昼ごはんを食べると眠くなるけどお昼寝すると午後の仕事の効率アップにつながるの?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
- お昼寝(パワーナップ)の驚くべき効果がわかります。
- どのようなお昼寝(パワーナップ)のやり方が効果的なのかのコツがわかります。
「パワーナップ」って知ってますか?
パワーナップの脳科学
- お昼ご飯を食べたらパワーナップを取り入れて午後も健康的に働きましょう。
- そのためにはパワーナップの正しい知識を身につけましょう。
朝からがんばって働いてようやくランチタイム。
と思った矢先に”眠気”がおそってきてついついうたた寝…
眠い状態で気合を入れてがんばってみてものの…
そんな感じになりますよね。
なんて方に朗報です。
それがパワーナップです。
パワーナップとは
「パワーナップ」とはお昼寝を意味する“nap”と“power-up”を合わせた造語です。
アメリカの社会心理学者であるジェームス・マース氏が提唱しました。
和訳すると積極的睡眠、つまり午後のちょっとしたお昼寝です。
今ではGoogleやYahooの本社をはじめとして多くの企業で推奨され実際に取り入れられています。
「パワーナップ」の驚くべき効果
パワーナップはその効果がちゃんと科学的に証明されたお昼寝です。
ではパワーナップの驚くべき効果をご紹介しましょう!
「パワーナップ」の効果は科学的に証明されている
パワーナップ、つまり午後のちょっとしたお昼寝は科学的にその効果が証明されています。
証明したのはみなさんよくご存じのアメリカ航空宇宙局NASAです。
NASAはNASA Napsという睡眠研究を行い昼間に26分間のお昼寝をすると認知能力が34%、注意力が54%向上してお昼寝をしない場合と比べて明らかな差があることを研究結果として発表しました。
お昼ご飯を食べると眠くなる理由
これには2つの原因があります。
昼食後に眠くなる理由
お昼ご飯を食べて血糖値が急激に上昇する
もともとの生体リズム
脳内にあるオレキシン作動性ニューロンという神経細胞が関係しています。
お昼ご飯を食べると血糖値が上がります。
すると神経細胞のスイッチがOFFになって眠くなります。
逆におなかがすいてくると神経細胞のスイッチがONになって目が覚めてきます。
生体リズムとはもともと脳や体が持っているリズムです。
例えば朝になると目が覚めて夜になると自然と眠くなる。
そんな生活の中で刻まれる無意識なのに規則正しいリズムが生体リズムです。
自分で意識していなくても脳や体は生体リズムでコントロールされています。
体内時計では夜中の午前2〜4時頃、お昼の午後2〜4時頃に眠くなるピークが訪れるように設定されています。
ここで注目されるのがパワーナップです。
「パワーナップ」の驚くべき効果ってなんだろう?
お昼ご飯を食べた後に少しだけ仮眠をとることには大きな効果があります。
パワーナップの効果-その1
ストレスや疲れが取れる
集中力、注意力、記憶力が上がる
作業効率が上がる
成人病や突然死のリスクを減らす
これはパワーナップによって脳内にたまった“キャッシュ・メモリ”がクリアされて脳の中で情報を整理したり記憶したり優先順位をつけたりする“ワーキング・メモリ”が増えることの効果です。
脳がすっきりして仕事の効率が大幅にアップするのです。
ではどうしてパワーナップにはこのような効果があるのでしょう。
パワーナップの効果-その2
有効なパワーナップは正午から15時くらいまでのあいだに20分間程度の仮眠をとることを推奨しています。
15時以降のあまり遅い時間に仮眠をとると夜なかなか眠れずに寝不足になってしまいます。
脳の眠りのリズム
睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠があります。
人は眠るとまずノンレム睡眠に入ります。
ノンレム睡眠は脳が眠った状態で4段階あります。
ノンレム睡眠は90分程度続きます。
その後に体が眠るレム睡眠に変わります。
その後またノンレム睡眠になりレム睡眠に変わる、
これを繰り返し続けます。
一晩にだいたい3~4回繰り返します。
ノンレム睡眠の4段階とレム睡眠を簡単に説明します。
睡眠の段階
ノンレム睡眠 第1段階 まどろみ期・入眠期 うとうとした睡眠
