サウナのクラウドファンディングを脳科学で探るとどのようなことがわかるのでしょうか?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
クラウドファンディングを脳科学で説き明かします。
サウナとクラウドファンディング
クラウドファンディングの脳科学
- クラウドファンディングとは、資金を調達したい人がインターネットのサイトでプロジェクトを公開し、不特定多数が支援を行い、資金を集めるシステムのことです。
- 近年多くのサウナ施設のクラウドファンディングのプロジェクトが立ち上がり、成功をおさめています。
- クラウドファンディングの発起人と出資者ではそれぞれ異なった心理が存在し、それらが複雑に絡み合って信頼関係が生みだされます。
- クラウドファンディングの発起人と出資者の脳では、それぞれ異なった複数の脳内麻薬が分泌され、それぞれ特有の心理状態を生み出しています。
- クラウドファンディングの脳科学的な解析はまだ十分ではなく、今後新たなことが解明されていくでしょう。
現代の日本では第3次サウナブームによって多くの施設がにぎわっています。
“サウナブームの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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サウナの醍醐味(だいごみ)は何と言っても、サウナトランス=「サウナでととのう」でしょう。
温かいサウナと冷たい水風呂、休息タイムを繰り返す温冷交代浴では徐々に体の感覚が鋭敏になってトランスしたような状態になっていきます。
トランス状態になると、頭からつま先までがジーンとしびれてきてディープリラックスの状態になり、得も言われぬ多幸感が訪れます。
これがいわゆるサウナトランスであり、そして「サウナでととのう」の状態です。
”サウナでととのうの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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サウナ―達は至高のサウナトランスを味わうためにサウナに通うわけです。
クラウドファンディングとは、資金を調達したい人がインターネットのサイトでプロジェクトを公開し、不特定多数が支援を行い、資金を集めるシステムのことです。
そして、サウナのクラウドファンディングは、サウナ施設の新規開業や改装、サウナ文化の普及などを目的として行われる資金調達の方法です。
東京の「渋谷SAUNAS」や名古屋の「KIWAMI SAUNA」などが有名ですが、その他にも多くのサウナ施設がクラウドファンディングによって資金を集めています。
クラウドファンディングには立ち上げる人=発起人と資金を出資する人=出資者が存在するわけですが、それぞれの脳はどのように働き、そしてどのような心理が生み出されるのでしょうか?
クラウドファンディングとはなに?
クラウドファンディングは、よく“クラファン”などと呼ばれますが、そもそもいったいどのようなことなのでしょうか?
クラウドファンディングとは、資金を調達したい人がプロジェクトを公開し、不特定多数が支援を行うシステムのことです。
この言葉は「群衆(Crowd)」と「資金調達(Funding)」という言葉を組み合わせた造語です。
クラウドファンディングは、インターネットのサイトでやりたいことを発表し、賛同してくれた人から広く資金を集める仕組みです。
ネット上でのコミュニケーションや決済が一般的になったことが普及を後押ししました。
クラウドファンディングは2000年代後半からアメリカで盛んになり、日本では2011年の東日本大震災が契機となりました。
支援したお金がどのように使われるのかが分かること、少ない額から気軽に支援できることなどが、被災地の復興支援に必要な資金を集めるために大きな役割を果たし、注目されるようになりました。
クラウドファンディングには「購入型」「寄付型」「投資型」などのタイプがあります。
購入型は、出資者に商品やサービスなどのリターンを提供するものです。
寄付型は、出資者にリターンを提供しないもので、社会貢献や寄付が目的です。
投資型は、出資者に金銭的なリターンを提供するもので、融資型、不動産投資型、ファンド投資型、株式投資型などがあります。
新しいテクノロジーを使った商品開発、映画・CDの製作や本の出版、アーティストへのメッセージ広告、スポーツ選手・団体の応援、地域の町おこし、小児医療やがん患者への支援など、様々な分野で活用されています。
クラウドファンディングのメリットは、発起人にとっては、銀行やベンチャーキャピタルなどに頼らずに資金を集められることです。
