サウナの脳科学 脳を科学する

【サウナの脳科学】サウナで脳に影響して響く音楽のジャンルとは何なのでしょう?Brain×Sauna×Musicを脳科学で探る

2022-08-25

ミュージックロウリュ-A4

サウナで脳に影響をあたえ響く音楽とはどのようなジャンルなのでしょうか?

 

そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。

 

このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。

 

基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。

 

この記事を読んでわかることはコレ!

Brain×Sauna×Musicを脳科学で説き明かします。

 

Brain×Sauna×Music=ミュージックロウリュ

サウナ×音楽-1-min

Brain×Sauna×Musicの脳科学

  • サウナで音楽が脳に響き渡る異次元の空間こそがミュージックロウリュの魅力です。
  • 「人は自分自身を表す音楽を選ぶ」と言われるように、人それぞれ脳に響く音楽は違います。
  • ぜひ自分の脳に影響を与え響き渡る音楽を見つけ出して、ミュージックロウリュで素敵なサウナトランスを体感してみてください。

現代の日本では第3次サウナブームによって多くの施設がにぎわっています。

 

“サウナブームの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。

サウナブーム-A2
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多くの施設では、サウナ室は薄暗く静まりかえっています。

 

中にはテレビがあったり、USENで音楽が流れている施設も数多くあります。

 

へなお
そのような中で、今話題なのが「ミュージックロウリュ」です。

 

ミュージックロウリュとは、音楽に合わせて蒸気と熱風が発生するエンターテインメント型ロウリュです。

 

「ミュージックロウリュ」と検索すると一番に出てくるのは、「南柏天然温泉 すみれ」です。

 

すみれ-2

 

すみれは、「株式会社 楽久屋(らくや)」が運営する温泉施設で、2021年2月にリニューアルオープンしました。

 

その後「佐倉天然温泉 澄流」が2021年10月にリニューアルオープンしました。

 

この2つの施設の岩盤浴エリアではミュージックロウリュが行われています。

 

へなお
岩盤浴で寝っ転がってのミュージックロウリュは新感覚です。

 

澄流

 

そして2022年3月「COCOFUROたかの湯」がリニューアルオープンし、初めてサウナ室でのミュージックロウリュが導入されました。

 

たかの湯-1-min

 

“COCOFURたかの湯の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。

ミュージックロウリュ-A1
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たかの湯では毎日3曲+サイレントのロウリュが20分毎に行われています。

 

たかの湯-2

 

さらに、2023年5月「COCOFUROかが浴場」がリニューアルオープンしました。

 

かが浴場ではたかの湯よりもぐっと広いサウナ室でコンサート会場のような高音質で爆音の中でミュージックロウリュを楽しめます。

 

 

 

かが浴場では毎日4曲のミュージックロウリュが30分毎に行われています。

 

ミュージックロウリュでは邦楽、洋楽のさまざまなジャンルの音楽が日替わりで流れています。

 

ここで1つの疑問が浮かびます。

 

サウナではどのような音楽が脳に影響をあたえ響くのでしょうか?

 

へなお
では、脳とサウナと音楽…Brain×Sauna×Musicを脳科学で説き明かしていきましょう。

 

脳とサウナと音楽の関係

サウナ×音楽-2-min

音楽はみなさんが想像している以上に脳に絶大な影響を与えます。

 

音を聴覚的に認識し、ハーモニー、音韻、旋律などの音楽を認知することで脳は活性化されます。

 

また音楽によって創造力や集中力が高まり、静かな想像力をともなうリラックス状態が生まれます。

 

“音楽の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。

音楽-A2
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「人は自分自身を表す音楽を選ぶ」

 

このような言葉がありますが、脳科学では音楽の嗜好(しこう)が人格に関係していることがすでに証明されています。

 

さらに最近の研究では、「音楽の好みと思考の関係」も発見されています。

 

ある研究によると、感情移入しやすい人はR&B、ソウル、アダルト・コンテンポラリー、ソフトロックなどのメロウな音楽を好みます。

 

また、論理的な考え方をする人は、パンク、ヘビーメタル、ハードロックなどのより激しい音楽を好むことが示されています。

 

しかも「音楽の好みと思考の関係」は不変的なものではなく、生きていくうちに変化していきます。

 

たとえば専門的な音楽訓練によって高度な技能や高い認知能力が養われた場合は、脳に形態的、機能的な変化が引き起こされます。

 

音楽家の脳では、音楽に関わる脳の領域=“音楽脳”の容積が増大しています。

 

このような音楽による脳の変化はなにも音楽家でなくても、一般的な人でも起こり得ます。

 

音楽の好み、好みの楽器(ピアノ、ヴァイオリンなど)の音、音楽の種類(クラシック、ロックなど)、音楽によって引き起こされる感情、新しいものかなじみがあるものか、感動的か退屈しないか、などなど個人の趣向が、音楽家ほどでなくても脳に形態的、機能的な変化を多少なりとも引き起こします。

 

このような音楽による脳の変化は結果として、オーガズムを感じる、美味しいものを食べる…といった他の多くの心地よい快楽的な活動と同じ脳の部位を活性化しやすくさせ、多くの脳内麻薬を放出させます。

 

脳内麻薬は、ホルモン系や自律神経系にポジティブな効果をおよぼしますし、認知機能、情動、気分状態にも変化をおよぼし、快楽的な感情を引き起こします。

 

へなお
ですから脳内麻薬をいかに分泌させるようにするかが重要な鍵になってきます。

 

へなお
ここで今回のテーマである「脳とサウナと音楽の関係」について考えてみましょう。

 

ひとえに脳内麻薬と言っても色々な種類があります。

 

その中で、サウナで分泌される脳内麻薬と同じ種類のものが分泌されやすい音楽がサウナ室内で流れたらどうでしょう?

