広告ってどんな意味があるの?どんな効果があるの?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
- 広告の本当の意味と効果を単純接触効果を脳科学で探ることで説き明かします。
広告の意味と効果を考える
広告の脳科学
- 広告の真の意味はなじみのあるものに安心感を覚える「単純接触効果」にあります。
- 広告を何度も繰り返し見ることで脳に安心感を与え潜在的な記憶として商品を刻み込むことこそが広告の効果です。
イライラしながらもコマーシャルが終わって番組が再開するのが待ち遠しくてたまりません。
じらされることで「続きが見たい!」という意識が逆に高まります。
これは「カリギュラ効果」といってダメといわれると逆にやりたくなる脳のバグの一種です。
“カリギュラ効果の脳科学”についてはこちらの記事をご参照ください。
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ネットで記事を読んでいてもちょこちょこ現れる広告は目障りにすら感じてしまいますが広告の先に展開されている記事が気になって仕方なくなります。
このように広告は多くの人にとってはあまり気持ちのいいものではありません。
しかし世の中にはそこら中に広告があふれかえっています。
外を歩いていてもそこら中に広告が張りめぐらされています。
スポーツ選手のユニホームは広告だらけです。
ではあまり気持ちの良くない広告がこんなにもあふれかえっているのはなぜなのでしょうか?
よくある回答は「広告によって知名度を高める」でしょう。
広告は商品を宣伝するものです。
ですから実際に商品を買ってもらう必要があります。
商売である以上名前を認知してもらうだけでは広告の役割は果たされていないと言えます。
広告の製作費や契約金などの高額な出費を考えるとそれに見合う売り上げがなくては経済学的に「宣伝効果があった」とは言えないでしょう。
別の回答としては「消費者の購買意欲を刺激するため」というのもあります。
しかしみなさんは実際に広告を見たりテレビで流れているコマーシャルを見たりして実際に「商品が買いたくなった」と直接的に刺激を受けたことはあまりないのではないでしょうか。
なぜなら真剣に広告を読んだりコマーシャルを見たりする人は少ないからです。
では広告の本当の意味と効果とは何なのでしょう?
広告における単純接触効果
広告の脳科学-その1
広告の真の意味は「単純接触効果」にあります。
単純接触効果
「単純接触効果」とはある対象への反復接触がその対象への好意度を高めるという効果で「潜在記憶現象」とも言われています。
もっと簡単に言えば「単純接触効果」とは脳はなじみがあるものに安心感を覚えるという無意識の現象です。
たとえばスーパーマーケットに買い物をしている状況を想像してみてください。
買おうと思っていた商品の棚には品質も値段もほぼ同じような2つの商品であるAとBが並んで売っています。
商品Aはテレビのコマーシャルや広告で何度も見て知っている商品です。
一方商品Bは見たことのない商品です。
多くの人は商品Aを選ぶでしょう。
これが単純接触効果です。
見知っているものに好感を覚える「単純接触効果」は動物の長い進化の過程で育まれた本能です。
以前に見たことのあるものは自分自身に壊滅的な悪影響を与える可能性が少ないものです。
なぜなら今自分がちゃんと生きているからです。
自分を傷つけたり殺して食べてしまったりするような相手であれば全開であった時にすでに被害にあっていたはずです。
しかしそのような悲劇的なことが起こらなかったからこそ今自分は生きているのです。
だからそのような相手は安全である可能性が高いと言えるのです。
何度も繰り返し接したものを見知らぬものよりも好意的に評価する本能は動物が生きていくうえで有利に働くのです。
広告は動物が長年進化論的に積み上げてきて安全と保障する単純接触効果をうまく利用しています。
広告の脳科学-その2
スポーツでは観戦している時間はずっと選手に注目しています。
ですから選手のユニホームに掲載された広告を長時間見ていることになります。
すると意識していなくても広告が脳に安心感や信頼感を生み出します。
なにも1回の広告で強烈なインパクトを与えて商品を売りつけようとしているわけではありません。
広告は繰り返し見続けることで効果を上げて消費者の購買意欲を高め収入アップにつながっているわけです。
広告によって脳は知らぬ間にあやつられているのです。
単純接触効果は広告以外にも日常の様々な場面で登場します。
例えば家族や友人には赤の他人よりも親近感を覚えるものです。
なじみのない土地でも長年住んでいるうちに好きになる「住めば都」も単純接触効果です。
では最後に単純接触効果によって自分自身の評価さえもあやつられていることを説明しましょう。
自己評価におけるの単純接触効果
「単純接触効果」はなじみのあるものに安心感を覚える効果です。
それはおそらく「自分の顔」ではないでしょうか。
朝起きて多くの人は洗面台の鏡で自分の顔をながめます。
つまり自分の顔には毎朝出会っているわけです。
これほど何度もあっていれば単純接触効果によって自分の顔を高評価してしまっても不思議ではありません。
現実的には確かにそうかもしれません。
しかしここでのポイントは自分が自分の顔にくだす「主観的な評価」と他人が自分の顔にくだす「客観的な評価」に差があるかどうかです。
実際に顔に対する主観的な評価と客観的な評価を調べた研究があります。
顔写真を次々に見せて採点してもらいます。
その中には採点する人自身の顔写真も混ざっています。
結果はどうだったでしょうか?
予想通り単純接触効果を証明する結果がはじき出されました。
他人による評価よりも自己評価の方が平均して34%も点数が高い結果でした。
つまり多くの人は自分の容姿を現実よりも高く評価しているわけです。
“自己評価の脳科学”についてはこちらの記事をご参照ください。
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さらにいえば若い人ほど自己評価は高い結果でした。
年を重ねるほどそれだけ自分の顔を見慣れていくはずなので単純接触効果が高まりそうですよね。
しかし実際にはその逆で自己評価は年齢と共に低下していくのです。
自己中心的であった若者の時代を過ぎると徐々に身の程をわきまえるようになるのでしょうか?
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自己中心的な自分から抜け出して客観的に自分を見つめることができるようになることが「大人になる」ことなのかもしれません。
“広告の脳科学“のまとめ
広告の本当の意味と効果を単純接触効果を脳科学で探ることで説き明かしてみました。
今回のまとめ
- 広告の真の意味はなじみのあるものに安心感を覚える「単純接触効果」にあります。
- 広告を何度も繰り返し見ることで脳に安心感を与え潜在的な記憶として商品を刻み込むことこそが広告の効果です。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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