日常の脳科学 脳を科学する

なぜ赤は勝負に強いのか?~色彩がもたらす効果を脳科学で説く

2020-08-16

赤-A1

赤は勝負に強い色って本当なの?

 

そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。

 

このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。

 

基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。

 

この記事を読んでわかることはコレ!

  • 赤が勝負に強い理由がなんとなくわかります。

 

赤は神秘の色

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赤が勝負に強い理由を脳科学で探る

  • 赤は人にとっても動物にとっても特別で神秘的なパワーを秘めた色です。
  • 赤を身にまとって相手を弱らせて勝負強くなりましょう。
  • 赤に囲まれると自分が弱ってしまいますので勉強や仕事の時は赤はなるべく避けましょう。
  • 赤い光を反射して美肌を保ちましょう。

色が行動や思考に及ぼす影響を扱う学問「色彩心理学」と言います。

 

色彩は脳にさまざまな影響を与えます。

 

目から入ってきた光が脳に伝わって色彩を感じます。

 

人の目が感知できる光を可視光といいます。

 

可視光によって人の目が感じることができる色は「赤」「緑」「青」3色だけです。

 

ですから人は3色型色覚と言われています。

 

それらの3色を組み合わせて色々な中間色を認識しています。

 

一方鳥や昆虫は可視光に加えて紫外線も見える細胞を持っているので目で見える色は4色であり4色型色覚と言われています。

 

へなお
紫外線が見えるときらきら輝いて見えるらしいです。

 

人もそもそもは「青」「橙(だいだい)色」2色型色覚でした。

 

へなお
ですから人以外の哺乳動物は基本的には2色型色覚です。

 

人は橙色を感じる細胞が赤と緑をそれぞれ別々に感じる細胞に分かれたため3色型色覚になりました。

 

そのため人の中には赤と緑がわかれずに橙色の細胞のままの色盲の人が時々います。

 

へなお
逆に人でも4原色の持ち主がいることが報告されています。

 

4原色では普通の人の100倍の1億色を見ることができると言われています。

 

へなみさん
1億色とか想像つかない…

 

へなお
しかし4原色が見える人は極めてまれでほとんどいません。

 

へなみさん
この場合の 4原色の第4の色は何色なんでしょう?

 

当然紫外線は見えないので普通の人には見えない色が見えていることになります。

 

可能性としては赤を認識する細胞が突然変異して2種類の細胞に分かれたのではないかと言われています。

 

へなお
つまり2種類の赤が存在するのです。

 

これによって普通なら感じ取ることのできない似たような色彩の微妙な違いを見分けることができるそうです。

 

そう考えると、

 

赤は神秘の色-その1

はわれわれが思っている以上に奥深く神秘的な色と言えます。

そして目に見えている以上の効果を脳に与えている可能性があります。

 

ちょっとややこしいことを言うと、

 

赤は神秘の色-その2

目に見えているものだけが本当に脳が見えているものなのかはわかりません

目に見えていなくても目から入った光の情報が脳を直接刺激して「見える」と感じているのかもしれません。

 

そもそも最初に目を持った生物が誕生したのは5億年くらい前の時代と言われています。

 

その生物には確かに目はあったものの見るというより光を感じるセンサー程度のものでした。

 

目で見てそれを色として感じるのはかなり高等な能力です。

 

まずはを感じてそれを脳が認識して見えると感じるところから始まっているのです。

 

そう考えると、

 

赤は神秘の色-その3

われわれが見ている色としての赤以外に赤が放つ光の秘めたパワーを持っているのかもしれません。

 

へなお
われわれが知らない赤があると思うとちょっと不思議ですよね。

 

ところで色にはそれぞれイメージがあります。

 

赤は神秘の色-その4

のイメージは燃え上がる炎のような情熱を表していると考えられています。

 

これは日本人に限った話ではなく世界中の民族を超えて普遍的な傾向です。

 

また、

 

赤は神秘の色-その5

人に限らず動物の世界でも赤は敵に対する攻撃であったり異性に対する求愛であったり自分を強くアピールするときに使われる色特別な色とされています。

 

へなお
スペインで行われる闘牛でも赤い布が使われますよね。

 

牛は赤を見て興奮して突っ込んできます。

 

牛もちゃんと赤を認識しているのです。

 

先ほど書きましたが牛は基本的に「青」と「橙色」の2色型色覚です。

 

ですから人の目に見えるような赤には見えていないかもしれませんが赤を認識していることは確かなことです。

 

このように赤は人にとっても動物にとっても特別な神秘的な色なのです。

 

赤は勝負に強い色

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人はさまざまな色の中でも特に赤に魅了されます

 

なぜなら人は赤を潜在的に神秘の色と感じているからです。

 

そう言うと、”なるほどね…”と思うかもしれません。

 

しかし実際に人が赤に魅了されるのはなぜなんでしょう?

