人を好きになれない、愛せない、恋愛できない理由ってなに?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年…多くの脳の病気と向き合い手術、放射線治療を中心に勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきますね。
この記事を読んでわかることはコレ!
- 『恋愛できない症候群』を脳科学で説き明かします。
「恋愛できない」の10の理由
『恋愛できない症候群』の脳科学
- 恋愛できない理由には心理的にさまざま要素があります。
- 心理的に恋愛できない理由の根本的な原因は脳が恋愛に対してブレーキをかけているからです。
- ですから脳をバグらせてブレーキを緩めると思わぬ恋愛が始まる可能性は大です。
- 日本人は恋愛に対して「熱しにくく冷めにくい」タイプが多いのでなかなか恋愛が始まらない気質があります。
- 他人に振り回されるのではなく自分独自の恋愛観を見つけ出してみてください。
人を好きになれない、愛せない…
だから恋愛もできない…
そんな風に思っている人は決して少なくないでしょう…
確かにそもそも人を好きになれない人、愛せない人はパートナーを作ることもままならないでしょう…
パートナーを作ることができない人=人を好きになれない、愛せない人
ととらえることもできるかもしれません。
ただ持って生まれたパーソナルな性質として脳そのものがヒトを愛せないメカニズムになっている人も実際はいます。
いうならば「生まれつき人を愛せないタイプ」です。
こういう人はこれから説明する「恋愛できない症候群」よりも根が深いかもしれません。
「生まれつき人を愛せない人」についてはこちらの記事をご参照ください。
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今回は恋愛感情があるのに恋愛できない「恋愛できない症候群」です。
恋愛できない理由にはさまざまなことが考えられますが主だった10の理由をあげてみましょう。
恋愛に対して受け身
きっとそのうち恋愛できるだろう…
なんて受け身な姿勢でいるせいでせっかくのチャンスをみすみす逃してしまっている可能性があります。
はじめの一歩がなかなか踏み出せない
誰にも告白されない…
自分から告白したいと思うような人がいない…
そんな状況でどうやって恋愛を始めていいかわからない…
と立ち止まってしまうのは無理のないことかもしれません。
しかしちょっとした他人の仕草からそれとなく口説かれていたり好意を向けられたりしているのに気づいていない…
なんて場合も少なくありません。
恋愛はどんな時に何がきっかけで始まるかはわかりません。
常に恋愛のアンテナの感度をあげていることが必要です。
自分に自信がない
そもそも自分なんて好きになってもらえるはずがない…
愛してもらえるような立派な人間じゃない…
なんて卑屈になって他人を遠ざけてしまっている人は決して少なくありません。
この状況が悪化するとせっかく好意を寄せてもらっても
何か裏があるに違いない…
なんて疑ってしまい疑心暗鬼になってしまいます。
自分に自信がないのは自分を愛してあげられていないからです。
そんな人にとって他人を受け入れ愛することは難しいかもしれません。
謙虚になることは悪いことではありませんが自信を失ってしまっては自分の魅力は他人には伝わりません。
恋愛に臆病
恋愛で経験することは決して楽しいことばかりではありません。
けんかやすれ違いなどつらいこともたくさんあります。
しかしこういった経験が人を成長させるのも確かなことです。
人間関係を学ぶ意味でもあまり慎重になりすぎずに気軽に出かけてみても良いかもしれません。
まわりの目が気になりすぎる
いざ恋愛をした時に周囲からどう思われるかが気になってしまいなかなか一歩が踏み出せない…
なんてことありますよね。
しかし実際は周囲の人はあなたが思っているほど気にはしていないはずです。
恋愛なしの生活に満足
仕事に趣味にと日々の生活に忙しく走り回っていて恋愛の優先順位が下がってしまっているパターンです。
口では「恋愛できない…」なんて嘆きつつも心の中ではそこまで深くは悩んでいないのでなかなか恋愛に目が向きません。
たとえ恋愛してもつい自分のことを優先するあまり誤解されてしまいうまくいかないこともよくあることです。
自分のペースで歩いてばかりいては誰もついてきてはくれません。
恋愛の仕方がそもそもわからない
付き合い方、恋愛の進め方などが分からず自分で思い悩んで先に進まないパターンです。
恋愛は人間関係の延長であり自分で思い悩むばかりでなく他人に相談して成長していく必要があります。
