キャラクターは脳にどのような影響をあたえるのでしょうか?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
キャラクターが脳に影響をあたえる「キャラクター効果」を脳科学で説き明かします。
「キャラクター効果」を探る
キャラクター効果の脳科学
- キャラクターとは、架空の世界のモノを擬人化して生きている物語を吹き込んだトリックスターです。
- キャラクターは神話や民話の時代から現代まで普遍的に存在しています。
- キャラクターは脳に物理的、物語的、情緒的影響をあたえ人生を豊かにしてくれます。
- ぜひお気に入りのキャラクターを見つけ出してみてください。
現代の日本では第3次サウナブームによって多くの施設がにぎわっています。
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サウナの醍醐味(だいごみ)は何と言っても、サウナトランス=「サウナでととのう」でしょう。
温かいサウナと冷たい水風呂、休息タイムを繰り返す温冷交代浴では徐々に体の感覚が鋭敏になってトランスしたような状態になっていきます。
トランス状態になると、頭からつま先までがジーンとしびれてきてディープリラックスの状態になり、得も言われぬ多幸感が訪れます。
”サウナでととのうの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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サウナ―達は至高のサウナトランスを味わうためにサウナに通うわけです。
自分がよく行く亀遊舘では亀のマークのキャラクターがあります。
また湯乃泉東名、草加健康センターにはラッコのキャラクターがあります。
またサウナをモチーフにしたキャラクターも数多く存在します。
なお、今回はブログ内でゆる〜い広島のサウナ猫「サウニャー」さんの画像をたくさん使わせていただきました。
サウナバッグに、自分のお気に入りのキャラクターのキーホルダーや缶バッチをつけると、なんだかサウナに行くのがますます楽しくなってしまいます。
ちなみにサウニャーの商品は「サウニャーショップ」で購入可能ですので、ぜひのぞいて見てください。
年代によってもキャラクターとの関わり方はさまざまですが、“ゆるキャラ”なる言葉が存在するように多くの人が抱く感情は“癒し”ではないでしょうか。
世代を超えて多くの人に愛される“キャラクター”は、脳にどのような影響をあたえるのでしょうか?
“キャラクター”とはなんなのか?
ではまず“キャラクター”の意味について考えてみましょう。
キャラクター
『キャラクター』
キャラクターとは、性格。人格。持ち味。小説・映画・演劇・漫画などの登場人物。キャラ。文字。記号。
キャラクターは、英語「character」からの外来語。
英語の「character」は、「彫る」「刻印の道具」を意味するギリシャ語に由来する。
それが「印刻」「印象」の意味に転じ、「表徴」「記号」「文字」。さらに「性格」や「性質」を意味するようになった。
キャラクターという言葉が流行るようになった発端は、ディズニーのミッキーマウスに代表される“ファンシフル・キャラクター”と言われています。
ファンシフル・キャラクターとは、アニメやまんがの絵画のように視覚的に姿形が表現されたキャラクターのことです。
日本では1963年1月1日18時15分にテレビで「鉄腕アトム」が放送開始となったため、1963年が「まんが元年」と呼ばれていますが、そのころからテレビアニメのキャラクターを使った商品化が始まりました。
つまり日本では商業ベースのプロモーションツールとして“キャラクター”が育っていったわけです。
ですから現代の“キャラクター”の定義は、
「キャラクターとは、物語の登場人物、および架空の世界に住む人や生物、無生物などを擬人化したもので、固有名詞や人格や生きている世界を持ち、絵として目に見える形で表現されたもの」
このように言えるのではないでしょうか。
“キャラクター”の歴史
日本では無類のディズニーファンであった、まんがの神様・手塚治虫氏がキャラクター製作の元祖と言えるかもしれません。
しかしキャラクターの歴史を探ってみると、もっともっと前の時代からキャラクターは存在していました。
人間は自然界ではとても貧弱な生物です。
道具がなければ食糧を確保することもできません。
自然に対しては自分たちで環境を変えていかないと生きていけないなんとも稀(まれ)な動物です。
そのような人間にとって、自然は人間にとって水や食糧を与えてくれる慈悲深い母のような存在でもあり、一方で時には突然猛威を振るい無慈悲に命を奪っていく、まるで悪魔のように残酷な存在でもありました。
そのような偉大な自然に対峙するために人間が生み出したものが神の存在であり、原始宗教です。
このような人間の行動から、哲学の世界では人間を「animal symbolicum(象徴を操る動物)」と呼んでいます。
つまり人間は地球上に存在した時から神をシンボルとし、そのシンボルに頼って生きのびてきたわけです。
それがだんだん発展すると、さまざまな地域で土俗信仰や民話が生まれ、妖怪、精霊、悪霊といった百花繚乱のキャラクターが生まれます。
例えば、集落に昔からある大木は自分たちを守ってくれるシンボルとなり、人々の不安を解消してくれます。
動物は、人間を襲う恐ろしい生き物というだけではなく、人間に知恵や生きる術を教えてくれるシンボルとなりました。
動物でも特に神話や民話によく登場するのは”ウサギ”です。
ウサギは人間と神をつなぐトリックスターとしてよく描かれています。