中小企業や個人などの事業規模が決して大きくないプロジェクトであっても、出資を呼びかけることが以前よりも劇的に簡単になりました。
また資金調達だけでなく、新たなファンの獲得や商品・サービスの認知度向上といったマーケティング効果も期待できます。
出資者にとっては、高利回りな投資ができたり、社会貢献ができたりすることがメリットです。
しかしクラウドファンディングには、当然デメリットもあります。
発起人は目標額が集まらない可能性があったり、頓挫すると社会的信用を失ったりするリスクがあります。
出資者は途中で解約できなかったり、予定通りの収入が得られなかったりするリスクがあります。
クラウドファンディングは、新しい資金調達の仕組みとして注目されていますが、その特徴や種類やメリット・デメリットを理解して利用することが大切です。
クラウドファンディングの心理学
どのような心理が働いてクラウドファンディングを立ち上げようとするのか、またクラウドファンディングに協力しようとするのかについて考えてみましょう。
クラウドファンディングの発起人の心理
クラウドファンディングについて発起人の心理については、以下のようなことが考えられます。
資金調達の目的
発起人は、自分の事業やプロジェクトに必要な資金を集めるために、クラウドファンディングを利用します。
資金調達の目的は、新製品の開発や製造、イベントやコンサートの開催、社会貢献やチャリティー活動などさまざまです。
発起人は、自分のプロジェクトに対する情熱やビジョンを伝えることで、支援者からの出資を得ようとします。
リターンの提供
発起人は、支援者に対してプロジェクトの成果物やサービス、特典や感謝状などのリターンを提供します。
リターンは、支援者の貢献度や満足度に影響する要素です。
発起人は、リターンの内容や価値を工夫することで支援者の関心や応援意欲を高めようとします。
コミュニケーションの重視
発起人は、支援者とのコミュニケーションを重視します。
コミュニケーションは、プロジェクトの進捗や結果を報告したり、感謝やお礼を伝えたりすることで、信頼関係を築くことができます。
また、支援者からのフィードバックやアドバイスを受け入れたり、参加型のイベントやワークショップを開催したりすることで、仲間意識や参加感も高まります。
以上のように、クラウドファンディングについて発起人の心理は、資金調達・リターン・コミュニケーションの三つの要素にまとめることができます。
しかし、これらは一様ではなく、発起人ごとに異なる思いや目標があることも忘れてはいけません。
そのためには、発起人が自分のプロジェクトに対するストーリーやメッセージを明確に伝えることが大切でしょう。
クラウドファンディングの出資者の心理
クラウドファンディングに出資する人の心理については、様々な見解がありますが、一般的には以下のような要因が考えられます。
プロジェクトへの共感
出資者は、自分が応援したいと思うプロジェクトに対して、金銭的な支援を行います。
プロジェクトの目的や内容、社会的な意義や価値などが、出資者の価値観や感情に訴えることが重要です。
例えば、地域社会の役に立つ事業や、自分の趣味や関心に関連する事業などが該当します。
リターンへの期待
出資者は、プロジェクトの成功によって得られるリターンを期待しています。
リターンとは、金銭的な利益だけでなく、プロジェクトの成果物やサービス、特典や感謝状なども含まれます。
リターンは、出資者の貢献度や満足度に影響する要素です。
ワクワク感
出資者は、プロジェクトの進捗や結果を見守ることで、ワクワク感や楽しさを感じます。
プロジェクトが話題性や面白さを持っていると、出資者は自分もその一部になれると感じます。
また、プロジェクトの発起人や他の出資者とコミュニケーションを取ることで、仲間意識や参加感も高まります。
以上のように、クラウドファンディングに出資する人の心理は複雑で多様です。
しかし、共通して言えることは、出資者は自分が関わったプロジェクトが成功することを望んでいるということです。
そのためには、発起人が出資者の心理を理解し、信頼関係を築くことが大切でしょう。
サウナのクラウドファンディング
サウナのクラウドファンディングは、サウナ施設の新規開業や改装、サウナ文化の普及などを目的として行われる資金調達の方法です。
インターネット上のプラットフォームを通じて、サウナに関心のある人々から支援を募ります。
サウナのクラウドファンディングに参加すると、様々なリターンが得られます。
例えば、以下のようなものがあります。
サウナ施設の利用券や会員権
サウナ施設のオリジナルグッズや特産品
サウナ施設のオープニングパーティーやイベントへの招待