 

間違いなく、サウナと音楽が共鳴して大量の脳内麻薬が分泌され、極上のサウナトランス=「サウナでととのう」をもたらしてくれるはずです。

 

サウナの醍醐味(だいごみ)は、何と言っても温冷交代浴によって身体の感覚が鋭敏になって脳内麻薬が導き出すサウナトランス=「サウナでととのう」です。

 

サウナで分泌される脳内麻薬は主に4つで、「セロトニン」、「オキシトシン」、「ドーパミン」、「エンドルフィン」です。

 

”サウナと脳内麻薬の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。

サウナでととのう-A3
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セロトニンは、癒しや安らぎをもたらします。

 

ですから“幸せホルモン”とも呼ばれています。

 

オキシトシンはつながりの幸福感をもたらします。

 

ドーパミンはやる気の幸福感をもたらします。

 

エンドルフィンは、通常の麻薬のように鎮痛作用や抗不安作用があり苦痛を緩和します。

 

へなお
では、どのような音楽がこれらの脳内麻薬を分泌させ、サウナで脳に響くのかを音楽のジャンル別に探っていきましょう。

 

脳とサウナとクラシック音楽

サウナ×音楽-3-min

へなお
まずはクラシック音楽です。

 

クラシックという単語には「古典的」という意味があります。

 

ですからクラシック音楽とは古典的な音楽であり、具体的には17世紀~20世紀代前半までのヨーロッパを中心とした西洋音楽のことを指します。

 

特にドイツとオーストリアは数々の偉大な作曲家を排出しており、クラシック音楽の原点ともいえる国です。

 

へなお
一般的に「クラシックは良い音楽だ」、「心にも頭にも良い影響がある」…そのようなイメージでしょう。

 

そのような「クラシック信仰」とでもいうべき見方が世の中には根強く存在します。

 

へなお
この思考の根源となっているのが「モーツァルト効果」です。

 

“モーツァルト効果の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。

モーツァルト-A2
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モーツァルト効果とは、1990年代にモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を新生児に聴かせると知能が高くなるという、一種の都市伝説です。

 

そもそもモーツァルト効果は、1993年に有名な科学雑誌である『Nature』に掲載された「モーツァルトを聴かせたら大学生の認知力テストの成績が上がった」とする研究報告によるもので、発表されるとまたたく間に全世界に広まりました。

 

へなお
しかしその後の検証で、モーツァルト効果は否定されています。

 

とは言え、音楽は人の感じ方を変え、感じ方が変われば認知能力が変わることは確かなことです。

 

その中で、幼少期にモーツァルトを聴くと認知面でメリットが得られる可能性があるという見解だけが独り歩きしまったわけです。

 

へなお
話をサウナに戻しましょう。

 

サウナ室内でクラシックが流れている施設はあまりありませんし、自分も経験したことはありません。

 

しかし多くの音楽ジャンルの中で、クラシック音楽はストレスを緩和するリラクゼーション効果において群を抜いています。

 

これは、リラックス下で発生するアルファ波が増えることが大きな理由です。

 

アルファ波とは、人間がリラックスしているときや目を閉じているときに多く発生する脳の波形=脳波です。

 

この脳波が発生すると、脳内麻薬であるエンドルフィンが分泌されます。

 

エンドルフィンは、通常の麻薬のように苦痛を緩和しストレスを減少させる効果が主ですが、脳内の報酬系回路を活性化させ多幸感をもたらしてくれます。

 

マラソンなどで長時間走り続けると気分が高揚してトランス状態となるランナーズ・ハイは、まさにエンドルフィンの分泌によるものです。

 

アルファ波は「1/fゆらぎ」という周波数の物理現象から生まれます。

 

「1/fゆらぎ」とは、ろうそくの炎の揺らめきや小鳥のさえずりなどの現象に対して発生しますが、クラシック音楽にはこのゆらぎが多くふくまれているので、アルファ波を誘発する効果があるとされています。

 

その他にもクラシック音楽にはさまざまな効果があります。

 

クラシック音楽は基本的に、リズム、メロディ、ハーモニーの3要素が複層的に調和した、非常に高度な構成になっています。

 

人の脳は、より複雑なもの、難解なものを理解した時に快感を得るので、クラシック音楽を聴くことは高次機能を司る部分を刺激することになり、「進化の喜び」とでも言うべき強い幸福感を引き起こします。

 

これは脳内麻薬であるドーパミンによる効果です。

 

このようにクラシック音楽は、多くの脳内麻薬を分泌しますので、サウナで脳に響くことは十分に期待されます。

 

しかしクラシック音楽の多くは少なくとも10分以上はありますので、なかなかサウナでは流れていないのでしょうね。

 

ゆったり過ごせる脱衣所や外気浴スペースには合っているのかもしれません。

 

脳とサウナとロック

サウナ×音楽-4-min

へなお
ミュージックロウリュでもっとも流れているのは何と言ってもロックでしょう。

 

アメリカの大学の研究によると、人間の耳は構造的に低音や重低音域が脳に届きやすく、自分の行動を律する社会性や正義感と密接に関わる脳の領域を刺激すると言われています。

