脳を科学する 自己の脳科学

笑顔の魔法がもたらすリフレッシュの効果~自我消耗を脳科学で探る

仕事や勉強の合間に効果的にリフレッシュするにはどうしたらいいの?

 

そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。

 

このブログでは脳神経外科医として20年…多くの脳の病気と向き合い手術、放射線治療を中心に勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。

 

基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきますね。

 

この記事を読んでわかることはコレ!

  • 笑顔の魔法がもたらすリフレッシュの効果について自我消耗を脳科学で探ることで説き明かします。

 

リフレッシュの効果は絶大

自我消耗-1-min

笑顔で自我消耗した脳をリフレッシュさせるための脳科学

  • 勉強や仕事の前後1時間に行うリフレッシュは自我消耗した脳を回復させます。
  • 特に不意に行われるリフレッシュは効果的です。
  • どんなに忙しくともふと視点を変えて笑顔になることはリフレッシュとしてとても有効な方法です。
  • 意識して笑顔を増やして「笑顔の魔法」で脳を快感で満たしてみてください。

 

リフレッシュ

仕事や勉強の合間の息抜きは心も脳もリフレッシュされて新たな気持ちで次に打ち込む気分を育んでくれます。

リフレッシュは心理的気持ち的な問題を解決してくれるだけではなく脳に対してもとても効果的であることが証明されています。

 

リフレッシュによってネズミの記憶力が高まることを証明した研究があります。

Ballarini F, et al, Proc Natl Acad Sci USA 106:14599-14604, 2009

 

へなこさん
ネズミもリフレッシュなんてするの?

 

へなこさん
そもそもネズミに記憶力なんてあるの?

 

そんな疑問をお持ちの方も多いと思いますがネズミもちゃんとリフレッシュしますし記憶力もあります。

 

ネズミの研究を人の脳に応用したリフレッシュの研究もちゃんとあります。

Ballarini F, et al, PLoS One 19;8(6):e66875. doi: 10.1371/journal.pone.0066875, 2013

 

いずれの研究でも同様の方法でリフレッシュの効果を証明しています。

 

ネズミでもヒトでもまずはある作業をしてもらいます。

 

その後場所を移動して今まで見たことのないような新しい作業をしてもらいます。

 

すると最初に作業していたことに関する記憶が1.5倍に高まったのです。

 

新しい場所で新しい作業を行うことがリフレッシュとなって効果を発揮したのです。

 

リフレッシュの脳科学

リフレッシュをすると短期記憶を長期記憶へと引き延ばす効果があることを証明しています。

 

ちなみにリフレッシュは最初の作業の直後でなく1時間後であっても効果を発揮しました。

 

しかし4時間後では効果はありませんでした。

 

また最初の作業を行う直前にリフレッシュを行っても記憶力は増強されました。

 

つまりリフレッシュ前後の1時間が記憶の増強タイムということになります。

 

へなお
このリフレッシュの効果はネズミでもヒトでも同様の結果であったのが驚きです。

 

もう1つ重要なことはリフレッシュの時間があることを事前に知らせてしまうと効果は弱くなってしまいます。

 

リフレッシュの脳科学

不意に行われるリフレッシュが効果的なのです。

 

リフレッシュの効果が絶大なことはわかったのですがなかなか現実的に応用するのは難しいかもしれません。

 

なぜなら大人が仕事や勉強をしていて自分自身で不意なリフレッシュを取り入れることなどできるでしょうか?

