脳の病気

しびれて困ってます!?その2:体のある場所だけがしびれる単発性のしびれ

へなお
こんにちは、脳神経外科医のへなおです。

 

このブログでは脳神経外科専門医であるアラフィフおじさんの視点から、主に一般の方に向けて脳の病気や治療について解説していきたいと思っています。

基本的な知識については、ネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉を用いてわかりやすく解説していきいます。

 

 

今回の『脳の病気』は、

 

へなぞうさん
しびれて困ってます!?

 

という方のために、しびれについて探ってみたいと思います。

 

へなお
しびれは奥が深くて1回では説明しきれないので、何回かにわけて説明しますね!

 

今回は第2回目で、”体のある場所だけがしびれる単発性のしびれ”について解説したいと思います。

 

この記事を読んでわかることはコレ!

  • いろいろなしびれの種類がわかります。
  • しびれる部分が体の中のある限定された部分に限られている「単発性のしびれ」がわかります。

 

しびれの種類

『しびれ』は頭痛、めまいとならんで脳神経外科の外来に受診される患者さんの3大あるあるの1つです。

 

へなお
非常に多い訴えですが、しびれの原因を突き止めるのは本当に大変です。

 

「しびれの原因を探ってみました」の第1回では「しびれってなに?」と題してしびれとは何かについて解説しました。

 

今回は実際のしびれの原因を探ってみようと思います。前回しびれの種類には3種類と説明しました。

 

ココがポイント

知覚鈍麻(感覚がにぶっている)

異常知覚(正常ではない異常な感覚がする)

運動麻痺(自分の意志通りに動かない)

 

この中で運動麻痺は感覚の問題ではなく、動きの問題で手足が動かないことをしびれと感じてしまうので、感覚の神経自体には大きな問題が生じていないことが多いです。そのため今回はちょっと除外して、知覚鈍麻と異常知覚の感覚の障害について考えてみます。

 

体のしびれる部分がある限定された部分に限られているものを「単発」、体の広い範囲に及んでいるものを「多発」と言います。

 

へなお
今回は「単発」について解説し、次回「多発」について解説したいと思います。

 

単発性のしびれ

へなお
単発性のしびれの原因のほとんどは脳神経外科や整形外科であつかう病気です。

 

ある限られた部分だけの神経が障害されてしびれが起きているので、ていねいに診察して検査すればたいていの場合は、

 

へなお
ここが原因でしびれています!

 

とはっきりと示すことができます。

 

へなお
そのため手術によってしびれが治る可能性があります。

 

一方で多発性のしびれは体のあちらこちらでしびれがおきているので、

 

へなお
しびれの原因はここです!…なんてはっきりと示すことが難しかったり、内科的な病気によって全身に問題が生じていたりして、単純には説明しきれない場合が多いです。

 

単発と多発では、単発の方が原因を見つけやすいのです。

 

へなお
ですからまずは単発のしびれについて考えてみようと思います。

 

頸腕症候群(けいわんしょうこうぐん)

頸腕症候群は、

 

へなお
頸部(いわゆる首)から肩、肘、手指にかけて痛み、しびれ、だるさ、冷たい感じ、脱力感(力が入りづらい感じ)を感じる病気です。

 

症候群とは同じような症状を持った病気をまとめた、ひとつのグループという意味です。ですからこの中にはこのような症状を特徴とする病気がいくつかあります。

 

胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)

首から肩にかけては体のつくりは直角に曲がっています。この直角に曲がったところで鎖骨と肋骨に神経と動脈がはさまれてしびれを引き起こしています。(骨の図の赤丸のところです。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もともと骨と骨の間を神経と動脈は走行しているのですが、なんらかしらの原因(打撲が多いですが、そのほかにも原因はさまざまあります)によって、

 

ココがポイント

鎖骨と肋骨のすきまがせまくなって神経と動脈がはさまれて直接神経が痛めつけられる。

動脈が骨のすきまにはさまって神経の血のめぐりが悪くなることで神経に充分な血が回らなくなる。

 

それによってしびれがおきてきます。そのため治療としては、

 

へなお
手術で原因となる肋骨の一部を切除して神経と動脈が通るすきまを広げてあげます。

 

そうすると神経と動脈がリラックスしてしびれは解消されます。

 

へなお
一見すると単純に思えますが、この病気にいかにたどり着くかが鍵です!

 

たどり着いてしまえば手術でよくなるのです。この病気にはいくつか特徴があるのでそれを知っていることが大切です。

 

へなお
1つはなで肩の女性に多いです!