トリックスターとは、もともと詐欺師(さぎし)という意味ですが、神話や物語の中でいたずら者として描かれています。
秩序の破壊者でありながら、一方で創造者であり、善と悪など矛盾した、あるいは対立した2つの項目の仲介や媒介の役目を果たす者です。
ウサギというただの動物を神と人間世界を結んでくれる仲介者とすることで、人間は神という超絶的、超自然的なものとも繋がれる、そして人間は世界で孤立した存在ではないと理解したわけです
さらに言えば神話や民話に登場してくる動物はたいてい人間臭く、ドジもヘマもやらかします。
人間は自分たちの姿をトリックスターである動物に投影して擬人化することで親近感を生み、より神に近づこうとしたのです。
現代に置き換えれば、無機質な企業や製品などを人間の話として伝えるメッセンジャーの役割を果たしているのが現代のキャラクターです。
たとえば「サウナ」という抽象的で動物に対するような感情的な絆が生まれづらいモノに対して、魂を宿らせ人格を持たせてくれるのがキャラクターです。
キャラクターを通してコミュニケーションをとることで、「擬人化して世界を理解する」という人間の脳に古代から備わっているプログラムが作動して、サウナと感情的絆ができやすくなるわけです。
“キャラクター”と脳の関係
ここまでは“キャラクター”の基礎的な知識について探ってきました。
キャラクターは脳にどのような影響をあたえるのでしょうか?
キャラクターが脳にあたえる影響は、次の3つの要素が大きく関係しています。
物語的要素
情緒的要素
物理的要素とは、キャラクターそのものが存在するという事実に価値を見出すことです。
最初に説明しましたように、目に見える形、つまりファンシフル・キャラクターとして視覚的に脳を刺激することで、脳はキャラクターを認識し、そこにキャラクターの価値がまずは生まれます。
脳がキャラクターを認識すると、そこになんらかの物語を作ろうとします。
キャラクターの背景であったり、家族であったり、友人であったり、生き方であったりさまざまな要素を作り出します。
脳はこのようなごちゃごちゃと描写されたひとつひとつの要素を寄り合わせてキャラクターの物語を作り上げていきます。
そしてそれらをなんとか1本の線でつなげてつじつまを合わせようとします。
多くの人はこの線のことを“意味”と呼びます。
そして1本の線でつながれた物語が何年にもわたって続いていくと、今度はそれを“アイデンティティ”と呼び自慢げに話はじめます。
このように、さまざまな物事の歴史に対して脳は矛盾のないようにつなぎ合わせて物語を作り上げることが大好きなのです。
“物語の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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ここまでくるとキャラクターとしてはかなり成功したことになります。
情緒的要素とは、キャラクターによって脳が心理的、感情的、認知的、感覚的な価値を見出すことです。
キャラクターはまずは脳に「かわいい」「おもしろい」「気に入った」などの癒し効果をあたえます。
その後、癒し効果が膨らんでいくと超越的効果が生まれます。
たとえばお気に入りのキャラクターのぬいぐるみは、どんなに汚れても破れても決して手放せない…そんな感情です。
普遍的、超越的な価値をキャラクターは脳に刻み込んできます。
「エモい」とは「感情が動かされている」「感情が高まって強く訴えかける心の動き」「状況や人や物事に感情移入している」…そんな状態です。
“エモいの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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ここまでくると、キャラクターは脳に行動喚起(こうどうかんき)を引き起こします。
行動喚起とは、キャラクターの生き方を目標にしたり、やる気になったり、自己効力感の向上など、脳にポジティブな感情を生み出すことです。
お気に入りのキャラクターを見つけよう
キャラクターはいつのまにか脳の中に入り込み、主人公となって物語を作り上げ、そして人生に影響をあたえていくのです。
ですから、キャラクターはいかに生きた感情、精神をもって人間化して脳に影響をあたえていくかがヒットの鍵となります。
どんなに時代が進化しようともキャラクターが脳にあたえる影響力に変化はないのです。
サウニャーのグッズはシールもキーホルダーもTシャツもお気に入りです。
ちなみにCOCOFUROたかの湯とCOCOFUROますの湯のガチャガチャではサウニャーグッズを300円で手に入れることができます。
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ぜひ自分のお気に入りのキャラクターを見つけ出して、人生を豊かにしてみてください。
“キャラクター効果の脳科学”のまとめ
キャラクターが脳に影響をあたえる「キャラクター効果」を脳科学で説き明かしてみました。
今回のまとめ
- キャラクターとは、架空の世界のモノを擬人化して生きている物語を吹き込んだトリックスターです。
- キャラクターは神話や民話の時代から現代まで普遍的に存在しています。
- キャラクターは脳に物理的、物語的、情緒的影響をあたえ人生を豊かにしてくれます。
- ぜひお気に入りのキャラクターを見つけ出してみてください。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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