宝くじって当たる確率が低いってわかっているのになぜ多くの人は宝くじを買うのでしょう?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
- 当たる確率が低いことをわかっているのになぜ人は宝くじを買うのかがわかります。
「宝くじ=夢の値段?」脳が魅了される理由とは?
”当たる確率が低いのに宝くじを買う理由”を脳科学で探る
- 宝くじを買うのは”少ないリスクで高い報酬を得られる”と脳が判断する期待効用の効果です。
- 期待効用はさまざまな場面で登場しますが話が複雑になると脳は時々バグをおこします。
- 宝くじは脳を絶妙に刺激する考えつくされた策略です。
- みなさんの宝くじが1枚でも多く当たることを心から祈っています。


2025年11月21日(金曜日)から12月23日(火曜日)まで年末ジャンボ宝くじとハロウィンジャンボミニが発売されます。

ちなみに年末ジャンボ宝くじとハロウィンジャンボミニの当選金額って知ってます?
年末ジャンボミニは、1等3,000万円・前後賞各1,000万円で“合計5,000万円”。ミニは当たりの層が厚く、現実的なヒット感が魅力です。


年末ジャンボ宝くじの1等の当選確率はなんと2000万分の1なんです。

1等前後賞だけですと1000万分の1で当選確率は1等の2倍になります。
ちなみに年末ジャンボミニの1等の当選確率は100万分の1です。
年末ジャンボミニは年末ジャンボ宝くじと比較すると1等前後賞を合わせた当選金額は20分の1ですが当選確率は20倍です。

賞金額は圧倒的に年末ジャンボの方が高額ですが、年末ジャンボミニの当選確率の方が圧倒的に高いので、賞金額と当選確率のバランスから考えると年末ジャンボミニの方に大きなアドバンテージがあると言えるかもしれません。
2025年 年末ジャンボの1等前後賞以下の当選金額と当選確率は次の通りです。
年末ジャンボ(23ユニット=総販売4.6億枚)
1等(7億円):23本 → 1/2,000万
1等前後賞(各1.5億円):46本 → 1/1,000万
2等(1億円):23本 → 1/2,000万
3等(1,000万円):92本 → 1/500万
4等(100万円):920本 → 1/50万
5等(1万円):1,380,000本 → 約1/333
6等(3,000円):4,600,000本 → 1/100
7等(300円):46,000,000本 → 1/10
(以上、等級本数とユニットから計算)
一方で、年末ジャンボミニの2等以下の当選金額と当選確率は次の通りです。
年末ジャンボミニ(15ユニット=総販売1.5億枚)
1等(3,000万円):150本 → 1/100万
1等前後賞(各1,000万円):300本 → 1/50万
2等(100万円):150本 → 1/100万
3等(3万円):45,000本 → 約1/3,333
4等(1万円):450,000本 → 約1/333
5等(3,000円):1,500,000本 → 1/100
6等(300円):15,000,000本 → 1/10
(以上、等級本数とユニットから計算)
今年の注目は、1万円以上の当せん本数がハロウィンジャンボとハロウィンジャンボミニ合わせて39万本以上(昨年の約17倍)と、当たりに触れるチャンスがかなり増えています。

今年の年末ジャンボは、賞構成が大きく見直しされ、ミドル〜準高額帯が整理されました。
具体的には——
年末ジャンボ(本体)の等級構成
2024年は「2等1,000万円(184本)/3等100万円(9,200本)/4等5万円(46,000本)」という配列。
→ 2025年は「2等1億円(23本)/3等1,000万円(92本)/4等100万円(920本)」へ再編。
“5万円等級は廃止”され、2等が1億円に大幅アップしました。
年末ジャンボミニの等級構成
2024年は「2等100万円4,500本/3等1万円150,000本/4等3,000円1,500,000本」など“低額に厚い”配列。
→ 2025年は「2等100万円150本/3等3万円45,000本/4等1万円450,000本」に置き換え。
中額(3万円)と1万円のウエイトを見直し、全体の当たり方の“手触り”が変わりました。
また、2025年は公式に「1万円以上の当せん本数:2つの年末ジャンボ合計で188万本以上」と案内しています(=下位等級の再配分の影響)。
昨年は等級帯の構成が異なり、同指標は公表していませんでした(昨年公表は“100万円以上の本数:合計14,403本”)。