しかしなかなかそうもうまくはいかないのが現実ですよね。
恋人の理想が高すぎる
相手に高い理想を求めて妥協できないと恋愛は難しくなります。
完璧で欠点のない人などほとんどいないでしょう。
一生のうちに出会える人数には限界があります。
理想を語るのは自由ですがあまりその想いに束縛されすぎてもただの夢物語で終わってしまいます。
理想と現実のギャップを知ることは恋愛以外でも大切なことです。
また二次元の世界で理想を見つけてしまうとそれを現実の三次元の世界になかなか移行できないこともよくあることでしょう。
淋しいと思う状況にない
淋しいと思う気持ちは時に恋愛を加速させる原動力になります。
しかし1人でいても淋しさを感じなかったり仲間やペットとの時間を過ごすことが楽しいと感じていたりするとなかなか恋愛のエンジンがかかりません。
恋愛はおおむね会えないと淋しいと感じるもの同士が出会ってうまくいくものです。
会えなくても淋しくなければ恋愛はなかなかうまく進まないかもしれませんね。
もう恋愛できる気がしない…というあきらめ
恋愛でいい思い出がなかったりつらい失恋をしたり他人のそんな話を聞いたりして…なんてしているうちに
もう二度と恋愛なんてできないししない…
なんて思いになってしまうとなかなか前に進めなくなってしまいます。
ここまでいろいろと「恋愛できない症候群」の理由について探ってきました。
しかしこれらはいずれも心理的な要素が大きな比重を占めています。
では脳は「恋愛できない症候群」をどうとらえているのでしょう?
脳と心では恋愛のとらえ方が同じこともありますがまったく異なっていることもあります。
“恋愛がうまくいくための必勝法の脳科学”も参照してみてください。
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「恋愛できない」人の脳を探る
現代の世界はそもそも恋愛に向いていません。
なぜなら恋愛が後回しになってしまうような事情にあふれかえっているからです。
経済的な理由で恋愛なんてしている場合でないと思ってしまう。
仕事や勉強が忙しすぎて恋愛する時間も気力も残っていない。
そもそも恋愛なんて何の意味があってどんな得なことがあるの?
などなど恋愛に否定的な風潮はたくさんあります。
現代の世界が恋愛することにブレーキがかかりがちな世の中になっていることは確かかもしれません。
恋愛を思う存分楽しめる環境が少なくなったことは間違いのない事実です。
とはいえやはり自分の近くに気になって「いいなあ」なんて好意を寄せてしまう人ができるのは当たり前のことです。
好きになる時はどんな状況でも好きになるものです。
誰もそれを止めることはできません。
ですから普通に生活をしていて「恋愛できない」というのは他に恋愛を抑制するようなブレーキが過剰にかかっている状態と言えます。
それが「脳のブレーキ」です。
今まで探ってきた心理的な「恋愛できない症候群」の原因や理由はほとんどがこの脳のブレーキによるものなのです。
脳の中で前頭前皮質という部分の中のDLPFC(背外側前頭前野)がブレーキの働きをしています。
つまり「この人とは付き合わない方がいいんじゃない?」という抑制の指示を出しているのです。
たとえば男性であれば
などです。
女性であれば
などです。
このように気に入った人が現れて恋愛が始まりそうになっても脳が
「今恋愛すると損して後悔するよ!」
とブレーキをかけてくるのです。
これは男女に関係なくどちらにも起こり得ることです。
心理的に「恋愛できない」の理由のほとんどはこの脳のブレーキにそれなりの言い訳をつけているだけにすぎないのです。
そもそも現代の教育では思いつきやその場の衝動で行動せずに理性的かつ合理的にきちんと物事を理解して計算して最終的な判断をすることを理想として成り立っています。
その理想は決して間違いではありませんがすべてのことに通用するわけではありません。
こと恋愛に関してはさまざまな問題が生じてきます。
計算高く理性的合理的に恋愛しようとすると
「自分の理想の遺伝子を持った人と恋愛して戦略的に子づくりしたい」
なんてことになっていきます。
最初からそんな考えでいてはそもそも恋愛できなくなってしまっても仕方ありません。
つまり知能が高い人ほど脳のブレーキはかかりやすくなっています。
実際に恋愛や結婚を道具のように考えている人もいます。
最近「婚活」という言葉を良く聞きます。
婚活自体は決して悪いことではありません。
しかし中には婚活を一生養い養ってくれるパートナーを探す一種の「就職活動」のようにとらえている人も少なくはないでしょう。
しかしもし相手がそんな風に思っていることが分かったらパートナーとして選びたいと思うでしょうか?