 

中でも映画『ボヘミアン・ラプソディ』で再び脚光を浴びているQueenの『We Will Rock You』は一番効果的であったと結論付けています。

 

 

また音楽のストリーミング配信サービス「Spotify」と医師向けのインスタグラム「Figure 1」がアメリカの医師を調査したところ、90%の外科医が手術中に音楽を流していると答え、最も人気のジャンルは「ロック(49%)」でした。

 

「ロックを流すと快適になり、手術に集中できる」…そのような意見が多かったようです。

 

なかでもメタリカ、レッド・ツェッペリン、AC/DCなどの人気が高いことが示されています。

 

また、イギリスの大学の研究によると、成績の優秀な学生を選んでヘヴィメタルに関する調査を実施したところ、ヘヴィメタルにはストレス発散や欲求不満の解消に役立つ効果が認められました。

 

ヘヴィメタルはプレッシャーを一次的に忘れ去ることができ、ストレス耐性を上げることが示されています。

 

オーストラリアの大学の研究では、怒りの感情を呼び起こし、そのあとに好きな音楽を10分聴いたグループと、無音で10分過ごしたグループに分けて実験したところ、ロックやヘヴィメタルを聴いていた1グループのみ怒りがおさまりました。

 

心を落ち着かせたい時は穏やかな曲を聴きがちですが、実はそれは逆効果ということです。

 

孤独を感じたり、ネガティブな感情に陥ったりした時に、心理状態を安定した方向に持って行くための橋渡しとして、ロックやヘヴィメタルを聴くのはお勧めのアプローチというわけです。

 

このようなロックの脳への作用は、主に脳内麻薬であるセロトニンの効果で、報酬効果(多幸感、陶酔感など快楽の感覚を与える効果)をもたらしてくれます。

 

ストレスの多い現代社会においては、「もしかしたらうまくいかないのではないか」、「悪いことが起こるのではないか」…のように、不安などの内向的でネガティブな心理状態におちいりやすく、幸せホルモンであるセロトニンは不足しがちになります。

 

そんな時はロックを聴くと、セロトニンを分泌させることで、ストレス耐性を上げて、”ここぞ”というときに力を発揮できるようになるはずです。

 

サウナで灼熱の爆風を浴びながらロックを聴いて、不安や怒りなどのネガティブ思考を吹き飛ばすことは、脳にとってとても快感でありサウナトランスを導きやすい状況と言えるでしょう。

 

へなお
ですからミュージックロウリュウでは、ロックやヘヴィメタルがもっともお勧めと言えます。

 

脳とサウナとアイドル

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ミュージックロウリュでロックの次に多く流れているのは、アイドルの楽曲ではないでしょうか?

 

アイドルの音楽で重要なワードは、「推(お)し」です。

 

「推し」とは、人に薦(すす)めたいと思うほどに好感を持っている人物のことです。

 

推しを持つと、ウェルビーイングな状態になることができます。

 

ウェルビーイングとは、幸福で肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態です。

 

推しができれば、そこに向き合っている間は自らの価値を行動で示す必要がなくなり、何も持たない素の自分でいていいと思えるようになります。

 

脳をゼロの状態にして心をほどいていられる…この心境はまさにウェルビーイングと言えるでしょう。

 

アイドルに対して推しを持つ人が多いのは、「歌」と「踊り」という身体感覚に基づくウェルビーイングの原型をアイドルのパフォーマンスが有しているためと考えられます。

 

脳は踊っている他人の姿を見ているだけでも、セロトニンやドーパミン、エンドルフィンなどたくさんの脳内麻薬が分泌されることが科学的に証明されています。

 

加えて、動きがそろったダンスパフォーマンスは見る側の脳に快感をもたらします。

 

また、歌う側も歌っている最中は脳内麻薬が大量に分泌されます。

 

そう考えると、アイドルのライブに参加してそのパフォーマンスを見ることは、ウェルビーイングの究極形と言えるかもしれません。

 

このように、「推し」という心理状態は、あらゆる面で人生に多大なウェルビーイングをもたらしてくれるのです。

 

以前はアイドルと言えばソロがほとんどでした。

 

しかしいつのころからか、ソロアイドルよりもグループアイドルのほうが圧倒的に支持されるようになりました。

 

その要因は、まさにウェルビーイングにあると言えます。

 

ソロアイドルは1人である以上、アイドルとして存在し続けるために、歌唱力やダンスなどのアーティストとしてのスキルを磨き続けていなければなりません。

 

一方、グループアイドルはとにかく「一緒にいる」ことが強制的に求められます。

 

「一緒にいる」という関係性は必然的にドラマが起こりやすく、サプライズの予感が満ちています。

 

つまり個々のパフォーマンスよりも、集団の関係性に期待と関心が集まりやすいのです。

 

人気グループを脱退したあとソロになっても大成しない人が多いのはそのためです。

 

グループアイドルと同じく、人気ロックバンドもまたメンバーそれぞれの関係性というストーリーへの期待と憧れがファンの心を強く惹きつけます。

 

一級の腕前と才能を持つだけのミュージシャンが結集したとしても決して人気バンドになれるとは限りません。

 

音楽的に完成度の高い人たちを集めても、その腕前に感心はしても感動までは生まれません。

 

少し話はそれましたが、推しのアイドルがもたらしてくれるウェルビーイングの効果は絶大です。

 

