禅は脳にどのような影響をあたえるのでしょうか?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
禅が脳に影響をあたえる「マインドフルネス」を脳科学で説き明かします。
「マインドフルネス」を探る
マインドフルネスの脳科
- 禅が目指すものは、精神の統一、そしてまっさらな心=仏性であり、そのために坐禅をして瞑想をします。
- 脳科学的瞑想がマインドフルネスであり、脳の思考を”今”だけに向けた状態です。
- 瞑想やマインドフルネスでは、脳内のネットワークを自在に操り脳内麻薬を分泌することが可能となります。
- サウナでマインドフルネスを体感して、至高のサウナトランスを体感してみてください。
現代の日本では第3次サウナブームによって多くの施設がにぎわっています。
“サウナブームの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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サウナの醍醐味(だいごみ)は何と言っても、サウナトランス=「サウナでととのう」でしょう。
温かいサウナと冷たい水風呂、休息タイムを繰り返す温冷交代浴では徐々に体の感覚が鋭敏になってトランスしたような状態になっていきます。
トランス状態になると、頭からつま先までがジーンとしびれてきてディープリラックスの状態になり、得も言われぬ多幸感が訪れます。
これがいわゆるサウナトランスであり、そして「サウナでととのう」の状態です。
”サウナでととのうの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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サウナ―達は至高のサウナトランスを味わうためにサウナに通うわけです。
最近自分が体験したサウナでは、千葉県野田市の「野天風呂 湯の郷」の「サウナ-禅-」でのサウナトランスが最高の体感でした。
湯の郷は、東京・千葉・山梨・岐阜の温浴施設「稲城天然温泉 季乃彩」、「多摩境天然温泉 森乃彩」、「湯どころ みのり」、「道志川温泉 紅椿の湯」、「COCOFURO ますの湯」、「佐倉天然温泉 澄流」、「南柏天然温泉 すみれ」、「COCOFURO たかの湯」、「COCOFUROかが浴場」を運営している株式会社楽久屋さんの施設です。
サウナエリアは、2022年9月17日にリニューアルされました。
ちなみに今回のリニューアルは株式会社楽久屋さんの内田茂樹社長さんが直接手掛けたそうです。
リニューアルのテーマは「別世界に訪れた」で、男性サウナには神宿るサウナ「サウナ-禅-」が誕生しました。
「サウナ-禅-」では、木の宝石とも言われる高級木材のケロ材が用いられていて、甘く柔らかい香りが脳を瞑想の世界へと誘います。
ストーブはフィンランドのLOVAL社のヒーターを用いた特注品で、天然ヴィヒタ水を用いたセルフロウリュが可能です。
室内には脳を不思議な感覚に導いてくれる音楽が静かに流れ、まさに神宿るサウナです。
サウナ室を出て備長炭冷水風呂で体を清めたあとは、ゆらりとうごめくかがり火を眺めながら、インフィニティチェアで休息します。
禅では坐禅をして瞑想をする…というのが定番ですが、それをサウナに置き換えると、マインドフルネスを体感してトランスする…ということになります。
では禅は脳にどのような影響をあたえるのでしょうか?
禅とはそもそも何なのか?
禅と聞くと、少し難しいというイメージを持つ人も多いかもしれません。
禅は、精神を統一して真理を追究するという意味のインドのサンスクリット語の「デイヤーナ」、パーリ語の「ジャーナ」を漢訳した「禅那」(ぜんな)の略です。
禅が目指すものは、精神の統一、そして人間本来の生き方をするというものです。
精神の統一とはつまり瞑想であり、仏教における瞑想とは坐禅を行うことを指します。
ですから禅と坐禅は同様の意味になります。
坐禅は、静かに姿勢を正して座り、自分自身を見つめ直します。
一つのことに心を注ぐことで、執着することや思い込みを捨て、まっさらな心で自分や物事を捉えられるようになることを目指します。
仏教の創始者である釈迦(ゴータマ・シッタールダ)は坐禅を組み、瞑想する中で悟りを開き、仏陀となりました。
仏陀は、すべての生きるものには生まれながらにして仏性が備わっているということを悟りました。
誰しも、もともとは清らかで罪などないまっさらな心=仏性を持っているのに、迷ったり悩んだり悪事を働いたりするのは、執着や思い込みなどにとらわれているからであり、何にもとらわれない、ありのままの心を説きました。
簡単に言ってしまえば、禅とは自分自身の存在の真実を探すことであり、そのために修行をするわけです。
脳と禅がコラボした「マインドフルネス」
坐禅をして瞑想する…なんだか脳にも心にも良さそうに聞こえますが、禅の修行は厳しいものです。
禅の修行では「沈黙の行」が基本です。
スマホはもちろん、会話も、目を合わせることも禁止されます。
早朝に起床して、昼食以降は食べ物を口にすることはできません。
夜まで1日約10時間近く足を組んで瞑想をし続けます。
しかしその先には、まっさらな清い心=仏性が待っていて、ストレスは軽減され、心と脳が元気になります。
その鍵となるのは“脳内麻薬”です。
“脳内麻薬の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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脳内麻薬の代表は、快楽の「ドーパミン」、ストレスの「ノルアドレナリン」、それらを管理する「セロトニン」です。
禅では、お経を唱えたり、坐禅を組んで瞑想したり、集中して呼吸したりすることで、脳内で大量のセロトニンが分泌されます。
セロトニンを活性化させるには、言語脳を休ませその行動に集中することが大切なのです。
