
このブログでは脳神経外科専門医であるアラフィフおじさんの視点から、主に一般の方に向けて脳の病気や治療について解説していきたいと思っています。
基本的な知識については、ネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉を用いてわかりやすく解説していきいます。
今回の『脳の病気』は、

という方のために、「アイスクリーム頭痛って知ってる?~日常生活で経験する頭痛あるある」について探ってみたいと思います。
この記事を読んでわかることはコレ!
- アイスクリーム頭痛のことがわかります。
- 日常生活で時々経験する頭痛あるあるのなぞがいろいろとわかります。
ページ内目次
頭痛あるある!?
頭痛に関しては、今まで『脳の病気』シリーズで片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛の頭痛3兄弟について解説しました。今回は、

そんな日常生活で時折経験する頭痛あるあるについてご紹介したいと思います。
アイスクリーム頭痛

そんな経験を1度はしたことがあるのではないでしょうか。

なんだかふざけた名前のように聞こえるかもしれませんが正式な医学用語です。
原因は明らかにはされていませんが次のように言われています。
ココがポイント
口の中やのどに急に冷たいものが入ると、反射が起きて脳の中の血管が拡張(血管がひらくこと)して炎症を引き起こして頭痛がする。
三叉神経(さんさしんけい)という顔面や口の中の感覚を支配している神経が混乱を起こして、本来であれば口の中やのどに”冷たい”という感覚を起こすところを”痛い”という感覚を間違えて起こしてしまい、それが脳に伝わって頭痛を引き起こしている。
…などなどいろいろな原因が考えられています。

ココがおすすめ
アイスクリーム頭痛は特に心配する必要のない頭痛で、予防としてはアイスクリームやかき氷などの冷たいものはゆっくり食べましょう。
二日酔いの頭痛

ココがポイント
アルコールにはもともと血管を拡張する(血管をひらく)作用をもつヒスタミンという物質が含まれていて、片頭痛発作を誘発しやすいです。
これによってアルコールを飲んでいる時から頭痛が起こる人もいます。
ココがポイント
赤ワインにはヒスタミンが多く含まれているので頭痛が起こりやすく、白ワインにはヒスタミンが含まれていないので頭痛は起こりづらいです。
焼酎やブランデーなどの蒸留酒にもヒスタミンは含まれていないので、飲んでいる時に片頭痛は起こりにくいです。
それでは、

ココがポイント
飲酒後時間がたつと体内のアルコールが分解されてできた成分(アセトアルデヒドや酢酸など)が悪さをして二日酔いの頭痛を引き起こします。
これらの成分が体の中で処理されると頭痛はなおります。
この処理がうまくできない人は、お酒が弱くお酒を飲むとすぐに顔が赤くなって頭痛がしてきます。
逆のこの処理が非常に速い人は”お酒の強い人”と呼ばれます。
お酒を飲んでいる時は大声で会話したり、興奮したり、たばこを吸ったりなどの体にあまりよくないであろう行動が集約して起こりますが、これらの要素も二日酔いに関与しています。
ココがおすすめ
二日酔いの頭痛には痛み止めが有効です。そのほかには血管を収縮(血管をちじめること)する作用のあるカフェインを含んだコーヒーや濃い渋めのお茶が効果的です。
基本的にはアルコールが分解されてできた成分が体内からなくなれば頭痛はなおります。
ココがおすすめ
お酒に強い、あるいは弱いはアルコールの分解産物の処理能力の違いであり、これはもともとの体質なので、ご自身の体質をしっかり理解したうえでお酒は飲みましょう。
当然体質は変化するので、

とか、逆に年をとってお酒が弱くなったなんて人も当然います。
ホットドック頭痛
ハム、サラミ、ソーセージなどの加工食品には亜硝酸塩という添加物が入っていることがあります。
ココがポイント
亜硝酸塩は商品のつや出し、味付け、防腐などの効果があるのですが、血管の拡張(血管をひろげること)作用があり、頭痛の原因となります。
しかし、

なぜなら、海外では日本人と比較して非常にたくさんのハム、サラミ、ソーセージなどの加工食品を食べる習慣があり、特にこれをパンにはさんでホットドックにして好んで食べます。
ホットドック早食い競争までありますが、日本人はそこまでたくさんは食べる習慣がありません。
また日本人は無添加のものを好む傾向にあります。
したがって日本人にはとても少ないのです。ですから、
ココがおすすめ
安心してハム、サラミ、ソーセージや、それらをはさんだホットドックを食べましょう!
中華料理による頭痛
中華料理店症候群とよばれる頭痛があります。
自分は料理には詳しくないのですが、
ココがポイント
うま味調味料の主成分にグルタミン酸というものがあって、これが頭痛の原因となります。
中華料理はこのグルタミン酸を大量に使う場合があります。
食べてから30分くらいすると頭痛がしてきて1時間ほど続きます。
原因はよくわかっていませんが、グルタミン酸には脳の血管を拡張(血管をひろげること)する作用と、神経を興奮させる作用がありそれが頭痛の原因となっていると言われています。

