脳の放射線治療

ガンマナイフを知ろう!~頭を切らずに脳の病気を治す魔法のメス~

ガンマナイフ-A1

ガンマナイフって頭を切らずに脳の病気を治す魔法のメスなんですか?

 

そんな疑問に脳神経外科専門医であるアラフィフおじさんのへなおがお答えします。

 

このブログでは脳神経外科専門医の視点から、主に一般の方に向けて脳の病気や治療について解説していきたいと思っています。

 

基本的な知識については、ネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉を用いてわかりやすく解説します。

 

 

『脳の放射線治療』のシリーズでは脳の病気に対する治療として活躍している放射線治療についてご紹介します。

 

『脳の放射線治療』の第1回は「ガンマナイフを知ろう!~頭を切らずに脳の病気を治す魔法のメス~」と題して脳のための放射線治療機器であるガンマナイフについて解説しますのでよろしくお願いします。

 

この記事を読んでわかることはコレ!

  • 「頭を切らずに脳の病気を治す魔法のメス」であるガンマナイフについてわかります。

 

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頭を切らずに脳の病気を治すガンマナイフ

ガンマナイフicon

 

脳神経外科医は日々脳の病気の方に触れ、病気を克服してより長く生きれること、そして後遺症を極力残さずによりよいQuality of Life(生活の質)を維持して生活することを目指しています。

 

そのためそれぞれ脳の病気に対して、さまざまな要素、たとえば年齢、全身の健康状態などなどを考慮してよりよい治療方法を選択していきます。

 

へなお
時にはそのまま経過を見ていくこともありますし、また時には手術放射線治療を選択することもあります。

 

それらの治療法の中で、

 

ココがポイント

放射線治療頭を切らずに脳の病気を治す治療の1つです。

 

通常の手術では頭にメスを入れて脳の病気を切り取ってくるわけですが、放射線治療はメスを使わずに脳の病気を治します

 

一概に放射線治療といってもさまざまな治療方法があります。その中でも、

 

ココがポイント

脳の病気を治療するためだけに開発され、体の他の部分の放射線治療とくらべて圧倒的な治療の効果と安全性を備えた放射線治療機器があります。それがガンマナイフです。

 

へなよさん
ガンマナイフなんて聞いたことないですねえ…

 

なんて方がほとんどだと思います。

 

しかし皆さん自身、あるいは周りのご家族や知り合いの方の中で脳の病気をされたことのある方であれば一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

 

へなお
この記事では、頭を切らずに脳の病気を治す、いわば「魔法のメス」であるガンマナイフをご紹介したいと思います。

 

今後さまざまな病気に対するガンマナイフの効果や安全性についても順次解説していきますね。

 

定位放射線治療を知ろう

ココがポイント

脳に対する放射線治療は大きく分けると、全脳照射定位放射線治療に分けられます。

 

全脳照射に関しては改めて解説しますが、字のごとしで頭全体に放射線をあてて病気を治療する方法です。一方、

 

もっと詳しく

定位放射線治療は、脳の病気だけに大量の放射線をあてて周りの正常な脳には極力放射線があたらないように工夫して治療する方法です。

 

へなお
定位放射線治療は手術のように病巣をシャープに治療することが可能です!

 

この2つの治療法を比べて単純にどちらの方法が良い悪いと考えるのではなく、それぞれの病気の性状や状況により使い分けて治療が行われています。

 

へなお
今回は定位放射線治療について詳しく説明しますね。

 

定位放射線治療は、英語では”Radiosurgery”にあたり、これをそのまま訳すと「放射線外科」となります。つまり、

 

もっと詳しく

定位放射線治療は放射線を用いた手術であり、「切らない外科手術」とも言うべき、脳の病気に対して最小限のリスクと最大限の効果をもたらす新たな治療分野として成長を遂げてきました。

 

定位放射線治療がどのように作用して病気を治すのかということに関してはさまざまな機序が考えられています。

 

定位放射線治療の効果

放射線が局所的に集中してあてられることによって、病気の遺伝子構造が破壊されていき最終的に病気が死んでしまう。

脳の病気へ栄養を送っている血管が大量の放射線によってダメージを受けてつまってしまい病気への血液の流れが断たれることが最終的に病気への栄養供給を断つことにつながり、病気の発育が止まり死んでしまう。

 

などが報告されています。

 

病気の種類によってその作用機序はさまざまだとは思いますが、この2つの作用が重なって最終的に病気を治していくのです。

 

へなお
ガンマナイフはこの定位放射線治療の代表的な治療機器です。

 

そもそも定位放射線照射という治療方法の概念はガンマナイフから始まっています

 

まず始めにガンマナイフにより脳の病気に対する定位放射線治療がスタートしました。

 

その後さまざまな治療機器が開発され、現在では定位放射線治療は肺、肝臓、前立腺など体のさまざまな部分の病気に対する治療法の1つとしてその地位を確立しています。

 

へなお
それではガンマナイフとはどのような機器なのか説明しますね。

 

ガンマナイフの歴史

スウェーデン-1

 

へなお
定位放射線照射の歴史はガンマナイフの歴史に他なりません。

 

1951年にスウェーデンのカロリンスカ大学の脳神経外科医レクセル教授によって提唱されたのが始まりでです。

 

長年の試行錯誤の後に1967年コバルト60という放射線を放出する物質を使用したレクセル・ガンマナイフ1号機が完成しました。

 

ガンマナイフ1号機

 

その構造は極めて単純そして正確です。

 