“結婚の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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恋愛できない症候群の脳科学-その1
脳は恋愛を他の物事と同列に並べて理性的合理的に処理して時にブレーキをかけて衝動に走らないように制御している。
これが恋愛できない症候群の実態です。
恋愛は理屈ではありません。
人を好きになり愛してこそはじめて恋愛は始まります。
恋愛をして自分以外の人のために行動することはひいては自分の幸せにもつながります。
自分で「恋愛できない」と感じていでも脳のブレーキをちょっと外してあげるだけで愛情力はぐっとアップします。
恋愛ブレーキを緩めて恋愛しよう
「恋愛できない」理由を脳科学で探るとその要因は脳のブレーキにあります。
自分の今までの経験を振り返ってみてください。
誰しも気づかないうちに何度も脳のブレーキを緩める経験をしたことがあるはずです。
それは脳がバグを起こして本来の能力を発揮できないように仕向けてあげればいいのです。
脳は高度な機能を備えてそうに見えて簡単にバグを起こします。
脳を疲れ果てさせる、あるいはそれに似た状況を作ってあげれば脳はバグを起こします。
するとブレーキがなかなかかからずいつもとは違う自分が現れます。
仕事や勉強で疲れ切った時
寝不足の時
アルコールで酔った時
このような状況の時に「何となくその場の勢いで告白しちゃった」とか「一線を越えてしまった」なんて経験したことがある人は少なくないはずです。
こんな時は脳のブレーキが鈍っていて思わぬ展開が起きやすくなります。
気になる人との恋愛を発展させたい人はあえて脳が疲労しているような状況で会ってみるのも良いかもしれません。
そんな時は普段よりもきっとグイグイ進めるかもしれません。
普段恋愛できない人でもいつもとは違った自分で新たな恋愛が始まる可能性大です。
お酒に頼りすぎるとブレーキが外れすぎて恋愛どころか思わぬ失敗を起こしかねません。
そもそもお酒の力を借りて恋愛が発展しても相手には
なんて誤解されて理想的な恋愛関係に発展しづらくなる危険もあります。
日本人の恋愛観
恋愛にはさまざまな恋愛観が存在します。
大きく分けると次の2つのタイプに分けられるでしょう。
1つ目のタイプは「恋愛できない」人でなかなか他人と恋愛に発展しないのにいざ恋愛に火がつくと大恋愛になって付き合い始めると長く深く付き合うようになるタイプです。
言うならば「熱しにくく冷めにくい」タイプです。
これと対極にいるのは人をすぐに好きになって次々と付き合うのにいつも短い恋愛で終わってしまうタイプです。
言うならば「熱しやすく冷めやすい」ラテン系のタイプです。
あなたのまわりにもこのような2つのタイプとその中間のタイプとさまざまなタイプの恋愛観を持った人がいるでしょう。
それは脳の快楽の感じ方で違ってきます。
脳は何か刺激が起こると「ドーパミン」という物質を分泌します。
ドーパミンは「快楽物質」と言われていて脳に快感や幸福感を起こします。
“快感の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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快感や幸福感は人が何か行動を起こすうえでとても大切で大きな影響を及ぼすモチベーションの1つになっています。
一方で脳にはドーパミンを受け取る「DRD4」という受容体があります。
