『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』って充電バイクで日本中を旅するだけの旅番組なのになぜ人気があるの?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
- 充電バイクで日本中を旅するだけの旅番組がなぜ人気なのかがわかります。
『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』って知ってます?
不確実の不安と当たり前の安心の脳科学
- 『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』は最高の旅番組です。
- いつ充電が切れるかわからないという不確実の不安がわれわれの脳を刺激しまくります。
- 最後には必ずゴールするという旅番組の当たり前の安心が”ヤバイよヤバイよ”なこともわれわれの脳を刺激しまくります。
- 不確実の不安と当たり前の安心が入り乱れた『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』はやっぱり最高の旅番組です。
皆さんは『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』というテレビ番組をご存じだろうか。
充電式の電動バイクに乗って日本各地を走り回るだけの番組なのですがこれがとてもおもしろいのです。
2014年に不定期で始まったこの番組は2017年にレギュラー化されました。
出川哲朗と番組ディレクターのおじさん2人がスイカヘルメットをかぶって決められたゴールを目指して電動バイクで旅をします。
途中でゲストの芸能人が合流してくると3人旅になります。
電動バイクの充電が切れると民家やお店に飛び込みで充電をお願いします。
食事や泊まるところを決めるのも自分たちで行う出川哲朗いわくリアルガチで”ヤバイよヤバイよ”な番組です。
歩きだったり、バスや電車、自転車などの乗り物を使ったりして制限時間内にゴールにたどりつく旅はいろいろと放送されています。
途中でその地域の観光名所や特産品を紹介したり豪勢な食事を紹介したりと番組によって趣向はさまざまです。
どの番組もゲストには有名芸能人が毎回招かれて番組を盛り上げます。
しかし充電バイクの旅では他の旅番組にはない独特の面白さがあり毎回高視聴率をたたき出しています。
充電バイクの旅が他の旅番組と決定的に違うポイントを自分なりにいくつか分析してみました。
充電の旅の秘密-その1
ゲストが大物の芸能人のことも多い(明石家さんま、中居正広など)が、あまり売れてない芸能人のこともよくある(岩井ジョニ男、やすなど)。
一緒にバイクで同行しているふつうのおじさんの番組ディレクターも番組の主役の1人になっている(縫田さん、土方さんなど)。
各地の有名な観光地や特産品をあまり紹介しない。
みんなで番組おそろいのTシャツやパーカーを着てオーバーオールを必ずはいている。
などなど上げたらきりがありません。
どれもこれも出川哲朗の愛されキャラクターが生み出す魅力であり、それが番組の人気の原点になっています。
しかしこの番組の最大の魅力はなんといっても次の2点に絞られると思います。
充電の旅の秘密-その2
途中で充電が切れてしまい電動バイクを手で押しながら充電場所を探さないといけなくなることがよくある。
最初に設定した目標のゴールにたどり着けないことが結構ある。
ちょこちょこ充電をしていたらもっと旅はスムースに運ぶでしょう。
きっとゴールにもたどり着けるでしょう。
この魅力を脳科学的に探ってみると見えてくるのは“不確実の不安”と“当たり前の安心”です。
それでは“不確実の不安”と“当たり前の安心”についてそれぞれを脳科学的に解き明かしていきたいと思います。
不確実の不安が生み出す”ヤバイよヤバイよ”は脳の最大の活力
人は不安や無気力になることを常に恐れて生きています。
それらを吹き飛ばして脳に集中力ややる気を起こさせるのはドーパミンニューロンという神経です。
脳には報酬系の回路があり報酬の先に快楽を感じる仕組みになっています。
その作用を担っているのはドーパミンとういう物質です。
ドーパミンは快楽を生み出す神経伝達物質と言われています。
ドーパミンの効果についての詳しい説明はこちらをご参照ください。
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これは脳が慣れきってしまったことには快楽を生み出せないからです。
つまり当たり前のことにはドーパミンが働かなくなってしまっているのです。
充電の旅の秘密-その3
まだどちらに転ぶかわからない、うまくいくかもしれないし失敗するかもしれない、どっちつかずの状態の時にドーパミンニューロンはもっとも活性化されドーパミンは働きまくります。
脳は先の読めない未確定で不確実な未来、それに対する不安をもっとも好みそこから快楽を見出そうと働くのです。
筋書通りの決まりきったストーリーを脳は求めていないのです。
不確実さからくる不安こそが脳の活力となっているのです。
未来は不確実です。
何が起こるかわかりません。
人は自然と過去の記憶からこれからの未来を想像し設計していきます。
しかし自分の予想した未来に到達できるかは誰もわかりません。
その気持ちが不安を生むのです。
充電の旅の秘密-その4
不安の裏には自分の記憶と未来への設計図があります。
それらは脳を活発に働かせます。
記憶をたどり未来を描くことは脳にとってとても良いことなのです。
明るい未来が確約されていて不安がないのであればそれは問題ないでしょう。
しかし確約された未来なんてそうあるものではありません。
脳を激しく働かせた結果未来の不確実な不安が生み出されるのです。
不安というとマイナスのイメージが大きいかもしれません。
しかし実は不安は脳が活発に働いている証(あかし)なのです。
当たり前なことはもう未来が決まってしまっているので不安がなく安心できて脳には良さそうに思われがちですよね。
しかし実はそうではないのです。
不確実な不安こそが脳の最大の活力となっているのです。
いつ充電が切れるかもしれないという不確実な状況の中で充電バイクは走り続けます。
こんなところで充電が切れたら大変…どうするの?