 

なで肩で体の小さな女性は鎖骨と肋骨のすきまがもともとせまいので神経と動脈がはさまれやすくなっています。もう1つは、

 

へなお
あえて鎖骨と肋骨をせまくするような姿勢になってもらい、この時に動脈がはさまれて手の血のめぐりが悪くなっているかを確認すします!

 

手を上にあげたり後ろにそらしたりすると(他人にやってもらいましょう、自分ではなかなかつらいです…)、この病気の人は手首にふれる動脈の拍動が弱くなり、しびれが悪化します。

 

へなぞうさん
なかなかつらい方法ですね。

 

頚椎症(けいついしょう)

へなお
頚椎症(けいついしょう)はとても頻度の高い病気です。しかしこれもなかなか診断にたどり着くのに難渋します。

 

 

頚椎とは首の骨です。首の骨の中にある脊髄(下の図でspinal cord)という太い神経のかたまり(中枢神経)から骨のすきまを通って細い末梢神経(下の図でnerve root)が飛び出してきます。

 

 

ココがポイント

骨のすきまで神経が圧迫されて働きが低下してしびれを引き起こします。

 

へなお
首の骨は7本あり、首の末梢神経は8本あります。しかも左右にありますので計16本あります。

 

片側ずつ8本の神経が絡み合って手のさまざまな部分に走行していきます。8本の神経はそれぞれ手のどこに走行していくかはだいたい決まっています。この神経の中には感覚の神経と運動の神経が混ざって入っています。

 

へなお
神経が圧迫によってうまく働かなくなると、まずは感覚の神経の働きが落ちてしびれが生じます。

 

しびれている部分を正確に診察すればどこの神経が痛んでいるかわかります。

 

へなお
神経の働きがさらに悪くなると手が痛くなってきます。

 

へなお
さらに悪くなると、次は運動の神経の働きが落ちて手の動きが悪くなってきます。

 

どの神経が手のどの筋肉の働きに関わっているかはだいたい決まっています。しかし手の筋肉は首からの神経以外にもさまざまな末梢神経が関わっていますのでいちがいには言えませんが、

 

へなお
どこの筋肉の力が落ちていればどこの神経の働きが弱っているかはおおよそわかります。

 

そこまで診察で理解したうえでレントゲン検査を行い、その部分の首の骨のすきまがせまくなっていることを確認すれば診断にいたるわけです。

 

へなぞうさん
長い道のりですね。

 

へなお
そこまで到達できれば、あとは手術してその骨のすきまを広げてあげればよいわけです。

 

腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア

へなぞうさん
椎間板ってなに?ヘルニアってなに?

 

ココがポイント

椎間板とは上の図で「disc」の部分で、背骨の骨と骨の間の緩衝材(かんしょうざい)のようなもので、背中を前後左右に曲げた時に骨が直接こすりあうのではなく、椎間板がこすれて骨が削られるのを防ぐ役割をしています。

椎間板は首から腰までの背骨のすべての骨の間にあります。

椎間板がこすられ続けてるとつぶれて飛び出してきます。この飛び出す現象を医学用語ではヘルニアと言います。

 

ヘルニアとなって飛び出してきた椎間板が脊髄から出る末梢神経に触れると神経の働きがおちてしびれが起こります。

 

 

ヘルニアは首から腰までどこでも起こりえますが、特に腰で起こりやすいとされています。腰の骨は全部で5つあり、腰から出る末梢神経は片側で5本、両側合わせて10本あります。腰の神経は主に足に向かって走っていきます。

 

へなお
腰の椎間板がヘルニアになりやすい場所はだいたい決まっています。そのためダメージを受けやすい神経もだいたい決まっています。

 

この場合も頚椎症と同様に、まずはしびれがでて、その後痛みとなり、最終的には足の動きが悪くなってきます。

 

へなお
どの神経が痛んでいるかは、頚椎症と同様にしびれ、痛みの場所を確認して、また動きの悪くなった筋肉を確認すればおおよそわかります。

 

椎間板はレントゲン検査ではうまくうつらないのでヘルニアを確認するにはMRIが必要です。

 

へなぞうさん
これまた診断までには長い道のりですね。

 

へなお
診断がつけば、手術して椎間板の飛び出したヘルニアになったところを切り取れば、神経の働きが回復するわけです。

 

末梢神経障害

ここまでは病気は基本的には、背骨の中にある中枢神経である脊髄から出てきてすぐの神経が痛んでしびれを引き起こしていましたが、

 

へなお
もっと手足の末端の末梢神経が痛んでしびれを引き起こす病気もたくさんあります。

 

その中で手術によってなおる末梢神経の病気がいくつかあります。末梢神経は手足の末端に到達するまでの間に筋肉やじん帯などにはさまれた狭いすきまを通っていきます。また手足はよく動かしますので、その動きの向きによっては神経の圧迫が強くなったり、手足をぶつけたりすることでダメージを受けやすい状態になっています。

