頑固であることは悪いことなのでしょうか?
頑固な性格はなおしたほうが良いのでしょうか
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
- 頑固であることは決して悪くないことを理解するために「頑固」の意味をわかりやすく脳科学で説き明かします。
「頑固」な人ってどんな人?
「頑固」の脳科学
- 「頑固」であることは選択肢をひとつだけに絞り柔軟に対応しないことです。
- 頑固であれば決断疲れして最悪な選択をすることがなくなり、また「ああいう人だから」という自分の評価を確立することができるので決して悪いことではありません。
- 頑固であることは柔軟であることよりも生きやすく「頑固」な性格をなおす必要などありません。
- みなさんもぜひ「頑固」になることをお勧めします。
頑固
「頑固」と聞くとネガティブなイメージを持ってしまう人が多いのではないでしょうか?
頑固な人の特徴としては
自分の意見がはっきりしていて決して曲げない
他人との協調性がない
昔ながらの伝統を重んじて新しいものを受け入れられない
自分に絶対的な自信があり自分の意見がハッキリしている
負けず嫌いで妥協せず完璧主義
虚栄心が強く他人に弱みを見せたくない
マイペースで他人に自分のペースを乱されることを嫌う
自分にも他人にも厳しく弱音を吐かない
このような性格の人が一般的には「頑固」な人と言えるでしょう。
一見するとやはり厄介者のように思えてしまいますが、「頑固」であることは悪いことなのでしょうか?
頑固な性格はなおしたほうが良いのでしょうか?
今回はこのような質問に答えるために「頑固」の意味を脳科学で説き明かします。
「選択肢はひとつだけ」という状況
“選択肢は多ければ多いほどいい”というのは経済活動における重要な原則の一つとされています。
「頑固」な人は“選択肢はひとつだけ”という概念に縛(しば)られて選択の自由を自ら放棄しているとも言えます。
これは経済的な見地から見れば理にかなっているとは言えないでしょう。
「頑固」であることは他の選択肢を取りようのない状況を自ら作り上げてしまっているのですから…
たとえばダイエットをしていて「デザートは決して食べない」と決めている人がいたとします。
その人はどのような状況でも決してデザートを口にしません。
しかしどうしてそこまで頑固になる必要があるのでしょうか?
自分の体重やその時の食事のボリュームやデザートの誘惑の強さなどに応じて、そのつど食べるか食べないかを決めてもいいのではないでしょうか?
デザートを食べない主義をまっとうするのは他人から見れば非合理的で興ざめに思えてしまいます。
なぜそこまでかたくなになる必要があるのでしょう?
どうして状況に合わせた判断ができないのでしょう?
柔軟にものごとを考えた方がよほど合理的で生きやすいはずです。
ものごとが常に流動的に変化する現代社会においては柔軟な考え方を持つことは強みになるはずです。
それでも「頑固」な人は柔軟性を捨てて“選択肢はひとつだけ”という強硬的な行動にこだわります。
このような頑(かたく)なな行動にはどのような意味があるのでしょう?
柔軟に対応することが不利である理由
徹底的に頑固な姿勢を貫くことで柔軟な姿勢では決して達成し得なかった長期的な目標に到達しています。
ではなぜ頑固であることが成功につながるのでしょうか?
逆に言えば柔軟性は有利ではなくむしろ不利に働くのはなぜなのでしょう?
“成功者の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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柔軟に対応することが不利である理由はふたつあります。
ひとつ目は、状況に応じて何度も決断を繰り返すと判断力が鈍ってくることです。
“判断力の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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度重なる決断に疲れた脳はもっとも安易な選択肢を選ぶようになります。
そしてそれは多くの場合最悪の選択肢となります。
先ほどお話しした“選択肢は多ければ多いほどいい”というのはあくまでも虚像であり現実は異なります。
実際には“選択肢は多くなればなるほどいいものを選べなくなり不幸を招く”という「選択のパラドックス」という概念が存在します。
“選択のパラドックス”の脳科学についてはこちらの記事もご参照ください。
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一方で選択する前にすでに「誓約」を立てていると状況は大きく変わってきます。
誓約を立てると毎回メリットとデメリットを天秤にかけて判断する必要がなくなります。
誓約によって決断はすでに下されているのでそれ以上思考のエネルギーを使わなくてすむわけです。
ふたつ目は、頑固であることで自分の評価が確立されることです。
頑固で一貫した姿勢を貫いていれば自分のスタンスを他人に知ってもらうことができます。
「ああいう人だから」…そう思わせてしまえばずっと生きやすくなります。
頑固であることでまわりの人たちにあなたの主体的な印象を与え自分自身を揺るぎのない存在に見せることができます。
するとそもそも最初から選択をする余地などなく、始まる前から結果は決まってしまいます。
ですからあなたが徹底した宣誓にもとづいて「頑固」に生活をしていれば、その誓約がどんなものであろうと周囲はとやかく言わなくなるはずです。
「ああいう人だから」と思わせたらあなたの勝ち
「誓約」と聞くとなんだか堅い約束を示す昔ながらの古くさい言葉に聞こえるかもしれません。
いずれにしても誓約、コミットメント、絶対的主義、そして頑固…簡単そうに聞こえますが実行するのはそう簡単ではありません。
たとえば車を運転していて車1台しか通れないようなせまい道を進んでいたところ前方から車がやってきたとしましょう。
どちらかが道を逸(そ)れて待機していないとうまくすれ違えません。
道を譲(ゆず)るのはどちらでしょう?
お互いに譲(ゆず)ることがなければ間違いなく交通事故になってしまいます。
このような時に前方から来た車の運転手にあなたのコミットメントの方が強く、何があっても道を譲らないと確信させられたらあなたの勝ちです。
そうすれば相手はきっとあなたに道を譲(ゆず)ってくれるでしょう。
それが曖昧なものになればお互いに譲(ゆず)ることなくじりじりと近づいて交通事故をおこしてしまうでしょう。
逆にどんなことがあろうと相手に道を譲(ゆず)って自分は先に行かないことを相手に確信させられてもあなたの勝ちです。
相手にあなたのコミットメントが伝われば相手は安心して前進してくるでしょう。
しかし相手に自分の誓約、コミットメントを通して相手にメッセージを伝えようとするのであればとても強く、揺ぎなく、徹底したものでなければなかなか伝わりません。
中途半端な誓約、コミットメントは中途半端にしか伝わりません。
柔軟性を褒めたたえてもなにもいいことはありません。
柔軟一辺倒では不満がつのり疲れがたまり気づかないうちにあなたの目標から遠ざかってしまいます。
誓約、コミットメントを100%まっとうすることはそのうちの99%だけを実行するよりも実はやさしいことなのです。
もし自分が「頑固」な性格であるのならばそれは喜ばしいことです。
「頑固」な性格をなおすことなど考える必要はなく、徹底的に「頑固」になることの方がずっと生きやすいはずです。
“「頑固」の脳科学”のまとめ
頑固であることは決して悪くないことを理解するために「頑固」の意味をわかりやすく脳科学で説き明かしてみました。
今回のまとめ
- 「頑固」であることは選択肢をひとつだけに絞り柔軟に対応しないことです。
- 頑固であれば決断疲れして最悪な選択をすることがなくなり、また「ああいう人だから」という自分の評価を確立することができるので決して悪いことではありません。
- 頑固であることは柔軟であることよりも生きやすく「頑固」な性格をなおす必要などありません。
- みなさんもぜひ「頑固」になることをお勧めします。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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