コミュニケーション能力を高めるためのコツって何ですか?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年…多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきますね。
この記事を読んでわかることはコレ!
- コミュニケーション能力を高める戦略を探るため言葉の魔力を脳科学で説き明かします。
コミュニケーション能力を高めるためのコツ
言葉の魔力の脳科学
- 議論をぶつけ合って言葉のボクシングで相手を説き伏せることは効果的ではありません。
- 相手の意見に抵抗するのではなく議論の方向を変えることでコミュニケーション能力は向上します。
- 相手の感情を受け入れたうえで自分の意見を相手に伝えることが大切です。
- ちょっとした言葉選びでコミュニケーション能力は大きく変わります。
言葉の魔力の脳科学
コミュニケーションの達人は相手をじっくりと観察し言葉の魔力を駆使してすべてを柔軟に変化させる。
これがコミュニケーション能力を高めるためのコツです。
コミュニケーションには謙虚さと変化をいとわない姿勢が何よりも大切です。
理詰めで相手を説得しようとしたり自分の考えをゴリ押ししたりしてもコミュニケーションはうまくいきません。
相手に気を配り機敏に柔軟に対応する心がけが欠かせません。
言葉のボクシングでは相手を打ち負かせられない
相手に気を配り機敏に柔軟に対応するなんて簡単だと思っている人がいるかもしれません。
しかし人は自分の型にはまった状態に慣れきってしまうとなかなかそこから抜け出せないものです。
自分のやり方が絶対に正しいと思い込み漫然と同じことを繰り返す…まさにうぬぼれと惰性で生きていく方がずっと簡単です。
「自分の意見を変えようとしない人は淀(よど)んだ水であり心は爬虫類と化している」
なんて言葉がありますがコミュニケーションのパターンを変えようとしない人はこれと同じ危険性をはらんでいます。
できるだけ多くの可能性を試すことがよりよい人生を生き残る秘訣です。
いつも同じやり方や戦略を押し通すことは自分で道を閉ざしているようなものです。
たとえば自分の売り込もうとしている商品がなかなか相手に受け入れられずに断られたとしましょう。
相手はもっともな理由を並び立てて断固たる態度で断り続けます。
そんな相手の言い分を聞きながらも理性と理論とありとあらゆる手を使ってあきらめずに頑張り続けます。
その結果最後に相手に「あなたの熱意には負けました…」と言わせて承諾を勝ち取りました。
相手に言い返す気力がなくなるくらいに次々と言葉の攻撃を仕掛けたのです。
このような話を聞くと多くの人は「言葉のボクシング」で論争を勝ち取ったと考えるかもしれません。
自分の願いを叶えるために議論の間次々と言葉のパンチを繰り出して相手を打ち負かす。
しかし言葉のボクシングでは相手を納得させることはできません。
私たちが目指すコミュニケーションは力で相手に打ち勝つことではなく力の方向を変えることです。
力と力のぶつかり合いではなく相手から自分に向けられた力に同調しその方向を少し変えてあげることです。
間違えたタイミングで間違えた方向に力を加えるとただただ融通の利かない人になってしまいます。
コミュニケーション能力を高めるには相手の意見に反論したり相手を打ち負かそうとしたり考えをまずは捨てることです。
相手が自分に対して抵抗のサインを出していればそれを感知し時には相手に自分を合わせ相手の思い通りの方向に話を進める柔軟性が必要です。
抵抗することなく方向転換する発想
良好なコミュニケーションを乱すものの1つに相手の抵抗を誘発する引き金となる言葉があります。
ちょっとした言葉や言い回しでもとても大きなパワーを持っていて一瞬にして事態を悪化させることがあります。
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「絶対」や「間違いなく」といった自説を強く肯定するような言葉は相手の反感を買いがちです。
「私が思うに…」「私が理解したところでは…」などちょっと一歩引いた言葉は自分の考えを相手に受け入れてもらったり納得してもらったりするには大いに役立ちます。
相手の反感を買うような言葉を使って自分の提案に対する抵抗が起きないように気をつけながら説得する術はコミュニケーション能力では大切な要素です。
他にも使ってはいけない言葉があります。
「しかし…」「でも…」などの言葉は会話の中で必ずしもと言っていいほど登場する言葉で無意識に使っているかもしれません。
しかし良好なコミュニケーションを一瞬にして破壊する言葉の1つでしょう。
たとえそれまでの話を了承していたとしても
となると一瞬にしてそれまでの話を否定して「それは間違っている」と言っているのと同じになります。
