将棋の藤井聡太八冠の強さの秘密はどこにあるのですか?
このブログでは脳神経外科医として20年…多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきますね。
この記事を読んでわかることはコレ!
- 人工知能(AI)とコラボする藤井聡太八冠から学ぶ新時代の流動性知能を脳科学で説き明かします。
藤井聡太八冠の強さの秘密
藤井聡太八冠の強さの秘密
- 前人未到の八冠独占を達成した藤井聡太八冠の強さの秘密はAIとのコラボによる新時代の流動性知能の獲得にあります。
- あなたもAIとコラボして自分の知能をもっと高めて新しい世界を見てみませんか。
自分は将棋の世界はまったく理解していない素人である。
しかしそんな自分でも、史上最年少で棋聖のタイトルを獲得した勢いのまま王位、叡王、竜王のタイトルもつかみ取り、さらにはシリーズ無傷の4連勝で王将のタイトルも奪取して、羽生善治九段が保持していた五冠の最年少記録22歳10か月を1年以上回る史上最年少五冠という快挙を達成、2023年3月に棋王を獲得し六冠、2023年6月1日に名人を獲得し七冠、そして2023年10月11日に王座を獲得し、ついに史上初の八冠を成し遂げたニュースはやはり気になるところだ
1996年に羽生善治九段が当時7つだったタイトルを全て保持する七冠独占を達成したが、それから四半世紀が経った今、それを上回る八冠という大記録はただただ驚きだ。
藤井聡太八冠の強さの秘密-その1
藤井聡太八冠の強さはAIネイティブの異次元の強さと評されている。
つまり人間が到達可能な次元をはるかに超えた人工知能(AI)とコラボすることでしか到達し得ない新時代の知能で戦っているのだから強いに決まっている。
そしてその強さはいまだに進化し続けていてとどまるところを知らない。
知能にはさまざまな側面があるが一般的に知能と聞くと多くの人は、
知能とはある集団の中で他人よりも優れた特別扱いされるべき能力
なんてちょっと一歩引いたマイナスのイメージを想像してしまうかもしれない。
とかく知能は比較の対象になりやすい。
他人との比較では知能テストが行われるし今やさまざまなシーンで人間の知能とAIの対決がよく話題になっている。
かつて物理学者のスティーヴン・ホーキング氏は、
“知能になんらかの長期的な生存価値があるとは言いきれない。”
とまで言って知能という言葉を否定している。
これは今まで多くの研究が続けてきた悪しき慣習の結果とも言える。
彼らは知能が高い人を特別扱いするようなちょっとねじ曲げられた結論を世に送り出し続けてきたのだ。
たとえば良い教育環境で育った人は教育環境の悪い中で育った人よりもテストの点数は当然高くなり評価されやすい。
しかしテストの点数が高くても実際には知能が低い人もいる。
しかしこういう人には目をつぶりテストの点数が高い人は知能も高いに決まっているから優遇されるべきという研究結果を発表し続けてきた。
ようやく最近この考えは間違いだとされ知能の意味が見なおされてきている。
現在の知能の研究の関心は人間個人ではなく個人に影響を及ぼす要因に移ってきている。
知能の発達には個人の遺伝的要因が多く影響しているがそれには限界がある。
もっと重要なのは個人を取り巻く環境の影響だ。
生活環境や教育環境などのさまざまな環境が知能の発達に影響を及ぼしているわけだがこれにも限界がある。
しかしなにもAIが優れていると言っているわけではない。
藤井聡太八冠の強さの秘密-その2
人間の知能にAIを取り入れることで今までわれわれが見たことのない新たな世界を切り開こうとしているのが藤井聡太八冠なのだ。
知能にはさまざまな側面があるわけだが今回はその中で藤井聡太八冠が魅せる“流動性知能”について脳科学的に探ってみよう。
人間の知能とAIがコラボする新時代の流動性知能
流動性知能とは初めてみる問題を論理的に考えて解決する能力のことである。
簡単に言えば、
初めて経験するような新しい場面に遭遇した時にどうすればよいのかを考え最も良い方法を選択する能力
そんな感じでしょうか。
一方で流動性知能に対峙する能力が結晶性知能。
結晶性知能とは今までの積み上げてきた経験が土台となるような専門的な知識や技術などの能力のことを言う。
つまり初めてではない今まで経験してきたような場面でどうすればよいのかを考え最も良い方法を選択する能力と言える。
これは長年の経験や知識がものを言う知能とも言える。
話を流動性知能に戻しましょう。
流動性知能はある意味直観でありその瞬間のひらめきとも言えます。