推しのことを考えている時=「推し活」では、脳の中では脳内麻薬の中でもオキシトシンがもっとも放出されます。

 

オキシトシンは、通称「愛情ホルモン」とも呼ばれ、家族や恋人といるときに幸せを感じるのはこのホルモンの働きによるものです。

 

特に親密な人と手を繋いだり、ハグやキスをしたりといった身体的触れ合いをすることで、より多くのオキシトシンが放出されることが証明されています。

 

推し活をしている時の脳では、直接推しに肉体的に触れていなくてもオキシトシンが出て安心感を得ることができます。

 

さらに推しは、脳の報酬系回路にも作用します。

 

応援している推しが目標達成するなどの成功体験を得ると、その推しに感情移入している人の脳内ではドーパミンが放出されます。

 

ドーパミンは、達成感やそれに伴う快感を引き起こす脳内麻薬です。

 

推しの感情を疑似体験することで、脳は成功体験を感じ、己の成長をさらに促(うなが)すのです。

 

また、脳は過去に一度ドーパミンを放出させた刺激に再び触れると、すぐにドーパミンを出せるようになるという特性があります。

 

そのため、落ち込んでしまった時や元気が足りないと感じる時に、推しが活躍している姿を見たり、推しが歌う曲を聞いたりすると気持ちを上向きになっりやすいという効果もあります。

 

脳には、同じことを繰り返し考えるほど、回路がつながりやすくなり、より思い出しやすくなるという性質があります。

 

好きなものについてひたすら考えることで、ポジティブな気持ちを呼び起こす回路がますます働くようになり、推しに対する気持ちとは関係のない部分でもポジティブになりやすく変化していくのです。

 

ですからサウナで推しのアイドルの楽曲を聞いてウェルビーイングの境地に達することができれば、間違いなくサウナトランスを体感できるはずです。

 

脳とサウナとアニメソング

サウナ×音楽-6-min

アニメソング好きの人の脳で起こりやすいとされるのは、「アニメソングが頭から離れない」「アニメソングが脳内で勝手にヘビロテされる」、そんな現象です。

 

こうした「ある音楽が頭から離れない」現象は、正式には「イヤーワーム」と呼ばれています。

 

イヤーワームはまさに耳の中に音楽の寄生虫がこびりついたような感覚です

 

イヤーワームは一度頭の中で発生すると、「認知的かゆみ」と呼べる状態を引き起こします。

 

脳は音楽を聴く時には「聴覚野」という脳領域が活性化されます。

 

ある研究では被験者に馴染(なじ)みのある曲の一部だけを聴かせると、聴覚野が自然に残りのパートを埋めようと活性化し続けることが示されています。

 

つまり、実際の曲が終わった後も、脳は続きを聞きたいと切望するわけです。

 

このもどかしさが「認知的かゆみ」です。

 

このかゆみを掻(か)く唯一の方法は、聞いた曲の部分を脳内で何度も反復する以外にありません。

 

しかもそのかゆみは、蚊にかまれた痕のように、掻けば掻くほどかゆくなります。

 

その結果、エンドレスに曲の一部分が脳内でヘビロテされるのです。

 

イヤーワームの発生率は男性よりも女性の方が高いことが判明しています。

 

また音楽家や神経質な人、あるいは疲労やストレスが溜まっている人にも多く見られます。

 

音楽家は日常的に音楽を聴く回数が多いですからイヤーワームが起きやすい状態にあります。

 

しかしなぜ男性よりも女性に多いのかはわかっていません。

 

またイヤーワームを起こしやすい曲の条件もわかっています。

 

シンプルかつキャッチーなメロディ、歌詞が反復する曲、特徴的なビートやイレギュラーなリズムが入った曲がイヤーワームを起こしやすいとされていて、アニメソングはまさにこの条件を満たしています。

 

イヤーワームを満たそうとアニメソングを聴けば聴くほど、脳は快感を得ますので、そのたびに脳内麻薬が分泌されるわけです。

 

アニメソングでは、特に快楽ホルモンであるドーパミンが大量に繰り返し分泌されます。

 

しかも曲が終わっても脳内でヘビロテされるわけですから、ドーパミンの分泌は止まりません。

 

サウナ室でお気に入りのアニメソングが流れれば、サウナによる脳内麻薬の分泌とともにイヤーワームによる脳内麻薬も加わり、間違いなくサウナトランスを体感できると言えるでしょう。

 

脳とサウナとバラード

サウナ×音楽-7-min

心が疲れていたり恋愛で悩んでいたりする時にそっと寄り添ってくれる、歌詞やメロディーにじっくり耳を傾けたい音楽が「バラード」です。

 

バラードは不思議な力を持っています。

 

曲を聴き終えて、もっと明るい曲を聴くための心の準備ができたと思っても、何かが再びバラードに引き戻すのです。

 

なにも失恋したわけでもなければ、ついてない一日だったわけでもありません。

 

それでもバラードの歌詞に浸(ひた)りながら、もう一度聴かずにはいられなくなってしまう…

 

もう一回、そしてさらに、もう一回…

 

別にマゾヒストというわけではありません。

 

音楽は脳に強い影響を与えます。

 

特に悲しい曲ほど影響力は大きく、繰り返して聴いてしまうものです。

 

繰り返し悲しいバラードを聴いてしまうのにはちゃんとした科学的な理由があります。

 

悲しいバラードを聴くことで気持ちが落ち着き脳にポジティブな感情を生み出すことが報告されています。

 

研究によると、悲しい曲を聴いた人は、悲しい出来事が自分の身に起こっていないことを理解していながら、アーティストの悲しみに共感できるので、より感情移入することが示されています。

 

時にバラードを聴いて、涙が出てくることもあるでしょう。

 

この気持ちの高ぶりは人間行動のメカニズムに由来するもので、悲しみに感情移入することで、脳は逆に強い浄化作用を起こします。

 

最近の研究では、泣くことで気持ちを高め、泣く前よりも気持ちが楽になることが示されています。

 

つまり悲しいバラードに惹きつけられるのは、バラードに共感することで脳の中のネガティブ思考を浄化することにあるわけです。

 

さて、バラードを聴いて脳内麻薬は分泌されるのでしょうか?

