ニュースを見たり読んだり聞いたりするのは得なのでしょうか?損なのでしょうか?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
- ニュースを遮断することで得をする「ニュースダイエット」の意味をわかりやすく脳科学で説き明かします。
「ニュースダイエット」を知っていますか?
「ニュースダイエット」の脳科学
- ニュースを見たり読んだり聞いたりしていないと大事な情報を逃して話についていけなくなるのではないかという不安がおそってきます。
- しかしニュースを遮断しても何も損をすることはありません。
- ニュースを遮断する「ニュースダイエット」によって生まれた時間を、読書による独学にあてることで自分の世界観を広げてみてください。
2021年(原本は2019年)に発行されたロリフ・ドベリ氏が書いた自己啓発本です。
もともとニュース中毒であった著者がニュースを読まなくなって感じたことをまとめた本です。
ニュースの消費に1万時間も費やしたあとで、私ははじめて自分自身にこんなふたつの質問を投げかけた。
「ニュースのおかげで、私は世界をもっとよく理解できるようになっただろうか?よい決断ができるようになっただろうか?」。
答えはどちらもノーだった。
「ニュースダイエット」の中で著者はこのように言っています。
今回は「ニュースダイエット」の本をご紹介するわけではありませんが、いかにわたしたちがニュースに振る舞わされて生きているかを脳科学で説き明かしていきます。
ニュースを遮断することは損ではない
ニュース
『ニュース』 news
社会に生起する毎日のできごとや、その間の人や事物の消息。
要約的には「時事に関する事項」すべてを含む。
しかし現実にはそれらの事項の中から、特に多くの人々が関心をもったり、社会的に大きな影響力をもつと思われたりするものが選定され、新聞や放送を通じて情報として世間に提供されるのが通例で、それらをとらえてニュースと称する。
ニュースはコミュニケーションの歴史のなかでは証言、伝言、うわさなどを起源としており、できごとに由来する断片的性格をもつ。
そうした点では、特定の利用目的や有用性が吟味され、それらを必要とするものに組織的かつ体系的に送達される情報=インフォメーションとは基本的に性格を異にする。
200年ほど前に「ニュース」なるものが誕生して以来、世界中でさまざまなニュースがいたるところであふれかえっています。
今やニュースにまったく触れないで生活することはなかなか難しい状況と言えるでしょう。
生活に欠かせない存在となったスマートフォンを開けば否が応でもさまざまなニュースが飛び込んできます。
しかしニュースによって多くの情報を得ることでどれだけ得があるのでしょうか?
その答えを知るにはニュースをすべて遮断する=「ニュースダイエット」をする必要があります。
新聞、雑誌にはじまり、テレビやラジオ、スマートフォンのニュースアプリ、SNSからの情報をすべて消し去ります。
油断すると黙っていてもニュースは耳や目から入ってきてしまいます。
ニュースを遮断すると最初の数週間はつらいはずです。
何か大事な情報を逃して自分に損なことが降りかかってくるのではないか、という不安にさいなまれるでしょう。
ところがしばらくたつと徐々にプラスの変化が表れ始めます。
ニュースを遮断する前よりも洞察力が増して、意思決定の質がぐっと向上して、なによりも時間に余裕が持てるようになります。
“意思決定の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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そして最終的には「ニュースを遮断しても大事な情報を逃すことは何もなく損をすることはない」という結論に達するはずです。
ニュースを運んでくる媒体をすべて捨て去っても、他の人間とのつながりというネットワークは断ち切れません。
そのネットワークを通じて必要なニュースだけが選別されて伝わってきてしまうかもしれませんが、それだけで十分なのです。
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しかしそんな時代だからこそアナログネイティブの良さが引き立つのかもしれません。
ニュースを遮断すると得な理由
ニュースを遮断すること=「ニュースダイエット」は損でないばかりか得なことがたくさんあります。
その中で特に重要な3つの要素をご紹介しましょう。
フェイクニュースに踊らされずにすむ
世の中多くのフェイクニュースであふれかえっています。
しかもフェイクニュースはリアルなニュースよりも何倍ものスピードで拡散していきます。
“フェイクニュースの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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多くの人はフェイクニュースをフェイクニュースと認識せずに、そのまま信じ込んで生きています。
そしてその情報を得ることで得した気分に浸ってしまいがちです。
ではなぜフェイクニュースはそんなにも拡散しやすいのでしょうか?
