恋愛や仕事で相手の心に響くにはどのような言葉が効果的なの?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年…多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきますね。
この記事を読んでわかることはコレ!
- 恋愛や仕事で心に響く言葉の選び方がわかります。
恋愛や仕事で大切な言葉選び
恋愛や仕事で心に響く言葉の選び方
- 相手の『本当の人格』を引き出すにはあなたの言葉選びがとても重要です。
- 目先のことよりも相手自身のことを考えた言葉選びは相手の心と脳に響き渡ります。
- しかし響きすぎる言葉は脳をバグらせカリギュラ効果を引き起こしますのでご注意ください。
心に響く言葉の選び方
『本当の人格』と『実際の行動』は別物です。
ですから『本当の人格』をいかにして引き出すかが大切でありそれは言葉選びにかかっているのです。
自分の運命を左右するような恋愛や仕事の場面において言葉選びはとても大切です。
同じ内容を伝えるにしても言葉選び1つで情勢が大きく変わってしまうなんてことはざらにあります。
しかしそこまで思慮深く言葉選びをしている人がどれほどいるでしょうか?
ここでは言葉選びの大切さを脳科学で探っていきます。
言葉選びがいかに脳に多大な影響を与えているかを理解すればあなたの明日はきっともっと輝いた素晴らしいものになると思います。
恋愛や仕事で心に響く言葉の選び方
1から10までの数字を1つ選んで思い浮かべてみてください。
どんな数字を思い浮かべたでしょう?
選ばれた数字は確率的には奇数も偶数も同じで50%になるはずです。
しかし実際は偶数を思い浮かべる人は20%しかいません。
ここで追加の質問をすると結果は大きく変わってきます。
思い浮かべた数字がもし偶数であったら1000円差し上げます。
あなたが思い浮かべた数字は何ですか?
お金をもらえるとなった途端”偶数を思い浮かべた”という人はなんと50%に増加します。
つまり本当は奇数を思い浮かべていたのにお金をもらうために嘘をつく人が30%もいるのです。
嘘の申告をできるだけ抑えるために次の2つの忠告をしました。
A 嘘をつかないでください。
B 嘘つきにならないでください。
一体どちらの忠告の効果が大きかったのでしょうか?
正解はBです。
『嘘つきにならないでください』の方が多くの人の心に響く忠告だったのです。
実際の結果ではBでは偶数を思い浮かべたという人はもとの20%に下がりました。
つまり嘘をつく人がいなくなったわけです。
一方Aでは偶数を思い浮かべたという人は50%のままで嘘をついた人は嘘をつき続け忠告の効果はゼロだったことになります。
『A 嘘をつかないでください。』で忠告している対象は今回限りの“嘘の申告”という行動です。
そんな忠告です。
『B 嘘つきにならないでください。』で忠告している対象は今回限りではない“嘘つき”というあなたの“人格”そのものです。
今回嘘をつくことであなたはこの後も“嘘つき”な人になってしまいますよ…
それでもいいんですか?
