サウナにもっとも適した季節は春夏秋冬のいつなのでしょう?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
サウナと春夏秋冬の季節との関係を脳科学で説き明かします。
サウナのベストシーズンとは?
春夏秋冬の季節の脳科学
- 日本では春夏秋冬それぞれの季節で、それぞれの最高のサウナトランスを体感できます。
- 脳の活動は夏~秋が最も活発で、冬~春に低下します。つまり春と秋は脳の活動は移行期で不安定となりやすくなります。
- 脳の活動が不安定となる春と秋は脳疲労が蓄積しやすくなります。そんな時こそサウナで最高のトランスを体感して脳疲労を解消してみてください。
現代の日本では第3次サウナブームによって多くの施設がにぎわっています。
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サウナ好きの人が増えて、時にはサウナ室の前に行列ができるほどです。
中にはほぼ毎日サウナに通っている人もいますし、1日にいくつものサウナをはしごする人もいます。
時々SNSなどで
なんて声を聞きますが、いったい春夏秋冬のいつがサウナにとってベストシーズンなのでしょう?
サウナと春夏秋冬
サウナの映像としてよく出てくるのは、北欧の冬…雪が深く積もる湖畔のサウナ小屋で蒸された後に凍った湖の水に入る、といった印象です。
北欧の冬は太陽の昇らない日が何日も続くため、とても暗くそして長い厳しく寒い時間です。
北欧フィンランドでサウナが2000年前に生まれ、これまで脈々と人びとの暮らしで欠かせない存在だった背景には、きっとこの冬の存在が大きかったはずです。
厳しい寒さから身を守り、どんなに寒くて暗い日が続いても、サウナがあるという安心感は大きかったはずです。
しかしフィンランドでは短い夏のあいだもサウナは楽しまれています。
夏は太陽の沈まない白夜が続くフィンランドでは、植物は太陽の沈まない夏の白夜と暗く厳しい冬の寒さで強い生命力をその体内に宿します。
白樺の若い枝葉を束ねたヴィヒタはサウナで全身をはたいたりなでたりして使用されます。
またその香りはサウナにいながら森林浴のような寛(くつろ)ぎをもたらしてくれます。
白い樹皮を持つ白樺の木はフィンランド各地に自生していますが、ヴィヒタを作るためには成長し過ぎた木では葉が固過ぎますし、早過ぎる木では葉が柔らかすぎます。
ヴィヒタを作る一番タイミングの良い季節は夏至の頃とされています。
ですから夏のサウナでは、フレッシュな採れたての白樺を使える特別な季節なのです。
白樺以外でも夏のあいだはベリーやハーブなどさまざまな植物でウィスクを作りウィスキングが行われています。
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ウィスキングはすべての感覚を使って自然からの恵みである植物の力を体に取り入れて体を自然の状態へと戻していくという特別な行為なのです。
本場フィンランドではこのように夏と冬にそれぞれのサウナが楽しまれています。
春サウナ
寒い冬から温暖な気候になる春は、サウナを楽しみやすい季節です。
寒すぎず暑すぎず心地よい気候の中で、サウナで蒸されてからの水風呂、休息タイムでは最高の時間を味わえます。
特に外気浴では花粉症は大敵です。
しっかりと花粉症対策をしてからサウナ時間を楽しめれば、春はサウナのベストシーズンと言えるかもしれません。
夏のサウナ
暑い夏ではいきなりサウナに入っても、すでに自律神経が活性化されてしまっているのでなかなか心地よく感じられません。
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「逆サウナ」とは、まず水風呂に入ったり水シャワーを浴びたりして体をクールダウンさせてからサウナに入るという流れです。
汗だくで銭湯に到着して、体を清めるとますます体はほてってしまいます。
そこで水風呂に入って体を程よく冷やしてからサウナに入るのです。
その後は通常の流れのように、水風呂、休息タイムを楽しんでみてください。
”水風呂の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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夏の外気浴は蒸し暑くてなかなかのんびりできないかもしれませんので、無理して外気浴はせず、冷房や扇風機で冷えた室内で内気浴を楽しむのもお勧めです。
自然の中でテントサウナへ入り、川や湖に飛び込んでクールダウンしてから豊かな木々に囲まれて行う外気浴は心身ともに気持ちいいこと間違いなしでしょう。
普段の街中のサウナでは味わえない別世界のサウナが体感できるはずです。
アイスサウナでは水風呂のかわりにアイスに囲まれた室温がマイナス25度とかなり寒い空間でクールダウンを行います。
日本ではウェルビー栄店の「ラップランド」でアイスサウナが体感できます。
サウナ本場のフィンランドのサウナを体感できるのが「ラップランド」です。
ラップランドでは、「森のサウナ」→「アイスサウナ(水風呂)」→「湖のほとり(外気浴)」が連続して配置され動線が完璧に計算されています。
暑い夏でも工夫次第では夏ならではのサウナトランスが体感できるはずです。
夏の暑さで汗をかいているところに水分補給をせずにそのままサウナに入るのはとても危険ですので、体調管理に気をつけましょう。
秋のサウナ
暑さのピークが過ぎて少し涼しくなってくると、外気浴が最高に気持ちよい季節になります。
水風呂の温度も下がりやすくなり、水風呂、休息タイムにはうれしいシーズンと言えます。
また食欲の秋でもありサウナ飯の食べ過ぎには注意が必要です。
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紅葉のシーズンにはサウナと紅葉を合わせて楽しむこともできます。
台風の季節は突然の暴風雨が襲ってきますのでご注意ください。
冬のサウナ
冬の外気浴は寒いと思うかもしれませんが、そのような人はサウナで体が芯から温まりきっていないのかもしれません。
