“あざとい”ってどんな意味なの?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年…多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきますね。
この記事を読んでわかることはコレ!
- あざとい言葉や仕草から脳科学的な“あざとい”の意味がわかります。
“あざとい”とはどんな意味?
“あざとい”を脳科学で探る
- “あざとい“とは脳が快楽を得るために過剰なセルフプロデュースをするさまです。
- 心理学的には相手に好かれるために自分を最大限にアピールするいわば健常な心理です。
- 脳科学的には脳が快楽を過剰に追い求めすぎることで起こる一種の脳のバグです。
- “あざとい”は恐怖に打ち勝つ新たな脳の進化の過程を見ているのかもしれません。
特に異性に積極的にアプローチをしている人に対して
なんて使われ方をされますよね。
普段何気なく使っている“あざとい”とはどんな意味をもっているか理解しないで使っている人も多いのではないでしょうか?
“あざとい“とは小狡い(こずるい)さま、小利口で抜け目のない感じがあくどいさま、質の悪い様子…などマイナスのイメージが強い言葉です。
漢字では【小恥明い】と書きます。
あざとい-その1
”あざとい”は最近の風潮では相手の情欲をいたずらにかき立てるような計算しつくされた言葉や仕草を表現する言い回しとして用いられることが多いようです。
一見するとかわいい言葉や仕草も過剰になるといかにも異性をねらっている感がにじみ出て悪く言えば”ずる賢い”感じになります。
男性でも女性でも異性の前では自分の性をやたらとアピールして自分の武器を最大限に表に出すセルフプロデュースがうまくなります。
ここまでくると
とちょっと不思議な感じさえしてきます。
ヒトの心と脳には“あざとさ”を根強く求める何かがきっとひそんでいるからに違いありません。
今回はあざとい人の心と脳を探っていきます。
“あざとい”の心理学
まずは心理的なあざとさを探ってみます。
あざとい-その2
あざとい人は『異性に好かれたい』、『好きな相手を誰にもとられたくない』という心理が強く働きます。
他人を蹴落としてでも相手に好かれたいという考え方はある意味一生懸命自分の気持ちを相手に伝えようとしているのですから健常な心理とも言えます。
女性であれば自分の体を最大限にアピールした洋服を選び女子力満載感を存分に発揮してきます。
言葉にもあざとさをがんがんに出してきます。
とにかくオーバーリアクションで相手を褒めちぎります。
ですからあざとい人になるにはそれなりの準備と計算が必要です。
相手が気に入ってくれるように常にリサーチは欠かさないですし自分磨きにも余念がありません。
あざとい-その3
他人が見たら引いてしまうくらいのあざとさは心の本音が言葉や行動に出ているわけですから”正直な人”とも言えます。
そのためあざとい人は自分が好意を抱いている人がいなくなってしまうととたんに機嫌が悪くなったり悪態をついたりして不評を買うことも少なくありません。
しかしこれも本心からくる行動ですから決して悪いとは言い切れません。
またあざとい人は自分の目的を達成するためなら手段を選ばず“成功への最短ルート”を突き進みます。
ですから一緒にいて自分にも得がまわってくることも決して少なくはありません。
逆にあざとさを悪く言う人の心理は自分がそこまで心の本音を言葉や仕草に出せない歯がゆさから来ているのかもしれません。
そんな自己防衛の心理があざとい人になることを思いとどまらせるのでしょう。
しかし心のどこかではあざとさに憧れに似た感情を抱いていたりもします。
“あざとい”は人の心理からすれば決して悪いことばかりではありません。
そう考えると人の心は理屈では説明がつきづらい難しいものです。
“あざとい”の脳科学
いよいよ脳科学的なあざとさを探ってみます。
あざとい-その4
あざとい人の多くは生きることを脳に仕向けられています。
意図的にあざとく生きているというよりも
そんな感じではないでしょうか。
あざとい-その5
“あざとさ”は快楽と不快という相反する感情が脳の中で渦巻いて起こった一種の”脳のバグ”と言えます。
