がんしん)といってぐるぐるまわっている目の動きをFrenzel眼鏡(フレンツェルめがね)という特殊なめがねで観察してぐるぐる回る方向を確認することが必要です。

 

半規管は3つの管にわかれていますが、目の動きを観察することによってどの半規管に耳石が迷い込んだのかが診断できます。

 

良性発作性頭位めまい症はどうやってなおすの?

ココがポイント

半規管に迷い込んだ耳石が半規管から抜け出せばめまいはなおります。

自然になおってしまうことも多いですが、数日から数週間めまいが続く人もいます。

 

へなえさん
自然になおるのを待っているのはなかなかつらいよ…

 

そこで、

 

へなお
耳石が外に抜け出やすくする体操があります。

 

いろいろな方法がありますが、一番簡単な方法をご紹介します。

 

ココがおすすめ

ベッドに腰かけて頭を左右どちらかに傾けて傾けた方向と反対側に体を倒して上を向いた状態で寝ます。

その後起き上がり今度は逆の側に頭を傾けて傾けた方向と反対側に体を倒して上を向いた状態で寝ます。

頭を傾けた側と反対側に体を倒して上を向いて寝た状態になって起き上がる…これをひたすら繰り返します。

それぞれの姿勢は1分程度続けます。

たいていの場合は耳石は外に抜け出します。

 

しかし、

 

へなえさん
めまいがして気持ち悪い時にこんなことできない!

 

という人も当然いるでしょう。もっと簡単な方法は、

 

ココがおすすめ

ベッドに上を向いて寝た状態で顔を左右どちらかに向けます。この時めまいがおきない方向で頭の位置を固定してしばらく寝ていると耳石が抜けることがあります。

 

耳石は左右どちらかの耳の半規管に迷入します。

 

しかし左右どちらの耳なのかはなかなか自分ではわかりません。

 

先ほど出てきたFrenzel眼鏡で、めまいがおきている時の目の動きを観察すればわかります。

 

へなお
自分でも左右どちらか耳の半規管に耳石が迷入したかわかる方法があります。

 

それは耳石がある側を下にして横を向いて寝るとめまいが誘発されやすくなります

 

ですから先ほどの方法ですと、耳石があるのとは逆の方向に頭を向けて寝ている状態になるわけです。

 

へなお

耳石は右側で半規管に迷入しやすいです。

それは右を下にして寝ている人が多いからですよ。

 

そのため良性発作性頭位めまい症になりやすい人がいます。

 

ココがポイント

ある一定の方向に長時間向いている人や、頭や耳をぶつけたことがある人、疲労やストレスを多く抱え込んでいる人は良性発作性頭位めまい症になりやすいとされています。

 

へなえさん
なんか不思議な話ですね…

 

ですから、

 

ココがポイント

寝ている時に左右にころころと向きを変えて寝返りをうって寝ている人は、良性発作性頭位めまい症にはなりづらいです。

 

良性発作性頭位めまい症の薬

ぐるぐるまわるめまいがして病院を受診して良性発作性頭位めまい症と診断されたとします。

 

へなお
めまい止めの点滴をして少し様子を見ましょう!

 

へなえさん

ありがとうございます!

しばらくベッドで横になってますね。

 

点滴を数時間して起き上がってみたら、

 

へなえさん

めまいがなおってる!

めまい止めがよく効いたんですね!

ありがとうございます!

 

こんな展開はよくあります。

 

たしかにめまい止めが効いた可能性は充分に考えられますが。

 

しかし多くの場合は、点滴をして横になって寝ている時に自分でめまいのしない楽な方向を向いて寝ていることが多いのです。つまり、

 

へなお
自分で自然と耳石が抜けやすい体勢を取っているのです!

 

それによって、

 

へなえさん
寝ている間に耳石が抜けてめまいがなおった!

 

なんてことがたびたび見受けられます。

 

へなお
人間って本能的に自分で自分の体をなおしているんですよね!

 

ココがポイント

良性発作性頭位めまい症に効果的な薬、つまり耳石を溶かしてしまったり外に抜けやすくしたりするような薬はありません。

 

へなお
実際に処方されているめまい止めのほとんどは、耳の中の血のめぐりをよくする薬なんです。

 

血の巡りが良くなることは結果的には良いことなので、それによって耳の中が良い状態に保たれて耳石がはがれ落ちにくくなって迷入することも少なくなるのかもしれませんが、そのあたりのことはよくわかっていません。

 

まとめ

今回は良性発作性頭位めまい症について解説してみました。

 

へなお
途中難しい言葉が出てきていつもながら難しかったですね。

 

へなえさん
もっとうまく解説できるようにまだまだ日々努力ですね。

 

ここで今回の内容をまとめてみました。

 

今回のまとめ

  • めまいには脳が原因の中枢性とそれ以外の末梢性があります。
  • 中枢性のめまいの場合には怖い脳の病気がひそんでいる可能性がありますのでCTやMRI検査で調べてもらいましょう。
  • 起き上がったらぐるぐるまわるめまいがする場合は末梢性のめまいの可能性が高いです。
  • 末梢性のめまいの原因の多くは良性発作性頭位めまい症です。
  • 良性発作性頭位めまい症は自然になおりますが、めまい体操をしてなおしましょう。
  • 良性発作性頭位めまい症を予防するためには寝ている時に適度に左右に寝返りしましょう。

 

ぐるぐるまわるめまいはほんとつらいものです。

 

へなお
自分も良性発作性頭位めまい症を経験したことがありますよ!

 

とりあえずぐるぐまわるめまいがして起きあがれません。無理に動くと吐き気がして最悪です。困ったときは様子をみずに早めに病院に受診することをお勧めします。

 

最後まで読んでくださりありがとうございました。

 

今後も『脳の病気』、『脳の治療』について現場に長年勤めた脳神経外科医の視点で皆さんに情報を提供していきたいと思っています。

 

引き続きよろしくお願いいたします。

 

最後にポチっとよろしくお願いします。

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  • この記事を書いた人

へなお

▶脳神経外科専門医でアラフィフおじさんの「へなお」です。▶日々脳の手術、放射線治療を中心に勤務医をしています▶一般の方でも脳についてわかりやすく理解していただけるように、脳の病気や治療から脳科学まで幅広い分野にわたって長年の経験からつちかった情報を提供していきます▶多くの方に脳に興味をもっていただき、少しでもこれからの生活の役に立つ知識をつけていただければと思います!

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