どうしてサウナのあとはお腹が空いて、サウナ飯を食べたり飲んだりしたくなるのでしょう?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
- サウナのあとに食べたり飲んだりするサウナ飯を勝手に脳科学で説き明かします。
サウナ飯とは?
サウナ飯の脳科学
- サウナのあとに食べたり飲んだりするサウナ飯は、生理学的にも脳科学的にも、いつも以上に美味しく感じられます。
- サウナ飯は美味しいからと言って食べ過ぎ飲みすぎにはご注意ください。
サウナに行く目的は、「サウナでととのう」を体感し身も心も癒されてリフレッシュするのが一番かもしれません。
しかしサウナのあとの食べ物や飲み物…サウナ飯を楽しみにしている人も多いでしょう。
カレー、麻婆豆腐(まーぼーどうふ)、酸辣湯面(すーらーたんめん)などなど。
しかし中には甘いもの…ソフトクリーム、プリン、チョコレートなどを好む人もいます。
飲み物では「湯上りの一杯」でビールを好む人が多いでしょう。
しかし、スポーツ飲料や炭酸飲料、これらを同時に味わえるオロポ(オロナミンCとポカリスエットを1:1の配合で混ぜた飲み物)を好む人もいます。
“サウナの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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サウナ飯が美味しい理由
サウナでは多量に発汗します。
汗の成分はそのほとんどが水分ですが、塩分も含まれます。
体の外と内の水分の移動には必ずと言っていいほど塩分も一緒について回ります。
ですから汗によって体内の水分と同様に塩分も減少します。
その結果、体が塩分を欲する状態となり、塩分に対する閾値が低下します。
すると、塩味や酸味に敏感になり、辛いものを食べたり飲んだりしたくなり、しかも普段よりも辛さを感じにくくなるわけです。
飲み物では水よりもポカリスエットなどのスポーツ飲料の方が塩分を多く含んでいます。
そのため多量に発汗したあとは、スポーツ飲料でも普段よりも味を濃く感じ美味しく飲めるのです。
ですからサウナのあとにビールを飲む人は辛いものも一緒に食べたくなります。
またビールには利尿作用(尿をしたくなる作用)があります。
お茶やコーヒーに含まれるカフェインにも利尿作用があります。
ですからサウナのあとにビールやお茶やコーヒーを飲んでも、水分は尿として排泄されてしまうので水分補給にはなりませんのでご注意ください。
サウナでは多量の発汗をすることで体内のエネルギーが大量に消費されます。
ですから、ただサウナ室で座っているだけでも、かなりの運動をしたのと同じくらい体力を消耗し血糖値が低下します。
しかもサウナでは短時間に急激に血糖値が下がるので、普段よりも空腹感を強く感じやすくなっているため、食べたものや飲んだものがいつも以上に美味しく感じられます。
ですからソフトクリームやプリンやチョコレートなどを食べたくなるのです。
ですからオロポは塩分も糖分も一度にとれるので、サウナのあとには最適なサウナ飯と言えるでしょう。
このようにサウナのあとは体が生理的にサウナ飯を求めるように働くので、普段以上に美味しく感じられ、ついつい食べ過ぎてしまいます。
脳科学的サウナ飯が美味しい理由
ここまではサウナ飯がなぜ美味しいかの一般論です。
ここからが今回の本題です。
サウナ室内はきわめて高温多湿で人間が過ごすにはあまりに過酷でつらい状況です。
すると脳は身の危険を察知して、身を守ろうと戦闘状態になります。
戦闘状態に入ると脳の中では大量の脳内麻薬が分泌されます。
サウナ室内での脳内麻薬については、「COCFUROたかの湯のミュージックロウリュの脳科学」の記事もご参照ください。
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脳内麻薬はさまざまな効果をもたらしますが、一番は幸福感です。
サウナ室での戦闘状態から解き放たれ、水風呂、そして外気浴へと移行する温冷交代浴では、脳は戦闘状態から一気にリラックス状態となります。
この時、脳内麻薬の作用で得も言われぬ幸福感で脳が満たされ、トランス状態が訪れます。
この一連の流れに大きく関わっているのが自律神経です。
自律神経は人間がちゃんと生きていくために24時間休まず働き続ける神経で、体の様々なバランスを調整しています。
自律神経には交感神経と副交感神経の2種類が存在します。
この2つの神経は相反する働きをしているので同時に働くことはなく、どちらかの神経が働いている時はもう一方の神経は休んでいます。
交感神経は体を活発に働かせる神経です。
サウナでは戦闘状態となっているので、交感神経が盛んに働いています。
交感神経が興奮状態になると、血圧が上がり、脈拍が早くなり、汗を大量にかきます。
もう1つの副交感神経は体を休ませる神経です。
水風呂や外気浴ではリラックス状態となっているので、副交感神経が盛んに働いています。
副交感神経が興奮状態になると、血圧が下がり、脈拍が遅くなり、汗はほとんどかきません。
温冷交代浴では脳からの指令で、交感神経と副交感神経の働きが激しく入れ替わります。
そのため脳がバグを起こして混乱し、トランス状態となるのです。
では自律神経の働きとサウナ飯にはどのような関係があるのでしょう?
