なんでもパソコンやスマホでこなしてしまうZ世代のネットリテラシーって大丈夫なの?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
- アナログネイティブからデジタルネイティブそしてスマホネイティブへとどんどん進化する新たな世代のネットリテラシーの脳科学的な意味がわかります。
アナログネイティブからデジタルネイティブそしてスマホネイティブへ
新たな世代のネットリテラシーを脳科学で探る
- 時代はアナログネイティブからデジタルネイティブそしてスマホネイティブへ移行しています。
- 時代の流れにともなって求められるネットリテラシーも変化しています。
- 現代のネットリテラシーでは情報を記憶する能力ではなく必要な情報にたどり着く方法を記憶する能力が求められています。
- 今後現代のわれわれの脳では想像のつかないネットリテラシーが生み出されていくのでしょう。
ネットリテラシーの脳科学
アナログネイティブ世代がデジタルネイティブやスマホネイティブ世代のネットリテラシーを議論することは疑問です。
文章を書くときには手書きで原稿用紙に書くのがやっぱりしっくりきます。
デジタルネイティブとはインターネットを自由自在にあやつれる能力です。
今やどのような情報でもインターネットで検索したり発信したりすることが可能です。
インターネットは便利な反面当然さまざまな危険もはらんでいます。
そこで登場するのが“ネットリテラシー”です。
ネットリテラシーの脳科学-その1
ネットリテラシーとはインターネットを適切に使いこなす能力のことです。
ネットリテラシーが充分でないのにインターネットに触れてしまうと気づかぬうちに被害者になってしまったり時には加害者になってしまったりすることもあります。
ですから正確なネットリテラシーを身につけることが今の時代を生きていく上では必要不可欠となっています。
しかし自分のような思いっきりX世代の人間がデジタルネイティブであるY世代やさらに次の世代のスマホネイティブであるZ世代に対してネットリテラシーについて語ってもきっと受け入れられないでしょう。
それよりも自分のようなアナログネイティブ世代なのに無理やりデジタルネイティブやスマホネイティブの“ふり”をしている人たちのネットリテラシーの方が心配です。
何でも紙ベースで生きてきたおじさんの脳と生まれた時から普通にパソコンやスマホがありそれを使いこなしてきた人の脳が同じなわけがありません。
今回の記事ではなるべく客観的な視点から現代のネットリテラシーについて脳科学で探っていきます。
現代のネットリテラシーを脳科学で探る
ネットリテラシーが巻き起こす問題の1つは思い込みや誤解などを引き起こす“嘘の情報”です。
さまざまにばらまかれているインターネット上の嘘の情報をうまく見極めて正しい情報だけをインプットすることができれば問題は起こらないはずです。
しかしその見極めが難しいので思い込みや誤解が発生してそれが拡散されて炎上が起こるのです。
ネットリテラシーが巻き起こすもう1つの問題は”脳の劣化”です。
パソコンを使いこなすデジタルネイティブからスマホを使いこなすスマホネイティブな時代になりますますインターネットを使った情報のインプットやアウトプットが盛んになっています。
ですからいちいち何でも覚えておく必要なんてありません。
しかしそうなると記憶力がどんどん落ちていってしまうのではないかが心配になります。
実際にデジタルネイティブやスマホネイティブの脳の記憶力は低下しているのでしょうか?