 

赤は勝負に強い色

人が赤に魅了されるのは赤は勝負において強い色だからです。

 

へなみさん

本当にそうなの?

なにか証拠でもあるの?

 

へなお
赤が勝負に強いことを証明する研究はちゃんとありますよ。

 

2004年に行われたアテネオリンピックについての研究です。

ボクシング、テコンドー、グレコローマンスタイルとフリースタイルのレスリング、以上格闘競技の4種類の試合結果を調査したものです。

この研究ではすべての競技において赤の勝つ確率が高いことが示されています。

赤の平均勝率は55%であり、青よりも10%も高い結果でした。

双方の実力が接近していて競り合いをした選手同士の試合だけを別に調べると赤の平均勝率は60%となり赤と青の差は20%まで開きました。

2004年に行われたサッカーのヨーロッパ選手権についても同様の調査を行っています。

赤のユニホーム赤以外の他の色のユニホーム2種類のユニホームとして持っている5つのチームについて勝敗を調べました。

赤のユニホームを着て試合を行った方が得点率が高いことがわかりました。

赤には相手を威嚇する力が秘められていることが証明されました。

Hill RA, et al, Nature 435:293, 2005

 

へなみさん
これは驚くべき結果ですね。

 

へなお
このような研究結果を聞くと当然異論を唱えてくる人もいます。

 

もっと詳しく

例えばボクシングの試合では通常は青コーナーよりも赤コーナーに強い選手が立ちます

世界タイトルを持っているとか世界ランキングが上とか経験年数が長い人が赤コーナーと決まっています。

しかも選手が会場に入場してくるのは青コーナーの選手からです。

強くて人気のある赤コーナーの選手は青コーナーの選手が入場した後にファンの拍手喝さいを浴びながら堂々と入場してきます。

そしてその興奮が冷めやらぬうちに試合が始まります。

当然試合会場の雰囲気は赤コーナーの選手を応援して派手に勝って欲しいという雰囲気に包みこまれています。

ですからいやがおうでも赤コーナーの選手は有利になります。

 

へなみさん
それならば当然赤が強いに決まってるじゃないですか!

 

へなお

おっとそう来ると思いましたよ。

しかし安心してください。

 

もっと詳しく

今回の研究はオリンピックでの試合を調査しています。

オリンピックの試合ではどんな競技でも赤コーナーと青コーナー、柔道では白胴着と青胴着などを分ける時は抽選でランダムに割り当てられます。

しかも選手の入場は基本的に同時に行われます。

ですから色によって強い弱いや人気があるなしは関係ないのです。

そのような平等の条件で勝率に差が出ているのです。

 

へなお
これで納得してもらえました?

 

へなみさん

では柔道はどうなんですか?

柔道は胴着の色が白と青だから勝率は変わらないんですか?

 

へなお
それが柔道では青胴着を着た選手の方が勝率が高いとされています。

 

一般的なイメージですと柔道はもともと伝統的に白胴着なので白の方がなじみがあって勝負強い印象を持たれがちです。

 

しかし青の方が勝率が高いのです。

 

同じ体系の人が白い服と青い服を着て比べてみると一般的なイメージでは白は膨張色なので体が大きく見えて強そうなイメージです。

 

一方で青は「ブルーな気分」や「青臭い」なんて言葉があるようにちょっと憂鬱(ゆううつ)で弱々しいイメージです。

 

へなお
しかし実際に試合をすると青の方が強いのですから不思議です。

 

たとえ青でも色の力は強いということでしょうか。

 

へなお
赤は青よりも強いのだから柔道も赤い胴着を着たらもっと強くなれるかもしれませんね。

 

赤はある意味最強の色

赤-3-min

赤はある意味最強の色-その1

人が赤に魅了されるのは勝負強いからだけではありません。学力や仕事においても赤は強い影響を与えています。

 

このこともいくつかの研究で証明されています。

 

IQテストを行う時の色に関する研究です。

問題用紙の表紙の色をさまざまな色に変えたり問題用紙の隅にさまざまな色のマークを付けたりして試験を受けてもらいます。

結果は赤がもっとも点数が低く平均で20%点数が下がりました

Elliot AJ, et al, J Exp Psychol Gen 136:154-168, 2007 

 

パソコンのモニター枠を赤にすると仕事の効率が低下する結果が示されました。

Hatta TI, et al, Percept Mot Skills 94:39-26, 2002

 

へなみさん

あれ?

