サウナではなにを、いつ、どれくらい飲むのが効果的なのでしょうか?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
サウナにまつわる水分補給を脳科学で説き明かします。
サウナにまつわる水分補給
サウナにまつわる水分補給の脳科学
- サウナでは1セットこなすと約500ml程度の水分を失います。
- のどが渇いたと感じた時には、すでに体重の2%の水分を失った状態であり脱水状態と言えます。
- サウナの前中後に水分補給をすることは大切ですが、特にサウナに入る前の水分補給が大切です。
- サウナで脱水状態となった脳と体にはどのような飲み物で水分補給をするのが安全で効果的なのかを理解しておきましょう。
- サウナに入る時だけでなく、日ごろから正しい知識を持ってこまめに水分補給することが、脳の健康を維持する秘訣であり、認知症の予防にもつながります。
現代の日本では第3次サウナブームによって多くの施設がにぎわっています。
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サウナの醍醐味(だいごみ)は何と言っても、サウナトランス=「サウナでととのう」でしょう。
温かいサウナと冷たい水風呂、休息タイムを繰り返す温冷交代浴では徐々に体の感覚が鋭敏になってトランスしたような状態になっていきます。
トランス状態になると、頭からつま先までがジーンとしびれてきてディープリラックスの状態になり、得も言われぬ多幸感が訪れます。
これがいわゆるサウナトランスであり、そして「サウナでととのう」の状態です。
”サウナでととのうの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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サウナ―達は至高のサウナトランスを味わうためにサウナに通うわけです。
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冷たい水、スポーツ飲料、果汁飲料、お茶、コーヒー、お酒…飲みたい飲み物は人によってさまざまでしょう。
それもそのはずです。
なぜなら、サウナ→水風呂→休憩時間の1セットをこなすと、ペットボトル1本分=500ml程度の水分と多くのミネラル成分や塩分、栄養素などを失うからです。
3セットこなせば約1.5Lもの水分を失うことになります。
ですからサウナに入る際にはしっかりと水分を補給することが大切です。
ではサウナではどのような飲み物を、サウナ前中後のいつ、どれくらいの量を飲むのが脳科学的に効果的なのでしょうか?
サウナで水分補給が必要な理由
水分補給が大切であると認識していても、なぜ大切なのかを理解していないと意味がありません。
成人の体の約60%は水分でできています。
1つ目は体内での物の運搬です。
水分は飲料水のほか食事でも摂取することができ、腸から吸収されて全身を循環して、酸素や栄養分を運んだり老廃物を排出したりと、いろいろな物を体中に運んでいます。
もう1つの役割は体温調節です。
“サウナと体温調節の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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体温が上昇すれば体内の水分は汗となって熱を放出して体温を一定に保ってくれます。
汗で水分を排出すれば、その分の体重が減ったり、むくみがとれてボディラインが引き締まったり、気分がすっきりするなど心身の「デトックス効果」が感じられます。
こういったことを期待して、「サウナでできる限りたくさんの汗をかこう!」と頑張る方も少なくないでしょう。
「汗をかくほど体にたまった毒素が排出できる」…と信じている人は少なくないはずです。
しかし、残念ながら汗にはデトックス効果を期待するような効果はほとんど得られないことが医学的に証明されています。
カナダの研究では、普通の人が1日45分の激しい運動を行っても、1日の発汗量はせいぜい2Lで、その汗に含まれていた汚染物質は0.1ng(ナノグラム)以下だったと報告しています。
ちなみに1ngは1gの10億分の1です。
食生活で摂取されてしまう汚染物質のうち、汗で排出できる量はたかだか0.02%程度です。
汗は適度にかくことで脳にも体にも心にもプラスに働きますが、決して出せば出すほどよいというものではないわけです。
ちなみに体重の3%以上の水分が失われると運動能力が低下したり、体温が下がりにくくなると言われています。
その前の段階、体重の2%の体液が失われると、とてものどが渇く不快感が出始めます。
体重の2%の水分は、体重が50kgの人の場合は1kgの水ということになります。
体重の2%まで、つまり「のどが渇いた」と感じるまでの水分損失は体温に影響しません。
しかしそれ以上に水分を失うと、1%水分を失うごとに深部体温は約0.3℃ずつ上昇していきます。
ですからサウナでは失われる水分を2%以内におさえるために、水分補給が必要なのです。
体重の2%の水分が失われると、のどの渇きを感じるますが、それ以前の軽度の脱水状態ではほとんどの人はのどの渇きを感じません。
では1回のサウナでどのくらいの水分が失われるのでしょう?
