人目が気になるんですけどこれって克服できますか?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年…多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきますね。
この記事を読んでわかることはコレ!
- なぜ人目が気になるのかは脳の自己犠牲の能力を理解するとわかります。
- 人目が気になる心理は克服できるのかがわかります。
人目が気になるって病気なの?
人目が気になる心理は克服できるのか?
- 人目が気になるは病気ではありません。
- 人目を気にする心理の根源は自己犠牲にあります。
- 自己犠牲はもともと脳に備わった大切な能力です。
- 自己犠牲によって健全で心地よい社会が成り立っているのです。
- ですから皆さんも人目を気にしながら生きていいのです。
人は誰でも多少なりとも人目を気にしています。
そしてこれは病気ではありません。
1人だったらオナラをしたりしてしまうかもしれませんが同じ場に他人がいたらしませんよね。
人は大きな社会や集団の中で生きています。
つまり1人だけで生きているわけではありません。
その中で生きていくために必要なのは“社会性のある行動”をとることです。
”1人だけの時にできる行動が人前でできない”
このことこそがすでに社会性のある行動をとっていることになるのです。
人目が気になる-その1
人目を気にすることで自分の行動に制限をかけることが大きな社会で生きていくためには必要なのです。
ですから人目を気にすることは病気ではないのです。
それは人目を気にする心理の根源は“自己犠牲”にあるからです。
人目を気にする=自己犠牲?
なんかよくわからないなあ…
人目が気になる-その2
人目が気になるのは自己を犠牲にしているからこそ窮屈に感じてしまうのです。
他人の前でオナラをしないのは自分の欲望を犠牲にしてまでも社会性のある行動を優先させているのです。
“人目を気にする=自己犠牲”は人目を気にする心理を理解すればもっとわかりやすくなります。
人目が気になる心理を説く
あなたが人目を気にするのはどんな時ですか?
きっと自分の欲望を満たす行動に何か後ろめたさを感じている時ではないでしょうか?
他人の物をもし盗もうとしたら堂々とはしませんよね。
人目を気にしながら盗むしかありません。
しかし他人の物を盗むのは良くないことなので結局盗みません。
そう言ってしまえばそれまでですがなぜ当たり前なのでしょうか?
この問題は簡単なようで意外と難しい問題です。
ですからちゃんとした答えはありません。
”他人の物をもし仮に自由に盗んでもよいとしてしまうとまわりまわって結局自分の物も盗まれてもよい“
そうなってしまいます。
他人の物を盗まないのは盗むことで得られる利益よりも自分のものが盗まれないようにすることを優先させているのです。
つまり自分の利益を犠牲にしてまでも社会性を優先させることで自分に不利益なことが降りかかってこないように自己防衛しているのです。
結局は自分を犠牲にしてでも社会でうまく生きていくことを優先させているのです。
自分が人目を気にするのは何か後ろめたいことがあって他人には見られたくないことです。
もし自分が人目を気にせずに堂々としてもよいのであれば他人も堂々と同じことをしてきます。
しかしそれは当然自分にとって不快なことです。
ですから自分の欲望を犠牲にしても他人のためにつくして健全な社会性のある行動をとろうとするのです。
これはある意味“自己犠牲”の心理です。
人目が気になる-その3
人目を気にして自己を犠牲にすることで社会はうまく回っていくのです。
ですから人目を気にする心理の根源は“自己犠牲”にあると言えるのです。
しかしこれはあくまでも“人目を気にする心理”であって“人目を気にする脳科学”ではありません。
心理学=脳科学では決してないのです。
脳科学を理解すれば“人目が気になるを克服する方法”の答えが導き出せてきます。
人目が気になるを脳科学で説く
健全な社会性のある行動をとるために人の脳には自己犠牲的な行動をとるようなプログラムがもともと仕組まれています。
脳の中の前頭前野のさらに奥にある腹外側部という部分が自己犠牲をコントロールしていることがわかっています。
つまり自分の利益を優先させた行動=自己中心的な行動をとり始めます。
このように脳は自己犠牲をうまくコントロールしているわけですがそれでも当然ルールを破る人もいます。
つまり腹外側部がしっかり働いているにも関わらず自己犠牲が実行されない場合です。
このような人に対して脳は“罰”をあたえようとします。
そして罰をあたえることで脳の報酬系回路が作動して快楽を感じるようになります。
“報酬系回路に関する脳科学”についてはこちらの記事をご参照ください。