「億」を狙うロマン重視なら…年末ジャンボ(1等+前後賞=10億円)
「当たり体験のしやすさ」や枚数あたりのヒット感なら…年末ジャンボミニ(1等+前後賞=5,000万円)
今年は1万円以上の当せん本数が“2つの年末ジャンボ合計で188万本以上”というのも見逃せません。
自分は“脳のご褒美回路”がどちらで強く反応するか、毎年自分で体感して観察しています
ちなみに宝くじの当せん金総額(払い戻し)は法律上「発売総額の5割(+加算金)を超えない」設計となっています。
期待値的には“夢の代金”ですが、だからこそ人の意思決定を狂わせる「希少な大当たり」への脳のバイアスが面白いのです。
いずれにしても当選確率はかなり低いことには変わりありません。
しかし多くの人が宝くじを購入します。
宝くじつについて詳しい情報を知りたい方はこちら(宝くじ公式サイト)からご覧ください。
購入は売り場でもネットでもOK。
発売期間・抽選日・等級別本数は宝くじ公式サイトにまとまっています。

よく言ったものだと思います。
宝くじの払い戻し(当せん金総額)は「発売総額の約半分(+加算金)」という設計。
期待値だけを見ると“夢の代金”ですが、人の意思決定は「めったに起きない大当たり」に強く引っ張られます。

期待値より“期待感”を優先する脳の習性
一般的に宝くじを購入した人の平均金額は25000円くらいと言われています。
宝くじは一般的には1枚300円ですから(いろいろな宝くじがありますが…ここでは300円としましょう)だいたい80枚くらい購入している計算になります。

しかし当選すればその金額は一気に跳ね上がります。
期待効用-その1
宝くじは1枚300円と低額であることとどこでも購入できる手軽さから宝くじを購入することに対する損失感は低く見積もられがちです。
その一方で当選したことよって得られる利益は非常に高く、脳は宝くじを簡単に手に入る割に期待感が高くとても価値の高いものと考えるのです。
このような脳の働きを期待効用と言います。
人が宝くじを買う理由はこの期待効用にあります!