一般的には1回のサウナで出る汗の量は約300~500ml程度と言われています。
ですから何セットもサウナに入れば簡単に体重の2%の水分を失うことになるのです。
サウナでの水分補給のタイミング
では水分補給はサウナの前中後のいつ行うのがもっとも効果的なのでしょう?
しかし特に重要なのがサウナに入る前の水分補給です。
サウナのセット間や、サウナを終えた後はほとんどの人は水分補給をします。
大量の汗をかいた後はのどが渇きますので当然です。
しかし意外と忘れがちなのがサウナに入る前の水分補給です。
医学書には、「水分はほとんどが小腸で吸収され、口から水分を補給した20~30分後に小腸に到達して吸収される」と記されています。
ですからサウナに入る20~30分前に水分補給をすることがお勧めです。
しかし一度に多量の水分をとるのは効果的ではありません。
一度に体内で吸収できる水分は約200~250mlと言われています。
それ以上の水分をとっても尿として排出されてしまいます。
ちなみに「スポーツドリンクは吸収が早いので、体内に水分を手っ取り早く吸収するのならスポーツドリンクがもっとも効果的」と思っている人も多いかもしれません。
しかしこの考え方はまちがえです。
実際にはスポーツドリンクの水分の吸収速度は水や薄い食塩水よりも遅い言われています。
ですから「サウナに入る20~30分前に水や薄い食塩水を約200~250ml程度とること」が重要と言えるでしょう。
当然サウナのセット間や、サウナを終えた後の水分補給は、先ほど説明した脱水にならないために必要であることは言うまでもありません。
サウナを終えた後の「風呂上がりの一杯」と言ってお酒を飲む人も多いかもしれませんが、これも医学的には推奨されません。
アルコールは利尿作用があるため、飲んだ以上の脱水をもたらす可能性があるので、湯上がりの水分補給として不適切です。
安心してください。
飲み方を気をつければサウナ後のアルコールは絶対禁止ではありません。
脱水にならないように、アルコール以外でしっかり水分補給を心がけていれば問題はありません。
サウナでおすすめの飲み物とは?
サウナで水分補給がいかに大切かを説明してきました。
ではサウナでは何を飲むのがよいのでしょう?
食塩水
実は水分補給をする際にもっとも効果的なのが食塩水です。
先ほども説明しましたが食塩水はスポーツドリンクよりも体内に早く吸収されると言われています。
水分は体内に吸収される時に、塩分(Na:ナトリウム)と一緒に移動します。
ですから食塩水は効率的に体内に吸収されるのです。
ちなみに塩分といっても何でもよいわけではありません。
人工的に精製された食卓塩はあまりお勧めできません。
加工を最小限におさえた天然塩をひとつまみ、水と一緒に摂取するのが一番効果的とされています。
ポカリスエットとイオンウォーター
サウナではポカリスエットやイオンウォーターを飲んでいる人をよく見かけ、定番と言えるのではないでしょうか。
ポカリとはネパール語で湖を意味し、スエットは英語で汗を意味します。
失われた汗の成分を手軽に補給できる飲み物を作ろうというコンセプトのもとで、点滴の成分を経口で摂取できるように開発されました。
そもそもは大塚製薬の研究員がメキシコに出張した時、おなかを下して現地で入院した経験をもとに生まれましたようです。
ですからポカリスエットは発汗に伴う水分補給にはもってこいの飲み物です。
ポカリスエットは基本的にスポーツドリンクなので美味しく飲めることが重要視されています。
そのため100mlあたり25kcalの糖分が含まれています。
ですから甘く感じ口当たりがよいのです。
そのためあまりがぶ飲みし続けていると糖分の過剰摂取になり血糖値が上がってしまう心配があります。
イオンウォーターに含まれる糖分はポカリスエットの約半分の11kcal/100mlです。
イオンウォーターはポカリスエットが持つ機能性を保ちながらしっかり水分補給できる成分になっています。
サウナのセット間や、サウナを終えた後は脱水気味で体が大量の水分を欲しますので、そんな時はイオンウォーターの方がお勧めと言えるでしょう。
アクエリアス
ポカリスエットとならんでスポーツドリンクで有名なのがアクエリアスです。