 

へなお
なんとも悩ましい問題ですよね…

 

では次はいかにリフレッシュを日常に取り入れていくかについて考えていきましょう。

 

自我消耗をリセットせよ

自我消耗-2-min

へなお
いくら頑張って勉強や仕事を長時間続けていてもどうしても集中力や精神力は低下してくるものですよね。

 

「勉強や仕事が楽しくて仕方がない。」

 

そんな人にとっては勉強も仕事もいくらでも続けていられるでしょうがたいていの人にとってはつらいものです。

 

自我消耗の脳科学

自制心(セルフコントロール)や意志力は筋力に似ていて有限の資源であり使うとなくなっていく限られたプールを利用しているという考え方を「自我消耗」と言います。

 

がんばった後はやる気や忍耐力、時には道徳観さえも削(そ)がれていきます。

 

ちなみに若い人ほど自我消耗は激しいとされています。

 

午後は朝からの疲れがたまっているため午前よりも嘘をつく頻度が20%も増えます。

 

試験や試合が終わると脱力してしばらくやる気がでなくなる「燃え尽き症候群」は典型的な自我消耗です。

 

「重要な仕事が終わった後の飲み会で飲みすぎて泥酔する。」

 

「旅行先で財布のひもがついつい緩んで浪費してしまう。」

 

「車を買うという一大決心をした後に「今ならカーナビを1万円の特価で追加しますよ」と乗せられるとついつい買ってしまう。」

 

これらはすべて消耗した精神つまり自我消耗が招く現象です。

 

へなお
ではここで皆さんにひとつ問題を考えてもらいましょう。

 

テレビで楽しいコメディ番組を見てもらいます。

ついつい笑ってしまいますよね。

番組を見終わった後に握力を計ってもらいます。

そこで問題です。

どちらの場合の方がより握力が高く表示されたでしょうか?

 

① 笑い転げた場合の方が高い握力が表示された。

② 笑うのをぐっとがまんしていた場合の方が高い握力が表示された。

Muraven M, et al, J Pers Soc Psychol 74:774-789, 1998

 

へなお
正解は①のたくさん笑った場合です。

 

感情を素直に出さないで我慢していると握力は20%も低下したのです。

 

がまんをするとそのあとに頑張ることができなくなるのです。

 

ちなみに目の前に置かれたたチョコレートを食べずにがまんしても握力は低下して同じ結果になります。

 

自我消耗の脳科学

自分では精一杯がんばっていると思っていてもそこに快感がなければそれはがまんしていることと同じであり精神をすり減らして自我消耗しているのです。

 

脳はつねに快感を追い求めています。

 

快感が得られないと脳は消耗してしまうのです。

 

“快感の脳科学”についてはこちらの記事をご参照ください。

 

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では自我消耗して疲れ切った脳をリセットして回復させるにはどうしたらよいのでしょう?

 

へなお
答えはリフレッシュです。

 

自我消耗の脳科学

先ほども書きましたが不意に行われるリフレッシュは自我消耗にとっても効果的です。

そうは言ってもなかなか不意にリフレッシュを取り入れることは難しいですが比較的簡単にリフレッシュできる方法があります。

それは「笑う」ことです。

 

へなお
勉強や仕事をしていてもふと気を緩ませて視点を思いっきり変えて笑ってみてください。

 

“視点の脳科学”についてはこちらの記事をご参照ください。

 

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笑うことには消耗した自制心を回復させる力が潜んでいます。

 

では次は「笑顔がもたらす魔法」について考えていきましょう。

 

「笑顔がもたらす魔法」の効果

自我消耗-3-min

笑顔の脳科学

「笑う門には福来る」という言葉があるように笑顔は幸せをもたらす力があるとされています。

 

“笑いの脳科学”についてはこちらの記事をご参照ください。

 

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へなお
皆さん笑っていますか?

 

へなお
最近笑うことが減ったなあと思っていませんか?

 

へなお
子供のころはよく大笑いしたのに最近は心の底から笑い転げることがめっきり少なくなったなあと思っていませんか?

 

当然少しも笑っていないわけではないでしょう。

 

勉強や仕事をしていて試験でうまくいった時や成果が上がった時には最高の笑顔になるでしょう。

 

しかしこの時笑顔になる一方で現実を冷静に見つめる自分がいるのではないでしょうか?

 

「試験でうまくいっても次にはさらなる難関が待ち構えている。」

 

「仕事で成果が上がってもこの成果を生かして次にどんな戦略をたてていくのが効果的だろうか。」

 

次から次へとさまざまな考えが脳裏をよぎり無条件に喜ぶことができません。

 

へなこさん
子供のように無邪気に笑えなくなったのは大人になったから…

 

へなお
そう言われてしまえばそれまでですが大人になったから笑顔を失うのはなんとも寂しいものです。

 

「ジェロトフォビア」という言葉をご存じでしょうか?

