宝くじって当たる確率が低いってわかっているのになぜ多くの人は宝くじを買うのでしょう?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
「宝くじ=夢の値段?」脳が魅了される理由とは?

- 脳は「ローリスク・ハイリターン」の夢を見る: わずかな投資(リスク)で莫大な富(報酬)が得られるかもしれないという「期待効用」に、脳は抗(あらが)えません。
- 複雑な確率計算で脳が“バグる”: 「1000万分の1」のような天文学的な数字を前にすると、脳の理性的な計算システムがエラーを起こし、感情的な“ご褒美回路”が暴走します。
- 宝くじは究極の「脳内ハッキング」: つまり宝くじとは、私たちの脳にドーパミンを絶妙なタイミングで分泌させるよう、緻密に考え尽くされたエンターテインメントなのです。
へなお先生皆さんは宝くじを買ったことがありますか?
新緑が目に鮮やかになり、初夏の心地よい風を感じるこの季節。
梅雨が明け、本格的な夏の日差しが降り注ぐ季節。
サウナで限界まで汗を流し、水風呂でしっかりと「ととのった」後に、ふと「もし7億円当たったら…」と妄想してドーパミンを大放出させてしまうのは私だけではないはずです。
前回はドリームジャンボについてお話ししましたが、いよいよ今年も「サマージャンボ」の季節がやってきました。



ちなみに今回のサマージャンボ宝くじとサマージャンボミニの当選金額って知ってます?
実は、今年のサマージャンボは昨年(2025年)から驚くほどの劇的な変化を遂げており、私たちの脳の「ご褒美回路」をより強烈に刺激する設計になっています。



では、昨年からどんなふうに変わったのか、当選確率と一緒に詳しく見ていきましょう!



えええ?昨年とそんなに違うんですか?
驚かないでください。
まずは「ドリームジャンボ宝くじ」から。
1等当選確率は、1,000万分の1です。



正直、脳で処理しきれないほど膨大な数字ですよね。
1等の前後賞だけなら500万分の1と、確率は1等の2倍になりますが、それでも極めて低い数値です。
昨年(2025年)からの変更点を含めて、等級ごとの詳細を見てみましょう。
2026年 ドリームジャンボ宝くじ(第1115回)
- 1等(5億円)→ 1/1,000万
- 1等前後賞(各1億円)→ 1/500万
- 1等組違い賞(10万円) → 約1/10万
- 2等(100万円)→ 1/100万
- 3等(1万円)→ 1/1,000 ※大注目!
- 4等(3,000円)→ 1/100
- 5等((300円)→ 1/10
3等(1万円)が昨年の「10倍」当たりやすい!
2025年の1万円の当選確率は「1/1万」でしたが、今年はなんと「1/1,000」へと大幅にアップしています!
その代わり、2等(100万円)の確率が昨年の1/10万から1/100万へと狭き門になりました。
「100万円を少し絞って、1万円を大量にばらまく」という、多くの人にヒット感を与えるドーパミン分泌設計になっています。



一方で、サマージャンボミニも今年は驚愕のモデルチェンジを遂げています。
2026年 ドリームジャンボミニ(第1116回)
- 1等(3,000万円) → 1/100万
- 1等前後賞(各1,000万円) → 1/50万
- 2等(1万円) → 1/500 ※大注目!
- 3等(3,000円) → 1/100
- 4等(300円) → 1/10
「100万円」が消滅し、徹底した「1万円」特化型へ!
2025年のミニには2等「100万円」がありましたが、今年はなんと100万円の等級自体がなくなりました。
その代わり、2等は「1万円」となり、確率は「1/500」に設定されています。
ジャンボの1万円(1/1,000)と比較しても、ミニは2倍当たりやすい計算になります。
「どうしても万券を当てたい!」という現実派の脳を強烈に惹きつける仕様です。



こうなってくると、どちらを買うのが正解か迷ってしまいますよね。
圧倒的な「最高7億円」のロマンを追いつつ、1/1,000の確率で1万円も狙うか。
「最大5,000万円」を狙いながら、1/500という超高確率で手堅く1万円の「当たり体験」を得るか。
皆さんの“脳のご褒美回路”はどちらに強く反応するでしょうか?