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ここで”罰”に関するおもしろい研究があります。
2人で金銭トレードをする研究です。
この研究は”ジレンマゲーム”と名付けられています。
選択肢は2つで“協力”か“逃亡”です。
“協力”を選択すると1万円を支払って見返りとして2万円がもらえます。
“逃亡”を選択すると相手から1万円を奪って逃げることができます。
どちらの選択をしても結局1万円もらえるように見えます。
しかし相手の出方次第によっては結果が変わってきます。
自分が“協力”した時に相手も“協力”したのならばお互いに1万円得をします。
しかし自分が“協力”したにもかかわらず相手が“逃亡”を選んだ場合は相手に1万円を渡した上に1万円奪われてしまうので2万円損をします。
お互いに“逃亡”すれば持ち金に変化はありません。
結果は“協力”を選択したのはわずか20%でした。
その理由はちょっと考えてみればよくわかります。
お互いに“協力”を選んだ時がもっとも両者にとってハッピーです。
しかし自分の利益だけを考えるのであれば相手が“協力”を選んだ時に自分が“逃亡”を選べば大儲けできます。
逆に相手が“逃亡”を選んだ場合には自分も“逃亡”を選ばなければ大損してしまいます。
ですから相手がどちらを選んだにせよ自分としてはつねに“逃亡”を選んでおいた方が得策なのです。
本当はお互いに“協力”を選びたい…
しかし自分の得のためにはやむなく“逃亡”を選ばざるを得ない…
まさに“ジレンマ”です。
ジレンマがおこる状況には自己犠牲の精神はありません。
そこで登場するのが“罰”です。
新たな選択肢として“罰”を加えます。
相手が自分にとって不快な行動をとった場合に選択することができます。
“罰”は1万円を払うことで相手に4万円の罰金を課すことができます。
つまり“罰”を選択すると自分も相手も損をしてしまいます。
自分も損をしますが相手は大損をします。
結果は“協力”を選択した人が50%に増加しました。
ちなみに“罰”を選択した人はほとんどいませんでした。
“逃亡”して相手に不快をあたえると“罰”によって大損してしまいます。
ですから“罰”を恐れて“協力”を選択する人が増えたのです。
一見するとお互いに協力し合って得をするはずの“協力”は実は“罰”を恐れた自己中心的な選択であったにすぎないのです。
しかも“罰”は実際には使われていないにもかかわらず存在するだけで大きな効力を発揮するのです。
この場合の“罰”はまさに自己犠牲にあたります。
人目が気になる-その4
自分の利益を犠牲にしても健全な社会性のある行動を相手に求めているのです。
こうした“見えざる力”である自己犠牲が安定した社会を形成しているのです。
ですから不快なことに対して罰を与えてそこから快楽を得ようとします。
しかしそもそも不快なことがなければそれにこしたことはありません。
自己犠牲はそのために脳に備わっっているのです。
そう考えると“人目が気になる”ことは脳科学的にも当然のことなのです。
それでは最後に人目を気になるを克服する方法を探ってみましょう。
人目が気になるを克服する
ここまで人目が気になるを心理学、脳科学で探ってきました。
”人目が気になる”ことは心理学的には自己犠牲であり、脳科学的にはもともと脳に備わった大切な能力です。
ですから克服する必要もそもそもないですし大いに人目を気にしてよいのです。
きっと羞恥、同情、罪悪といった社会的なモラルが完全に崩壊してしまうでしょう。
人目が気になる-その5
本当は思いっきりオナラをしたいけど人前でオナラをするのは良くないですよね…
そんな根拠のない何となくの直観が人間らしさを生み出します。
そして”オナラをがまんする”という自分の利益をおさえた自己犠牲を働かせることで心地よい社会が成り立っているのです。
逆に人目が気にならない人は自己犠牲の精神をもっと磨くべきなのかもしれません。
こんな本もありますので参照してみてください。
”人目が気になる心理と脳科学”のまとめ
人目が気になる心理を探り“人目が気になる心理は克服できるのか?”を脳科学的に解き明かしました。
今回のまとめ
- 人目が気になるは病気ではありません。
- 人目を気にする心理の根源は自己犠牲にあります。
- 自己犠牲はもともと脳に備わった大切な能力です。
- 自己犠牲によって健全で心地よい社会が成り立っているのです。
- ですから皆さんも人目を気にしながら生きていいのです。
今回の記事がみなさんに少しでもお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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