日常の脳科学 脳を科学する

努力したくない、苦手、続かない…そんな人が楽しく努力してモチベーションを上げるための脳科学

2021-03-13

楽しく努力-A1

努力したくない、苦手、続かない…そんな人でも努力できるようになりますか?

 

そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。

 

このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。

 

基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。

 

この記事を読んでわかることはコレ!

  • 楽しく努力してモチベーションを上げる方法を脳科学で説き明かします。

 

努力を美化しすぎる日本人の悪いクセ

楽しく努力-1-min

楽しく努力してモチベーションを上げるための脳科学

  • 日本人は努力することが大好きで美化しすぎる国民性があります。
  • メタ認知によって正しい努力をして成果を達成することが何よりも大切です。
  • そのためには脳の島皮質をバグらせて楽しんで努力してこそ意味があります。
  • 努力できない人でも自分に合った方法を見つけて楽しく努力してください。
  • 努力感を薄めてゲーム感覚で楽しく努力することでモチベーションは上がります。

世界において日本人は特に「努力」が大好きな国民です。

 

日本では昔から自我をおさえてひたむきに努力することが美徳とされています。

 

ですから努力せず結果を出せてしまうような人は賞賛されません。

 

時にはまるでその人が何かズルをしているかのような発言まで飛び出す始末です。

 

才能あるスポーツ選手が活躍する姿よりも怪我や病気を壮絶な努力によって克服して復帰して活躍する姿の方がもてはやされます。

 

スポーツに限らずどんな分野でも努力話は美談になります。

 

決してそれが悪いと言っているわけではありません。

 

へなお
しかし努力を美徳化に違和感を覚える人は決して少なくないはずです。

 

なぜなら人はあくまでも結果で評価されるべきあってたとえ努力をしていなかったとしても素晴らしい結果を出した人は間違いなく素晴らしいからです。

 

しかし日本人には根強い「努力信仰」があります。

 

「努力信仰」とは努力で目的を達成することよりも努力すること自体を美しいとする考えです。

 

努力信仰では成果は二の次三の次となり努力は苦しければ苦しいほど意味があるといった本末転倒な思考にどんどんはまっていきます。

 

そして最終的には「苦しい努力=善」という間違えた図式が成り立ってしまいます。

 

それでは「正しい努力=成果の出る努力」に向かいにくくなってしまいます。

 

ではなぜ努力信仰なるものが起こるのでしょうか?

 

それは一言で言えば努力信仰は「快感」だからです。

 

努力している状態にある時脳では「自分は今良いことをしている」と考えそれによって脳の報酬系回路が働き脳に快感をもたらします。

 

“報酬系回路の脳科学”についてはこちらの記事をご参照ください。

 

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努力がきちんとした成果につながるようなものであれば脳が快感を満たされても問題はありません。

 

しかし努力がただ美化されただけもので頑張っても成果につながらないような見せかけの努力であったらどうでしょう…

 

意味のない努力にもかかわらず快感を求めてやり続けてもそこには何の意味もありません。

 

では日本人はなぜ努力信仰をこんなにも好むのでしょう?

 

それは日本が農業国であることと自然災害が多い国であることが要因の1つでしょう。

 

農業国ではみんなが協力し合わないと成果は上がりません。

 

同じく地震や津波などの甚大な災害が起きた時もみんなが協力し合わないと成果は上がりません。

 

ですから協力的で勤勉な思考が美化されやすいのです。

 

逆にズルをして協調性を乱すような人はこのような社会では排除されやすく生き残れません。

 

何代も世代を重ねた結果自我をおさえて協力的で勤勉であると同時に努力せずにズルをする人を排除するという努力信仰が根強く染みついていったのでしょう。

 

努力信仰で気をつけなければならないのはいろいろな落とし穴が待ち受けていることです。

 

「ブラック体質」は努力信仰の弊害の1つです。

 

待遇や環境が劣悪であっても努力して働くことが美しいとする「ブラック体質」は大きな問題です。

 

へなお
メディアも努力信仰に加担する1つの悪ですね。

 

意味のない参考書や自己啓発本を宣伝して「努力すればなんでもできる」といった風潮を打ち出すのは努力信仰を悪用しているようなものです。

 

「本を買ったり読んだりするだけで満足してしまいたとえ実践しても決して報われない…」

 

そのようなことは決して少なくありません。

 

では努力信仰にはまりすぎずに正しい努力をするにはどうしたらよいのでしょう?