ポカリスエットとアクエリアスは同じスポーツドリンクと思われがちですが、実はさまざまな違いがあります。
ともに水分と栄養補給を目的に開発された飲料ですが、ポカリスエットは基本的に体調不良時、アクエリアスは運動時に飲む飲料とされています。
ポカリスエットもアクエリアスも含まれている成分はおおよそ同じですが、アクエリアスの方が個々の成分の量が多くなっています。
特にアミノ酸とクエン酸の含有量が多いので、アクエリアスは運動時の疲労回復に効果を発揮します。
また糖分は19kcal/100mlとポカリスエットと比較して低めです。
そのためポカリスエットと比較して少し酸味が強いあっさりとした味わいになっています。
また、アクエリアスに含まれているアミノ酸の主な成分である、ロイシン・ソロイシン・アルギニン・バリンンには体力を向上させる働きがあります。
さらには筋肉の増強を促進する働きもあり、筋肉の疲労回復にとても効果的なのです。
アクエリアスは各種スポーツイベントの公式飲料にも認められているので、スポーツ時にとてもお勧めの飲料と言えます。
サウナは通常の入浴と比べて汗を多くかくだけでなく、体力も消耗します。
サウナに入ることによって心臓にかかる負荷は、中程度の強度のエアロバイクをこいだ人にかかる負荷に相当し、サウナには軽いトレーニングと同程度の心臓や血管を鍛える効果があると報告されています。
ですからサウナのセット間や、サウナを終えた後の水分補給に加えて体力回復を期待するのであればアクエリアスはお勧めと言えるでしょう。
経口補水液
猛暑の夏の熱中症対策としてよく飲まれるのが経口補水液です。
ではOS-1はポカリスエットやアクエリアスなどのスポーツ飲料とどう違うのでしょう?
経口補水液は、軽度から中等度の脱水状態の水や電解質を補給・維持するのに適した飲料で、OS-1は消費者庁による「特別用途食品個別評価型病者用食品」の表示許可を受けています。
つまりOS-1は、感染性腸炎や感冒など明らかな体調不良による下痢、嘔吐(おうと)、発熱を伴う脱水状態、高齢者の食事量不足による脱水状態、過度の発汗による脱水状態などに適していると言えます。
そのためOS-1はスポーツ飲料よりも塩分=ナトリウムなどの電解質の濃度が高く、糖質は10kcal/100mlと低く設定されているので、スポーツ飲料と比べてしょっぱく飲みにくく感じられます。
OS-1が飲みやすくおいしく感じられる時は、高度な脱水状態の可能性があるので、自分の体の状態を知るひとつの目安になるかもしれません。
サウナで大量に発汗して脱水状態と思った時にはOS-1がお勧めでしょう。
炭酸水
サウナあがりは脱水気味なので炭酸飲料はとても美味しく感じられます。
炭酸水は口の中での感覚刺激が体温を下げてくれるため通常の水よりも体を冷やす効果が期待できます。
場合によっては、水風呂に入るよりも体が冷えた感覚を得ることもできます。
また炭酸水に含まれる二酸化炭素によって血液中の二酸化炭素濃度が上がり、より血流が良くなると言った効果も期待できます。
炭酸水の弱点はミネラルや塩分=ナトリウムなどの電解質といった成分が少ないので、体力回復のための栄養補給は期待できません。
オロポはオロナミンC×ポカリスエット のハイブリッド飲料で、水分補給、栄養補給、炭酸の爽快感が同時に得られる最高の飲み物と言えるかもしれません。
エナジードリンク
チルアウトは日本語に訳すると「冷静になる、落ち着く」といった意味になります。
若い世代を中心に、「チルする」=「ゆったりする」「まったりする」といった意味で活用されており、活動的なエネルギーの発散ではなく、よりゆったりした時間を過ごしながら、リラックスすることや休むことを重視するという考え方も表しています。
「炭酸飲料じゃパンチがありすぎる。でもジュースじゃなんか物足りない。」…そんな夜のリラックスタイムにおすすめな、程よい刺激と爽やかなフレーバー、心落ち着く成分の入った商品がチルアウトです。
ノンカフェインで人工甘味料、着色料、保存料フリー、さらにGABAなどのリラックス効果のある成分が配合されています。
そのためチルアウトを飲んだ後は、脳の緊張が和らぎリラックス効果、良質な睡眠が得られる効果があることが報告されています。