 

ジェロトフォビアとは被笑恐怖症です。

つまり笑われるのが嫌いな人々のことです。

 

脳科学の研究では世界中の人口の7%がジェロトフォビアに該当すると言われています。

 

ジェロトフォビアの人は笑われるのが嫌いなだけでなく普段からあまり笑わない傾向があります。

 

仮に笑うにしても笑うまでの反応が遅く笑っている時間も短いのです。

 

つまり楽しさの最大到達地点が低いのです。

 

また人がせっかく親しげに笑いかけててくれても

 

「その笑顔の裏には何か隠された意味があるはず…」

 

と疑い深くなる傾向にもあります。

 

へなお
そう言われると自分も思い当たらないわけではありません。

 

今の世の中は思いやりや気遣いがとても尊重されます。

 

そのためか他人を「褒める」ことが少なくありません。

 

最高の出来栄えでなくても少しでも良いところを見つけては積極的に褒めることがよい教え方とされています。

 

“褒める脳科学”についてはこちらの記事をご参照ください。

 

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褒めることは当人だけでなくその場の雰囲気を向上させるためにも効果的です。

 

へなこさん
こうなってくると悪く言えば「お世辞」ですね。

 

へなお
内心では「もっとできるはず」と思っていても表面では「よくやった」と手放しで褒めてあげることもしばしばですよね。

 

そんななかば偽善的な日常を過ごしていると今度は自分が他人から褒められても

 

「どうせお世辞でしょ…」

 

と疑い深くなってしまいます。

 

他人の笑顔を必ずしも心地よく感じられなくなるのも無理はないのかもしれません。

 

ジェロトフォビアの人は人生の満足度が低いことが知られています。

 

自分が笑わない、他人の笑いを受け入れないことで幸せを逃してしまうとしたらなんともったいないことだとは思いませんか?

 

笑顔の脳科学

笑うこと、笑われることは脳に快感をもたらします。

ですから「笑顔」は脳科学的には幸せになるための、そして疲れた脳を癒すための魔法なのです。

 

ならば積極的に笑って脳をリフレッシュさせて自我消耗した脳を蘇らせた方がお得ではありませんか?

 

なにも脳が弾けるほどの子供の時の笑顔とまではいかないまでも意識して笑顔を増やすだけで人生の質が向上するのであれば決して難しいことではないはずです。

 

 

 

 

 

“笑顔で自我消耗した脳をリフレッシュさせるための脳科学“のまとめ

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笑顔の魔法がもたらすリフレッシュの効果について自我消耗を脳科学で探ることで説き明かしてみました。

 

今回のまとめ

  • 勉強や仕事の前後1時間に行うリフレッシュは自我消耗した脳を回復させます。
  • 特に不意に行われるリフレッシュは効果的です。
  • どんなに忙しくともふと視点を変えて笑顔になることはリフレッシュとしてとても有効な方法です。
  • 意識して笑顔を増やして「笑顔の魔法」で脳を快感で満たしてみてください。

 

今回の記事がみなさんに少しでもお役に立てれば幸いです。

 

最後まで読んでくださりありがとうございました。

 

今後も『脳の病気』、『脳の治療』、『脳の科学』について現場に長年勤めた脳神経外科医の視点で皆さんに情報を提供していきます。

 

最後にポチっとよろしくお願いします。

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  • この記事を書いた人

へなお

▶脳神経外科専門医でアラフィフおじさんの「へなお」です。▶日々脳の手術、血管内治療、放射線治療を中心に某総合病院で勤務医をしています▶一般の方でも脳についてわかりやすく理解していただけるように、あなたのまわりのありふれた日常を長年の経験からつちかった情報をもとに脳科学で探っていきます▶多くの方に脳に興味をもっていただき、少しでもこれからの生活の役に立つ知識をつけていただければと思います!

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