 

それには「メタ認知」が有効です。

 

メタ認知とは自分が認知していることを客観的に把握し制御することつまり「認知していることを認知する」ことです。

 

自分が何かをしているときに時に自分の中のもう一人の自分が冷静に自分を見ているように感じです。

 

メタ認知の「メタ」には、「高次の」という意味があります。

 

自分が「認知している」こと…たとえば記憶や思考、学習したことなどを「高次の」(=メタ)視点から認知しようというのがメタ認知の概念です。

 

ですからメタ認知の能力をアップできれば自分自身を冷静に見られるようになり高い目標の設定やそれを達成するための努力、問題解決のための努力を引き上げることができます。

 

日本人には周りの空気を読みすぎて冷静に損得の判断ができなくなるクセがあります。

 

「今自分がしている努力で本当に目的が達成されるのか?」

 

「回りに流されてやっているだけでないか?」

 

時には一歩下がって何のために努力しているのかを自分自身に冷静に問い直してみてください。

 

そんな自問自答の時間は正しい努力をするためにはとても大切です。

 

楽しく努力してこそ意味がある

楽しく努力-2-min

「努力すること」を深く探っていくとその奥深さに気づきます。

 

そもそも誰でも同じように努力できるわけではありません。

 

努力できる人もいれば努力できない人もいます。

 

“努力できないの脳科学”についてはこちらの記事をご参照ください。

 

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しかし生きていくためには時にはどうしても努力をしなくてはならない場面が必ずあります。

 

努力が苦手な人でも「これだけはなんとか達成したい」と努力が必要になることもあるでしょう。

 

ではどうすれば楽しんで努力できるのでしょうか?

 

努力できないのは脳の島皮質という部分が働き

 

「そんなことをしても無駄だよ…」

 

「そんな面倒なことはやめた方がいいよ…」

 

そんなブレーキがかかることが要因です。

 

“島皮質の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。

 

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ですから努力するには島皮質をバグらせて努力することは快感であると思わせることが求められます。

 

脳が快感を得るには努力することでご褒美が得られることを島皮質にしっかりと認識させることが必要です。

 

そのためご褒美はできるだけ具体的なものとして頭の中で映像化するとより効果的です。

 

また成果を達成するための練習や作業などの退屈、苦痛も島皮質が努力することにブレーキをかける大きな要因です。

 

たとえ努力し始められたとしても飽きてしまうことも大敵です。

 

たとえばコミュニケーション能力を高めたいのであれば本を読んだり退屈な講義を見たり聞いたりすることはお勧めしません。

 

それよりも自分のお気に入りの人がいるようなお店に通って話をして仲良くなる方がより効果的です。

 

成果が達成されることでお気に入りの人とお付き合いできるという具体的なご褒美がはっきり見えている方が島皮質をバグらせて努力できるのです。

 

島皮質をバグらせるには「ネガティブ感情」も効果的です。

 

世の中ではプラス思考がもてはやされていますが実は努力の原動力としてはネガティブ感情の方が圧倒的に効力を発揮します。

 

たとえば「徹底的に勉強してうるさい上司の鼻をあかしてやろう!」であったり「努力していつもは成績で負けている同期を追い抜いて驚かせてやろう!」であったりといった感情です。

 

ネガティブ感情は決して悪いことではありません。

 

誰にでも多かれ少なかれネガティブ感情は持ち合わせているものです。

 

しかしネガティブ感情を言葉にしたり悪態をついてしまったりすると敬遠されてしまいます。

 

へなお
物は使いようです。

 

ネガティブ感情であってもうまく利用すればもともとマイナスであったものを楽しさや快感といったプラスのものに変えることは可能です。

 

しかもスタートの時点で感情はマイナスですのでゼロからスタートするよりもプラスに変わった時の効果は絶大です。

 

無理にネガティブ感情を引き起こす必要はありませんがもし自分の中に埋もれているネガティブ感情があるのであれば無駄にせず努力して成果を上げるための“バネ”として利用しても悪くはないでしょう。

 

いずれにしても楽しんで努力してこそ意味があるのです。

 

そのことは忘れずにいないといけませんね。

 

自分に合った努力をしよう

楽しく努力-3-min

努力は自分自身が楽しんでいなければ継続できません。

 

しかも努力して成果を達成することで得られる快楽を明確に示していなければ脳はすぐにブレーキをかけてきてきます。

 

しかし努力が苦手な人でも考え方ややり方を工夫すれば努力することは決して不可能ではありません。

 

そうは言ってももともと努力できない人が努力できる人と同じようにコツコツと作業できるようにはなれません。

 

努力できるできないは脳のメカニズムでおおよそは決まってしまっているのですから根本的な変化は難しいでしょう。

 

たとえば1か月の起源のある課題を与えられたとします。

 

努力できる人はさっそくコツコツと毎日作業するでしょう。

 

一方で努力できない人は期限ぎりぎりになって焦って作業することになるでしょう。

 

子どものころに夏休みの宿題を思い出してみてください。

 

“夏休みの宿題の脳科学” についてはこちらの記事もご参照ください。

 

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夏休みの宿題をどう終わらせるかは大きく2つのタイプに分かれますよね。

 

毎日コツコツと努力して早々に終わらせてしまい後はのんびりと夏休みを満喫するタイプ

夏休みは遊びまくって新学期の直前になってようやく大慌てで宿題に手をつけるタイプ

 

その傾向は基本的に大人になっても変わらないものです。

 

なにせ脳のメカニズムでどちらのタイプに当てはまるのかは決まってしまっているのですから…

 

しかしどちらが良い悪いというものではありません。

 

へなお
努力の方法は人それぞれです。

 