私は毎年、自分の脳の反応を観察しながら購入を楽しんでいます。
- 「7億円」という究極の刺激でドーパミンを出したいロマン重視なら…サマージャンボ
- 「1万円」の現実的な当たりやすさや、枚数あたりのヒット感なら…サマージャンボミニ
ちなみに宝くじの当せん金総額(払い戻し)は法律上「発売総額の5割(+加算金)を超えない」設計となっています。
期待値的には“夢の代金”ですが、だからこそ人の意思決定を狂わせる「希少な大当たり」への脳のバイアスが面白いのです。
いずれにしても当選確率はかなり低いことには変わりありません。
しかし多くの人が宝くじを購入します。
宝くじについて詳しい情報を知りたい方はこちら(宝くじ公式サイト)からご覧ください。
購入は売り場でもネットでもOK。
発売期間・抽選日・等級別本数は宝くじ公式サイトにまとまっています。



宝くじは夢をお金で買うんですよ。
よく言ったものだと思います。
宝くじの払い戻し(当せん金総額)は「発売総額の約半分(+加算金)」という設計。
期待値だけを見ると“夢の代金”ですが、人の意思決定は「めったに起きない大当たり」に強く引っ張られます。



なぜ、私たちの脳は、低確率でもワクワクに投票してしまうのか…この“ご褒美回路”を、脳科学で解き明かしていきます。
期待値より“期待感”を優先する脳の習性


一般的に宝くじを購入した人の平均金額は25000円くらいと言われています。
宝くじは一般的には1枚300円ですから(いろいろな宝くじがありますが…ここでは300円としましょう)だいたい80枚くらい購入している計算になります。



結構みなさん購入していますね。



しかし当選すればその金額は一気に跳ね上がります。
- 宝くじは1枚300円と低額であることとどこでも購入できる手軽さから宝くじを購入することに対する損失感は低く見積もられがちです。
- その一方で当選したことよって得られる利益は非常に高く、脳は宝くじを簡単に手に入る割に期待感が高くとても価値の高いものと考えるのです。
- このような脳の働きを期待効用と言います。



人が宝くじを買う理由はこの期待効用にあります!



なんかわかったようなわからないような…
期待効用に関してはさまざまな研究が行われていますので解説しますね。



簡単なゲームをしましょう。
あなたにはAとBという2つの選択肢があります。
Aを選ぶと必ず100円もらえます。
Bを選ぶとくじを引いてもらい50%の確率で500円もらえますが50%の確率で0円になります。
あなたはどちらを選びますか?



この場合は多くの人がBを選びます。
数学的にAでもらえるのは100円、Bでもらえるのは平均すると250円です。
期待される金額はBの方が高くなります。
そのため脳はBの方がより魅力的と感じ期待効用が働きBを選択するのです。
脳は一か八かでもBを選択する方が得策と感じるのです。


脳は自分の損失が少ない場合には好んでギャンブル性を求めます。
脳の中の”後帯状皮質”という部分がリスクを感知しています。
- 後帯状皮質がこの程度のリスクなら危険性は低いと判断すると期待効用はより多くの報酬を求める方へと働くのです。
- まさに宝くじがこれに当てはまります。
もう1つゲームをしてみましょう。
もらえる金額が変わったらどうなるでしょう。
あなたにはAとBという2つの選択肢があります。
Aを選ぶと必ず100万円もらえます。
Bを選ぶとくじを引いてもらい50%の確率で500万円もらえますが50%の確率で0円になります。
あなたはどちらを選びますか?
こうなるとどうでしょうか?
もらえる金額が1万倍になりました。
しかし割合は先ほどのゲームと同じままなので期待される金額はAは100万円、Bは250万円でBの方が高いままです。



しかし結果はAを選択する人が多くなるのです。
最初のゲームではもらうことが期待される金額はBの方が高いので当然Bを選びます。
しかし2番目のゲームではもらえる金額が大きくなると選択に失敗して利益が減るよりは、危険を回避して安全性を重視し確実な結果を求めるようになります。
100円と100万円では全然違うと脳は感じるのです。
- 結果の期待値が大きくなると人はリスクを避けて安全性を求めるようになります。
- 後帯状皮質がリスクが高いと感知すると期待効用はより多くの報酬を求めるのではなく安全な方へと働くのです。
金額の大きさによって脳は期待効用を巧みに操ってわれわれの行動をより良い方向へとコントロールしてくれているのです。
あなたもハマってる?脳の錯覚と行動経済学の罠