自律神経の調整は人によって大きく異なります。
調整が上手な人もいれば、苦手な人もいます。
自律神経の調整が苦手な人は自律神経失調と呼ばれ、日常生活に支障を来します。
本来であれば、緊張して脳の中は戦闘モードになっているので交感神経が優位に働きます。
その結果、ドキドキしたり手汗をかいたりするわけです。
しかしそんな時に、副交感神経が優位に働いてしまったらどうなるでしょう?
血圧が下がって頭がぼーっとしてきて、人によっては貧血の症状で倒れてしまいます。
また副交感神経は腸管の動きを激しくするので、急にお腹がきゅるきゅるしてきて腹痛がおそってきます。
一方、自律神経の調整が上手な人は、面接試験の時でも交感神経の働きをぐっと抑えて過度に緊張することを防止することができます。
このような話を聞くと、
そんな風に思いますよね。
自律神経を鍛える方法はさまざまありますが、サウナは自律神経を鍛えるにはもってこいの方法です。
先ほど説明したように、サウナでは交感神経と副交感神経が交互に激しく入れ替わって働く、極めて特殊な状況です。
ですから最初は自律神経の調整がうまくできない人でも、サウナで自律神経を鍛えることでうまく調整ができるようになるわけです。
サウナでととのったあとは、副交感神経が優位に働いて脳はリラックスモードです。
副交感神経が激しく働いている時は腸管の動きが激しい時なので当然お腹が空きます。
サウナのあとでは普段以上に副交感神経が激しく働いているので空腹感もはんぱありません。
ですからサウナのあとのサウナ飯は普段以上に美味しく感じられるのです。
サウナで交感神経と副交感神経を交互に激しく入れ替える状況を続けていると、たとえサウナでととのったあとでも、また交感神経を興奮させたくなるのが人間の欲というものです。
脳は交感神経を興奮させたあと副交感神経がもたらすさらなる快感をついつい求めてしまいます。
ですから辛いものを食べて、血圧を上げて脈拍を早くして汗をかいて交感神経を刺激しようとするわけです。
脳は快感や欲望が大好きです。
ですから一度快感や欲望を味わってしまうと、やめられなくなるのです。
ちなみに自律神経をこのように操作しているのは脳内麻薬です。
脳内麻薬をいかにうまく分泌させるかが、サウナ飯をいかに美味しく食べられるかにつながっていくのです。
サウナ飯の魅力
ここまで考えてサウナ飯を食べている人はいないでしょうが、とにかくサウナ飯はいつもの食事以上に美味しく感じられるのは間違いありません。
とは言え、ついつい食べ過ぎたり飲みすぎたりしないように注意してくださいね。
“サウナ飯の脳科学”のまとめ
サウナのあとに食べたり飲んだりするサウナ飯を勝手に脳科学で説き明かしてみました。
今回のまとめ
- サウナのあとに食べたり飲んだりするサウナ飯は、生理学的にも脳科学的にも、いつも以上に美味しく感じられます。
- サウナ飯は美味しいからと言って食べ過ぎ飲みすぎにはご注意ください。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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