しかしなにも禅で修行しなくとも、日常生活の中にもセロトニンを活性化させる方法があります。
マインドフルネスは、多くの人にとってはあまり馴染みのない言葉かもしれません。
マインドフルネスとは、非宗教的な瞑想の習慣を通じて得られる気づきや、注意を払うことの感覚を指します。
マインドフルネスは、脳科学の研究から知的生産によい効果をもたらすことが確認されています。
その背景には、成人になっても脳は変化する性質を持続するという「神経可塑性(かそせい)」があります。
1990年代までは、成人すると脳は変化する性質を失い、固定化するというのが定説でした。
しかし、脳科学の研究が進み、成人の脳も変化する性質を持ち続けていることが明らかにされてきました。
2004年には、瞑想の脳科学研究の第一人者であるリチャード・デヴィッドソン氏が、成人の脳は瞑想によっても変化することを報告しています。
脳が活動する時は、通常さまざまな異なる領域間でネットワークを形成して協同的に活動します。
その1つにデフォルト・モード・ネットワーク:DMNというものがあります。
DMNは何もしていないときに働くネットワークで、ぼんやりと過去のことを思いだしたり、未来のことを想像したりすることに関わっています。
このアイドリングのおかげで、過去を整理して、未来の予測をすることができます。
しかしDMNが過剰に働きすぎると、過去の嫌な経験や将来の不安が脳や心の中に充満して精神的に不安定となってしまいます。
ですから感情や記憶に関わるネットワークとDMNとの関係性が低下すれば、脳が嫌な経験を思い出しにくくなり、しかもそれらが投影される将来の不安からも解放されます。
その結果、「今この瞬間の幸福感」を実感できるようになるわけです。
つまり瞑想やマインドフルネスによって、脳のネットワークを書き換えることは可能なのです。
瞑想やマインドフルネスによって脳内麻薬であるセロトニンの活性化を自在に操(あやつ)れるようになれば、自由にトランス状態を作り出すことも可能となります。
リラックスしていれば脳の疲れが取れるわけではありません。
リラックスしている時には脳内ではDMNが盛んに働き、その活動が過剰になると、時にはうつ状態におちいることもあります。
ですから瞑想やマインドフルネスによってDMNの過剰なアイドリングを鎮めていくことが重要なのです。
何もせずにボーッとしていることは一見リラックスしているように思えますが、実は脳の健康のためには決して良いとは限りません。
禅の境地である瞑想、そしてマインドフルネスといった第三の心的状態の重要性に多くの人が気づき始めているからこそ、マインドフルネスは今注目のキーワードの1つなのです。
サウナでマインドフルネスを体感しよう
現代では企業での「ストレスチェック」が義務化されています。
会社員の6人に1人はうつ状態にあると言われるように、ストレスは現代の社会問題となっています。
そのような中、禅の修行を源流とする脳科学的瞑想メソッドであるマインドフルネスが注目されています。
最近では多くの企業でマインドフルネスのプログラムが実践されています。
マインドフルネスを簡単に実践できるアプリも開発されています。
しかし難しいことは考えずとも、サウナでもマインドフルネスは体感できます。
サウナでの温冷交代浴は、短時間で簡単にマインドフルネスを行うことが可能です。
過去の失敗や未来への不安といったネガティブな思考によって脳はどんどん疲弊していきます。
脳疲労を引き起こす一番の原因は、たくさんの情報に惑わされ、過去や未来のことをあれこれと考えすぎて心ここにあらずで心がさまよってしまう”雑念”です。
このような思考をいったん断ち切り、脳の思考を”今”だけに向けた状態こそがマインドフルネスです。
“脳疲労の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
参考【サウナの脳科学】脳疲労はサウナで解消されるって本当?それとも嘘?脳疲労を脳科学で探る
脳の疲れはサウナで解消されるのでしょうか? そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。 このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い ...
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サウナの中でなにか近くのものに集中してじっと見つめる、目を閉じて耳を澄ます…これだけでも脳は瞑想状態になります。
しかし瞑想は慣れていないとすぐに雑念によって打ち破られ、脳活動は再開してしまいます。
ですから短時間でもマインドフルネスを繰り返し行い習慣化することが重要となります。
繰り返しサウナに入っていると、きっとマインドフルネスの効果を実感できるはずです。
しかし実際にはマインドフルネスについて考えてサウナに入る人はほとんどいないでしょう。
とは言え、このような知識を脳の片隅にでも持っているかいないかで、その効果は格段に変わります。
どこのサウナでもあなた次第でマインドフルネスを体感することは可能です。
そのような中で、湯の郷の「サウナ-禅-」はまさにマインドフルネスにはうってつけの環境がすべて備わっているサウナと言えるでしょう。
“マインドフルネスの脳科学”のまとめ
禅が脳に影響をあたえる「マインドフルネス」を脳科学で説き明かしてみました。
今回のまとめ
- 禅が目指すものは、精神の統一、そしてまっさらな心=仏性であり、そのために坐禅をして瞑想をします。
- 脳科学的瞑想がマインドフルネスであり、脳の思考を”今”だけに向けた状態です。
- 瞑想やマインドフルネスでは、脳内のネットワークを自在に操り脳内麻薬を分泌することが可能となります。
- サウナでマインドフルネスを体感して、至高のサウナトランスを体感してみてください。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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