脳は巧みに期待効用を操っているのですが期待効用にも落とし穴があります。
今までの例のような単純な話ですと脳はうまく働きます。しかし、
話がややこしくなってくると時に脳はバグをおこして期待効用を誤作動させてわれわれを誤った方向へ導いてしまうことがあります。
今までの話は最終的に報酬が得られる展開でしたが逆に損をする話ではどうでしょう。
あなたにはAとBという2つの選択肢があります。
Aを選ぶと必ず100万円損をします。
Bを選ぶとくじを引いてもらい50%の確率で500万円損をしますが50%の確率で損失は0円になります。
あなたはどちらを選びますか?
予想される損失はAは100万円、Bは平均すると250万円です。
先ほどの話では期待効用は金額が大きくなると選択に失敗して利益が減るよりは危険を回避して安全性を重視し確実な結果を求めるようになるはずです。
したがって当然Aを選ぶ人が増えるはずです。



しかし実際はBを選択する人が圧倒的に多いのです。
脳はリスクを背負ってでも損はしなくない方を選ぶのです。
もっと複雑なゲームを考えてみましょう。
あなたにはAとBという2つの選択肢があります。
Aを選ぶとくじを引いてもらい50%の確率で100万円もらえますが50%の確率で0円になります。
Bを選ぶとくじを引いてもらい25%の確率で500万円もらえますが75%の確率で0円になります。
あなたはどちらを選びますか?
期待されるもらえる金額はAは50万円、Bは125万となります。



結果は多くの人がBを選びます。
これは先ほどの2番目のゲームでお金のもらえる確率を半分にしただけです。
しかし脳の出した答えは先ほどとは逆になっています。
2番目のゲームではAは確実に100万円をもらえていました。
しかし今回のゲームではAを選択してもそれなりのリスクがあり0円になる可能性があります。
そうなると後帯状皮質はどちらを選択してもリスクがあるのであれば期待効用はより多くの報酬を求める方へと働くのです。
損失を招く可能性がある場合や利益の発生に複雑さが加わると脳は一種のバグを起こして期待効用の理論通りには働くなります。
最終的にどちらの選択が正しいのかはわかりません。しかし、
- 脳はどちらかと言うと損をすることを嫌う一方で多少リスクを背負ってもより多くの報酬を求めるように働くことは間違いなさそうです。
- そのような意味では宝くじは一見すると単純そうなゲームですが、脳を絶妙に刺激する考えつくされた策略なのです。
購入した宝くじが全部外れる可能性もあります。
何枚か当たったとしても元がとれず結局は損をしてしまうことも多いでしょう。
しかしその程度のリスクに比べれば宝くじで1等が当たった時の報酬の方がはるかに大きく期待効用は宝くじを買う方へとなびいているのです。



皆さんの宝くじが1枚でも多く当たることを心から祈っています。
運気が少しでも上がるためにこちらの記事もご参照ください。







ちなみに自分は毎年恒例でサマージャンボミニを買う予定です!
宝くじはネット購入できます。
あなたのまわりには高額当選を経験された方っていますか?
高額当選するとこんな世界が待っている…そんな本です。
高額当選した時のためにぜひ読んでみてください。



ぜひ参考にしてみてください。
脳科学で読み解く「宝くじと快楽」の正体


圧倒的に低い当選確率を前にしても、私たちがつい宝くじ売り場に吸い込まれてしまう理由。
今回は、その謎を脳科学の視点から解き明かしてきました。
- 脳は「ローリスク・ハイリターン」の夢を見る: わずかな投資(リスク)で莫大な富(報酬)が得られるかもしれないという「期待効用」に、脳は抗(あらが)えません。
- 複雑な確率計算で脳が“バグる”: 「1000万分の1」のような天文学的な数字を前にすると、脳の理性的な計算システムがエラーを起こし、感情的な“ご褒美回路”が暴走します。
- 宝くじは究極の「脳内ハッキング」: つまり宝くじとは、私たちの脳にドーパミンを絶妙なタイミングで分泌させるよう、緻密に考え尽くされたエンターテインメントなのです。
「これは脳のバグだ」と頭の片隅で分かっていても、サウナ上がりに「もし7億円当たったら…」と妄想してドーパミンをドバドバ出すのは、実はとても健康的で楽しい脳の使い方だったりします。



皆さんが買ったその1枚が、見事に確率のバグをすり抜け、最高のご褒美を引き当てることを心から祈っています!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
今後も、長年勤めてきた脳神経外科医の視点から、皆さんのまわりの何気ない日常の「なぜ?」を脳科学で面白おかしく探り、情報をお届けしていきます。
次回の記事もお楽しみに!



















