なぜ今こんなにも世の中ではレモンが人気なのでしょう?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
- レモンをはじめとして世の中でブームが起こる理由がわかります。
空前のレモンブームの理由
レモンブームの脳科学
- 今日本中で空前のレモンブームが起きています。
- 今まではずっと脇役だったレモンが主役となるにはさまざまな理由があります。
- 脳はそんなさまざまな理由を後付けしてなんとなくの気まぐれで嗜好を変えてブームを巻き起こすのです。
- 脳は何となくの気まぐれでブームになったレモンもそんなレモンが大好きな自分のことも大好きで手放そうとはしません。
- 皆さんもレモンブームをぜひ楽しんでみませんか。
今日本中でレモンが空前のブームで湧き上がっています。
何か特別なレモンが開発されたとか目新しいレモン商品が開発されたとかそのようなことはありません。
長年果汁系のトップを独走してきたオレンジを押しのけて今レモンの躍進が止まりません。
菓子類、ケーキをはじめとしたスイーツ、チューハイやハイボールをはじめとしたアルコール類、清涼・炭酸飲料水などなど…
あらゆるジャンルで売り上げが伸びていてまさに“レモン戦国時代”とまで言われるほどです。
ひと昔前までは唐揚げなどの揚げ物の添え物の印象でしかなかったレモン。
その1つのきっかけは2011年9月11日の東日本大震災です。
発電所の停止で節電を求められた時に活躍したのがレモンです。
涼しさやリフレッシュ感を求めてレモンの制汗剤やデオドラントが人気となりレモンに注目が集まりました。
その後2014年に糖質制限が話題となった影響を受けて塩レモンブームが訪れます。
特に炭酸飲料は糖質制限で甘さ控えめになったかわりにレモンのスカッとした刺激が人々の心をつかみました。
レモンの成分であるクエン酸(ストレス解消や疲労回復効果)、リモネン(リラックス効果)の効果も広く知れ渡るようになりました。
また国産レモンの普及も大きな要因です。
オーガニックへの意識が高まったことも大いに影響があります。
“オーガニック食品の脳科学”についてはこちらの記事をご参照ください。
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しかしよく考えてみてください。
今も昔もレモンはレモン…大きくは変わっていません。
昔からレモンは素晴らしい果物です。
そこは何も変わっていません。
変わったのはレモンのまわりにいるわれわれの意識です。
なぜこんなにもレモンに対する意識が変わって大ブームを巻き起こすまでの人気者になれたのでしょう。
脳の嗜好癖は気まぐれ
レモンに革命がおきてレモンが今までと何か大きく変わったのであればこのレモンブームはよくわかります。
しかしレモンは何も変わっていません。
変わったのはわれわれの嗜好癖です。
”昔からずっと存在しているものが突然ブレイクして大人気になる”なんてことは良くある話です。
レモンブームの火付け役は誰だかはわかりません。
しかし何かがきっかけとなってレモンは人気者となりわれわれの脳は”ただなんとなくレモンを好きになった”のです。
このように脳の嗜好癖は本人の知らないところでなんとなく作られるものです。
この時脳は“なんとなく好き”に対して必ず“後知恵バイアス”を付け足していきます。
後知恵バイアス
後知恵バイアスとは、
あたかもレモンが素晴らしいことはもともと知っていていつかはブレイクするだろうと思っていた…だからレモンがブームになるのは当然さ!
なんていう考えです。
簡単に言ってしまえば理由があって結果がでるのではなくてまず結果があってそれに後付けで理由を付け足していく作業です。
どんな結果に対しても脳は理由を求めているのです。
“ただなんとなく”にもちゃんとした理由が欲しいのです。
このようなことは日常生活においてめずしいことではありません。
後知恵バイアスは知らず知らずのうちに頻繁に起こっています。
ですからわれわれはブームの理由を特に気に留めたり不思議に思ったりはしないのです。
そこには後付けの極めて根拠が薄い理論が展開されるだけなのです。
レモンで言うならばその素晴らしい点が次々と付け足したように並びたてられます。
しかしそれはもう何十年も前からわかりきった事実です。
しかし脳は後付けでも次々とレモンの流行っている理由を思いつきます。
後知恵バイアスは避けようと注意していても逃れることは難しいとされています。
ですからわれわれは脳の気まぐれに付き合っていくしかないのです。
脳は所持することに満足する
もう1つ空前のブームが起こる理由があります。
脳には“所持効果”という奇妙な現象があります。
所持効果
所持効果とは簡単に言ってしまえば“自分で所持していることで満足度が高まりそのものの価値が知らず知らずのうちに自分の中で高くなる現象“です。
他人が持っているのをながめていた時にはそんなに気にならなかったモノでもいざ自分が持ってみると実際の価値以上に良いモノに思えてくる…
なんてことありませんか?
所持効果は日常生活においてさまざまなモノでおこります。
ささいな日常品から始まり土地や家、マンション、恋人の価値までこの現象は付きまといます。
恋人を所持するというのはちょっと失礼かもしれませんがこれも所持効果の1つです。
そして所持効果は何も目に見えるモノや人などばかりにおこるわけではありません。
脳は恋人を好きになった自分も気に入ります。
そんな風に脳は自分を高く評価します。
何かのブームが起こる時はこの所持効果がまさにさく裂している状態です。
今までは、
なんて感じだったのに、店頭にずらると並ぶレモンのお菓子や飲料水などをいざ手に取ると、
そしてまた買い求めてしまう…
そんな感じです。
なんて思いつつも他人の持っていたレモンのお菓子を食べてみたら、
なんてどんどん所持効果の連鎖が広がってブームは起こっていきます。
さらにはレモンの素晴らしさに気づいてレモンブームにはまっている自分のこともますます好きになっていきます。
ではそもそもどうしてこのような所持効果が起こるのでしょうか。
それには2つの理由があります。
所持効果の理由
自分の所持しているモノに愛着を感じるから…積極的思考からくる過大評価
所持しているモノを失いたくないから…損失への過敏な反応
この2つの理由は似ているようでまったく異なる感情です。
脳は基本的に自分のことが大好きです。
ですから自分が持っているものも大好きですしそれを失いたくないと感じるのは当然の自己防衛の機能なのかもしれません。
いずれにしても脳の中ではこのような感情が渦巻いて所持効果がますます過熱していくのです。
レモンの商品を手に入れて愛着を知らぬ間に強く感じます。
しかしお菓子や飲料水は食べたり飲んだりしたらなくなってしまいます。
ですからまた買い求める。
これの繰り返しです。
こんな脳の所持効果にわれわれはふるまわされているのです。
所持効果も後知恵バイアスと同様に避けようと注意していても逃れることはできません。
ですからわれわれは脳の所持効果に振り回され続けていくしかないのです。
皆さんも脳に逆らわずに今の空前のレモンブームを楽しんでみてください。
”レモンブームの脳科学”のまとめ
レモンをはじめとして世の中でブームが起こる理由について脳科学で説き明かしてみました。
今回のまとめ
- 今日本中で空前のレモンブームが起きています。
- 今まではずっと脇役だったレモンが主役となるにはさまざまな理由があります。
- 脳はそんなさまざまな理由を後付けしてなんとなくの気まぐれで嗜好を変えてブームを巻き起こすのです。
- 脳は何となくの気まぐれでブームになったレモンもそんなレモンが大好きな自分のことも大好きで手放そうとはしません。
- 皆さんもレモンブームをぜひ楽しんでみませんか。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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