 

バラードを聴いている時は、いわば「エモい」状態と言えます。

 

「エモい」とは「感情が動かされている」「感情が高まって強く訴えかける心の動き」「状況や人や物事に感情移入している」…そんな状態です。

 

へなお
なんだかわかったようなわからないような…そんな感じですよね。

 

「エモい」状態とはそもそも「なんとも言い表すことができない心が揺れ動いている状態」なのでそもそもわかりにくいのです。

 

“エモいの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。

エモい-A1
参考【エモい】とはどういう意味?感情移入しやすい人の心理と理由を脳科学で探る

若者がよく使う「エモい」ってどういう意味? 感情移入しやすい人の心理ってどうなっているの?   そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。   このブログでは脳神 ...

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脳は感情移入してエモい状態になったとしても、その状態は長続きはしません。

 

また過去にエモい経験をしていたとしても、今後同じ状況に対して同じようにエモい状態になるとは限りません。

 

たとえば、事故で大けがを負ってつらい経験をした人でも、事故から時間がたってけがが治ってしまうと、必ずしも同じけがをしてつらい思いをしている他人を思いやれるわけではない…ということです。

 

脳が感情移入してエモい状態に浸っている時間はしょせんその時だけなのです。

 

とは言えエモい状態ではその一瞬に脳内麻薬が噴出するように湧き出されます。

 

そしてサウナに入っている時間もそう長時間ではありません。

 

ですからサウナでロウリュを浴びながら、短時間で一瞬にして脳内麻薬を大量に分泌したいのであればバラードはもってこいでしょう。

 

COCOFURたかの湯の”バラードday”では、いつもの爆風は吹かず、バラードを聴きながら熱々のロウリュウのみで蒸されるという体験ができます。

 

くり熱々で蒸されて、バラードを聴きながら脳内麻薬によってエモい状態を体感する、しかもそれによって一瞬にして脳が浄化される…その先に待っているのは最高のトランスです。

 

脳とサウナとダンスミュージック

サウナ×音楽-8-min

ダンスミュージックと聞いて素人の自分が思い浮かべるのは、ソウル・ミュージックです。

 

ソウル・ミュージックは1950年代のアメリカにおいてアフリカ系アメリカ人のゴスペルとブルースから発展しできた音楽の体系とされていて、文化性や芸術性よりも商業性や流行性が重視されている音楽です。

 

ダンスミュージック=ソウル・ミュージックではありませんが、ダンス経験者が思い浮かべるのは、レゲエ、ヒップホップ、R&Bではないでしょうか。

 

この3つはダンスミュージックとして兄弟関係にあると言われる一方で、発祥地や音楽性に違いがあります。

 

レゲエはジャマイカで生まれた黒人音楽のジャンルです。

 

ヒップホップはアメリカで生まれたストリートカルチャーです。

 

R&Bはリズム・アンド・ブルースの略で、ブルースやゴスペルから発展してアメリカで生まれた黒人音楽のジャンルです。

 

正直どの音楽ジャンルも自分にはあまりなじみがありませんが、脳科学的に探ってみましょう。

 

まずレゲエです。

 

レゲエを好む人は、開放性が高く、新しいことをオープンに受け入れることが得意で好奇心が強い人が多いされています。

 

多様性を受け入れ、知的好奇心が強い傾向があるとされています。

 

ヒップホップを好む人は、慎重でコツコツと物事を進めるのが得意な、誠実性が高い人が多いということが示されています。

 

R&Bを好む人は、外向的な性格でとされています。

 

つまりいずれのジャンルにおいてもダンスミュージックを好む人は、友好心や好奇心が強く、人とのつながりを好む性格と考えられます。

 

このような人の脳では愛情ホルモンであるオキシトシンが大量に分泌されます。

 

オキシトシンはつながりの幸福感をもたらしてくれます。

 

サウナ室でダンスミュージックが流れれば、サウナ―達はみんな仲良しノリノリで、もしかしたら踊り出す人も出てくるかもしれません。

 

脳とサウナとジャズ

サウナ×音楽-9-min

サウナでジャズが流れている施設はめずらしいかもしれません。

 

東京の人気のサウナである「松本湯」ではサウナ室でジャズを聴きながらのロウリュが楽しめます。

 

松本湯-1-min

 

地下にある「えごた湯」は、地球の恵み=水・地・光・熱を感じる神聖な癒しの空間を演出している銭湯です。

 

サウナ室では静かにジャズが流れていて、神秘的で不思議な空間を演出しています。

 

えごた湯-1-min

 

佐倉天然温泉 澄流」では岩盤浴&サウナ LeLuの「セルフロウリュ 蒸香(じょうこう)の間」でジャズが楽しめます。

 

