夏休みの宿題なんてなんであるのでしょう?
もう夏休み終わっちゃうのに宿題がまだまだたくさん残っている時はどうしたらよいのでしょう?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
- 夏休みの宿題が残っている人が宿題を終わらせるための知恵がなんとなくわかります。
そもそもなんで夏休みに宿題なんて出すんだろう?
夏休みの宿題を早く終わらせるための脳科学
- 夏休みの宿題は気合だけでは終わりません。
- 宿題を終わらせるにはやる気スイッチをオンにしてモチベーションを上げる必要があります。
- しかし何もないところからはやる気は湧いて出てきません。
- 宿題を終わらせるという最終目標以外に短期間で達成できる小さな目標いくつも設定してそのたびにご褒美をもらう約束を取り付けましょう。
- ご褒美をもらうためにとりあえず宿題を始めましょう。
- すると脳がどんどん働いて宿題を終わらせることができるでしょう
今年は世界中がいろいろと騒がしくて今までのような長い夏休みを満喫できずにストレスがたまっているのではないでしょうか。
自分もずっとそんな疑問をもちつつも、”まあ仕方ないか…”と宿題をしていました。
夏休みの宿題
夏休みに宿題を出す理由は単純で、遊んでばかりいないで勉強して頭を良くしなさいという神話的な理由からです。
宿題をすることで学校教育の予習復習の学習効果が強化され、また自宅教育の機会につながるというような理論が展開されてきました。
しかし宿題に関してはさまざまな研究がされてこの理論は崩壊しつつあります。
ある研究によれば、
宿題によって得られる利益は年齢に依存している。
小学生が宿題をどれだけがんばっても成績が向上することは証明されていない。
そのため小学生の宿題は禁止に値する。
中学生でも宿題が成績を向上させることはほとんどない。
高校生になってようやく宿題で学術的な利益を得られるようになる。
ただし高校生でも1日2時間が限度でそれ以上宿題に時間をかけると利益は減少していく。
宿題のない文化で時間を有意義に過ごして毎日楽しく学習できる生活を起こることが推奨される。
そんなびっくりするような報告がされました。
そんな思いになりますよね。
海外では宿題がそもそも存在しない国がほとんどです。
キャンプに行ったりスポーツに挑戦したりと日々のびのびとそしてのんびりとしたいことをして過ごすのが夏休みです。
このような日本の古き悪しき風習の夏休みの宿題は100年近く前から続いているというのですからなおさらびっくりです。
なんて旗を振りかざしても誰も見向きもしてくれません。
とりあえず今は目の前のどっさりと残った宿題を片付けることに専念しましょう。
ちなみに、
なんて人がいたら、その人はここから先は読んでもあまり意味がありませんのでご注意ください。
夏休みの宿題がいつまでたっても終わらない症候群
宿題はもう終わったの?
遊んでないで早く宿題やりなさい!
そんな会話が毎日飛び交う夏休み。
先送り症候群
”宿題は明日やるから今日はやらなくていいんだよ。 その代わり今日は明日の分までめいいっぱい遊んでやろう。”
そんなことを毎日言い続ける…それが夏休みの宿題がいつまでたっても終わらない症候群、通称“先送り症候群”です。
いくら宿題をやるように言ってもテレビやらゲームやらYouTubeやらマンガやら…遊んでばかり。
やっと宿題を始めたらもう夜で疲れて眠くて集中力もなく本日終了。
そんな子供に、
遊びたいなら宿題をやってからにしなさい。
宿題をしないならおやつもご飯も抜きよ。
そんな言葉をかけていませんか。
しまいにはもうあきらめて、
もう勝手にすれば…
宿題をやらなくて困るのは自分だしね…
なんて悲しい展開になってませんか。
自分はどうでした?
宿題をすすんでやってましたか?
今の自分はどうですか?
毎日ジョギングする、ダイエットのためにおやつを食べないようにする、健康のために禁煙する…ちゃんとできていますか?
なんて思ってないですか。
先送り症候群は大人にもあるあるの習慣です。
特にに先送り症候群を目の当たりにした子供たちはなおさらです。
ではいったいどうやってモチベーションをあげて宿題をこなせばよいのでしょう。
モチベーションをあげる知恵袋
宿題をしない理由
なかなか宿題をしない理由はただ1つ…“やる気”が出ないからです。
好きなこと、楽しいことはやる気がでるのですすんでします。
しかしやる気がでないことを無理やりするのは苦痛以外のなにものでもありません。それでは、
どうやってやる気スイッチをオンにしてモチベーションを上げていけばよいのでしょう?