外気浴でしっかりあまみがでるくらいサウナで温まることがお勧めです。
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最後のセットだけ外気浴をしてととのうのも良いかもしれません。
極寒のサウナでお勧めなのは、長野県の野尻湖畔のThe Saunaや北海道の富良野の白銀荘でしょう。
ヒートショックとは、暖かい場所から突然寒い場所に移動することで、血圧が急激に上がって心筋梗塞や脳出血などの体調不良を引き起こす現象です。
サウナでなくても自宅のお風呂で入浴する際にも注意が必要です。
サウナで大量の汗をかいたとしてもいきなり水風呂に入ると、時にヒートショックが起こる原因にもなりますので、まずは水シャワーを浴びたり半水浴でゆっくり体を冷やすなどの工夫が必要です。
脳と春夏秋冬
季節によってウキウキしたり、なんとなくふさぎ込んだりと、季節によって気分の変化があることはよく言われることです。
このように「季節によって気分が変わるのは脳の活動が影響している」という報告があります。
研究では、成人男女に春夏秋冬の4つの季節にそれぞれ数日間研究室で過ごしてもらいます。
その間は外に出ることも、日光に当たることもせず、季節と完全に切り離された状態ですごしてもらいます。
そしてその後「長時間の集中力を必要とする課題」と「記憶力を必要とする課題」に取り組んでもらい脳の活動を調査します。
結果は、2つの課題で参加者の得点は変わりませんでしたが、脳にかかる負担に差があることが観察されました。
集中力を必要とする課題では、脳は夏に最も活発に活動しましたが、冬は活動量が大幅に減りました。
記憶力を必要とする課題では、脳の活動は秋にピークに達し、春に低くなっていました。
つまり、脳の活動が最も優れているのは夏~秋、脳の活動が減少するのは冬~春ということです。
研究では、「脳はより効率的に働くために季節にあわせて働き方を変えている」と指摘しています。
脳がより活発に働くというのは、課題を容易にこなすだけの体力が脳にあることを意味しています。
一方、活動量が減る冬は、脳に体力がないので脳は効率的に働けなくなります。
しかし、脳だけではなく、体のさまざまな機能が季節ごとに変化することはこれまでの研究でわかっています。
気分や新陳代謝は季節ごとに変化します。
その影響で冬は体重が増えやすいと言われています。
夏と冬では色を違って知覚する可能性も指摘されています。
現代社会では、人間は人工的な環境に囲まれすぎていて、もはや季節的な環境のサイクルの影響を受けにくい中で暮らしています。
サウナと春夏秋冬を脳科学で探る
先ほど説明したように、脳の活動が最も優れているのは夏~秋、脳の活動が減少するのは冬~春です。
つまり1年の中で春と秋は脳の活動は移行期であり不安定となりやすいわけです。
サウナの本場であるフィンランドでは一応四季がありますが、冬がとても長く11月〜3月が冬にあたります。
春は4月〜5月、秋が9月〜10月と短く、春や秋といえどもとても寒いのが特徴です。
そして夏は6月〜8月で白夜の時期となり、1日のうち19時間も明るい時間が続きます。
ですから夏と冬のサウナでは、先ほど説明したように違った楽しみ方があるわけです。
しかし日本ではしっかりとした四季があり、夏と冬以上に春と秋にはイベントが盛りだくさんです。
春は新学期の季節で環境の変化が多い季節です。
一方秋は夏休みを終え、学問の秋、食欲の秋と言われるように寒い冬に向けてさまざまなイベントが目白押しで多くの人は活発に活動します。
しかし春と秋は脳にとっては活動が不安定であまりよくないコンディションの季節といえます。
春と秋はただでさえ脳のコンディションがよくないのに、脳への負担がいつも以上にかかってしまうという難しい季節と言えます。
脳に負担がかかると脳疲労を引き起こし、脳のパフォーマンスは著しく低下して、時にはメンタルも下落傾向へと進んでしまいます。
“脳疲労とサウナの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
参考【サウナの脳科学】脳疲労はサウナで解消されるって本当?それとも嘘?脳疲労を脳科学で探る
脳の疲れはサウナで解消されるのでしょうか? そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。 このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い ...
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春や秋には「最近疲れが抜けない」「気分が上がらない」「脳が疲れている」…そのように感じやすいはずです。
サウナにとってのベストシーズンとは、サウナで最高の「サウナトランス=サウナでととのう」を得られるシーズンです。
当然気候や気温によってサウナのみならず水風呂や休息タイムの体幹の感じ方は大きく異なります。
ですからそれぞれの季節に合ったサウナ、水風呂、休息タイムの過ごし方を工夫することで、いずれの季節でもそれぞれの季節で最高のサウナトランスを体感できるはずです。
しかし脳科学的には、脳の活動が不安定なのに忙しく脳を活動させなければならない春と秋こそ、サウナで脳疲労を解消して最高のサウナトランスを体感すべきでしょう。
“春夏秋冬の季節の脳科学”のまとめ
サウナと春夏秋冬の季節との関係を脳科学で説き明かしてみました。
今回のまとめ
- 日本では春夏秋冬それぞれの季節で、それぞれの最高のサウナトランスを体感できます。
- 脳の活動は夏~秋が最も活発で、冬~春に低下します。つまり春と秋は脳の活動は移行期で不安定となりやすくなります。
- 脳の活動が不安定となる春と秋は脳疲労が蓄積しやすくなります。そんな時こそサウナで最高のトランスを体感して脳疲労を解消してみてください。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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