ジャズは脳の疲労回復をもっともサポートしてくれると言われています。

 

そもそも音楽は脳を活性化させる働きがあります。

 

快楽を感じさせる脳内麻薬の分泌を活性化させて、脳をリフレッシュさせてくれます。

 

その中でもジャズが特に脳の疲労回復に効果的な理由は、独特なリズム感にあります。

 

リズミカルなジャズは、脳の一部を刺激し脳全体のバランスを整えてくれます。

 

つまりジャズによって、脳のリラックス状態を作り出すことができるのです。

 

ジャズのリズムの基本は、ジャズ独特の「Swing Feel(スイングフィール)」です。

 

Swingではふたつの連続した音符のうち、初めの音符の長さを長めにとり、ふたつめの音符を短くするという特徴があります。

 

これによってSwingを効かせたジャズは、速い曲調でも遅く感じやすくなります。

 

ジャズを聴くと、Swingの特性によって、穏やかでゆっくりとした時間の流れを感じられ、リラックス空間を作り出すことができるわけです。

 

しかも曲自体はアップテンポで流れるため、まったりしすぎず適度な緊張感も与えてくれます。

 

人間の生理的欲求や感情を司(つかさど)るのは旧脳(原子脳)と呼ばれる領域で、そこから分泌される脳内麻薬はセロトニンです。

 

セロトニンは、癒しや安らぎをもたらしてくれる “幸せホルモン”です。

 

旧脳は「原始的に」そして「感情的に」音楽を認識します。

 

大地が揺れるような打楽器や、声楽などが多用された、リズムを肌で感じるような音楽を旧脳は好みます。

 

リズムが際立った音楽のひとつとしてジャズを挙げることに異論を唱える方はいないでしょう。

 

アメリカのニューオリンズを発祥の地として、西洋音楽とアフリカ音楽の組み合わせにより発展した音楽であるジャズは、3連符を基本とするリズムで成り立っています。

 

この固有のリズムこそがSwingであり、元は宗教的な賛美歌やヨーロッパの軍隊音楽にもルーツを持つと言われています。

 

打楽器と弦楽器どちらの特性ももつピアノと、木管楽器と金管楽器の橋渡し役であるサクソフォンがジャズでは重要な役割を果たし、Swingのリズムで流れるような曲調を奏でるジャズを聴けば、セロトニンが大量に分泌されて、あなたの脳をトランス状態に導いてくれるはずです。

 

へなお
このように考えると、ジャズを聴きながらサウナで蒸される時間は最高の贅沢(ぜいたく)と言えるでしょう。

 

脳とサウナと邦楽と洋楽

サウナ×音楽-10-min

ここまでは音楽のジャンル別に脳とサウナとの関係を探ってきました。

 

へなお
では邦楽と洋楽を比較してみるとどうでしょう?

 

ロックやアイドルのジャンルでは邦楽と洋楽が存在しますし、ダンスミュージックはその多くは基本的に洋楽でしょう。

 

へなお
そこで邦楽と洋楽は脳にそれぞれどのように伝わり、どのように響いているのか、その違いについて探っていきましょう。

 

邦楽と洋楽の違いは、何と言っても歌詞の内容を理解できるできないの違いにあります。

 

日本音楽を理解し難い西欧人から見ると、

 

「どうして日本人はこんなに西洋音楽が好きなのか? 」

 

「果して西洋音楽が本当に好きなのか、西洋音楽をちゃんと理解できているのか?」

 

そのような疑問がよくあがります。

 

脳が音楽を理解する時に活動するのは、主に音楽脳と言語脳と呼ばれる2つの領域です。

 

音楽脳は多くの人の右脳にあります。

 

右脳はイメージ脳と呼ばれ、図形、音楽、表情を読み取り、視覚的情報の把握(はあく)、直感的思考などに関わっています。

 

一方、言語脳は多くの人の左脳にあります。

 

左脳は、言語、会話、運動、読み書き、計算、論理的思考などに関わっています。

 

音楽は最初音楽脳のある右脳で処理されますが、歌詞を聞いて言語を認識すると、言語脳がある左脳で処理されるようになります。

 

一般的に音楽脳と言語脳が同時に働くことはありません。

 

しかも一度言語脳が働き始めると、その音楽を言語として認識するので、再び音楽脳で音楽として認識することはありません。

 

ここからわかることは、邦楽は前奏では音楽脳によって音楽として認識されているものの、歌が始まると言語として認識されるということです。

 

また洋楽は歌が始まっても歌詞の意味を理解できないので、音楽脳で認識し続けます。

 

このような脳の働き方は「日本語を第一言語とする人=日本人」にのみ認められる、地球上において極めて類まれな性質です。

 

音楽を右脳で認識し、言語を左脳で認識することは、どのような国の人でも同じです。

 

日本人と他の国籍の人の脳で音声の認識で決定的に違うのは、日本人は母音も子音も言語脳で認識しますが、日本以外の国籍の人は母音を音楽脳で認識するので、たとえ歌詞のある音楽でも音楽脳が優位に働くということです。

 

ですから日本人は歌詞を聴いた途端、それがたとえリズミカルなロックであったとしても言語脳(左脳)を働かせて「言語」として認識してしまいます。

 

つまり日本人は左脳型音楽鑑賞タイプということになります。

 

一方で、日本以外の国籍の人は、歌詞を聴いても音楽脳(右脳)のみが働き、「音楽」として認識し続けることができます。

 