受容体とはドーパミン受け取りドーパミンを取り込む働きをしています。
このDRD4の形にはさまざまなバリエーションがあることが知られています。
DRD4の型の違いによって脳の快楽の感じ方には違いが生じます。
つまり人によってDRD4の型は違うので恋愛観にも違いが出てくるのです。
このように恋愛観は脳のメカニズムによっておおかた決まっています。
DRD4のある一部分の長さが長ければ長くなるほど脳が快感を得るのにたくさんのドーパミンを必要とします。
言い換えると
DRD4の長さが長ければ長くなるほど脳の快感スイッチが入りづらい
⇒たくさんの刺激がないと快感を得られない
⇒たくさんの刺激を求める
そんな図式になっているのです。
DRD4が長いタイプでたくさんの刺激を求める人は快感を得るために常に多くの刺激を必要としています。
つまり次々と付き合うのにいつも短い恋愛で終わってしまう「熱しやすく冷めやすい」ラテン系のタイプです。
「一目惚れしやすく浮気もしやすい。」
「すぐに恋に落ちるけれど恋に落ちているあいだにまた別の恋に落ちたりもする。」
「浮気をしないようにと束縛を受けるのをとても嫌がる。」
まさにそんなタイプです。
日本人には「熱しやすく冷めやすい」ラテン系のタイプの人は人口の1パーセント足らずでとても少ないと言われています。
なんて人もいるかもしれません。
1パーセントといっても1億2千万人の1パーセントですから全国に120万人くらいはいることになります。
各地から恋愛の刺激を欲しがるタイプの人が集まってくる中心都市ではその割合はより高くなっています。
つまり地域によってかなり格差があるので1パーセントを少ないと感じる人もいれば多いと感じる人もいることになります。
40%くらいの人はDRD4の長さが中くらいで残りの60%の人は短いタイプと言われています。
つまり日本人の過半数はDRD4が短いタイプ=「熱しにくく冷めにくい」タイプなのです。
少しの刺激さえあれば満足を得ることができるので恋愛できなくても今の現状でも充分に幸せであり特に問題なし…となりがちなのです。
恋愛できない症候群の脳科学-その2
ですから日本人の「恋愛できない症候群」は脳のブレーキがかかっているケースに加えてもともとの脳のメカニズムとしてあえて「恋愛しない」というケースもかなり多く含まれていると言えます。
口では「恋愛できない」と嘆いていても特に恋愛にこだわらず今の生活に満足する。
それが今の日本の恋愛事情なのかもしれませんね。
しかし一度恋愛すれば長く深く愛することができるのも日本人の特徴です。
“『恋愛できない症候群』の脳科学“のまとめ
『恋愛できない症候群』を脳科学で説き明かしてみました。
今回のまとめ
- 恋愛できない理由には心理的にさまざま要素があります。
- 心理的に恋愛できない理由の根本的な原因は脳が恋愛に対してブレーキをかけているからです。
- ですから脳をバグらせてブレーキを緩めると思わぬ恋愛が始まる可能性は大です。
- 日本人は恋愛に対して「熱しにくく冷めにくい」タイプが多いのでなかなか恋愛が始まらない気質があります。
- 他人に振り回されるのではなく自分独自の恋愛観を見つけ出してみてください。
今回の記事がみなさんに少しでもお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も『脳の病気』、『脳の治療』、『脳の科学』について現場に長年勤めた脳神経外科医の視点で皆さんに情報を提供していきます。
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