第一印象は見た目で決まるって本当なの?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
- 第一印象の見た目があなたの印象の80%を決める理由がわかります。
第一印象は見た目で決まる?~本来の「メラビアンの法則」
メラビアンの法則を脳科学で探る
- 第一印象の見た目は他人が見たあなたの印象の80%を決めています。
- 見た目の大切さはメラビアンの法則が証明しています。
- 第一印象がよくなくてもハロー効果で挽回しましょう。
- 人は見た目じゃなくて大切なのは中身です
そうは思っていても現実はちょっと違います。
ココがポイント
第一印象で大切なのは圧倒的に見た目です。しかも第一印象がその人の印象を80%決めています。
「メラビアンの法則」というものがあります。
1971年にカリフォルニア大学の心理学名誉教授であったアルバート・メラビアンによって発表された法則です。
この法則は現代にも受け継がれていて好印象を与える極意として多くの研修会などで紹介されています。
メラビアンの法則は別名”7-38-55ルール”あるいは”3Vの法則”とも呼ばれています。
人が他人とコミュニケーションをとる時に言語、聴覚、視覚の3つの情報から相手を判断していると仮定します。
これらの情報が相手にあたえる影響を研究した結果は…
メラビアンの法則
言語(Verbal) 7%
聴覚(Vocal) 38%
視覚(Visual) 55%
視覚情報とは目から入った情報…つまり見た目です。
顔の表情や視線やしぐさなどです。
聴覚情報とは耳に入ってきた情報…つまり話すスピードや声の大きさなどの音声や口調です。
言語情報とは話の内容です。
メラビアンの法則
メラビアンの法則の本来の意味は感情的なメッセージを伝える時に顔の表情や声のトーンが言いたいことと一致していないと誤解を招く可能性があるということを示しています。
メラビアンの法則
第一印象をよくするのは言語、聴覚、視覚の3つの要素のすべてが大切であり、自分の魅力を精一杯伝えたいのであれば話す内容だけでは伝わらないということです。
しかしいつしかこの法則が独り歩きしてしまい、「第一印象は見た目が最も大切」という意味になってしまったのです。
相手に何を伝えるかといった言葉の情報は大切ですが、それをどのように伝えるのか、どのような態度で伝えるのかということはもっと大切なのです。
良いことを言っているのになかなか相手に伝わらない人がいる一方で、大したこと言ってないのに妙に説得力のある人も存在します。
脳は一瞬で第一印象を作っている
人と出会ったときにいきなり声だけが届くことはありません。
まず目からの情報が最初です。
その人の容姿を見てから話が始まります。
ココがポイント
脳は他人と出会って相手を見た0.1秒後には第一印象を作っています。
優しそう、有能そう、怖そう、…そんな印象をあっという間に作っているのです。
0.1秒、0.5秒、1.0秒、時間無制限など色々な条件である顔写真を見せて性格判断(魅力、好感度、信頼性、能力の高さ、積極性)をさせた実験があります(Willis J, et al: Psychol Sci 177:592-598, 2006)。
結果は0.1秒で判断したものとどれも大きくは変わらないことが示されました。
また時間が長くなると変化するのは自分の最初の判断が正しかったという自身だけが向上することが示されています。
人が他人と出会って目から相手の情報が入ってくると脳の中の扁桃体という部分が反応して相手の第一印象を決定しています。
扁桃体は情動反応において重要な働きをしています。
情動反応とは、あることに反応して急激に感情がわき上がることです。
それは怒り、喜び、悲しみなど様々な感情であり、それに伴い呼吸が荒くなったりドキドキしたり汗をかいたりしてきます。
このような人間としての本能的な感覚や野生の勘のような理屈では説明のつかない瞬間的な感情や行動をコントロールしているのが大脳辺縁系と言われる脳の中の原始的なネットワークです。
扁桃体はこの中でさまざまな情報の発信源となっています。
大脳辺縁系の中には海馬と呼ばれる記憶の中枢も含まれています。
ですから新しい情報は記憶の中の過去の記憶ともつながっていて情動反応が発信されます。
第一印象の脳ネットワーク
他人と出会って目からの視覚情報が扁桃体に伝わると海馬と連動して過去の記憶と照らし合わせながらさまざまな情報が発信されていきます。これにかかる時間は0.1秒程度であり、そこで第一印象が決定されているのです。
次に第一印象を切りくずして第二印象を新たに作ることは可能なのかについて考えてみましょう。
ハロー効果で挽回しよう
ほとんどですので絶対ではありませんからご注意ください。しかし、
第二印象
出会って第一印象が作られた後にさまざまな情報が加わることで第一印象から違う印象…第二印象にが作られることいくらでもありえます。
「人は見かけによらない」と言いますが、第一印象が良くてもその後悪くなることもありますし、その逆もあります。
ココがポイント
その人が持っている特徴的な印象がその他の要素にも影響を及ぼして全体の印象を変えてしまう…それがハロー効果です。
ハローとはこんにちはの“Hallo”ではなく後光の“Halo”のことです。
後光とは仏像の背後に放射状にはなたれている光のことです。
ハロー効果
ハロー効果とは、後光のごとく本人の背後から放たれるその人の目立った特徴や特技によってその人全体が違った表情で照らし出される心理状態を表しています。
例えば一流の大学の出身であったりや企業に勤めていることがハローとなり、その人が紹介する商品が高評価を受けるような感じです。
逆の例もあります。
テレビのCMで高評価であった芸能人が不祥事を起こすと今まで高評価だった商品が急にマイナスイメージをもたれてしまうなんてこともあります。
たとえ第一印象が良くなくても、その後に身だしなみを整えて清潔感のある姿でさわやかな笑顔を繰り返し続けたとします。
すると清潔感やさわやかさがハローとなって、まじめで仕事ができて頼もしい人なんて好感度アップして第二印象がぐぐっと上昇するなんてこともあります。
逆に、たとえ見た目が良くて第一印象が高評価であっても約束を守らないなどを繰り返すとどうでしょう。
それがハローとなって、仕事のできないいいかげんで信頼できない人と評価がダダ下がりになってしまいます。
人は見た目じゃなくて大切なのは中身です
「人は見た目だけではない」と言っても多くの人が見た目で判断してしまっているのが現実です。
見た目で第一印象はほとんど決まってしまいます。
そして多くの場合第一印象が最終的にその人の人柄の評価につながってしまいます。
ココがポイント
第一印象が最終評価になるのは80%です。ここで注目すべきなのは残りの20%はハロー効果によって第二印象が変わっているのです。
相手の脳のインプットを書き換えてあげればいいのです。
でも黙ってじっとしていては何も変わりません。
新たな自分をインプットしてもらう努力をちょっとしてみませんか。
そんな印象をもってもらえるように生きてみましょう。
”メラビアンの法則を脳科学で探る”のまとめ
今回は人の第一印象におけるメラビアンの法則と脳科学、そしてハロー効果について解説しました。
今回の記事をまとめます。
今回のまとめ
- 第一印象の見た目は他人が見たあなたの印象の80%を決めています。
- 見た目の大切さはメラビアンの法則が証明しています。
- 第一印象がよくなくてもハロー効果で挽回しましょう。
- 人は見た目じゃなくて大切なのは中身です
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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