機器は半球状の形をしていて、その中に197個のコバルト60を配置しそこから出る197本のガンマ線(レントゲンで使用されるエックス線の仲間で電磁波の1種)という放射線のビームが一点に集まるように設計されています。

 

もっと詳しく

ガンマナイフは約200本のガンマ線が1つの点に集まり、その部分に脳の病気を合わせて、病気の形に沿ってビームをあてていくという構造になっています。

 

ガンマナイフの仕組み-1

 

ココがポイント

ガンマナイフの名前の由来は、周囲正常脳組織を傷つけることなくガンマ線を用いて、まるで脳の病変をナイフで切り取るかのごとく治してしまう治療法であることから「ガンマナイフ」と名付けられました。

 

この治療機器の基本的なコンセプトは現在のガンマナイフの装置にそのまま受け継がれています。

 

へなお
じつは、ガンマナイフは開発当時、脳腫瘍などの脳の病気の治療のために開発されたわけではないんです。

 

がん性疼痛と言ってがんにより体のさまざまな部分に感じる激しい痛みをおさえるために、痛みの最高中枢である脳の中心にある視床という部分を放射線で壊してしまう目的で開発されました。

 

その後脳の腫瘍や血管の病気などさまざまな病気に治療に応用されていき、それぞれの病気ですばらしい治療効果と安全性が数々報告され現在に受け継がれています。

 

現在のガンマナイフ

ガンマナイフの変遷-1

へなお
日本にガンマナイフが最初に導入されたのは1990年東京大学医学部附属病院に設置されました。

 

その後多くの病院でガンマナイフを取り入れるようになり、現在日本では50台近くが稼働して治療が行われています。

 

へなお
おおよそそれぞれの都道府県に1台程度は設置されている病院がある感じです。

 

さまざまな脳の腫瘍や血管の病気に対して治療が行われ年々治療を受ける方の人数は増加しています。

 

ガンマナイフの機器は何度かのバージョンアップを繰り返し、そのたびに飛躍的な進化を遂げ、現在のガンマナイフは「アイコン」と名付けられています。

 

アイコンはほぼ全自動で機器が作動して、脳の病気に放射線をあてていきます。全自動と聞くと、

 

へなよさん

機械にそんなに頼り切って大丈夫なの?

壊れたりしないの?

 

と不安になられる方もいると思います。

 

へなお
大丈夫です。安心してください。

 

ココがポイント

アイコンは0.1mm刻みで頭の位置をずらしながら放射線をあてていきます。

 

へなお
人間の目で0.1mmを正確に測って位置を決めていくことは不可能ですよね。

 

へなよさん
せいぜい1mm刻みですかね…

 

人間の目の10倍の精度で正確に病気の位置を把握して治療を行うのでかなりの精度と言えます。また、

 

ココがポイント

ガンマナイフは機器の基本的な構造がとても単純にできているのでほとんど故障らしい故障がありません

 

ガンマナイフはきわめて信頼性が高い機器と言えます。

 

へなお
自分の病院でも現在のガンマナイフの機器は、10年間平日はほぼ毎日治療で動き続けていますが、故障して止まったりトラブルを起こしたりしたことはほぼありません

 

へなよさん
普通の電化製品でも10年間故障ナシはすごいですから、ガンマナイフの安全性がよくわかりますね!

 

ガンマナイフを発明したレクセル教授は開発当初このような言葉を述べています。

 

レクセル先生-1

 

へなよさん

英語だと意味が分かりません!

わかりやすく訳してください!

 

へなお
外科医の使うツールは、用途に合ったものでなければならない。しかも脳に関わるものであれば、精細すぎるというものはない。

 

へなよさん
素晴らしい言葉ですね!

 

まさにこの言葉がガンマナイフの真髄となっています。

 

まとめ

今回は頭を切らずに脳の病気を治す魔法のメスであるガンマナイフについて解説してみました。

 

へなお
途中難しい言葉が出てきて難しかったですね。

 

へなよさん
もっとうまく解説できるようにまだまだ日々努力ですね。

 

ここで今回の内容をまとめてみました。

 

今回のまとめ

  • ガンマナイフは、頭を切らずに脳の病気を治す魔法のメス、定位放射線治療の機器です。
  • 脳の病気にはガンマナイフによって切らずに治すことが可能なものが多くあります。
  • ガンマナイフには30年近い治療実績があり、その有効性と安全性は確立されています。

 

ガンマナイフは脳の病気において革新的な影響を与え、今もなお進化し続けて多くの方の脳の病気を治し続けています。

 

今回はガンマナイフについて簡単にご紹介させていただきました。

 

今後ガンマナイフはどのように治療しているのか、実際の脳の病気に対するガンマナイフの治療効果や安全性や問題点などについて順次解説していきたいと思っています。

 

今回の記事がみなさんに少しでもお役に立てれば幸いです。

 

最後まで読んでくださりありがとうございました。

 

 

今後も『脳の病気』、『脳の治療』について現場に長年勤めた脳神経外科医の視点で皆さんに情報を提供していきたいと思っています。

 

引き続きよろしくお願いいたします。

 

最後にポチっとよろしくお願いします。

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  • この記事を書いた人

へなお

▶脳神経外科専門医でアラフィフおじさんの「へなお」です。▶日々脳の手術、放射線治療を中心に勤務医をしています▶一般の方でも脳についてわかりやすく理解していただけるように、脳の病気や治療から脳科学まで幅広い分野にわたって長年の経験からつちかった情報を提供していきます▶多くの方に脳に興味をもっていただき、少しでもこれからの生活の役に立つ知識をつけていただければと思います!

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