特に空腹の時にグルタミン酸を含むスープを飲むとが頭痛を起こしやすいので、
ココがおすすめ
頭痛を起こしやすい人はグルタミン酸を含まないものをまず食べるようにしましょう。
実際にどのような料理にグルタミン酸が多く含まれているかは皆さんで調べてみてください。
エクササイズ頭痛
激しく運動をしている最中あるいは運動後に頭が痛くなったことがある人も多いと思います。
これはエクササイズ頭痛といって、これも正式な医学用語です。
スポーツをしたり、ジムやヨガに通ったり、筋トレをしたり、など今は多くの人が積極的に運動をされていると思います。
ココがポイント
体のエクササイズについつい夢中になって、水分を取り損ねて脱水になったり、もう少しもう少しと体力の限界を超えてがんばりすぎたり、前の日にお酒を人でいて二日酔いなのにがんばりすぎたり、などさまざまな要因で頭痛が引き起こされます。
エクササイズ頭痛の原因はこれらによって脳の中の血管が拡張(血管をひろげること)して頭痛が起こります。
なかには激しい運動により脳しんとうを知らず知らずのうちに起こしていたり、急激な目や耳からの情報や平衡感覚のバランスの変化に脳がついていけず頭痛が引き起こされたりしていることもあります。
多くは片頭痛のようなズキズキした頭痛で、

夢中になってしまう気持ちもわかりますが、
ココがおすすめ
エクササイズの途中で、適度な休息や水分補給をとることが大切です。
頭痛がしたらエクササイズを中断することも大切です。
あくまでも無理は禁物です。
月経関連頭痛
これは女性に特有の頭痛ですね。

なんて経験をされている方も多いのではないでしょうか。
ココがポイント
月経関連頭痛は、女性ホルモンであるエストロゲンの変動によって引き起こされる片頭痛発作です。
この片頭痛を生理痛ととらえて頭痛に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
ココがポイント
月経時や排卵時はエストロゲンが体内で急激に低下し片頭痛発作を引き起こしやすいです。
妊娠するとエストロゲンは増加するので片頭痛はおこりづらくなりますが、出産するとエストロゲンが急に低下するので片頭痛は再びおこりやすくなります。
月経に関連した片頭痛は通常の片頭痛と違って、
頭痛の程度が強く、吐き気を伴うことが多く、持続する時間も長く、痛み止めが効きづらく、とてもつらい頭痛です。
ココがおすすめ
市販の痛み止めを服用しても痛みが解消されずお悩みの人は片頭痛の特効薬であるトリプタン系薬剤が有効ですので、脳神経外科の外来でご相談ください。
入浴頭痛
シャワーを浴びたり湯船につかったりすると発作的は激しい頭痛がおこる人がいます。
ココがポイント
お湯で体が温まることで脳内の血管が収縮(血管がちじむこと)して脳内の血のめぐりが悪くなって頭痛が誘発されます。
この頭痛はなぜか女性に多いのが特徴です。
入浴時に常に頭痛が起こるわけではなく、発作的にある期間に限って起こります。
その期間は通常は1か月くらいです。
ココがおすすめ
入浴した時に頭痛がする人は、入浴前に予防的に血管拡張薬と痛み止めを内服して入浴することをお勧めします。
宇宙頭痛
宇宙に行くと頭痛が起こりやすくなります。原因はよくわかっていませんが、宇宙飛行士はかなり高い頻度で頭痛に悩んでいるそうです。
ココがおすすめ
今後宇宙旅行に出かける予定のある人は痛み止めを持って行きましょう。
飛行機頭痛
宇宙旅行はまだ先の未来の話ですが、飛行機に乗って国内はもとより海外を旅する人は多いと思います。
ココがポイント
鼻の奥は副鼻腔(ふくびくう)という空洞になっていますが、そこに自然孔(しぜんこう)というあなが開いていて空気が出入りしています。
飛行機に乗ると上昇、下降によって気圧の差が生じます。
自然孔が気圧の急激な変化でふさがってしまい、鼻がつまったことにより頭痛が生じます。
ちなみに男性に圧倒的に多く、かなりの激痛とされています。
ココがおすすめ
飛行機頭痛が心配な人は、飛行機に乗る前にあらかじめ痛み止めを飲んでおくことをお勧めいたします。
まとめ
今回は日常生活で経験する頭痛あるあるについて解説してみました。


ここで今回の内容をまとめてみました。
今回のまとめ
- アイスクリームなどの冷たいものを急いで食べると頭が痛くなるのでゆっくり食べましょう。
- 日常生活はさまざまな頭痛であふれかえっています。
- 頭痛はご自身の体質によるものも多く存在しますので、自分の体質を知っておくことは大切です。
- 頭痛がする時には無理は禁物です。適度な休息を心がけましょう。
- たいしたことない頭痛と思っても、その陰に怖い頭痛がひそんでいることもあります。頭痛がなかなかなおらない、どんどん強くなる、吐いてしまったなどの場合は、早めに脳神経外科の外来を受診することをお勧めします。
頭痛にはほんとさまざまな原因があり、この他にもまだまだたくさんの頭痛があります。
たいていの頭痛は適切な対応をすれば危険はなくそのうちおさまってきますし、自分でコントロールが可能で心配なく日常生活を過ごすことができます。
しかし、その陰に脳の病気による怖い頭痛が原因として隠れている場合もあります。
その見極めはとても大切ですが、実際はなかなか難しいものです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も『脳の病気』、『脳の治療』について現場に長年勤めた脳神経外科医の視点で皆さんに情報を提供していきたいと思っています。
引き続きよろしくお願いいたします。