サウナ施設の命名権や看板掲示権
サウナ施設とコラボした商品やサービス
もっとも有名なのは「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」でしょう。
CAMPFIREとは、日本最大のクラウドファンディングプラットフォームで、様々な分野やカテゴリーのプロジェクトが支援を募っています。
CAMPFIREにはサウナに関しても数多くのプロジェクトがあります。
最近では、「毎日サウナ」のクラウドファンディングが話題です。
毎日サウナはクラウドファンディングで資金を集め、2022年3月、群馬県前橋市に誕生しました。
「今までにない毎日、気軽に、ととのえるサウナ施設を作りたい」
「毎日お風呂に入るように、サウナにも毎日入っていただきたい」
「サウナを通じて人々の癒しの空間を作りたい」
「サウナを日本の文化にしたい」
このようなコンセプトを元に誕生したのが毎日サウナです。
そして2023年、東京都八王子市に毎日サウナ2号店を作るプロジェクトが始動しました。
驚くべきは開始40分で目標金額1,370,000円(良いサウナ)を達成したことです。
2022年12月に名古屋市西区浅間町にオープンし、築70年以上の古民家をリノベーションしたサウナ施設「KIWAMI SAUNA(キワミサウナ)」。
名古屋市中区にあるサウナ施設「120℃名古屋」が、120℃の本格サウナや天然地下水の水風呂などの究極のサウナ「KIWAMI」を作るためにクラウドファンディングを行ったプロジェクトで、目標金額は1000万円でしたが、658人の支援者から1038万円を集めました。
宮城県気仙沼市にある民宿「唐桑御殿つなかん」は東日本大震災でのボランティア受け入れをきっかけに生まれました。
その後、新たに作られた防潮堤で海が見えなくなったことに対抗して、海辺にある小屋を海とつながるサウナに作り変えるプロジェクト「海の見えるサウナを作りたい!―津波で流されなかった倉庫をサウナに変える―」を立ち上げました。
そして完成したのが「つなかんサウナ」です。
24時間365日通える月額会員制サウナ「120℃浅草橋NETU」もクラウドファンディングで資金を集めました。
また、サウナ愛好家や専門家が執筆するサウナ専門雑誌「サウナランド」を創刊するためにクラウドファンディングを行ったプロジェクトも有名です。
目標金額は100万円でしたが、2021年1月末に創刊され、1000万円以上を集めました。
その後2022年7月には、東京の浅草に「サウナランド浅草 – SAUNALAND ASAKSA-」がオープンし話題を集めました。
2023年には福岡県のNayutaが、ムスリムフレンドリーな露天風呂や大浴場、露天薪サウナなどを併設した施設「THE VANISH」を建設し、観光誘致を目指すクラウドファンディングを行いました。
その他のサウナのクラウドファンディングとして有名なのが「渋谷SAUNAS(サウナス)」です。
サウナを題材にした人気漫画「サ道」の作者であるタナカカツキ氏が総合プロデュースを手掛けるサウナ施設渋谷SAUNASは、既存のサービスではなく、ECプラットフォーム「STORES(ストアーズ)」で立ち上げたECサイトをクラウドファンディングに活用して資金を集めました。
プロジェクト開始から3か月で1400万円以上の資金集めに成功し、最終的には目標金額の2000万円を集め、2022年12月にオープンし人気を集めています。
9つのサウナ室と4つの水風呂、外気浴スペースなどを備えた3階建ての新築サウナ専門ビルで、毎日男女のスペースが入れ替わるため、全てのサウナを堪能できます。
CAMPFIREでは現在も多くのサウナのクラウドファンディングが企画されています。
興味のある方はCAMPFIREの公式サイトで検索してみてください。
クラウドファンディングを脳科学で探る
ここまでクラウドファンディングの一般的な知識について説明してきました。
クラウドファンディングの心理を脳科学で探る
クラウドファンディングを発起する人、出資する人、いずれにおいてもクラウドファンディングに参加する人の脳ではさまざまなことが起きています。
その結果として、さまざまな心理が生み出されていきます。
プロジェクトに対する興味や関心
プロジェクトの目的や価値観に対する共感や支持
プロジェクトの成果やリターンに対する期待や欲求
プロジェクトの発起人や参加者との関係や信頼
プロジェクトへの参加による自己実現や社会貢献感
プロジェクトへの参加による仲間意識や所属感
これらの心理は、脳科学的に見ると、脳内でさまざまな神経回路や神経伝達物質が活性化されることによって生じると考えられます。
例えば、興味や関心は、前頭前野や側頭葉などの認知機能に関わる部位が働くことで生じます。