つまり外国人は右脳型音楽鑑賞タイプということになります。

 

へなお
これはとても大切で重要な違いです。

 

中には邦楽であっても、歌声を音楽の一部の音としてとらえ、音楽脳で認識し続ける右脳的音楽鑑賞タイプの日本人もいますが、基本的には日本人の脳では邦楽は言語、洋楽は音楽と認識するのが一般的です。

 

そのため洋楽で歌詞の意味が理解できなくても、そもそも歌詞を言語として認識していないので苦痛にはなり得ないわけです。

 

そのため左脳型音楽鑑賞タイプの日本人は、アーティストの楽曲の深い意図=アーティストの想いに重点を置きます

 

一方で右脳型音楽鑑賞タイプの外国人は、表面的・直接的に楽曲自体が自分の琴線に触れるかどうかに重点に置きます。

 

同じ音楽でも、このように日本人とそれ以外の外国人では脳の認識の仕方がまったく異なっているのです。

 

へなお
なんだか不思議ですよね。

 

ですから外国人から見れば、「歌詞の意味がわからない洋楽をどうして日本人はこんなにも好むのか?」という疑問が浮かぶわけです。

 

灼熱のサウナの中では、邦楽を聴いて歌声を言語として認識してアーティストの想いに触れる余裕があれば、言語脳が働き歌詞に対して脳内麻薬が分泌されるはずです。

 

一方であまりの熱さで歌詞を言語として認識する余裕がない場合や洋楽に対しては、音楽脳が働きメロディやリズムに対して脳内麻薬が分泌されるでしょう。

 

ミュージックロウリュでは激熱の熱風が吹き荒れるので、多くの人は邦楽であっても歌声を言語として認識できず、その結果として音楽脳のみが働くという普段では起こり得ないことが起こっているのかもしれません。

 

その結果、脳がバグを起こしトランスしやすい状況になっているのでしょう。

 

脳とサウナと演歌

サウナ×音楽-11-min

先ほどの邦楽と洋楽の脳の認識の違いを理解するのにもっとも適しているのが演歌です。

 

「日本人は母音も子音も言語脳で認識するのに対して、日本以外の国籍の人は母音を音楽脳で認識するので、たとえ歌詞のある音楽でも音楽脳が優位に働く」

 

つまり邦楽と洋楽では母音のとらえ方が大きく異なっています。

 

日本人は言語において母音を重要視し大切に扱います。

 

へなお
それがもっともわかるのが演歌です。

 

演歌で曲の最後に登場するのが「小節(こぶし)」です。

 

小節とはビブラートのように音程を上下に揺らしてうなり上げるような節回しの歌い方です。

 

小節で発せられる歌声は母音です。

 

「あなたに会いたくて」

 

という歌詞であれば、演歌では

 

「あなたにいぃ~会いたくてぇ~」

 

このように小節を効かせて歌う時は、最後にあえて母音をつけて歌います。

 

また曲の途中でも一拍一拍、一節一節で区切って最後の音の母音を効かせると、演歌はうまく聞こえます。

 

一方で洋楽では聴き手は音楽脳で認識しているので、言語をなるべく楽器音のように感じさせる歌い方が一般的で、邦楽とは大きく異なります。

 

音楽を言語脳で認識するように作られている日本人の脳では、楽器の音さえもなるべく言語に近い音に聞かせることを美徳としています。

 

さらに言えば、もう1つ日本人と外国人の脳では音に対する認識の仕方が異なっている点があります。

 

へなお
たとえb虫の音の認識の仕方です。

 

日本人は虫の音を言語脳でとらえる…つまり虫の声として認識します。

 

それに対して外国人は虫の音を機械音などと同様に音楽脳でとらえる…つまり虫の発する音として認識します。

 

このことを利用した演歌は数多くみられます。

 

そもそも歌詞に虫の名前が出てくる曲…

 

森進一 「北の蛍」

 

五木ひろし 「蝉時雨」

 

長山洋子 「蜩―ひぐらし―」

 

他にもたくさんあります。

 

このように演歌は日本人の脳に対して揺るぎない地位を築いているわけです。

 

ミュージックロウリュでもときどき演歌が流れます。

 

たかの湯-2

 

灼熱のサウナで演歌を聴いて言語脳をフル回転させれば、その先にはきっと素敵なトランスが待っているはずです。

 

脳とサウナとリズムの関係

サウナ×音楽-12-min

へなお
最後はサウナで脳に響くリズムについてのお話です。

 

灼熱のミュージックロウリュで音楽を聴きながらリズムをとっている人をよく見かけます。

 

実は、リズムへの同調は人間の脳だけが感じられる特殊な能力であり、人間以外の動物にはできないことなのです。

 

動物はリズムに乗って音楽に同調することはできません。

 

一方で、人間はリズムに合わせて手拍子をしたり足を踏み鳴らしたり体を揺らしたりダンスをしたりと、音楽に簡単に同調することができます。

 

しかも突然リズムが変わっても、すぐに新しいリズムに合わせなおすことができます。

 

これは動物の世界においては人間だけの特有な能力であり、すごいことなのです。

 

へなお
ではもっとも脳に響くリズムとはどのようなものなのでしょう?