人の脳はつねに快楽を求めて働き続けています。
快楽を得るために脳の中では報酬系回路と呼ばれるネットワークが張りめぐらされています。
“報酬系回路の脳科学”についてはこちらの記事をご参照ください。
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たとえ他人にイタい人と思われても自分を存分にアピールして異性に気入られることは快感です。
ですから快感を得るためには何だってするのです。
しかしあざとくない人は途中でブレーキがかかります。
このまま自分の快楽だけを求め続けることで逆に不快を感じる可能性があるからです。
快楽を感じるための報酬系回路は生きていくうえではそれほど重要ではありません。
それよりも命にとってもっと重要で原始的な感情があります。
それは恐怖です。
恐怖がより本質的な感情と言えるのは下等動物と呼ばれるような動物さえも有している感情だからです。
不快を感じることは脳にとって恐怖です。
ですから恐怖をさけようと報酬系回路にブレーキがかかるのです。
脳が恐怖を感じることには2つの意味があります。
1つは恐怖を感じることで生命を脅かすものを早期に察知、感知して素早く身を守ること。
もう1つはそのような危険な状況に再びおちいらないように恐怖体験を記憶し次回の危険を未然に防ぐこと。
計算高く自分を過剰にアピールして異性に気に入られようとするあざとい言葉や仕草は矢もすれば相手やまわりの人々の気分を害する危険性をはらんでいます。
不快な感情は自分で自分の脳を攻撃し痛めつける可能性があり自分にとっては危険で警戒すべき感情です。
不快な感情と恐怖は脳の中で密接に関係して生命を維持するために恐怖は報酬系回路にストップをかけるのです。
あえて危険をおかしてまでも快楽を追い求め続けるよりも多少そこに判断ミスがあったとしてもできるだけ早く恐怖を感じ快楽を追い求めることをあきらめた方が生きていくためには得策なのです。
不快な情報は快楽よりも先入観や思い込みによってより増強されやすく仕組まれています。
おそらく不快というマイナスの感情がまず脳の根幹にありそれに枝葉や飾りをつけるような形であとから快楽というプラスの感情が生まれてきたのです。
快感を求めるよりも不快から生まれる恐怖を避けることの方が脳にとっては重要なことなのです。
しかしあざとい人の脳では快楽を追い求めるあまり脳がバグを起こし不快な感情が湧き上がらないのかあるいは不快な感情が恐怖を引き起こさないのかはわかりませんがいずれにしても報酬系回路にブレーキがかかりません。
もしかしたら快楽を追い求めることをやめてしまうこと自体が不快であり恐怖なのかもしれません。
そのような度を越して快楽を追い求め続ける姿は他人から見たらあざといイタい姿に写るのです
逆に脳の中で不快な感情が恐怖を引き起こす働きが強すぎる人は“うつ病”になり精神的に不安定な状態におちいります。
今までの人の歴史において脳の中で恐怖を感じ生命を維持しようとする感情が過剰になる“うつ病”は多くの人を苦しめてきました。
逆に快楽を求め続ける感情が過剰となるような“あざとい”状態が話題に上がることは少なかったと言えます。
あざとい-その6
あざとい人が増えていくことは恐怖に打ち勝つ秘めたパワーを生み出す今までにない新たな脳の進化の過程を見ているのかもしれません。
男女にまつわるあざといについてはこちらを読んでみてください。
“あざとさ”を脳科学で探るのまとめ
自己評価の意味を脳科学で説き明かしてみました。
今回のまとめ
- “あざとい“とは脳が快楽を得るために過剰なセルフプロデュースをするさまです。
- 心理学的には相手に好かれるために自分を最大限にアピールするいわば健常な心理です。
- 脳科学的には脳が快楽を過剰に追い求めすぎることで起こる一種の脳のバグです。
- “あざとい”は恐怖に打ち勝つ新たな脳の進化の過程を見ているのかもしれません。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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