水分補給というよりも、サウナ後のチル感をアップさせる飲み物と言えるかもしれません。
お茶
お茶の効能の素晴らしさは、ポリフェノール、カテキン、ビタミン、ミネラル成分が多く含まれており、健康や美容といった面に実に多様な効果を発揮します。
サウナとお茶はほぼ同様の効果が期待でき、さらにサウナと掛け合わせて飲むことで相乗効果があります。
脂肪燃焼効果、美肌・リラックス効果、感染抑制効果などさまざまな効果が期待できます。
さらにお茶はサウナ直後の脳や体への負担が少ない飲み物です。
サウナに入った直後は発汗して、血流も良くめぐっている状態です。
すでにサウナで脳も体もととのっている状態で刺激物を摂取すると普段よりも反応しやすくなります。
ですからサウナに入った後は、プラスアルファで脳や体に余計な負担をかける飲み物を摂取することは避けたほうが無難です。
お茶は、熱い時でも冷たい時でも、脳や体への余分な負担が少ない飲み物なので、サウナ後に飲むドリンクとしてとてもおすすめです。
牛乳
日本では銭湯文化の影響もり、お風呂上りにぐいっと牛乳を飲むことが多いのではないでしょうか。
牛乳にはたくさんのカルシウムが含まれているので筋肉の疲れをとり神経の興奮を抑えて眠りやすくする効果があります。
また鉄分による貧血対策、ビタミンAによる乾燥予防、水分補給などの効果が期待できます。
一見すると牛乳はサウナにとても合った飲み物のように思えますが、それはあくまでも毎日牛乳を飲み続けた場合です。
サウナ前後の飲み物の大きな目的は「汗で流れた水分補給」が目的です。
その観点からすると、牛乳には多くの栄養成分が含まれるがために消化吸収に時間がかかり「 食べ物を食べてる」ことに近い状態と言えます。
ですから「たまに牛乳を飲む」だけではあまり効果は期待できないと言えるかもしれません。
コーヒー
銭湯の後のコーヒー牛乳も定番かもしれません。
コーヒーに含まれるカフェインは、すばやく吸収されるためほんの数分で脳に到達します。
脳に達したカフェインは、アデノシンという睡眠欲求を高めるホルモンを引き付ける神経細胞の一部に結合します。
これにより、アデノシンは神経細胞と結合できなくなるので、神経が覚醒して、目が覚めイキイキとした気分になります。
ですから、コーヒーを飲み終える頃には、脳は最高のパフォーマンスを出せる状態に達します。
そのような意味では、サウナでととのってトランス状態となっている脳を現実に戻すにはコーヒーはもってこいかもしれません。
しかし水分補給という意味ではコーヒーはお勧めできません。
なぜならカフェインには利尿効果があり、飲みすぎると脱水を増長してしまうからです。
ちなみにサウナ発祥の地フィンランドはコーヒー消費量世界No.1なんです。
アルコール
「サウナ上がりのビールは定番!」という人も多いのではないでしょうか。
ですが、サウナを上がってすぐのアルコールは、先ほども説明したように基本的にはNGです。
アルコールは利尿作用があるため、飲んだ以上の脱水をもたらす可能性があります。
またアルコールを分解するのには水分の他ビタミンも必要です。
サウナのあとはビタミンも不足しがちなので、お酒を飲むことで体に負担をかけてしまいます。
また、水分が抜けている状態でお酒を飲むと、アルコールが一気に体に吸収されることで普段よりも早く酔いが回ってしまう場合もあります。
サウナ後のアルコールが危険なように、飲酒した後のサウナも体に大きく負担をかけるため避けた方が良いでしょう。
アルコールを分解するためにはたくさんの水分が必要となりますが、サウナに入ることで本来必要とする水分が汗として抜けてしまい、分解が遅れてしまう場合もあります。
また、アルコールには血管を拡張させる作用があるため、一時的に血圧を低下させます。
サウナも温熱効果によって血管拡張と血圧低下の効果があります。
飲酒後にサウナに入ることは血圧を二重に低下させる作用があるため、サウナの中で意識を失ってしまう危険性も含んでいます。
飲酒直後にサウナに入るのは非常に危険なのでやめておきましょう。
説明してきたように、サウナの前でも後でも医学的にはアルコールは推奨されません。
しかしサウナの起源であるフィンランドでは多くの人がサウナでロンケロを好んで飲んでいます。