脳科学的やる気スイッチ
やる気スイッチを脳科学的に考えると、
外発的動機付け
作業興奮
の2つがあります。
なんて思いますよね。
それでは1つずつ解明していきましょう。
ご褒美でモチベーションを上げよう
外発的動機付け-その1
外発的動機付けとは目標を達成した時に報酬がもらえる方法です。簡単に言えば報酬=ご褒美でつる方法です。
なんて思ってませんか。
外発的動機付け-その2
外発的動機付けの手法は作業の効率を高める手段として脳科学的に確立された正式な方法です。
ご褒美と言うと、
そんなイメージになりがちですよね。
しかしご褒美はなにも具体的な形あるものである必要はありません。
人でも動物でも褒められると嬉しくなるものです。
それ以外でも、何かを達成したり理解できたりしたことに対する嬉しさであったり達成感であったり快感であったりさまざまですがそんな感情も一種のご褒美です。
ご褒美の設定の仕方にも工夫が必要です。
外発的動機付け-その3
ご褒美がもらえるまでのステップ数が多くなると作業の効率は極端に低下してエラー率が高くなることがわかっています。
算数の宿題をすべて終えたらご褒美がもらえると設定するとそれを達成する確率は極端に低下します。
しかしまずは計算の項目をすべて終えたらご褒美がもらえて、次に文章題の項目をすべて終えたらまたご褒美がもらえてとするとどうでしょう。
外発的動機付け-その4
達成するのにハードルが低い目標に対しては、モチベーションは明らかに上がりやすくなります。ご褒美への期待と作業効率の精度は非常に深く関係しています。
しかも作業が進みあと1項目で算数の宿題をすべて終わるというように、ゴールが見えてくると明らかなに作業効率があがり達成率が急上昇します。
脳の前の方にある前頭葉という領域がこの分野に大きく関与していることがわかっています。
“目標は高い方がよい”なんて言って壮大な計画を立てる人がいます。
しかしこれでは目標を達成してもご褒美が得られる回数が少ないですし、そもそもゴールに到達できず挫折してしまう可能性が高くなりがちです。
外発的動機付け-その5
宿題を終わらせるという最終目標以外に小さな目標、達成可能な目標を随時設定していくことが大切です。
それでは、
ご褒美をもらえるとどうしてそんなにモチベーションが上がるのでしょうか。
脳には報酬系の回路があります。
そして報酬の先に快楽を感じる領域があります。
その作用を担っているのはドーパミンとういう物質です。
ドーパミンは快楽を生み出す神経伝達物質と言われています。
ドーパミンを放出する神経細胞がたくさん集まる場所もわかっていてそこは腹側被蓋野という領域です。
外発的動機付け-その6
報酬が与えられると腹側被蓋野が刺激されてドーパミンが大量に放出され脳は快楽を感じます。
危険薬物やニコチンなどは腹側被蓋野を刺激することがわかっています。
そのためこれらを摂取するとドーパミンが大量に放出されて快楽が得られるのです。
外発的動機付け-その7
報酬系の回路には習慣性や依存性があります。
そのため危険薬物やニコチンは効果が切れるとまた欲しくなる精神依存の状態になるのです。
これは危険薬物やニコチンに限った話ではなく、勉強であったり恋愛であったりさまざまなことでも同じように働きます。
外発的動機付け-その8
習慣性や依存性が高まっている時に報酬系の回路で起きていることは価値基準の置き換えです。
報酬によって得られる快楽を優先するあまり盲目的となり何が大切なのかの優先順位が入れ替わってしまいます。
時には生きていくために必要な食事や睡眠のための時間を削ってまでも作業を進めようとします。
なにもそこまですることはありませんがそれくらい報酬系の回路の影響力は大きいのです。
このように考えると、”ご褒美を使うなんて動機が不純ですね”なんて思いはなくなるのではないでしょうか。
とりあえず宿題をはじめよう
脳は生物の体の中でもっとも大切な場所で脳がなければ生きていけない…なんてと思ってないでしょうか。
実際原始生物には脳が存在しないものもあります。
脳は外界の世界との接点がない臓器であり、外の世界の環境を感知したり働きかけたりするのは手足などの体です。
作業興奮-その1
脳は体があってはじめてその意味がでてくるものであり体にそのすべてを依存しています。
動かす手があるから手を動かすための脳の領域があるのです。
手に動けと命令する脳があるから手が存在するのではないのです。
