脳の病気

認知症について考えよう~物忘れから始まる認知症~

へなお
こんにちは、脳神経外科医のへなおです。

 

このブログでは脳神経外科専門医であるアラフィフおじさんの視点から、主に一般の方に向けて脳の病気や治療について解説していきたいと思っています。

基本的な知識については、ネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉を用いてわかりやすく解説していきいます。

 

 

今回の脳の病気は「認知症について考えよう~物忘れから始まる認知症~」と題して認知症の基本的な知識について解説しますのでよろしくお願いします。

 

今回の記事をこの記事を読んでわかることはコレ!

  • 認知症っていったい何なんだろうという疑問にお答えします。
  • 物忘れと認知症の違いがわかります。

 

認知症ってなんですか?

脳神経外科の外来には認知症が心配で受診される方が非常に増えています。

 

高齢の方が多いですが、若い方でも、

 

へなこさん
最近物忘れが増えてきていて若年性の認知症が心配です!

 

と訴える方も少なくはありません。

 

また自分の意志ではなく、ご家族や知り合いに連れてこられて認知症かどうか調べて欲しいと頼まれることも多いです。

 

認知症という言葉は皆さん聞きなれた言葉だと思います。

 

へなこさん

認知症なんて知らない!

聞いたことない!

 

なんて方は少ないと思います。では、

 

へなお

認知症とはどんな病気なのでしょう?

どこまでが認知症ではないと言えるのでしょう?

どうなったら認知症なのでしょう?

 

この質問に答えられる人は意外と少ないかもしれません。

 

まずは言葉の定義を押さえておきましょう。

 

ココがポイント

認知症とは、「正常であった脳の知的な働きが低下し、日常生活に支障を生じた状態」と定義されています。

 

ここで重要なキーワードは「日常生活に支障を生じる」です。

 

へなお
日常生活に支障を来すか来さないかは大きな違いです。

 

へなこさん

うっかり忘れてしまいました…

つい最近のことが思い出せません…

 

なんてことはよくある話ですが、これだけでは日常生活に支障を来したとは言えません。

 

忘れっぽくても自分の家に帰れなくなったなんてことはないと思います。

 

これは認知症ではなく物忘れです。

 

日常生活に支障をきたすとは、例えば外出して家に帰る道がわからなくなって捜索願を出されてしまうとか、普段よく会う顔なじみでよく知っている人(家族や友人や同僚など)が誰だかわからない、食事を食べたかどうかわからない、朝か昼か夜かの時間の感覚がわからず行動してしまう…などなどです。

 

このようなことがあると日常生活を自力で送ることは不可能であり誰か他人の力が必要となります。では、

 

へなお
認知症は、皆さんがよく使う言葉である「物忘れ」とどう違うのでしょう?

 

へなこさん
物忘れって認知症とは違うんですか?

 

そう思われるでしょう。

 

では物忘れと認知症の違いは何なのかを解説します。

 

物忘れと認知症は違います!?

ココがポイント

物忘れ=認知症ではありません。言うならば物忘れ→認知症といった感じです。

 

物忘れが悪化していき認知症になっていくという感じでしょうか。では、

 

へなお
物忘れと認知症はどう違うのでしょうか?

 

まずは原因の違いです。

 

物忘れと認知症の原因の違い

物忘れ加齢による脳細胞の機能低下が原因で、認知症脳細胞の死滅により脳が萎縮することが原因です。

 

物忘れは脳細胞が弱っていますがまだ生きている状態なのに対して、認知症は脳細胞が死んでしまった状態と言えます。

 

ですから認知症になってしまうと治療しても完全に回復することは望めなくなってしまいます

 

記憶の症状としては、

 

物忘れと認知症の記憶の違い

物忘れは自分が体験したことの一部を忘れてしまいますが何かきっかけがあれば思い出せる状態です。一方、認知症は体験したここと自体を忘れてしまいますので完全に記憶が抜けている状態でどんなきっかけがあっても思い出すことはありません。自分が何が忘れていること自体を忘れている状態です。

 

たとえを言えば物忘れでは、「昨日の夜ごはんのメニューを思い出せない」となりますが、

 

認知症では、「昨日の夜ごはんを食べたかどうか思い出せない」となります。メニューどころではありません。

 

病状としては、

 

物忘れと認知症の症状の違い

物忘れは記憶力が徐々に低下していく程度ですので日常生活に特に支障はなく、症状の進行はとても緩やかで、自分に忘れっぽいという自覚があります。一方、認知症は記憶力の低下とともに、判断力や時間間隔も低下していきますので日常生活に支障があり、症状は徐々に進行していき、自分では忘れっぽいという自覚はまったくありません

 

へなお
このように物忘れと認知症は大きく違います!

 

しかし物忘れが徐々に増えて程度がひどくなってくるとどうなるのでしょう。

 

物忘れが徐々に悪化してもいきなり認知症にはなりません。

 

へなお
認知症になる前の段階をMCIと言います。

 

聞きなれない言葉が出てきたとお思いでしょうが、これはとても大切なキーワードです。

 

では次にMCIについて解説します。

 

MCIってなんですか?

