宝くじって当たる確率が低いってわかっているのになぜ多くの人は宝くじを買うのでしょう?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
- 脳は「ローリスク・ハイリターン」の夢を見る: わずかな投資(リスク)で莫大な富(報酬)が得られるかもしれないという「期待効用」に、脳は抗(あらが)えません。
- 複雑な確率計算で脳が“バグる”: 「1000万分の1」のような天文学的な数字を前にすると、脳の理性的な計算システムがエラーを起こし、感情的な“ご褒美回路”が暴走します。
- 宝くじは究極の「脳内ハッキング」: つまり宝くじとは、私たちの脳にドーパミンを絶妙なタイミングで分泌させるよう、緻密に考え尽くされたエンターテインメントなのです。
「宝くじ=夢の値段?」脳が魅了される理由とは?

へなお先生皆さんは宝くじを買ったことがありますか?
夏の熱気が落ち着き、朝夕の風に心地よい秋の気配を感じるこの季節。
サウナで限界まで汗を流し、水風呂でしっかりと「ととのった」後に、ふと「もし数億円当たったら…」と妄想してドーパミンを大放出させてしまうのは私だけではないはずです。
いよいよ今年も「ハロウィンジャンボ」の季節がやってきました。
2026年の秋は、一攫千金の設計が大きく見直され、私たちの脳の「ご褒美回路」をより現実的に、そして強烈に刺激するスペックへと進化しています。



では、2026年の2種類が昨年と比べてどんなふうに変わったのか、詳しく見ていきましょう!



今年はトップの金額が下がったって本当ですか?
その通りです。
実は今年の最大の注目ポイントは、あえて「最高額を抑え、高額当せんのチャンスを増やす」という脳科学的にも非常に興味深い仕掛けにあります。
【億万長者のチャンス激増】ハロウィンジャンボ宝くじ(1枚300円)
今年のジャンボは昨年(2025年)から等級設計が大きく見直され、「1億円以上の当せんルートが大幅に増える」という面白い変化が起きています。(※12ユニット・1億2,000万枚発売の場合)
- 1等(2億円): 12本(確率 1/1,000万)
- 1等前後賞(各1億円): 24本(確率 1/500万)
- 1等組違い賞(10万円): 1,188本(確率 約1/10.1万)
- 2等(1億円): 24本(確率 1/500万) ※大注目!
- 3等(100万円): 120本(確率 1/100万)
- 4等(1万円): 240,000本(確率 1/500)
- 5等(3,000円): 1,200,000本(確率 1/100)
- 6等(300円): 12,000,000本(確率 1/10)
2026年のジャンボは、1等の当せん金が前年の3億円から2億円に下がりました。
前後賞は前年と同じ1億円なので、1等・前後賞合わせた最高額は4億円となります。
一見するとスケールダウンしたように感じますが、脳の報酬系が本当に喜ぶのはここからです。
2等(1億円)の本数が、前年の12本から一気に24本へと倍増しているのです!
最高額は抑えられましたが、1等から2等までを合わせた「1億円以上の高額当せん本数」は、前年の48本からトータル60本に増える計算になります。
トップ賞金を少し削ることで、億万長者になれる確率をグッと引き上げた巧妙なドーパミン刺激設計です。
【中間賞金の大盤振る舞い】ハロウィンジャンボミニ(1枚300円)
続いて、当たりやすさを重視する現実派の脳を刺激するミニですが、こちらもジャンボと同じ「チャンス倍増」の戦略がとられています。(※5ユニット・5,000万枚発売の場合)
- 1等(2,000万円): 50本(確率 1/100万)
- 1等前後賞(各1,000万円): 100本(確率 1/50万)
- 2等(100万円): 100本(確率 1/50万) ※大注目!
- 3等(1万円): 200,000本(確率 1/250) ※大注目!
- 4等(3,000円): 500,000本(確率 1/100)
- 5等(300円): 5,000,000本(確率 1/10)
2026年のミニは、1等の当せん金が前年の3,000万円から2,000万円に変わりました。
前後賞合わせた最高額は4,000万円です。
しかし一方で、2等(100万円)が前年の50本から100本へと倍増しています!
最高額を抑えた分、1等から2等までを合わせた「100万円以上の高額当せん本数」は、前年の200本からトータル250本に増える計算です。
さらに見逃せないのが3等(1万円)の超高確率化です。
20万本が用意され、その当選確率は驚異の1/250。
「どうしてもまとまったお金を引き当てたい」という現実的な欲望に、見事にクリーンヒットする仕様に生まれ変わりました。



こうなってくると、宝くじ売り場を前にしてどれを買うか本当に迷ってしまいますよね。
- 「1億円以上のチャンスが60本」という圧倒的な富と、最高4億円のロマンを狙うなら…ハロウィンジャンボ
- 「100万円以上のチャンスが250本」&「1万円が1/250」という極めて高いヒット感を狙うなら…ハロウィンジャンボミニ
なぜ当たる確率が低いのに買ってしまうのか?脳科学で解く「宝くじの罠」
皆さんの“脳のご褒美回路”は、ハロウィンジャンボ宝くじとハロウィンジャンボミニ…どちらの刺激により強く反応するでしょうか?