ノンレム睡眠 第2段階 軽睡眠期 軽い寝息をたてるような眠り
ノンレム睡眠 第3段階 中等度睡眠期 かなり深い眠り
ノンレム睡眠 第4段階 深睡眠期 もっと深い眠り
レム睡眠期 逆説睡眠期 体は眠っていて安定した深い眠りですが脳の眠りは浅く夢を見る睡眠
眠り始めて20分くらいするとノンレム睡眠の第2段階まで進みます。
この段階で脳内の“キャッシュ・メモリ”がクリアされます。
しかしこれ以上眠ってしまい第3段階に突入するといわゆる爆睡状態となり目覚めが悪く起きてからもぼーっとしてしまいます。
ですからパワーナップでは20分くらいの仮眠が推奨されているのです。
ちなみに厚生労働省も「健康づくりのための睡眠指針検討会報告書」の中でお昼寝を推奨しています。
効率的な「パワーナップ」のやり方とコツ
ここでパワーナップには注意事項があります。
パワーナップはただお昼寝すればいいというものではありません。
その効果を最大限に発揮するためにいくつかの注意事項があります。
お昼寝タイムは20分
パワーナップは20分が最も効率が良いとされています。
20分は先ほどご説明したように深い眠りに入る直前までの時間です。
これ以上寝ると仮眠ではなく爆睡になります。
お昼寝は午後早めの時間
パワーナップは正午から15時くらいまでの時間が最も効率が良いとされています。
先ほどご説明したように15時以降にお昼寝をすると夜眠れなくなり睡眠不足になってしまい逆効果なんてこともあります。
体を横にしてリラックスした体制で眠る
パワーナップは脳も体もゆっくり休める体制で眠るのが効率が良いとされています。
企業によってはお昼寝専用のスペースが用意されていたり、街中にはお昼寝スポットがあったりします。
それが無理な場合は机に顔を伏せて寝るのでも構いません。
顔を伏せると言っても硬い机の上ではゆっくり眠れませんよね。
このような枕を使うとかなり快適なお昼寝効果が期待できます。
光と音をなるべく遮断する
パワーナップは光と音をなるべく遮断して眠るのが効率が良いとされています。
光と音の刺激は睡眠の質を大幅に下げてしまいます。
お昼寝スペースがない場合には机に顔を伏せてアイマスクや耳栓を使用するのが効果的です。しかし、
ノイズキャンセリングイヤホンは高価なものが多いですが自分はAnkerのイヤホンを愛用しています。
比較的低価格なのにとても高機能で実際に音楽を聴いた時も満足のできる高音質を実現しています。
ノイズキャンセリングイヤホンを耳につけておけば音楽を聴いていなくてもイヤホンに内蔵されたマイクで周囲の音を拾って分析し騒音を打ち消す効果で雑音を減らすことができます。
スマホにBluetooth接続しおけば周囲の雑音がシャントアウトされる上にアラーム音が鳴り響く心配もなくゆっくりと眠れます。
お昼寝前にはカフェインをとりましょう
パワーナップの前にはカフェインを摂取するのが効率が良いとされています。
とお思いでしょう。
ですからお昼寝前にコーヒーやお茶を飲んでおくと20分のお昼寝をして起きた時にすっきり目覚められます。
パワーナップは夜の睡眠の3倍の効果あり
パワーナップには夜間の睡眠の3倍の効果があるとされています。
これは科学的にとても大切な習慣なのです。
なんて思われがちですよね。
しかしそれは違います。
パワーナップには夜の睡眠の3倍の効果があることが証明されています。
日本でもパワーナップを取り入れている企業が目立ってきています。
皆さんも正しい知識を身につけてパワーナップで仕事の効率アップを目指しましょう。
パワーナップについてもっと知りたい方はこちらをご参照ください。お勧めです。
”パワーナップの脳科学”のまとめ
今回は大人のお昼寝=パワーナップをご紹介しました。
今回のまとめ
- お昼ご飯を食べたらパワーナップを取り入れて午後も健康的に働きましょう。
- そのためにはパワーナップの正しい知識を身につけましょう。
短時間で効果が得られるパワーナップは誰でもすぐに始めることが可能です。
正しい知識を身につけて健康で効率的な生活を送りましょう。
これからも少しでも理解を深めてもらうために脳の情報を提供していきます。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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