ココがポイント

MCIとはmild cognitive impairmentの略語です。日本語に訳すると、mildは軽度、cognitiveは認知機能、 impairmentは障害、であり、すなわち「軽度認知機能障害」となります。

 

へなこさん
MCIなんて聞いたことありませんけど…

 

なんて人がほとんどかもしれません。しかし、

 

へなお
MCIはとても大切なキーワードで、否が応でも今後皆さんに必ず関わってくる言葉です!

 

覚えていて損はありません。

 

むしろ知っていないといけない言葉です。

 

ある日突然認知症になるわけではありません。

 

健常な状態から徐々に認知機能障害は進行していきます。

 

ココがポイント

認知機能が低下して物忘れが増えてきた状態がMCIです。

 

健常な状態と認知症の間に挟まれたまさにグレーゾーンと言えるでしょう。

 

ではどうなったらMCIといえるのでしょうか?

 

MCIの定義としては

 

MCIの定義

記憶障害の自覚的、他覚的訴えがある。

記憶障害が年齢に比し、客観的に示される。

全般的認知障害は見られない。

日常生活活動は正常である。

認知症ではない。

 

以上の5項目を満たす人はMCIと言えます。

 

へなお

皆さんも自分自身を振り返ってみてください。

自分の周りの人を振り返ってよく見てみてください。

 

このような症状は出ていませんか?

 

いわゆる物忘れの状態です。

 

へなこさん
自分はMCIかも…

 

中にはこんな方がいるんじゃないでしょうか…

 

でも安心してください。

 

ココがポイント

MCIの状態であってもリカバリープログラムを行い、規則正しい健康的な生活を送ることで半数近くの人は健常に回復するとされてれいます。

 

MCIから認知症になることを防いだり遅らせたりすることは可能なのです。

 

このことはすでに証明されています。

 

ココがポイント

MCIに対する対処は早ければ早いほど効果的で時間がたてばたつほど回復は悪くなります。

 

へなこさん
まあこの程度の物忘れは問題ないでしょう…

 

と放置しておくとどうなるのでしょう。

 

日常生活に支障をきたしているわけではないので、そのまま特に何も気にすることなく今と同じ生活を続けたとします。

 

そうするとどうなるのでしょう。

 

ココがポイント

MCI1年間で約10%程度の人で認知症に症状が進行していくと言われています。これは年々蓄積されていきますので、5年では約40%程度の人は認知症に進行することになります。

 

へなお
かなり高率な割合と言えるのではないでしょうか。

 

2025年には65歳以上の高齢者の方のうち5人に1人は認知症になると予測されています。

さらに、認知症予備軍と言われるMCIの人は認知症の人と同じくらいに増えると言われており、認知症の対策は重要な問題です。

 

へなこさん
認知症なんてまだまだ先の話ですよね。

 

なんて悠長なことは言っていられないのです。

 

とても身近にせまる問題です。

 

ココがポイント

MCIから認知症にならないようにするために大切なのは、認知症になってからあわてて治療するのではなく、認知症にならないように常日頃から予防していくことです。

 

へなお
認知症の予防と治療については次回解説しますね。

 

まとめ

今回は物忘れと認知症について解説してみました。

 

へなお
途中難しい言葉が出てきて難しかったですね。

 

へなこさん
もっとうまく解説できるようにまだまだ日々努力ですね。

 

ここで今回の内容をまとめてみました。

 

今回のまとめ

  • 物忘れと認知症は違いますが、物忘れが悪化すると認知症に進行します。
  • 認知症になる前の危険信号の状態をMCI(軽度認知機能障害)と言います。
  • MCIは早期から対策をとっていれば回復する可能性が充分にあります。
  • MCIを放置すると5年で約半数近くの人が認知症になります。
  • 今後認知症の人はさらに増加し数年後には5人に1人は認知症の社会がやってきます。
  • 認知症予防を考えた日常生活を送ることが大切です。

物忘れは皆さんにとっても身近な関心事であり心配事だと思います。

 

しかしまだまだ自分は大丈夫、自分の家系には認知症の人はいないから大丈夫…なんて言い聞かせて目をそらせてはいませんか?

 

認知症になってからでは遅いのです。

 

認知症は予防していくことが大切です。

 

そのためには少しでも認知症の知識を身につけておくことが、今後の自分を守り、まわりの方に迷惑をかけない生活を送る手助けになると思います。

 

今回の記事がみなさんに少しでもお役に立てれば幸いです。

 

 

最後まで読んでくださりありがとうございました。

 

今後も『脳の病気』、『脳の治療』について現場に長年勤めた脳神経外科医の視点で皆さんに情報を提供していきたいと思っています。

 

引き続きよろしくお願いいたします。

 

最後にポチっとよろしくお願いします。

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  • この記事を書いた人

へなお

▶脳神経外科専門医でアラフィフおじさんの「へなお」です。▶日々脳の手術、放射線治療を中心に勤務医をしています▶一般の方でも脳についてわかりやすく理解していただけるように、脳の病気や治療から脳科学まで幅広い分野にわたって長年の経験からつちかった情報を提供していきます▶多くの方に脳に興味をもっていただき、少しでもこれからの生活の役に立つ知識をつけていただければと思います!

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