期待効用に関してはさまざまな研究が行われていますので解説しますね。

あなたにはAとBという2つの選択肢があります。
Aを選ぶと必ず100円もらえます。
Bを選ぶとくじを引いてもらい50%の確率で500円もらえますが50%の確率で0円になります。
あなたはどちらを選びますか?
この場合は多くの人がBを選びます。
数学的にAでもらえるのは100円、Bでもらえるのは平均すると250円です。
期待される金額はBの方が高くなります。
そのため脳はBの方がより魅力的と感じ期待効用が働きBを選択するのです。
脳は一か八かでもBを選択する方が得策と感じるのです。
”一か八かの賭けの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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脳は自分の損失が少ない場合には好んでギャンブル性を求めます。
脳の中の“後帯状皮質”という部分がリスクを感知しています。
期待効用-その2
後帯状皮質がこの程度のリスクなら危険性は低いと判断すると期待効用はより多くの報酬を求める方へと働くのです。
まさに宝くじがこれに当てはまります。
もう1つゲームをしてみましょう。
もらえる金額が変わったらどうなるでしょう。
あなたにはAとBという2つの選択肢があります。
Aを選ぶと必ず100万円もらえます。
Bを選ぶとくじを引いてもらい50%の確率で500万円もらえますが50%の確率で0円になります。
あなたはどちらを選びますか?
こうなるとどうでしょうか?
もらえる金額が1万倍になりました。
しかし割合は先ほどのゲームと同じままなので期待される金額はAは100万円、Bは250万円でBの方が高いままです。
しかし結果はAを選択する人が多くなるのです。
最初のゲームではもらうことが期待される金額はBの方が高いので当然Bを選びます。
しかし2番目のゲームではもらえる金額が大きくなると選択に失敗して利益が減るよりは危険を回避して安全性を重視し確実な結果を求めるようになります。
100円と100万円では全然違うと脳は感じるのです。
期待効用-その3
結果の期待値が大きくなると人はリスクを避けて安全性を求めるようになります。
後帯状皮質がリスクが高いと感知すると期待効用はより多くの報酬を求めるのではなく安全な方へと働くのです。
金額の大きさによって脳は期待効用を巧みに操ってわれわれの行動をより良い方向へとコントロールしてくれているのです。
あなたもハマってる?脳の錯覚と行動経済学の罠
脳は巧みに期待効用を操っているのですが期待効用にも落とし穴があります。
今までの例のような単純な話ですと脳はうまく働きます。しかし、
期待効用-その4
話がややこしくなってくると時に脳はバグをおこして期待効用を誤作動させてわれわれを誤った方向へ導いてしまうことがあります。
今までの話は最終的に報酬が得られる展開でしたが逆に損をする話ではどうでしょう。
あなたにはAとBという2つの選択肢があります。
Aを選ぶと必ず100万円損をします。
Bを選ぶとくじを引いてもらい50%の確率で500万円損をしますが50%の確率で損失は0円になります。
あなたはどちらを選びますか?
予想される損失はAは100万円、Bは平均すると250万円です。
先ほどの話では期待効用は金額が大きくなると選択に失敗して利益が減るよりは危険を回避して安全性を重視し確実な結果を求めるようになるはずです。
したがって当然Aを選ぶ人が増えるはずです。
しかし実際はBを選択する人が圧倒的に多いのです。
脳はリスクを背負ってでも損はしたくない方を選ぶのです。
もっと複雑なゲームを考えてみましょう。
あなたにはAとBという2つの選択肢があります。
Aを選ぶとくじを引いてもらい50%の確率で100万円もらえますが50%の確率で0円になります。
Bを選ぶとくじを引いてもらい25%の確率で500万円もらえますが75%の確率で0円になります。
あなたはどちらを選びますか?
期待されるもらえる金額はAは50万円、Bは125万となります。
結果は多くの人がBを選びます。
これは先ほどの2番目のゲームでお金のもらえる確率を半分にしただけです。
しかし脳の出した答えは先ほどとは逆になっています。
2番目のゲームではAは確実に100万円をもらえていました。
しかし今回のゲームではAを選択してもそれなりのリスクがあり0円になる可能性があります。
そうなると後帯状皮質はどちらを選択してもリスクがあるのであれば期待効用はより多くの報酬を求める方へと働くのです。
期待効用-その5
損失を招く可能性がある場合や利益の発生に複雑さが加わると脳は一種のバグを起こして期待効用の理論通りには働くなります。
最終的にどちらの選択が正しいのかはわかりません。しかし、
宝くじ恐るべし
脳はどちらかと言うと損をすることを嫌う一方で多少リスクを背負ってもより多くの報酬を求めるように働くことは間違いなさそうです。
そのような意味では宝くじは一見すると単純そうなゲームですが、脳を絶妙に刺激する考えつくされた策略なのです。
購入した宝くじが全部外れる可能性もあります。
何枚か当たったとしても元がとれず結局は損をしてしまうことも多いでしょう。
しかしその程度のリスクに比べれば宝くじで1等が当たった時の報酬の方がはるかに大きく期待効用は宝くじを買う方へとなびいているのです。
みなさんの宝くじが1枚でも多く当たっていることを心から祈っています。
運気が少しでも上がるためにこちらの記事もご参照ください。
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脳科学で読み解く「宝くじと快楽」の正体
当たる確率が低いのに宝くじを買う理由について脳科学的に解説しました。
今回のまとめ
- 宝くじを買うのは少ないリスクで高い報酬を得られると脳が判断する期待効用の効果です。
- 期待効用はさまざまな場面で登場しますが話が複雑になると脳は時々バグをおこします。
- 宝くじは脳を絶妙に刺激する考えつくされた策略です。
- みなさんの宝くじが1枚でも多く当たることを心から祈っています。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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