 

ある研究で、2拍子、3拍子、4拍子の音をランダムに聞かせて各拍子における心拍数の変化を測定しました。

 

その結果、3拍子がもっとも心拍数が減少しました。

 

この結果が意味することは、自律神経のうち交感神経を抑制し、副交感神経を活性する働きは3拍子がもっとも高いということです。

 

一般的に交感神経は「闘争と逃走の神経」と呼ばれ、敵と闘い狩猟をする、敵から逃げる、といった緊張時に働きます。

 

一方で副交感神経は寝る、食べる、休息する、といったリラックスする時に働き、ストレスを緩和し回復させる効果があります。

 

つまり3拍子は脳をもっともリラックスさせストレスから解放させてくれるわけです。

 

3拍子が脳にとってもっとも心地よいリズムであることにはちゃんとした理由があります。

 

心臓の鼓動のリズムを言語化すると、『ド・ク・ン』でひとつの節になります。

 

すなわち、心臓の鼓動のリズムは『ド・ク・ン』『ド・ク・ン』『ド・ク・ン』ということになります。

 

多くの人は心臓の鼓動を『ド・ク・ン』『ド・ク・ン』と2拍子でとらえるかもしれませんが、これは生態学的にはまちがえです。

 

心臓の鼓動は3拍子であり、人間は生まれる前からこの3拍子を聴いています。

 

ですから、ゆったりとした3拍子の音楽を聴くと脳が落ち着くのです。

 

日本語は母音と子音がひとつの音になり、ひとつの文字にひとつのリズムが割り当てられるという特殊な性質を持っているので、邦楽においては歌詞の都合上4拍子が主流となっています。

 

これに対して、ヨーロッパ、アフリカ、中南米などでは3拍子の音楽が主流となっています。

 

日本人には3拍子の音楽はなじみが薄いかもしれませんが、3拍子はもっとも脳に安らぎを感じさせるリズムなのです。

 

ですからストレスを和らげるという目的や、作業効率を高めるという目的であれば、3拍子の音楽が適していると言えます。

 

高温多湿の異常空間であるサウナでは、脳は生命の危機を感じ戦闘モードになりますので、交感神経が盛んに働きます。

 

一方、水風呂、外気浴では一気にリラックスモードとなりますので、副交感神経が盛んに働きます。

 

サウナ、水風呂、外気浴の温冷交代浴では、この交感神経と副交感神経が激しく入れ替わって働くために、脳内麻薬が分泌されやすい状態となりサウナトランスが起こります。

 

ですから自律神経がうまく機能せず、交感神経と副交感神経の働きが交互に作用し合わなければサウナトランスは体感できません。

 

サウナでは4拍子の音楽で交感神経を刺激し、水風呂、外気浴では3拍子の音楽で副交感神経を刺激する…このリズムの変化こそが脳にもっとも響き、そしてサウナトランスに導いてくれるはずです。

 

ミュージックロウリュで脳に響く音楽を体感しよう

サウナ×ミュージック-14

わたしたち人間は、自分の得意なことを楽しく感じ、自分の楽しく感じることが得意であると考え、そして自分の気に入ったものとの関係を深めようとします。

 

このことを脳科学に当てはめると、「愛着」と「くり返し」と強い繋がりがあることがわかります。

 

それはサウナも音楽も例外ではありません。

 

「繰り返しサウナに入る」「繰り返し音楽を聴く」ことで、次に何が起こるのかをイメージしやすくなり、そしてさらなる愛情が生まれるのです。

 

さらにサウナと音楽が見事にマリアージュしたミュージックロウリュを繰り返し体感することによって、自分の考えを同士と共有したという気持ちが生まれるでしょう。

 

ミュージックロウリュで印象に残る体験を話す時、私たちはサウナ・音楽と自分の間の境界がなくなったかのように話すものです。

 

このようなことが起こるのは脳内麻薬に大きく起因します。

 

ミュージックロウリュを体感して、水風呂や休憩イスで座っている時に、ぞくぞくするような快感が背筋に走ったら、それは間違いなくあなたの脳の中で脳内麻薬が大量に放出されている証拠です。

 

音楽の色々なジャンルに関して、脳とサウナとの関係を探ってみましたが、ぜひみなさんの脳に影響を与え響き渡るような音楽を見つけ出して、ミュージックロウリュで体感してみてください。

 

きっと素敵な「サウナでととのう」を味わえるはずです。

 

へなお
「サウナ」についてもっと知りたい方は、こちらの書籍を参照してみてください。

 

 

へなお
ぜひ参考にしてみてください。

 

“Brain×Sauna×Musicの脳科学”のまとめ

まとめ-conclusion1-N1

Brain×Sauna×Musicを脳科学で説き明かしてみました。

今回のまとめ

  • サウナで音楽が脳に響き渡る異次元の空間こそがミュージックロウリュの魅力です。
  • 「人は自分自身を表す音楽を選ぶ」と言われるように、人それぞれ脳に響く音楽は違います。
  • ぜひ自分の脳に影響を与え響き渡る音楽を見つけ出して、ミュージックロウリュで素敵なサウナトランスを体感してみてください。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

 

今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。

 

最後にポチっとよろしくお願いします。

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  • この記事を書いた人

へなお

▶脳神経外科専門医でアラフィフおじさんの「へなお」です。▶日々脳の手術、血管内治療、放射線治療を中心に某総合病院で勤務医をしています▶一般の方でも脳についてわかりやすく理解していただけるように、あなたのまわりのありふれた日常を長年の経験からつちかった情報をもとに脳科学で探っていきます▶多くの方に脳に興味をもっていただき、少しでもこれからの生活の役に立つ知識をつけていただければと思います!

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