早く充電すればいいのに…
そんな不安が脳を刺激します。
そして充電が切れて不安的中…
充電の旅の秘密-その5
充電が切れるという不確実の不安がわれわれの脳を激しく刺激します。
これが充電バイクの旅の魅力のもとになっているのでしょう。
まさに”ヤバイよヤバイよ”はわれわれの脳を最大に刺激する言葉なのです。
脳は不確実の不安なと当たり前の安心のはざまで揺らいでいる
脳にとって当たり前は敵のようなものです。
当たり前なことには不安がないので脳は活発には働きません。
しかし一方で脳は当たり前の安心を非常に好みます。
日々の生活が当たり前のものが一切なく常に新しいことに満ちあふれていたらどうでしょう。
ドキドキわくわくで胸が高まるかもしれませんし、その反面不安な気持ちでいっぱいなことでしょう。
しかしそれで脳が活性化すればいいじゃないかと考えてしまいますよね。
毎日不安の中で脳が活発に動き続けるのはいいことです。
しかしそんなに働き続ければさすがに脳も疲れてしまいます。
次から次へと不確実の不安な波が押し寄せてきたらさすがに脳も処理しきれなくなってシャットダウンしてしまいます。
そのため脳は一度不安に思ったことでもそれを処理し終わると当たり前のこととして改めてインプットしなおしていきます。
新しいことも時間がたてば慣れていき当たり前のことになっていきますよね、
この当たり前が安心を生み出し脳を休めているんです。
充電の旅の秘密-その6
次々と当たり前をつくってマンネリ化していくことで脳は次にやってくる新しい不確実の不安に備えて休息をとっているのです。
慣れは脳がステップアップしていくために大切な役割を果たしています。
このように不確実の不安と当たり前の安心のはざまで揺らいでいることを脳は好むのです。
充電が切れることを不安がるゲストの訴えを無視して出川哲朗はいつも走り続けます。
“電動バイクで走っているのだからいつか充電が切れることは当たり前”
結局は途中で充電が切れて重たい電動バイクを手で押して歩くはめになります。
まさかの時間切れでゴールできず、途中で番組終了…
なんてもことも珍しくありません。
旅番組のゴールはたいてい有名な観光スポットですよね。
最大の見せ場の観光スポットが紹介されずに番組が終わってしまうなんて他の旅番組ではほとんど考えられませんよね。
普通の旅番組ではゴールすることが当たり前ですが充電バイクの旅ではゴールすることは当たり前ではないのです。
充電の旅の秘密-その7
最後まで不確実の不安の気持ちのまま”ヤバイよヤバイよ”と叫び続け、最終的に当たり前の安心が待っているゴールにたどり着けない…
われわれの脳は最初から最後まで刺激されっぱなしです。
ここに『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』の最大の魅力があるのではないでしょうか。
あなたも番組のDVDを見て”ヤバイよヤバイよ”で脳を刺激してみませんか?
”不確実の不安と当たり前の安心の脳科学”のまとめ
充電バイクで日本中を旅するだけの旅番組がなぜ人気があるのかを脳科学的に解説しました。
今回のまとめ
- 『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』は最高の旅番組です。
- いつ充電が切れるかわからないという不確実の不安がわれわれの脳を刺激しまくります。
- 最後には必ずゴールするという旅番組の当たり前の安心が”ヤバイよヤバイよ”なこともわれわれの脳を刺激しまくります。
- 不確実の不安と当たり前の安心が入り乱れた『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』はやっぱり最高の旅番組です。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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