私は今年も、自分の脳のバイアスを観察しながらワクワクを楽しみたいと思います。
ちなみに宝くじの当せん金総額(払い戻し)は法律上「発売総額の5割(+加算金)を超えない」設計となっています。
期待値的には“夢の代金”ですが、だからこそ人の意思決定を狂わせる「希少な大当たり」への脳のバイアスが面白いのです。
いずれにしても当選確率はかなり低いことには変わりありません。
しかし多くの人が宝くじを購入します。
宝くじについて詳しい情報を知りたい方はこちら(宝くじ公式サイト)からご覧ください。
購入は売り場でもネットでもOK。
発売期間・抽選日・等級別本数は宝くじ公式サイトにまとまっています。



宝くじは夢をお金で買うんですよ。
よく言ったものだと思います。
宝くじの払い戻し(当せん金総額)は「発売総額の約半分(+加算金)」という設計。
期待値だけを見ると“夢の代金”ですが、人の意思決定は「めったに起きない大当たり」に強く引っ張られます。



なぜ、私たちの脳は、低確率でもワクワクに投票してしまうのか…この“ご褒美回路”を、脳科学で解き明かしていきます。
期待値より“期待感”を優先する脳の習性


一般的に宝くじを購入した人の平均金額は25000円くらいと言われています。
宝くじは一般的には1枚300円ですから(いろいろな宝くじがありますが…ここでは300円としましょう)だいたい80枚くらい購入している計算になります。



結構みなさん購入していますね。



しかし当選すればその金額は一気に跳ね上がります。
- 宝くじは1枚300円と低額であることとどこでも購入できる手軽さから宝くじを購入することに対する損失感は低く見積もられがちです。
- その一方で当選したことよって得られる利益は非常に高く、脳は宝くじを簡単に手に入る割に期待感が高くとても価値の高いものと考えるのです。
- このような脳の働きを期待効用と言います。



人が宝くじを買う理由はこの期待効用にあります!



なんかわかったようなわからないような…
期待効用に関してはさまざまな研究が行われていますので解説しますね。



簡単なゲームをしましょう。
あなたにはAとBという2つの選択肢があります。
Aを選ぶと必ず100円もらえます。
Bを選ぶとくじを引いてもらい50%の確率で500円もらえますが50%の確率で0円になります。
あなたはどちらを選びますか?



この場合は多くの人がBを選びます。
数学的にAでもらえるのは100円、Bでもらえるのは平均すると250円です。
期待される金額はBの方が高くなります。
そのため脳はBの方がより魅力的と感じ期待効用が働きBを選択するのです。
脳は一か八かでもBを選択する方が得策と感じるのです。


脳は自分の損失が少ない場合には好んでギャンブル性を求めます。
脳の中の”後帯状皮質”という部分がリスクを感知しています。
- 後帯状皮質がこの程度のリスクなら危険性は低いと判断すると期待効用はより多くの報酬を求める方へと働くのです。
- まさに宝くじがこれに当てはまります。
もう1つゲームをしてみましょう。
もらえる金額が変わったらどうなるでしょう。
あなたにはAとBという2つの選択肢があります。
Aを選ぶと必ず100万円もらえます。
Bを選ぶとくじを引いてもらい50%の確率で500万円もらえますが50%の確率で0円になります。
あなたはどちらを選びますか?
こうなるとどうでしょうか?
もらえる金額が1万倍になりました。
しかし割合は先ほどのゲームと同じままなので期待される金額はAは100万円、Bは250万円でBの方が高いままです。



しかし結果はAを選択する人が多くなるのです。
最初のゲームではもらうことが期待される金額はBの方が高いので当然Bを選びます。
しかし2番目のゲームではもらえる金額が大きくなると選択に失敗して利益が減るよりは、危険を回避して安全性を重視し確実な結果を求めるようになります。
100円と100万円では全然違うと脳は感じるのです。
- 結果の期待値が大きくなると人はリスクを避けて安全性を求めるようになります。
- 後帯状皮質がリスクが高いと感知すると期待効用はより多くの報酬を求めるのではなく安全な方へと働くのです。
金額の大きさによって脳は期待効用を巧みに操ってわれわれの行動をより良い方向へとコントロールしてくれているのです。
あなたもハマってる?脳の錯覚と行動経済学の罠


