大事な試験や試合の時に“がんばれ”って応援するのはプレッシャーをかけるだけで逆効果なの?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年…多くの脳の病気と向き合い手術、放射線治療を中心に勤務医として働いてきた視点から、主に一般の方に向けて脳の病気、治療から脳の科学まで幅広くわかりやすく解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
- “がんばれ”の応援メッセージとしての効果がわかります。
“がんばれ“は逆効果?
大事な試験や試合の時はどうしても“がんばれ”って言ってしまいますよね。
いつもの調子で平常心で行こう!
みんなついてるよ!
なんてひねくれたことをつい考えてしまいます。
心理学と脳科学は違います。
気持ちの持ち方や精神論的な話はいったん置いておくとして、脳は“がんばれ”をどう感じているのでしょう?
気合や根性はもはや過去の遺産?
試験の前にこんなことを言っている人よく見かけましたよね…
そんな人に限って試験の結果が出たら高得点をたたき出してる…
対費用効果の高い…つまり効率の良いスマートな努力で高い効果を上げることこそが美しい勝利の方程式
なんて図式がいつの間にか賞賛されてますよね。
実は脳はそんな気合や根性が大好きです。
当然“がんばれ”も大好きです。
手で握る力…すなわち握力を計測する研究です。
普通に握るよりも“がんばれ”や“”いいね“などの言葉を見せて握ったほうが握力が2倍になる結果が示されました。
しかも最大の握力が出るまでの時間も早くなりました。
ちなみに意味のない言葉を見せても効果はありませんでした。
嘘のような本当の研究…これはちゃんとした研究結果です。
”がんばれ”の秘密-その1
プレッシャーなんて精神的なものを吹き飛ばすくらい脳はちゃんと“がんばれ”に反応するのです。
そして脳の反応にちゃんと体は応えるのです。
気合や根性だって“がんばれ”と同じです。
なんて思ってないですか。
”がんばれ”の秘密-その2
心の中ではどんな風に思っていようとも脳はちゃんと”がんばれ”を感知して無意識の中でも正しい反応や判断をして体に指令を送っているのです。
自分で意識してがんばろうとするよりも無意識の中でかけられる”がんばれ”の方がずっと効果が高いのです。
こんな研究はこのほかにも数々行われ“がんばれ”が脳を刺激することは脳科学的にちゃんと証明されているのです。
ですからプレッシャーなんで気にせずに“がんばれ”って応援してあげてくださいね。
脳は簡単にだまされる
脳は“がんばれ”にちゃんと反応して体に指令を送っています。
しかしそうは言ってもあまり“がんばれ”って言われすぎるとやはりプレッシャーで緊張してますますドキドキしてしまいますよね。
そんな時はちょっと軽い運動をしてみてください。
試験や試合の前に運動?
そんなのできないでしょう…
軽い運動でちょっとだけ心臓をドキドキさせて鼓動を速めてあげればいいのです。
この心臓のドキドキが大切なのです。
軽い運動で心臓がドキドキするのとプレッシャーで緊張して心臓がドキドキするのではきっかけが違っても心臓がドキドキするのは同じですよね。
すると脳は心臓のドキドキに簡単にだまされます。
脳は無意識的にそんな発想を始めます。
脳は自分に都合の良いように考えを切り替えます。
これにかかる時間はほんの数秒です。
これは恋愛における“吊り橋効果”に似た現象ともいえます。
吊り橋でドキドキしているのを恋愛でドキドキしているのと脳が勘違いをしてしまう…それが恋愛における“吊り橋効果”です。
“吊り橋効果における脳科学“についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
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”がんばれ”の秘密-その3
試験や試合で緊張してドキドキするのも、軽い運動でドキドキするのも、恋愛でドキドキするのももともとは別の感情なのに体の表現は心臓がドキドキで同じなのです。
そうなると脳は簡単にバグをおこします。
なにが原因で心臓がドキドキしているのかがわからなくなってしまいます。
しかし心臓がドキドキしている原因が欲しい。
そうなると軽い運動をしたのだから心臓がドキドキして当たり前というところで落ち着くのです。
そう思う人はだまされたと思ってやってみてください。
精一杯“がんばれ”って応援しよう
気を使って微妙な励ましの言葉をかけてもそれは脳には響きません。
”がんばれ”の秘密-その4
プレッシャーで緊張しようとも“がんばれ”は脳に届いて無意識でも力を発揮するのです。
プレッシャーだって脳のバグで簡単に消し去ることは可能です。
あんなに激しい応援の中で活躍する選手達こそプレッシャーを感じているはずです。
しかし選手たちは激しく運動することで知らず知らずのうちに脳をバグらせて”がんばれ”を力に変えているのです。
“がんばれ”を力に変えられるかプレッシャーに押しつぶされてしまうかはあなたの脳にかかっているのです。
応援を力に変えたい人は勇気をもらえる『チア☆ダン』がお勧めです。
大人の本気の応援が欲しい方はこちらを読んでみてください。
きっと”がんばれ”が勇気に変わりますよ。
まとめ
“がんばれ”の応援メッセージとしての効果について脳科学的に解明してみました。
今回のまとめ
- 脳は“がんばれ”が大好きです。
- 脳は無意識の中で“がんばれ”に反応して体により効果的な指令を送ります。
- ですから“がんばれ”の効果は絶大です。
- “がんばれ”で生まれたプレッシャーによる緊張は脳をバグらせて消し去ってしまいましょう。
今回の記事がみなさんに少しでもお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も『脳の病気』、『脳の治療』、『脳の科学』について現場に長年勤めた脳神経外科医の視点で皆さんに情報を提供していきます。
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