“Google Effects on Memory”と題してGoogleによる記憶力について研究したおもしろい論文があります。
この研究では”Googleを使うことで情報を記憶する能力は低下している”と論じています。
しかし決して悲観的なことばかりを論じているわけではありません。
Googleには情報があふれかえっているのですからいちいち情報を記憶しておく必要はなく必要な情報を見つけ出せさえすればよいのです。
なにも余計な情報を記憶する必要はなくその情報に行きつくための手段を記憶しておけばよいのです。
新たな記憶が求められているのです。
そもそも文字のない時代はすべての情報を脳に刻み込んで記憶していました。
膨大な知識を情報として脳に覚えさせて代々口述で伝え続けてきたのです。
その後文字が発明されて多くの書物が作られて丸暗記する必要がなくなりました。
“人は文字を学ぶことで記憶力が減退して忘れっぽくなる”
なんてことも言われました。
パソコンやスマホで漢字変換をするせいで漢字を覚えなくなった。
Googleで何でも検索するせいで知識を身につけなくなった。
そんな感じです。
そうですね。
今までの脳の使い方とは違う脳の使い方が今まさに求められているんです。
ネットリテラシーの脳科学-その2
現代のネットリテラシーでは情報を記憶する能力ではなく必要な情報にたどり着く方法を記憶する能力が求められているのです。
しかし文字に慣れたアナログネイティブの脳にはその考えはなかなか馴染みません。
ですからいまだに紙ベースを愛して止まないのです。
また中途半端なデジタルネイティブも悪影響を及ぼしています。
なまじパソコンやスマホに操られた“にわか” デジタルネイティブは中途半端なネットリテラシーを振りかざします。
ですから現代のネットリテラシーはアナログ世代が作った虚像にすぎません。
ネットによる“嘘の情報”の拡散も言うならばアナログ的な発想です。
これからは新たにデジタルネイティブやスマホネイティブの脳が生み出した今までにない新たなネットリテラシーが生み出されていくのではないでしょうか。
次世代のネットリテラシーとは?
最後は“にわか” デジタルネイティブである私の脳がひねり出した次世代のネットリテラシーです。
今や手元にいつもあるスマホによって膨大な知識をどこへでも持ち運ぶことが可能です。
ですからいまさら脳を酷使して記憶力を鍛えて情報を頭にたたき込むなんて作業は必要ないのです。
ネットリテラシーの脳科学-その3
今後はいかに情報を引き出すツールを使いこなすかがネットリテラシーのカギとなってきます。
それも文字ベースの文章よりも動く映像を主体としたものに変わりつつあります。
いまさら漢字の書き順や漢字のハネ・ハライなんかを間違えただけでバツをつけるテストに何の意味があるのでしょう…
ひらがなを漢字に変換する際にあえて誤変換して本来の意味以外にも幅広い意味を伝えようとする人さえもいます。
文字が伝える言葉の意味や書道のような文字の芸術は今後もずっと引き継がれていく必要があります。
しかし情報を伝える媒体としての文字に求めるものは変化しています。
ネットリテラシーの脳科学-その4
いかに自分の求めている情報を引き出して脳に”インプット”していくかが重要です。
またインプットした情報をいかに処理して”アウトプット”していくかであなたのネットリテラシーが評価されます。
“インプットとアウトプットの脳科学”についてはこちらの記事をご参照ください。
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現代の情報交流の媒体はもっぱらSNSですが今後われわれのネットリテラシーをさらに刺激するような媒体がきっと誕生することでしょう。
ネットリテラシーが目指す方向は時代が変われば当然変わってきます。
われわれの脳は新しいものに飛びついて変化することをとても怖がります。
脳は不変であることを平和と考えるのです。
しかしたとえ“にわか”であってもむしろ時代の変化に積極的に馴染んでいこうとする方が未使用の脳回路が新たに発火してきっと楽しいのではないでしょうか?
デジタル媒体に対する好みは遺伝によって大きく左右されています。
SNS依存の遺伝率は50%近くもあるとも言われています。
今後デジタルネイティブやスマホネイティブの遺伝子から想像もつかないようなネットリテラシーが生み出されていくのでしょう。
”新たな世代のネットリテラシーを脳科学で探る”のまとめ
新たな世代のネットリテラシーを脳科学を探ることで説き明かしてみました。
今回のまとめ
- 時代はアナログネイティブからデジタルネイティブそしてスマホネイティブへ移行しています。
- 時代の流れにともなって求められるネットリテラシーも変化しています。
- 現代のネットリテラシーでは情報を記憶する能力ではなく必要な情報にたどり着く方法を記憶する能力が求められています。
- 今後現代のわれわれの脳では想像のつかないネットリテラシーが生み出されていくのでしょう。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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