そんな意味を持っています。
ですからBの忠告の方が心に響いたのです。
このことと同じような現象は仕事でも恋愛でも多くの場面で見られます。
『怠けないで』よりも『怠けものにならないで』
『無駄なことをしないで』よりも『浪費家にならないで』
『私のことを理解して』よりも『私の良い理解者になって』
こんな感じでいくらでもあります。
恋愛に関しても
『結婚してください』よりも『一生のパートナーになってください』
心に響く言葉の選び方-その1
目先のことよりも相手自身のことを考えた言葉選びは心に響くのです。
そして心に響くということは当然脳にもその響きが伝わります。
脳が響くと脳は快楽を感じます。
脳は基本的に快楽が大好きです。
脳が快楽を感じるとさらなる快楽を求めて脳の中では報酬系の回路が発火してさまざまな脳の部分が連鎖的に働き始めます。
“報酬系回路の脳科学”についてはこちらの記事をご参照ください。
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あなたの脳が快楽を感じるような言葉を相手にも投げかけてあげてみてください。
そして相手の脳の報酬系回路を発火させてあげてください。
心に響きすぎるカリギュラ効果の落とし穴
心に響く言葉選びの大切さをご理解いただいたところで注意していただきたいことがあります。
それは脳の快楽につきものの“脳のバグ”です。
“脳の快楽と不快の脳科学”についてはこちらの記事をご参照ください。
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バグとは誤作動のことです。
人は何でも自分で考えて自分の意志で行動していると思い込みたがります。
ですから自信満々の脳は他人から指示されることを基本的に嫌います。
それでも先ほどの心に響くような言葉選びではがんばってその指示に従おうとします。
しかしいつでも心に響く言葉選びがうまくいくとは限りません。
心に響く言葉の選び方-その2
脳は自分にとってプラスになるポジティブな指示には従いやすく従順です。
しかし自分にとってマイナスになるネガティブな指示を受けると時にバグを起こして反発しようとします。
この現象のことを“カリギュラ効果”あるいは“心理的リアクタンス”と言います。
なんて人が多いと思います。
しかしわたしたちの日常にはカリギュラ効果があふれかえっています。
日本で最も有名なカリギュラ効果は『鶴の恩返し』と『浦島太郎』でしょう。
見るなと言われると逆に見たくなる。
開けるなと言われると逆に開けたくなる。
身近なカリギュラ効果としては、
本気で稼ぎたい人以外はクリックしないでください。
本気で痩せたい人以外は入会しないでください。
なんて掲示をよく見かけますよね。
クリックするなと言われるとクリックしたくなる…
入会しないで下さいと言われると入会したくなる…
ビジネスや恋愛においてカリギュラ効果は特に有効です。
カリギュラ効果を利用して相手の脳にバグを起こさせてひと儲けしようなんて発想はよくある話です。
逆に『私だけを好きでいてね…』なんてことばかり言っているとカリギュラ効果で相手の人は浮気してしまう…なんてことも起きかねませんのでご注意くださいね。
そんなカリギュラ効果ですが脳のバグを減らしてカリギュラ効果を起こさせないようにすることは可能なのでしょうか?
それにはいくつかの方法があります。
心に響く言葉の選び方-その3
カリギュラ効果をおさえる方法の1つはネガティブな指示の対象を個人にするのではなく社会一般にして指示の内容をあいまいにすることです。
「~しないでください」や「~をやめてください」と言われると人によっては
なんて脳がバグって反感を買ってしまいます。
しかし『禁止エリア」』や『会員限定』のように社会一般的なルールとしてネガティブな指示を伝えると脳はバグを起こしにくくなり素直に従う確率がぐっと上がるのです。
何かを規制してルールを作ると必ずと言っていいほどルールの抜け道を探し出してやりたい放題したがる人が表れます。
すると逆に社会的モラルが低下するなんてことが起きてきます。
結果としてルールがより厳格になりまた抜け道を探し出して…そんなイタチごっこに発展しお互いの首をどんどん締め上げることにつながっていくのです。
『なんだかよくわからないけどなんとなくうまくいっている』ようなことはそっとそのままにしてあまり脳を刺激しない方がいいのです。
脳の快楽を追い求めすぎて脳がバグってしまいすべて水の泡
なんてこともありますから言葉選びもほどほどがちょうどよいのかもしれません。
”恋愛や仕事で心に響く言葉の選び方”のまとめ
恋愛や仕事で相手の心に響くにはどのような言葉が効果的なのかを脳科学で説き明かしてみました。
今回のまとめ
- 相手の『本当の人格』を引き出すにはあなたの言葉選びがとても重要です。
- 目先のことよりも相手自身のことを考えた言葉選びは相手の心と脳に響き渡ります。
- しかし響きすぎる言葉は脳をバグらせカリギュラ効果を引き起こしますのでご注意ください。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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