「しかし」にはそれ以前の発言をすべて否定する強烈な力があります。
そんな風に言われたらいい気持ちは決してしないでしょう。
相手に抵抗することはコミュニケーションをかき乱します。
しかし相手の意見に賛同してばかりいても良いコミュニケーションとは言えません。
時には反論して抵抗することが必要な状況もあるでしょう。
たとえば「しかし」を「そして」という言葉に置き換えてみたらどうでしょう。
相手の意見に同意しつつも抵抗せず反感を買うこともなく議論の方向転換への道を切り開くことができます。
相手に抵抗して反感を買うような言葉を用いるのではなく議論の方向を少し変えるだけで相手をうまく巻き込み心を開かせることは可能です。
言葉の魔力によってコミュニケーションはうまくもいくしダメにもなります。
いかに言葉をうまく使いこなすかでコミュニケーション能力は大きく変わってくるのです。
相手の感情を理解することから始めよう
自分の品位を損なうことなくしかも相手の意見を否定する必要もありません。
そんないいことづくめの言い回しは存在します。
「よく分かります。そこで…」
「尊重します。そこで…」
「同感です。そこで…」
これらの言い回しは相手の世界に入り込んで信頼関係を築き上げるための魔法のフレーズです。
相手の話を「しかし」のような言葉で無視するのと同然の態度に出るのではなく相手を受け入れる言い方です。
さらに抵抗を受けることなく自分の望む方向へ相手を動かすことができます。
たとえばある議題について議論していて
と言われてそれと同じ口調で
と言い返したらどうでしょう。
言い争いが起き議論は決裂するでしょう。
そうではなくたとえば
相手の言うことにすべて同意する必要も反論する必要もありません。
まずは相手の感情に理解を示し尊重することが大切なのです。
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相手の感情を理解すると当然相手の意見に耳を傾けて理解しようとする気持ちも強くなります。
その結果相手を理解し正しく評価することも可能になるでしょう。
相手は自分の意見がちゃんと伝わり受け入れられたと感じれば争いになることはありません。
しかも意見の衝突が回避されるうえに新しい意見が生み出される可能性さえも生まれます。
相手が何を言おうとその中に何かしら理解し尊重し同意できる部分を見つけ出すのです。
ちょっとした言葉の魔力で相手の感情をコントロールすることさえもできるのです。
効果的なコミュニケーションのための鍵
コミュニケーション能力を高めるためには相手に抵抗することなく相手の感情を理解することが大切です。
そのための言葉選びはとても重要になってきます。
しかし相手の意見にすべて同調し自分の意見が主張できないようでは良好なコミュニケーションとは言えません。
相手に合わせつつも強引に相手を引っ張ってくるのではなく自分の方に導いてくほうがより効果的に成果を上げられるでしょう。
しかも他人の意見に対して心を開けば自分自身の考え方もより豊かでバランスのとれたものになります。
「議論する」というと勝つか負けるかのゲームと囚(とら)われがちです。
自分が正しければ相手は間違えている。
一方が真実を独占しもう一方は暗黒の世界に沈む。
しかしこれでは偏(かたよ)った議論しかされず良好なコミュニケーションとは程遠い結果しか生まれません。
効果的なコミュニケーションとは「相手にやらせたいこと」を相手を説得してやらせるようにするのではなく自分のやりたいことが「相手もやりたいこと」になるようにうまく仕向けることです。
相手の抵抗を抑え込むことは容易なことではなく膨大な労力を要します。
しかもうまく抑え込めるとは限りません。
それよりもお互いの意見の一致点を見出して良好な信頼関係を作り出すことがある意味はるかに簡単です。
言葉の魔力をうまく使いこなせれば抵抗をプラスに転じることなど容易(たやす)いことです。
あなたも「戦わずして勝つ」ための言葉の魔力を身につけてコミュニケーション能力を鍛えてみてください。
“言葉の魔力の脳科学“のまとめ
コミュニケーション能力を高める戦略を探るため言葉の魔力を脳科学で説き明かしてみました。
今回のまとめ
- 議論をぶつけ合って言葉のボクシングで相手を説き伏せることは効果的ではありません。
- 相手の意見に抵抗するのではなく議論の方向を変えることでコミュニケーション能力は向上します。
- 相手の感情を受け入れたうえで自分の意見を相手に伝えることが大切です。
- ちょっとした言葉選びでコミュニケーション能力は大きく変わります。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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