もっと詳しく
ギターがうまい人は指を動かすための脳の領域が普通の人に比べて広くなっています。
これは指を動かす領域が広いからギターがうまいのではなくて、ギターを一生懸命練習して指がうまく動かせるようになったから指を動かす領域が広くなったのです。
事故などで手が切断されたり損傷してしまったりした人は手を動かす脳の領域は委縮してしまいます。
これは手がこわれてしまっているためいくら脳が手を動かす指令を出しても手が動くことはないので脳は委縮してしまうのです。
脳を中心に考えすぎると脳偏重主義におちいりやすくなるため注意が必要です。
次に脳梗塞のリハビリテーションを考えてみましょう。
もっと詳しく
脳梗塞によって手が動かしづらくなってしまうと手のリハビリテーションを行います。
若い人と歳をとった人を比べると若い人の方が早く回復します。
それはリハビリテーションによって脳の中で神経の機能が再生するのは若い人の方が早いためかもしれません。
しかし実際に脳の状態は若い人でも歳をとった人でもそれほど差はなく神経の機能が回復するスピードもさして変わりはありません。
年齢によって違うのは脳よりも体の元気の程度です。
若い人の方が体はよく動くので脳からの情報を体がキャッチして手の動きの回復が早くなるのです。
最初は脳からの指令で手が動きます。
しかしリハビリテーションで手を激しく動かすことで脳の手を動かす領域がますます活性化されていきます。
その刺激が脳の周りの他の領域も活性化させていきます。
するとやる気スイッチが入りモチベーションがあがりリハビリテーションがより効果的になるのです。
作業興奮-その2
体の動きに引っ張られる形で脳が活性化するのです。これを作業興奮と言います。
体を使って作業することで脳が興奮状態になり神経細胞の働きがより活発になるように導かれていくのです。
作業興奮-その3
宿題が面倒だとかやりたくないとか思っていてもとりあえず体を動かして宿題を始めてみるのです。
すると脳がに引きずられて興奮しはじめます。
最終的にはやる気スイッチがオンとなりモチベーションがあげあげになるのを導いてくれるのです。
まずは宿題を始めてみなめれば終わることはありません。
やる気スイッチを入れて夏休みの宿題を終わらせよう
ココがポイント
宿題を終わらせるというやる気を自分の内側から生み出すことはそう簡単なことではありません。
それは大人にとっても同じことです。
ますますやる気がなくなるのではないでしょうか。
しっかりとした根拠のある方法でやる気スイッチを入れてあげましょう。
夏休みの宿題を終わらせる知恵袋
宿題を終わらせるということが最終目標です。
しかしその前にもっと小さな目標、とりあえず達成できる簡単な目標をいくつも設定することが大切です。
小さな目標でも達成するたびにご褒美をもらって快楽を得ることが大切です。
この快楽のためにはまずは宿題を始めましょう。
手を動かしていればだんだん脳が興奮してきて作業の効率が上昇してきます。
そこでご褒美がもらえればさらにモチベーションが上がって効率アップです。
このサイクルを繰り返すことで夏休みの宿題は終わることでしょう。
最後にご注意ですが、この記事は夏休みの宿題を終わらせるための知恵を個人的に脳科学の見地から考えたものであり万人に有効でないことをご了承ください。
もっともっとモチベーションあげあげで行きたいという人はメンタリストDaiGoさんが推薦しているこちらをご参照ください。
”夏休みの宿題を早く終わらせるための脳科学”のまとめ
夏休みの宿題を終わらせるための知恵について脳科学的に解説しました。
今回のまとめ
- 夏休みの宿題は気合だけでは終わりません。
- 宿題を終わらせるにはやる気スイッチをオンにしてモチベーションを上げる必要があります。
- しかし何もないところからはやる気は湧いて出てきません。
- 宿題を終わらせるという最終目標以外に短期間で達成できる小さな目標いくつも設定してそのたびにご褒美をもらう約束を取り付けましょう。
- ご褒美をもらうためにとりあえず宿題を始めましょう。
- すると脳がどんどん働いて宿題を終わらせることができるでしょう
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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