起きた出来事は偶然なのでしょうか?必然なのでしょうか?…どちらなのでしょう?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
- 偶然と必然の関係を説明する「シンクロニシティ」の意味についてわかりやすく脳科学で説き明かします。
偶然はいったいどのくらいの確率で起こるのか?
「シンクロニシティ」の脳科学
- 「シンクロニシティ」とは一見全まったく因果関係がないように思えることが同時に起こる偶然の出来事です。
- 「シンクロニシティ」は時にスピリチュアル的、引き寄せ的な未知なる力と思われがちです。
- ある出来事は起こることよりも起こらないことの方がむしろ偶然であり、「シンクロニシティ」と思われている出来事のほとんどは必然なのです。
わたしたちの人生にはたびたび不思議なめぐり合わせが度々起こります。
友達とうわさ話をしていたらその人から突然電話がかかってきた。
温泉旅行に行きたいと思っていたら定期購読している雑誌の特集が温泉旅行だった。
カレーが食べたいと思って帰宅したら夕飯がカレーだった。
小さいことから大きいことまで「たまたま起こった」と感じられるような偶然の出来事を体験したことがあるはずです。
しかし「たまたま起こった」出来事は本当に偶然なのでしょうか?
偶然だとしたら一体どのくらいの確率で偶然は起こるのでしょうか?
「神様のお告げ」や「テレパシー」などとスピリチュアルな世界を想像する人もいるでしょう。
“スピリチュアルの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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またある人は「偶然ではなくあなたの意識が引き寄せて起こっている」という人もいるでしょう。
“引き寄せの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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「シンクロニシティ」という未知なる力
みなさんは「シンクロニシティ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
日本語では「共時性(きょうじせい)」と呼びます。
偶然と思われる出来事は「これが原因でその出来事が起こった」と原因と結果の因果関係を説明しづらいことがほとんどです。
無理に結びつけようとすると時には“こじつけ”のようになってしまいます。
このように一見すると関連がないことのように思える出来事がめぐりにめぐって関連して結びつくようになってしまうことを「非因果的関連の原理」と呼びます。
この「非因果的関連の原理」こそが「シンクロニシティ」の正体です。
「シンクロニシティ」という概念を提唱したのはスイスの精神科医で心理学者のカール・ゲスタフ・ユイング氏です。
「シンクロニシティ」は簡単に言うと日々の日常生活の中で起こる一見まったく関連のないように思える事柄が同時に起こる偶然の出来事です。
ユイング氏は「人の深い深層意識はすべて1つに繋がっていて、だからこそ一見すると関係のないことのように思われることでも実はつながっているからこそ、偶然の一致ではなくシンクロニシティが起こり得る」と説明しています。
この考え方は人や動物や植物などのすべての魂のエネルギーは1つの宇宙に繋がっているというスピリチュアルの概念とある意味共通していると言えます。
たとえばAさんとBさんが2人で話をしていたところCさんの話題になったといします。
「最近全然連絡とってないけどCさんは今頃どうしているのかなあ…」
そんな話していたところたまたまCさんが同じ店に現れました。
誘ったわけではないのにCさんの話をしていただけでCさんが現れた…
これは理屈では説明できない事態であり、未知なる力が働いていると考えてもおかしくはないでしょう。
「シンクロニシティ」は偶然であり必然ではないのか?
ここまでの説明ですと「シンクロニシティ」は“未知なる力が働き偶然が起きている”ということになります。
しかし多くの人はあまり気に留めていないかもしれませんが「シンクロニシティ」は日常生活でたびたび起きています。
たとえば紙に十字線を引いて4つのマス目を作ってある出来事について「起こり得た組み合わせ」についてすべてを書き出してみます。
先ほどの話で「AさんとBさんがCさんの話題を話していたところCさんが突然同じ店に現れる」について考えてみましょう。
実際に起きたのは
「AさんとBさんがCさんの話題を話する/Cさんが現れる」
このパターンです。
しかしそれ以外に3つの組み合わせが考えられます。
「AさんとBさんがCさんの話題を話する/Cさんが現れない」
「AさんとBさんがCさんの話題を話しない/Cさんが現れる」
「AさんとBさんがCさんの話題を話しない/Cさんが現れない」
次にこれらの状況がどのくらいの頻度で起こるのかを推測します。
AさんとBさんはどのくらいの頻度でお店に行って2人で話をしているのか?
AさんとBさんはCさんとどのくらい親しくてどのくらいCさんの話題を話しているのか?
Cさんはどのくらいの頻度でお店に行っているのか?
たとえばAさんとBさんが頻回にお店に行って話をしていて、しかもCさんとはとても親しい関係であればCさんの話題はよく話するはずです。
そのような状況であれば「AさんとBさんがCさんの話題を話していたところCさんが突然同じ店に現れる」という出来事はまったくあり得ない話ではなく起こるべくして起きたと言えるでしょう。
逆にAさんとBさんはCさんとはたいして親しい関係でなくCさんの話題を話することもほとんどない状況であれば、たとえCさんが突然お店に現れてもたいして何とも思わないでしょうし、もしかしたら気づかないかもしれません。
このように考えるとある出来事が起こる確率は一概には何とも言えず、しかもどのパターンでも起こる確率はゼロではないことがわかります。
つまりどのパターンも発生する可能性があるわけで「神様のお告げ」や「テレパシー」が働いたわけではないと言えるでしょう。
そもそも人間は起きている時間の90%は他人のことを考えています。
ほとんどすべての時間をさまざまな人のことを思い浮かべながら生活しているわけです。
そう考えれば「AさんとBさんという2人の人間が同時にCさんのことを考え、しかもその時にCさんが目の前に現れる」という出来事が起こらないことの方があり得ないということになってきます。
しかもAさんとBさんが話題にして話をしている人がCさんだけでなくDさんであったりEさんであったりFさんであったりと多くなればなるほど突然目の前に現れる確率も高くなるでしょう。
こう考えてくると“未知なる力が働き偶然が起きている”という「シンクロニシティ」は決して偶然ではなく必然ということになってきます。
“考えられないような偶然”とは本当に滅多に起こり得ないものの少しでも起こる可能性がありゼロ%ではない出来事です。
しかしそのようなことが起こっても決して驚く必要はありません。
なぜなら“考えられないような偶然”と思っているのはあなたの脳だけで、現実にはほとんどのことは必然として起きているのですから…
もし驚くとするのであればむしろ“考えられないような偶然”が一度も起こらなかった場合でしょう。
“「シンクロニシティ」の脳科学”のまとめ
偶然と必然の関係を説明する「シンクロニシティ」の意味についてわかりやすく脳科学で説き明かしてみました。
今回のまとめ
- 「シンクロニシティ」とは一見全まったく因果関係がないように思えることが同時に起こる偶然の出来事です。
- 「シンクロニシティ」は時にスピリチュアル的、引き寄せ的な未知なる力と思われがちです。
- ある出来事は起こることよりも起こらないことの方がむしろ偶然であり、「シンクロニシティ」と思われている出来事のほとんどは必然なのです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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