ロンケロとはオリジナルロングドリンクのことで、長年厳しい禁酒法下にあったフィンランドにおいて、1952年のヘルシンキ夏季オリンピックのために開発されました。
大勢の海外からの観光客が飲むお酒が足りないという事態におちいらないために法律が緩和されロンケロが登場しました。
「社交の場ではお酒を楽しむのが一般的」かつ「サウナは社交場の一つである」という背景がロンケロを誕生させたわけです。
ロンケロはベースにジンを使用しグレープフルーツソーダで割ったお酒で、アルコール度数は4~6%と飲みやすい仕様となっています。
ムーミンのふるさと北欧フィンランドからやって来たピンクのお酒ロンケロ…お勧めです。
ユーグレナ
ユーグレナ(和名:ミドリムシ)は微細藻類の一種です。
ユーグレナと聞くとバイオ燃料を思い浮かべる人も多いかもしれません。
植物や動物など、地上にある生物資源(バイオマス原料)から製造されるバイオ燃料はサステナブルな燃料として注目を集める分野です。
ここで紹介するユーグレナはバイオ燃料ではなく健康飲料である「からだにユーグレナ」です。
藻は植物と動物の両方の性質を持つので、野菜に含まれるビタミンやミネラルに加え、魚に含まれるDHA、EPAといった不飽和脂肪酸など59種類もの栄養素を持っています。
そのような藻の中でも石垣島ユーグレナをぎゅっと濃縮したのが「からだにユーグレナ」です。
ちなみに「からだにユーグレナ」は自分のよく通う「COCOFUROたかの湯」で飲むことができます。
”COCOFUROたかの湯”についてはこちらの記事もご参照ください。
参考【サウナの脳科学】COCOFUROたかの湯のミュージックロウリュを勝手に脳科学で探る
COCOFUROたかの湯のミュージックロウリュはなぜ多くのサウナ―を惹きつけるのでしょう? そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。 このブログでは脳神 ...
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その他にもさまざまなお勧めの飲み物がありますが、結局は正しい知識をもって、その飲み物を飲んだらどのような効果があり、どのようなことが起こり得るか、どのようなことに気をつけなければならないのか、などをしっかり理解していることが何よりも大切です。
「美味しければ何を飲んでもいいんじゃない?」…そのような安易な気持ちが脳や体に思いがけない負担をかけていることもあります。
水中毒にはご注意を
サウナでは水分補給はとても大切です。
しかし脱水を恐れるあまり水分の取りすぎは、逆に「水中毒」を引き起こしとても危険です。
水中毒はその名の通り、水分を摂りすぎることで起こってしまう病態です。
しかしサウナをよく利用する人は絶対知っておくべき知識です。
水中毒は、過剰な水分摂取によって生じる中毒症状で、血液中の塩分=ナトリウムの濃度が低下する状態です。
血液中の水分が増えることで相対的に血液中のナトリウムの濃度が薄まってしまい、水分に見合う塩分が足りなくなるわけです。
一見すると、汗で塩分が出て行ってしまう熱中症と似ているようにも思えるかもしれません。
しかし病態としてはまったく異なります。
熱中症の場合は、発汗の結果、ナトリウムが汗と共に皮膚表面へ失われています。
汗をなめると塩辛く感じますし、汗をかいてそのまま放置していると、皮膚に塩の結晶みたいな状態が見られます。
その結果、血液内のナトリウムが不足する状態が起こります。
一方、水中毒の場合は血液内のナトリウムは変わりませんが、水で薄められた結果、ナトリウムの濃度が低下するのです。
汗をかいて体内の塩分が少なくなった状態に、さらに水分だけを入れるというのはさらにナトリウムの濃度を薄めている結果となっているということです。
血液中のナトリウムの濃度が低下すると、疲労感、頭痛、吐き気を引き起こし、さらに低下すると意識の状態が悪くなり、最終的には呼吸困難から死に至ります。
しかしそう簡単に水中毒になることはありません。
水中毒が心配な状況とは、高度な脱水となり意識がもうろうとなった時に、周囲から水を飲むように勧められ、ひたすら飲んだ結果水中毒になることがあります。