共感や支持は、鏡像ニューロンや帯状回などの社会的認知に関わる部位が働くことで生じます。
期待や欲求は、側坐核や前帯状回などの報酬系に関わる部位が働くことで生じます。
信頼は、扁桃体や下垂体などの情動系に関わる部位が働くことで生じます。
自己実現や社会貢献感は、前頭前野や扣帯回などの自己意識に関わる部位が働くことで生じます。
仲間意識や所属感は、視床下部や背側縫線核などの親和性に関わる部位が働くことで生じます。
これらの神経回路や神経伝達物質は、互いに影響し合ってバランスを保ちながら、人間の行動や判断を決定づけています。
クラウドファンディングを行うことで、これらのさまざまな脳内メカニズムが刺激されて快楽を得たり、不快感を回避したりすることができるのです。
クラウドファンディングの発起人の心理を脳科学で探る
クラウドファンディングの発起人は、クラウドファンディングによって、自分の事業やプロジェクトに必要な資金を集めることができます。
このとき、発起人の脳では、セロトニンと呼ばれるホルモンが分泌されます。
セロトニンは、自信や幸福感などのポジティブな感情を生み出す役割を持ち、発起人は自分のプロジェクトに対する情熱やビジョンを強めます。
また発起人は、支援者からのフィードバックやアドバイスを受け入れたり、参加型のイベントやワークショップを開催したりすることで、プロジェクトの品質や価値を向上させることができます。
このとき、発起人の脳では、アセチルコリンと呼ばれる神経伝達物質が分泌されます。
アセチルコリンは、学習や記憶などの認知機能を向上させる役割を持ち、発起人は自分のプロジェクトに対する知識やスキルを高めるのです。
クラウドファンディングの出資者の心理を脳科学で探る
クラウドファンディングの出資者は、クラウドファンディングに参加することで、自分が応援したいと思うプロジェクトに対して、金銭的な支援を行います。
このとき、出資者の脳では報酬系統と呼ばれるドーパミンが分泌される神経回路が活性化します。
報酬系統は、期待や喜びなどのポジティブな感情を生み出す役割を持ち、出資者は自分の支援がプロジェクトの成功につながることを期待してワクワク感や楽しさを感じます。
また出資者は、プロジェクトの成果物やサービス、特典や感謝状などのリターンを受け取ることで、自分の支援が認められたり、価値があったりすることを実感します。
このとき、出資者の脳では、オキシトシンと呼ばれるホルモンが分泌されます。
オキシトシンは、信頼や愛情などの社会的な感情を生み出す役割を持ち、出資者は発起人や他の出資者との信頼関係や仲間意識を高めます。
このように、クラウドファンディングの発起人と出資者では別々の神経伝達物質…いわゆる脳内麻薬が分泌されて、それぞれ特有の心理が湧きあがるわけです。
”脳内麻薬の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
参考【サウナ好き必見】「サウナでととのう」の意味、方法、効果を脳科学で探る
「サウナでととのう」とは脳科学的にどのような意味や方法や効果があるのでしょうか?? そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。 このブログでは脳神経外科医 ...
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もちろん、これらはあくまで一般的な傾向であり、個人差や文化差も存在します。
また、クラウドファンディングにおける脳科学的なプロセスはまだ十分に解明されていない分野でもあります。
“クラウドファンディングの脳科学”のまとめ
クラウドファンディングを脳科学で説き明かしてみました。
今回のまとめ
- クラウドファンディングとは、資金を調達したい人がインターネットのサイトでプロジェクトを公開し、不特定多数が支援を行い、資金を集めるシステムのことです。
- 近年多くのサウナ施設のクラウドファンディングのプロジェクトが立ち上がり、成功をおさめています。
- クラウドファンディングの発起人と出資者ではそれぞれ異なった心理が存在し、それらが複雑に絡み合って信頼関係が生みだされます。
- クラウドファンディングの発起人と出資者の脳では、それぞれ異なった複数の脳内麻薬が分泌され、それぞれ特有の心理状態を生み出しています。
- クラウドファンディングの脳科学的な解析はまだ十分ではなく、今後新たなことが解明されていくでしょう。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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