脳はスキャンダラスで衝撃的で騒々しく変化の激しい情報には過剰に反応します。
しかし一方で自分なりの解釈を加えなくてはならないような、抽象的で複雑な情報にはあまり反応を示しません。
ニュースを見ていればよくわかるはずです。
ニュースは感動的な話や衝撃的な映像で埋めつくされ、わたしたちの脳をいかに刺激しようか…という戦略が丸見えです。
しかしわかっていてもついつい引き込まれて見入ってしまうものです。
ですから時に元のニュースに尾びれ背びれが追加されて、いつの間にかフェイクニュースとなり、わたしたちの脳を刺激して瞬く間に拡散していくわけです。
またニュースではインパクトのある話ばかりが優先されます。
たとえば飛行機の墜落事故のニュースを見ると、多くの人はおそらくその後しばらく飛行機に乗ることを控えるかもしれません。
しかし実際に飛行機が墜落することなどほとんどありません。
ニュースが伝えるリスクは現実のリスクとはかけ離れている…そうわかっているはずなのに、ニュースによってわたしたちの脳はニュースの思いのままに誘導されていきます。
ニュースに踊らされないためには、ニュースを遮断する以外に術(すべ)はないのです。
ほとんどのニュースはわたしたちとは無関係
ほとんどの人はおそらく1年間で1万件以上のニュースを見たり読んだり聞いたりしているはずです。
1日に換算すると約30件のニュースですが、その中であなたが人生において役に立ったと感じたニュースはどれくらいあったでしょうか?
おそらく1個か2個程度でしょう。
ニュースを伝える側はニュースを通して有用な情報を多くの人に提供していると思わせようとしているだけであって実際に必要なニュースなどほとんどないのです。
多くの人はニュースを見たり読んだり聞いたりすることで得をするどころか不安にさいなまれることがほとんどでしょう。
もしニュースがわたしたちにとって有益で役に立っているというのであれば、ジャーナリストはもっと高収入でいいはずです。
しかし現実ではそうではありません。
ほとんどのニュースはわたしたちとは無関係であり、ただただジャーナリストたちの思惑に振り回されているだけにすぎないのです。
ニュースは時間の浪費にしかすぎない
平均的な人は仕事の半分近くの時間をニュースを見たり読んだり聞いたりすることに費やしていると言われています。
そう考えるとニュースは膨大な生産性の損失と言えるでしょう。
たとえば最近の皇室の結婚関連のニュースで考えてみましょう。
日本中で1億人の人が1時間ニュースを見たり読んだり聞いたりしたとすると合計1億時間が無駄に浪費されたことになります。
これを人生の時間に換算するとニュースによって200人の一生分の時間が消えたことになります。
大げさに聞こえてしまいますが、これが現実であり正確な考察なのです。
「ニュースダイエット」のススメ
脳が行う思考や行動は100種類程度あると言われています。
その中で排除することでもたらされるメリットが大きいものの1つが、ニュースを見たり読んだり聞いたりすることです。
ニュースを知らないと友人や職場の仲間などと話をしていて話題についていけないのではないか…と不安になるかもしれません。
しかしそれは一時だけの不安でしかありません。
ニュースを遮断することでできた時間を利用することで、もっと奥の深い、目に見えないような自分独自の素晴らしい世界のつながりを理解できるようになるはずです。
そのつながりを他の人たちと共有すれば何も不安になる必要などありません。
ですからニュースを遮断するという「ニュースダイエット」をためらう必要はないのです。
ニュースにかける無駄な時間の浪費はやめたほうがずっとお得です。
そしてニュースを遮断すると決めたなら、きっぱりと完全に遮断することをお勧めします。
そのかわり読書をして独学で世界を理解する方がよっぽど人生の役に立つはずです。
“独学の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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“「ニュースダイエット」の脳科学”のまとめ
ニュースを遮断することで得をする「ニュースダイエット」の意味をわかりやすく脳科学で説き明かしてみました。
今回のまとめ
- ニュースを見たり読んだり聞いたりしていないと大事な情報を逃して話についていけなくなるのではないかという不安がおそってきます。
- しかしニュースを遮断しても何も損をすることはありません。
- ニュースを遮断する「ニュースダイエット」によって生まれた時間を、読書による独学にあてることで自分の世界観を広げてみてください。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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