 

へなお
このような機械的なダメージによって神経の働きが落ちたものは、筋肉やじん帯を手術によって切り取ることで圧迫を取り除くことで回復が期待できます。

 

しかし神経が圧迫されてしびれが続いた状態を長く放置していると、感覚が弱くなってきて痛みも感じなくなります。最終的には力が入りづらくなり、筋肉がその部分だけやせ細って委縮してきます。ここまで悪くなるとたとえ神経への圧迫を取り除いてあげても神経がへたへたに痛んでしまっていて回復はあまり望めません。

 

へなお
早めに診察して早めに診断して早めに治療することが何よりも大切です。

 

具体的にダメージを受けやすい神経を並べてみました。

 

尺骨神経溝症候群(しゃっこつしんけいこうしょうこうぐん)
へなお
尺骨神経は手の神経です。

 

尺骨神経は肘のところで尺骨神経溝というくぼみの中を走行していますが、その部分は皮膚におおわれているだけなので、外からのダメージに非常に弱い状態になっています。

 

へなぞうさん
肘をぶつけると手がしびれやすいのはそのためなんだね!

 

 

ココがポイント

肘を机によくつく人は尺骨神経が机と骨にはさまれて圧迫されて神経麻痺を起こしやすい状態になっています。(ですから「肘はつかないように」と言われるのです!?)

上を向いて寝る人の中には、寝た状態の時に手を胸やおなかの上において肘をベッドにつけて眠るくせのある人がいますが、これも寝ている間に尺骨神経がベッドと骨にはさまれて神経障害をおこしやすくなっています。

 

へなお
ちなみにふわふわのベッドに寝ている人は大丈夫ですよ。

 

手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)

手首のところには太いじん帯がありちょうどリストバンドのように手首を守っています。この中に正中神経が走行していて、正中神経が障害されて手がしびれます。

 

ココがポイント

手首をよくそらせるような動きをする人

字を書くときに力を入れる人

赤ちゃんをよく抱いているお母さん

包丁をよく使う料理人さん

…などなど…

 

へなお
このような人たちは、正中神経がじん帯の中で圧迫されて神経障害をおこしやすくなっていますから要注意です!

 

外側大腿皮神経の障害

足の外側の感覚は大腿皮神経が走行しています。この神経は足の付け根の鼠経じん帯(そけいじんたい)の下を足にむかって走っていきます。

 

ココがポイント

ベルトや帯などを強く締めるくせのある人は外側大腿皮神経の締め付けがさらに強くなって神経障害をおこしやすいとされています。

 

まとめ

今回は「しびれの原因を探ってみました」の第2回として”体のある場所だけがしびれる単発性のしびれ”について解説してみました。

 

へなお
今回はいつも以上に難しい言葉が出てきてしまいすいません
へなぞうさん
もっとうまく解説できるようにまだまだ日々努力ですね。

 

ここで今回の内容をまとめてみました。

 

今回のまとめ

  • しびれはしびれている場所によって大きく分けると、体の一部分だけがしびれる「単発性のしびれ」と体の広い範囲がしびれる「多発性のしびれ」があります。
  • 単発性のしびれの原因には、脊髄の近くの神経の障害と手足の末梢神経の障害の2種類があります。
  • 単発性のしびれは手術でなおる可能性がある病気があります。

 

しびれと一言で言ってもなかなか人にはうまく伝わりません。そのためしびれに耐えて苦しんだり悩んだりしている方も多いのではないでしょうか。しびれの中には手術でしびれがなおったり、完全にはなおらなくてもよくなったりするしびれもあります。診断が遅くなると手術の効果も下がってしまうこともありますので、しびれでお困りの場合には、まずは脳神経外科の外来を受診してみてください。

今回の記事が少しでもしびれについての理解が深まり今後の生活にお役に立てれば幸いです。

「しびれの原因を探ってみました」の第3回もご期待ください。

 

最後まで読んでくださりありがとうございました。

今後も『脳の病気』、『脳の治療』について現場に長年勤めた脳神経外科医の視点で皆さんに情報を提供していきたいと思っています。

引き続きよろしくお願いいたします。

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  • この記事を書いた人

へなお

▶脳神経外科専門医でアラフィフおじさんの「へなお」です。▶日々脳の手術、放射線治療を中心に勤務医をしています▶一般の方でも脳についてわかりやすく理解していただけるように、脳の病気や治療から脳科学まで幅広い分野にわたって長年の経験からつちかった情報を提供していきます▶多くの方に脳に興味をもっていただき、少しでもこれからの生活の役に立つ知識をつけていただければと思います!

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