”直観に関する脳科学”についてはこちらの記事を参照してみてください。
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そのひらめきを支えるのが“作業記憶“です。
作業記憶とは頭の中に一時的に情報を保存しておく能力、いわゆるワーキングメモリのこと。
将棋で例えるのであれば今まで経験したり学んだりしたいくつもの駒の差し手を一時的に取り出してくること。
ここに駒を打ったら、相手はこう打ってきて、その次に自分はこう打って、とひたすら先を考える。
その中でその場で最善の差し手を選択することになるのです。
流動性知能が高い人は当然作業記憶も優れていてもっと言えばより多くの情報を脳の中に蓄えてあることが何よりも大切です。
なぜなら情報がなければ引き出せるものが何もないのだから…
しかも流動性知能が高い人は気をそらすことに対してもめっぽう強い。
だからただ単に集中力が優れているとかそんな単純な能力ではないのです。
AIは人間と比べると記憶力では当然圧倒的です。
一度覚えたことは当然絶対に忘れません。
いくら時間が経とうと量が増えようとも忘れません。
ですから作業記憶に関してAIは人間の知能をはるかにしのぐ能力を発揮します。
人間の知能はどうやってもかないません。
AIは作業記憶による先読みは得意ですがそれはあくまでもある程度決まったゴールへの道筋にすぎず一度道をそれるとどこへ進んでいくのかわからなくなってしまいます。
こんな例があります。
藤井聡太八冠が差した駒がAIの計算では4億手先あたりまでは悪い手なのですが6億手先まで考えると最善の差し手になるという妙手が話題になりました。
まさか藤井聡太八冠が6億手先まで読んだとは思えませんが結果的にはAIに優る判断をしたことは確かです。
一見すると悪そうなこと良くないことでも結果的には吉とでる。
一見して明らかに最善の選択をするのがAIです。
藤井聡太八冠の強さの秘密-その3
人間の知能はその場で最善でなくとも最終的に吉が舞い込むのであれば途中苦難の道が続こうともその手を選択します。
一方AIは膨大な作業記憶の中からその場で最善な選択をします。
ですから人間の知能とAIがコラボすれば最強のひらめきが生まれ流動性知能が跳ね上がることは間違いなさそうです。
これが新時代の流動性知能です。
今時代は人間のみAIのみに頼るのではなくそれぞれがもつ個性をあわせ持った新たな知能の創造を求めているのかもしれません。
あなたもAIとコラボした新時代の流動性知能を手に入れよう
藤井聡太八冠は普段の将棋の研究にAIを使っていることを公言しています。
彼の自作PCはとんでもないCPUを積んでいるということで話題にもなっています。
将棋の対局中にAIを使ったら反則ですが研究にAIプログラムを使うことは問題ありません。
新しいことを取り入れると批判の声も当然あがります。
なんて言う人もいるでしょう。
しかし今までの話を聞いたらそんな意見は意味のないものだとわかってもらえるでしょう。
われわれはもうAIを悪者にしたり無視したりしてていられる時代にはいないのです。
すでに自分の知能を上げるためにAIを活用するのは当然のこととなってきています。
しかしAIと共存してお互いの強みを引き出し合い弱みを補い合うことができれば最強のコラボが実現すること間違いなしです。
藤井聡太八冠は自分の知能とAIの知能のコラボを実践してわれわれに示してくれているのです。
人間の知能の発達には個人の遺伝子レベルだけでは限界があります。
しかしわれわれの周りの環境はその限界を無限大に引き上げる力を持っています。
そして今AIで取り囲まれた環境が知能の発達に多大な影響を及ぼし始めています。
あなたもただ傍観しているだけではなくAIとコラボした新時代の流動性知能を身につけてもっと上を目指してみませんか。
藤井聡太八冠についてもっと知りたい方はぜひこちらをご参照ください。
”新時代の流動性知能の脳科学”のまとめ
AIとコラボする藤井聡太八冠から学ぶ新時代の流動性知能について脳科学で説き明かしました。
今回のまとめ
- 前人未到の八冠独占を達成した藤井聡太八冠の強さの秘密はAIとのコラボによる新時代の流動性知能の獲得にあります。
- あなたもAIとコラボして自分の知能をもっと高めて新しい世界を見てみませんか。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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