赤は勝負強くなるんじゃなかったでしたっけ?

 

へなお
そう思いますよね…

 

赤はある意味最強の色-その2

赤の光の波形は脳に幸福感を与えます。

幸福感一種の充足感であり人は満足するとそれ以上の欲がなくなり学習や仕事の効率が低下するのです。

そしてついには認知機能を低下させてしまいます。

 

幸福感はやる気さえも低下させます。

 

脳が満足しているのですからそもそも学習や仕事をしようとは思わなくなってしまうのです。

 

へなみさん
なんだか今までの話と逆の感じですね。

 

赤はある意味最強の色-その3

が勝負強いのは自分のやる気を奮い立たせて自分を強くしているのではありません

は相手に幸福感を与えて勝負する闘争本能を弱らせることで自分が優位に立ちやすい状況を作って勝負強さを引き出しているのです。

 

へなみさん
なんともせこい感じがしますね。

 

へなお
せこくても勝負は勝負です。

 

赤はある意味最強の色-その4

赤を身にまとうと勝負強くなるのは自分のパワーをアップさせているのではなくて相手の脳を赤で弱らせているのです。

赤を身に着けることで赤が目に入るのは自分ではなく相手であるというところがミソなのです。

 

ですから勉強部屋や職場の壁を赤くしたりカーテンを赤くしたりして赤でコーディネートするのは基本的には厳禁です。

 

へなみさん
赤に囲まれたら自分が弱ってしまいますね。

 

へなお
そうそう…赤のパワーは絶大なのです。

 

ここまで来るとなんだか赤は悪者のイメージになってしまいそうですがこれは赤のある一面を見ているでけです。

 

赤はある意味最強の色-その5

は脳に警戒心を強めて危険を回避するような働きもあります。

 

ですから極度の緊張状態で一瞬のミスも許されないような時に赤は効果的です。

 

例えば文章で重要事項に印をつけるときは赤が有効です。

 

信号で停止を示す色テストで採点する時のインクの色ですよね。

 

赤は良くも悪くも脳に絶大な影響を及ぼしてわれわれを翻弄(ほんろう)しているのです。

 

ですから赤はある意味最強の色なのです。

 

赤を反射して美肌効果を上げよう

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へなお
最後にちょっとおまけです。

 

女性の方はご存じかもしれませんが、赤い光は皮膚の奥深くまで届くので肌の表面の情報を拾いにくく結果としてしわや毛穴を目立たせてしまいます

 

そのため赤色の反射を活用したファンデーションなんてものも発売されています。

 

詳しくはこちらをご参照ください。

きれいのレシピ

 

へなみさん
そんなの常識よ!

 

なんて人はスルーしていただいてOKですが自分は初めて知りました…

 

へなお
色彩についてもっと学びたい方はこちらをご参照ください。

 

 

”色彩の脳科学”のまとめ

まとめ-conclusion1-N1

今回は赤が勝負に強い理由について脳科学的に解説しました。

今回のまとめ

  • 赤は人にとっても動物にとっても特別で神秘的なパワーを秘めた色です。
  • 赤を身にまとって相手を弱らせて勝負強くなりましょう。
  • 赤に囲まれると自分が弱ってしまいますので勉強や仕事の時は赤はなるべく避けましょう。
  • 赤い光を反射して美肌を保ちましょう。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

 

今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。

 

最後にポチっとよろしくお願いします。

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  • この記事を書いた人

へなお

▶脳神経外科専門医でアラフィフおじさんの「へなお」です。▶日々脳の手術、血管内治療、放射線治療を中心に某総合病院で勤務医をしています▶一般の方でも脳についてわかりやすく理解していただけるように、あなたのまわりのありふれた日常を長年の経験からつちかった情報をもとに脳科学で探っていきます▶多くの方に脳に興味をもっていただき、少しでもこれからの生活の役に立つ知識をつけていただければと思います!

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