オーガニック食品って本当に体にいいの?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
- オーガニック食品をはじめとするブランドにこだわる理由がわかります。
オーガニック食品って本当に体にいいの?
ブランドの脳科学
- オーガニック食品が体に良いという科学的根拠はありません。
- 脳はオーガニック食品をはじめとするブランドに快楽を感じるようにできています。
- それと同時にブランドを失うことに対する嫌悪感がますます脳をブランドに引きつけます。
- ですから自分の思うままにブランドにこだわって生きていくことは決して悪いことではないのです。
オーガニック食品はとてもはやりですよね。
スーパーやレストランではよく目にする言葉ではないでしょうか?
オーガニックのわな-その1
オーガニックにはいろいろな意味がありますが一般的には農薬や化学肥料などの化学物質に頼らずに自然の力を利用して育てる栽培法で”有機栽培”と同じ意味です。
オーガニックの目的は以下の2点にあります。
✔ 有害な化学物質を減らして食の安全性を高めること。
✔ 化学物質による環境汚染を減らして環境を守ること。
そう聞くととても体に良くてしかも地球に優しいイメージを持ちますよね。
同じ野菜を買うなら少し蔵高くてもオーガニック食品を選んでしまいます。
なんて人も多いのではないでしょうか?
オーガニックのわな-その2
有害な化学物質の使用を減らして食の安全性を高めることが健康によい優れた食品であるとする科学的根拠はどこにもありません。
化学物質は悪者にされがちですがそれは妄想にすぎません。
必要な農薬を用いないと病んだ野菜ができてしまいかえって健康に悪影響を与えるなんてことにもつながりかねません。
環境に関しても同じです。
化学物質を使用しないオーガニックでは通常の栽培法と比較して収穫量が少なくなります。
そのため農地を増やして栽培しようとして森林を伐採して自然破壊につながるなんてことも実際には起きています。
実際に日本では2020年7月16日からオーガニック食品は農林水産省が定めた有機JASマークを表示することが法律で定められました。
詳しくは農林水産省のこちらのページをご参照ください。
これは国産品に限らず輸入品も対象となっています。
しかし根拠のないブランド意識が無意味にその価値を高め食品表示の偽装などの誤った方向に走ってしまうことは絶対に避けなければなりません。
なにもオーガニック食品が悪いことをしているわけではありません。
しかしその価値を充分に理解したうえで利用してこそ初めて意味のあるものとなることを忘れてはいけません。
ブランドにこだわる脳
ブランドと言ってもなにも高価なものばかりではありません。
人口保存料、輸入原料、水道水など身近なものでも根拠のない先入観がこれらを悪者にしてしまいます。
同じものを選ぶのであればより有名なものを思わず選びたくなるのは仕方ないことなのかもしれません。
同じ性能をもったテレビでもあまり聞いたことのない企業のものよりは多少値段が高くても有名な企業のものを選びがちになります。
テレビ番組でも「芸能人格付けチェック」と題して高級品と安物を見分けるクイズ番組が人気ですよね。
ブランドをうまく言い当てられる人が一流とする風潮にはいささか疑問もあります。
しかし多くの人は他人がブランドとプライドという目に見えない圧力に揺れ動く微妙な心理戦を楽しむのです。
ブランドのわな-その1
脳はブランドに対して”普通とは違って特別なもの”という認識をして知的な快楽を感じます。
この時脳の中の”内側眼窩前頭皮質”という部分が活発に働くことがわかっています。
ですから単に心理的な気持ちの問題でブランドにこだわっているのではなく、脳がブランドによってもたらされる快楽を求めてこだわっているのです。
研究ではごく普通の安いワインと高級ワインとの飲みくらべが行われました。
どちらを飲んでいるか本人は知りません。
そこで飲んでいるワインの値段を伝えます。
すると値段が高ければ高いほど内側眼窩前頭皮質が激しく活動するという結果が示されました。
Plassmann H, et al, Proc Natl Acad Sci U S A 105:1050-1054, 2008
ワインに含まれる物質や香りなどによって風味は決まります。
風味の感じ方に関してはこちらの記事をご参照ください。
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ブランドのわな-その2
しかし脳は”ワインの風味を楽しむ”のと同時に”高いワインを飲んでいるという事実に快楽を感じている”のです。
たとえそれが安物のワインであっても高いワインというブランドに脳は無意識のうちにこだわっているのです。
ですからブランドにこだわるのはなにも意地や見栄をはっているからではないのです。
ブランドのわな-その3
あなたが飛びついたものが”そのものが持っている本質的なもの”ではなく”ブランド”であったとして何が悪いのでしょうか。
脳が快楽を求めているのですからそれに従うことは決して悪いことではないのです。
脳がブランドにこだわるもう1つの理由
脳がブランドにこだわるのはそれによって得られる快楽のためです。
ブランドのわな-その4
特にお金や食品に関しては”得られる快楽”とともに”失うことに対する嫌悪感”が脳をブランドに惹きつけるのです。
失うことはなにもお金や食品以外でも嫌なものです。
しかし脳はブランドの力が特に発揮されるお金や食品に関することに対しては過剰に反応します。
どちらも生きていくためには必要なものですしそこには欲望が生まれますのでなおさらなのでしょう。
時には損失を恐れるばかりに逆に損をしてしまうこともあるくらいです。
オーガニック食品も同じです。
オーガニックのわな-その3
オーガニック食品を食べることに脳は快楽を感じます。
しかし一方でオ-ガニック食品を食べ損ねた時は”不健康なものを食べてしまった”と脳は必要以上に罪悪感にさいなまれます。
ですからたとえ多少高価であってもオーガニック食品に無意識のうちに手がのびてしまうのです。
しかしこれももともとの脳の特性です。
なにも悪いことではありません。
どうどうとブランドにこだわっていこうではありませんか。
”ブランドの脳科学”のまとめ
オーガニック食品をはじめとするブランドにこだわる理由を脳科学的に解明してみました。
今回のまとめ
- オーガニック食品が体に良いという科学的根拠はありません。
- 脳はオーガニック食品をはじめとするブランドに快楽を感じるようにできています。
- それと同時にブランドを失うことに対する嫌悪感がますます脳をブランドに引きつけます。
- ですから自分の思うままにブランドにこだわって生きていくことは決して悪いことではないのです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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