サウナでたくさん汗をかいた後の体は水分ととともに塩分も失った状態です。
このような脱水状態ではキンキンに冷えた水は最高のごちそうかもしれませんが、あまり急激に飲むと体が「薄まった」味噌汁になってしまうことを覚えておきましょう。
水中毒を防止する一番の方法はこまめに水分補給をすることです。
そのためにもサウナに入る前からちょこちょこ水分を取るように心がけることが肝心と言えます。
サウナと脳と水分補給の関係
サウナにまつわる水分補給について説明してきましたが、いかに正確な知識を持って水分補給をすることが大切かをおわかりいただけたでしょうか。
サウナでととのう…つまりサウナトランスの状態では大量の脳内麻薬が脳内を駆けめぐり、脳にとっては最高の状態となります。
“脳内麻薬の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
参考【サウナ好き必見】「サウナでととのう」の意味、方法、効果を脳科学で探る
「サウナでととのう」とは脳科学的にどのような意味や方法や効果があるのでしょうか?? そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。 このブログでは脳神経外科医 ...
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しかしそれはしっかりと水分補給をした上での話です。
水分補給は体にとって大切なだけでなく、脳にとってもとても大切なことです。
「日常的にしっかり水を飲むことで認知機能が改善する」という内容で、多くの専門家が1日1.5Lの水分補給を推奨しています。
先ほど説明したように、喉の渇きを自覚した時には、実際にはすでにかなりの脱水になっていることがほとんどです。
しかし自分が脱水になっていると気づかずに放置してしまうと脳の機能が低下し、次第に日常生活に支障をきたすようになります。
そして脱水状態が慢性化してしまうと、脳や体を動かさない日が続くことになります。
その結果、脳に大きな悪影響をもたらし、脳が衰えることで認知症になりやすくなってしまうのです。
加齢とともに体の筋肉量は減少しますので必要とする水分量も減少します。
そのため水分摂取の必要性を感じにくくなるのです。
さらには筋肉量が減少すると、体内に溜め込めことのできる水分量も低下していきます。
体内の水分が不足することで運動機能や体温調節機能が低下し、時には妄想や幻覚などが起こります。
脳の機能が低下し老化していく最大の原因は水分不足といってもいいかもしれません。
バランスの取れた食事や適度な運動など生活習慣の改善は認知症にとても効果的です。
しかし当たり前のようで忘れがちである水分補給も、認知症にとって重要な対策方法なのです。
あわてて一度に大量の水分を摂取すると、先ほどした水中毒を引き起こしたり、心臓に負荷がかかったりと悪影響にもなりかねません。
みなさんもサウナに行く時だけ水分補給をするのではなく、サウナを通して水分補給の大切さを知って、日ごろからこまめに水分補給をするように心がけてみてください。
ぜひ正しい知識で水分補給をして、脳にも体にも安全で快適なサ活を楽しみましょう。
“サウナにまつわる水分補給の脳科学”のまとめ
サウナにまつわる水分補給を脳科学で説き明かしてみました。
今回のまとめ
- サウナでは1セットこなすと約500ml程度の水分を失います。
- のどが渇いたと感じた時には、すでに体重の2%の水分を失った状態であり脱水状態と言えます。
- サウナの前中後に水分補給をすることは大切ですが、特にサウナに入る前の水分補給が大切です。
- サウナで脱水状態となった脳と体にはどのような飲み物で水分補給をするのが安全で効果的なのかを理解しておきましょう。
- サウナに入る時だけでなく、日ごろから正しい知識を持ってこまめに水分補給することが、脳の健康を維持する秘訣であり、認知症の予防にもつながります。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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