努力できる人はコツコツと努力して宿題を早く終わらせないと不安でたまりませんし努力できない人は決してコツコツと努力は出来ません。

 

自分に合った努力の方法を自然と脳は選択しているのですから…

 

ですから無理やり自分のタイプを変えようとするのではなく自分のタイプに合った方法で努力する方が結局は手っ取り早いですし効果的です。

 

期限ぎりぎりになって焦って作業することになったとしても結果的に質を落とさずに要求された課題をちゃんとクリアして期限内に作業を終えられれば何の問題もありません。

 

へなお
現状にうまく適応できていればそれでよいのです。

 

どう工夫してもどうしても努力できないのであれば努力をしなくてもうまくいくような知恵を編み出したりそんな環境を自分自身で作り出してしまったりといくらでも方法はあります。

 

一番良くないのはすべてを投げ出してしまう無責任な発言や行動です。

 

自分自身を良く分析して理解して自分に合った努力の方法を見つけ出してみてください。

 

努力してモチベーションを上げるとっておきのコツ

楽しく努力-4-min

「努力する」ことはそうたやすいことではありません。

 

しかし努力できる人でも努力できない人でもモチベーションを上げるとっておきのコツがあります。

 

その分野においても成功をおさめている多くの人はこのコツをよく理解して実践しています。

 

努力をしてモチベーションを上げる秘訣は努力をゲーム化する方法です。

 

たとえば実際にゲームしている時のことを想像してみてください。

 

次のレベルに上がるのにあと○○ポイント必要という時にどのポイントを集めることを努力と感じるでしょうか?

 

ほとんどの人は努力とは思わないのではないでしょうか…

 

そのような感覚で努力できれば良いと思いませんか?

 

たとえば英会話を学ぶのであれば

 

レベル1 英語の歌を1曲覚えて歌えるようにする

レベル2 TOEICで○○点以上をとる

レベル3 英語の映画を見て理解できるようにする

 

などレベルごとにクリア条件を設定します。

 

このようにまるでゲームをしているような感覚で勉強出来たらどうでしょう?

 

努力もゲームでポイントを獲得するようなイメージであれば楽しくできるのではないでしょうか。

 

実際に数字を使ってポイントを具体化するのも楽しく努力する方法として有効です。

 

作業する時間やダイエットで体重を計測して記録してみてください。

 

ランニングでタイムや走行距離や速度などをアプリで計測するのと同じような感覚です。

 

へなじんさん
今回は新記録が出た!

 

へなじんさん
このままだと先月の記録を下回りそうなのでちょっと頑張ろう!

 

などとモチベーションを上げることにつながります。

 

へなお
実際にさまざまなアプリが開発されていますからこれを使わない手はありません。

 

記録することは最初はちょっと面倒かもしれませんが慣れてしまえばゲーム性を高めて楽しく努力するのにとても有効な方法です。

 

達成したい目標を公言するのも楽しく努力するのには有効な方法の1つです。

 

SNSを利用したり仲間に目標を宣言したりと方法はさまざまあります。

 

公言することでミッション達成へのプレッシャーが努力する源となりミッションを1つ1つクリアしていく快感も大きく膨らんでいきます。

 

目標は大きなミッションを宣言するよりも達成可能なレベルで段階的に宣言することでゲーム感覚がより一層増して楽しく努力することができます。

 

「はたから見たら血のにじむような努力であっても本人は意外と楽しく努力している」

 

なんてことは珍しい話ではありません。

 

当人からしてみれば努力することは楽しいゲームに長く深く没頭しているような感覚かもしれません。

 

努力を努力と思わないで楽しめればこれほど素晴らしいことはないでしょう。

 

努力と聞くとちょっと身構えてしまいがちですよね。

 

しかし先入観として持っている努力感を薄め楽しみや快感の度合いを大きくすることはいくらでも可能です。

 

皆さんもぜひいろいろ工夫して楽しく努力してモチベーションを上げてみてください。

 

 

“楽しく努力してモチベーションを上げるための脳科学“のまとめ

まとめ-conclusion1-N1

楽しく努力してモチベーションを上げる方法を脳科学で説き明かしてみました。

今回のまとめ

  • 日本人は努力することが大好きで美化しすぎる国民性があります。
  • メタ認知によって正しい努力をして成果を達成することが何よりも大切です。
  • そのためには脳の島皮質をバグらせて楽しんで努力してこそ意味があります。
  • 努力できない人でも自分に合った方法を見つけて楽しく努力してください。
  • 努力感を薄めてゲーム感覚で楽しく努力することでモチベーションは上がります。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

 

今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。

 

最後にポチっとよろしくお願いします。

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  • この記事を書いた人

へなお

▶脳神経外科専門医でアラフィフおじさんの「へなお」です。▶日々脳の手術、血管内治療、放射線治療を中心に某総合病院で勤務医をしています▶一般の方でも脳についてわかりやすく理解していただけるように、あなたのまわりのありふれた日常を長年の経験からつちかった情報をもとに脳科学で探っていきます▶多くの方に脳に興味をもっていただき、少しでもこれからの生活の役に立つ知識をつけていただければと思います!

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