ペットではなくコンパニオンアニマルとして犬や猫と暮らすってどういうこと?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
- コンパニオンアニマルとして犬や猫と暮らす生活を脳科学で説き明かします。
コンパニオンアニマルって知ってます?
コンパニオンアニマルの脳科学
- 人と長い時間共に暮らす身近な動物をコンパニオンアニマルと言います。
- コンパニオンアニマルの代表は犬と猫です。
- 犬や猫は人間らしさとほとんど変わらない犬らしさ、猫らしさを持っています。
- 犬や猫と人間との間には境界線なんてもうすでにないのです。
犬や猫をペットとして飼っている人はとても多いと思います。
一般的に“ペット”とは人とともに暮らす動物のことであり愛玩動物とも呼ばれます。
しかし実際に犬や猫を飼っている人からするとこの”ペット”という言葉には何らかしらの違和感を覚えるのではないでしょうか。
ペットに対して人は飼い主でありそこには主従関係のようなものが自然と生まれてきます。
そこでペットという言葉に対して“コンパニオンアニマル”という言葉が提唱されたのが1980年代後半。
コンパニオンアニマル-その1
人と長い歴史を共に暮らしてきた身近な動物を伴侶、家族、友達と同様に位置づけて”コンパニオンアニマル”と呼びます。
当時コンパニオンアニマルという名称はほとんど普及せず、一般的には短く覚えやすいペットという言葉が使用され続けてきました。
しかしその後徐々に動物愛護の精神が広がっていき、最近になりようやくコンパニオンアニマルという言葉が注目されています。
われわれの生活の変化に伴って、たちの存在意義、価値、役割が見直され、家族の1人、社会の一員として位置づけられるようになってきています。
しかし一緒に暮らしているからと言ってどんな動物もコンパニオンアニマルというわけではありません。
コンパニオンアニマル-その2
コンパニオンアニマルと呼ぶにはちゃんとした条件が定められています。
人の身近で長い歴史を歩んできた動物
その動物の習性、行動が解明されていてしつけができる
人と動物との共通の感染症が解明されている
人と暮らすことにより幸せを得ることができる
家族として正しい医療が受けられる
などが挙げられています。
コンパニオンアニマル-その3
コンパニオンアニマルの考え方は人が動物を一方的に愛するのではなく、動物を話し相手や相談相手として心が通じ合う同等の対象としてとらえていることが大切なところです。
当然動物が人の言葉を理解して返事をすることはないでしょう。
しかし動物は“動物なりの答え”を返してくれるということは動物とともに生活する人なら誰もが経験していることではないでしょうか。
コンパニオンアニマル-その4
このように人と動物がその境界を越えてともに生活するのがコンパニオンアニマルの基本的なコンセプトです。
ではそもそも人と動物の境界線はどこにあるのでしょうか。
いつから境界線がひかれてしまったのでしょうか?
人間らしさとはなんなのか?
それはおそらく“野生”です。
でもそれはわれわれの単なる偏見です。
”野生に生きる”とはすなわち”本来の姿で自由に生きる”ということです。
今から200年ほど前に南フランスの森の中で発見された野生の少年がいます。
発見された地名から“アヴエロンの野生児”とも呼ばれています。
10歳前後であった少年はヴィクトールと名付けられてその後人間社会の中で生活しました。
発見当初彼には人間らしさがまったくありませんでした。
その後さまざまな教育や訓練が行われましたが完全に本来の人間らしさを取り戻すことはありませんでした。
つまり人は野生の中では人間らしさを失ってしまうのです。
人と動物の境界線-その1
人は“人としての専用の脳”を持って生まれてくるわけではありません。
生まれてきた環境が人として生きていくのにふさわしい人間的な環境…つまり人工的な環境であるからこそ後づけで人間らしい脳になっていくのです。
ですから人工的な環境で生まれなかった野生児は人間の姿をしていても脳は人間らしさを持てなかったのです。
人間らしさを作り出しているのはその人を“ひとりの人間”として扱い育てていくまわりの環境にあるのです。
脳はただその環境になじんで人間らしさを出しているだけなのです。
動物の脳も生まれたきた環境、育ってきた環境によって動物らしさをだしているのです。
人と動物の境界線-その2
ですから人と動物の境界線は生まれ育った環境が人工的な環境なのか野性的な環境なのかで線引きされていると考えられます。
そしてその境界線は人が野生でなくなって人工的な人間としての営みを始めた何万年も前にはひかれたのではないでしょうか。
コンパニオンアニマルとともに生きるということ
人とともに生活する動物は一般的に野生の同じ種と比べると脳の縮小がみられると言われています。
このような変化が起こるのは動物が本来の野生での生活で必要な生き残るための術(すべ)を人との生活で失ったためと考えられます。
耳は垂れ下がり、毛は波打って巻いていて、しっぽは短くなって…そしてそのような特徴は親から子へと受け継がれていきます。
コンパニオンアニマル-その5
コンパニオンアニマルは動物本来の野生的な生活ではなく人とともに生きる人工的な環境で育っていきます。
人と対等な立場に立って生活を送ります。
特に犬や猫は長年そのような環境で生きてきているので人との境界線がほぼないといってもいいでしょう。
人と動物がともに生活をするようになったのは今から1万年以上も前とされています。
犬と人間の亡骸が同じ埋葬地に現れた時にさかのぼります。
コンパニオンアニマル-その6
人と共存する生活環境になじんだ脳がかもしだす“らしさ”には犬や猫と人の間にはもはやそれほどの差はないのではないでしょうか。
そう考えるとコンパニオンアニマルという呼び方自体にも違和感を覚えてしまいます。
もうそこには人と動物の境界線はなくなっているのですから。
コンパニオンアニマルについてもっと知りたい!そんな方はこちらを読んでみてはいかがでしょうか。
”コンパニオンアニマルの脳科学”のまとめ
コンパニオンアニマルとして犬や猫と暮らす生活について脳科学的に解明してみました。
今回のまとめ
- 人と長い時間共に暮らす身近な動物をコンパニオンアニマルと言います。
- コンパニオンアニマルの代表は犬と猫です。
- 犬や猫は人間らしさとほとんど変わらない犬らしさ、猫らしさを持っています。
- 犬や猫と人間との間には境界線なんてもうすでにないのです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
最後にポチっとよろしくお願いします。