脳は巧みに期待効用を操っているのですが期待効用にも落とし穴があります。
今までの例のような単純な話ですと脳はうまく働きます。しかし、
話がややこしくなってくると時に脳はバグをおこして期待効用を誤作動させてわれわれを誤った方向へ導いてしまうことがあります。
今までの話は最終的に報酬が得られる展開でしたが逆に損をする話ではどうでしょう。
あなたにはAとBという2つの選択肢があります。
Aを選ぶと必ず100万円損をします。
Bを選ぶとくじを引いてもらい50%の確率で500万円損をしますが50%の確率で損失は0円になります。
あなたはどちらを選びますか?
予想される損失はAは100万円、Bは平均すると250万円です。
先ほどの話では期待効用は金額が大きくなると選択に失敗して利益が減るよりは危険を回避して安全性を重視し確実な結果を求めるようになるはずです。
したがって当然Aを選ぶ人が増えるはずです。



しかし実際はBを選択する人が圧倒的に多いのです。
脳はリスクを背負ってでも損はしなくない方を選ぶのです。
もっと複雑なゲームを考えてみましょう。
あなたにはAとBという2つの選択肢があります。
Aを選ぶとくじを引いてもらい50%の確率で100万円もらえますが50%の確率で0円になります。
Bを選ぶとくじを引いてもらい25%の確率で500万円もらえますが75%の確率で0円になります。
あなたはどちらを選びますか?
期待されるもらえる金額はAは50万円、Bは125万となります。



結果は多くの人がBを選びます。
これは先ほどの2番目のゲームでお金のもらえる確率を半分にしただけです。
しかし脳の出した答えは先ほどとは逆になっています。
2番目のゲームではAは確実に100万円をもらえていました。
しかし今回のゲームではAを選択してもそれなりのリスクがあり0円になる可能性があります。
そうなると後帯状皮質はどちらを選択してもリスクがあるのであれば期待効用はより多くの報酬を求める方へと働くのです。
損失を招く可能性がある場合や利益の発生に複雑さが加わると脳は一種のバグを起こして期待効用の理論通りには働くなります。
最終的にどちらの選択が正しいのかはわかりません。しかし、
- 脳はどちらかと言うと損をすることを嫌う一方で多少リスクを背負ってもより多くの報酬を求めるように働くことは間違いなさそうです。
- そのような意味では宝くじは一見すると単純そうなゲームですが、脳を絶妙に刺激する考えつくされた策略なのです。
購入した宝くじが全部外れる可能性もあります。
何枚か当たったとしても元がとれず結局は損をしてしまうことも多いでしょう。
しかしその程度のリスクに比べれば宝くじで1等が当たった時の報酬の方がはるかに大きく期待効用は宝くじを買う方へとなびいているのです。



皆さんの宝くじが1枚でも多く当たることを心から祈っています。
運気が少しでも上がるためにこちらの記事もご参照ください。







ちなみに自分は「100万円以上のチャンスが250本」&「1万円が1/250」という極めて高いヒット感を狙ってハロウィンジャンボミニを中心に購入します!
あなたのまわりには高額当選を経験された方っていますか?
高額当せんするとこんな世界が待っている…そんな本です。
高額当せんした時のためにぜひ読んでみてください。



ぜひ参考にしてみてください。
脳科学で読み解く「宝くじと快楽」の正体


圧倒的に低い当選確率を前にしても、私たちがつい宝くじ売り場に吸い込まれてしまう理由。
今回は、その謎を脳科学の視点から解き明かしてきました。
- 脳は「ローリスク・ハイリターン」の夢を見る: わずかな投資(リスク)で莫大な富(報酬)が得られるかもしれないという「期待効用」に、脳は抗(あらが)えません。
- 複雑な確率計算で脳が“バグる”: 「1000万分の1」のような天文学的な数字を前にすると、脳の理性的な計算システムがエラーを起こし、感情的な“ご褒美回路”が暴走します。
- 宝くじは究極の「脳内ハッキング」: つまり宝くじとは、私たちの脳にドーパミンを絶妙なタイミングで分泌させるよう、緻密に考え尽くされたエンターテインメントなのです。
「これは脳のバグだ」と頭の片隅で分かっていても、サウナ上がりに「もし高額当せんしたら…」と妄想してドーパミンをドバドバ出すのは、実はとても健康的で楽しい脳の使い方だったりします。



皆さんが買ったその1枚が、見事に確率のバグをすり抜け、高額当せんを引き当てることを心から祈っています!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
今後も、長年勤めてきた脳神経外科医の視点から、皆さんのまわりの何気ない日常の「なぜ?」を脳科学で面白おかしく探り、情報をお届けしていきます。
次回の記事もお楽しみに!


















