集団の中にいると男性はなぜ輝いて見えるのでしょう?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年…多くの脳の病気と向き合い手術、放射線治療を中心に勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきますね。
この記事を読んでわかることはコレ!
- 集団の中の男性が魅力的に見えるチアリーダー効果を脳科学で説き明かします。
チアリーダー効果を学ぼう
チアリーダー効果の脳科学
- 1人でいる時よりも集団内にいる時の方が人の顔は魅力的に見えるという現象を「チアリーダー効果」と言います。
- チアリーダー効果は女性よりも男性に強く働きます。
- 自分に自信のない男性は集団に紛れて魅力度をアップさせて自分磨きをがんばりましょう。
チアリーダー効果
「チアリーダー効果」とは集団の中にいる顔は1人でいるときの顔よりも魅力的に見えるという現象です。
スポーツをしている時に女性に応援されるといつも以上の力を発揮します。
集団の中で活躍している姿は女性の目には輝いて見えます。
しかし試合を終えて改めてじっくり男性の顔を見ると期待していたほどではなく残念な気持ちになってしまいます。
人気アイドルグループでは大人気で活躍していたのにグループを脱退してソロ活動を始めた途端人気が低下して一向にうだつが上がらない。
合コンで輝いて見えたのに後日2人でデートして見たらがっかりした。
すべてに共通していることは「人は個人でいるよりも集団でいる方が魅力的に映る」ということです。
この現象は2008年にアメリカの人気テレビ『ママと恋に落ちるまで』のあるシーンにちなんで「チアリーダー効果」と名付けられました。
「チアリーダー効果」は専門的に証明された現象です。
チアガールは一見華やかに見えますが改めて個々のメンバーを眺めてみると思ったほど魅力的でなかった…
ではなぜチアリーダー効果は生じるのでしょうか?
男性は哀れな生き物である
しかしチアリーダー効果は女性よりも男性で起こりやすとされています。
つまり男性は集団の中に紛れていないと女性から見れば魅力的には映りづらいのです。
ではチアリーダー効果が生じる理由を考えてみましょう。
まず最初に思いつくのは「人は社会性の生物である」ということです。
つまり人は一人孤独でいる状況よりも多くの人が集まって相互作用する集団に適合するように設計されているという考え方です。
ですから集団でいる方が生き生きして魅力的に見えるわけです。
これは周囲から嫌われて孤立しないために集団でいる時には魅力的にふるまうように努めようと自然と脳がプログラムされているという見方もできます。
実はこの考え方には否定的な意見があげられています。
なぜならチアリーダー効果は写真でも生じるからです。
1枚の顔写真を単独で見るよりも複数枚の顔写真の中に並べられた方が魅力が増すのです。
ちなみに4枚の顔写真を並べればチアリーダー効果が生じることが証明されています。
次に思いつく理由としては「見る時間」です。
人数が多くなれば当然1人を吟味(ぎんみ)する時間は短くなります。
一般に顔写真の表示時間が0.5秒よりも短くなるとじっくりとアラ探しができず結果としてその人への評価が高まることが知られています。
しかしこの考え方も否定的です。
なぜなら1人にかける凝視時間が平等になるように調整して十分な見る時間を設けてもチアリーダー効果は消えないのです。
そのほかの理由としては「隠ぺい」はどうでしょう?
女性が美しく見える条件として「夜目・遠目・笠の内」という3つの法則があります。
暗がりで遠方にいて笠をかぶって姿をはっきりと見せない時…つまりよく見えないと美しく見えるというものです。
“モテる美人になるための脳科学“についてはこちらの記事をご参照ください。
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脳は隠ぺいされている部分を理想像を思い浮かべることで補おうとします。
見えない部分は脳の想像力で魅力的な姿に書き換えてしまうのです。
しかしこの考え方も否定的です。
焦点の合っていないピンボケした写真で実験してみます。
ピンボケした写真を見ると顔の魅力点は確かに上昇します。
しかし集団になるとさらに高評価となりチアリーダー効果は消えません。
そもそもチアリーダー効果の理由を必死に考えていること自体哀れなのかもしれません。
理由を考える前にもっと自分磨きに必死になればよいのですが男性は哀れな生き物であるがゆえに何かにすがってでも自分を魅力的に見せたいのでしょう。
ではチアリーダー効果の真髄はどこにあるのかを探っていきましょう。
チアリーダー効果の脳科学
チアリーダー効果の脳科学-その1
脳は集団提示された個々の顔から瞬時に平均顔を計算します。
集団内の個々の顔の印象は平均顔で補正されます。
つまり平均顔に近い印象に脳の中で書き換えられるのです。
平均補正された顔は元の顔よりも魅力度が高く映ります。
以上がチアリーダー効果が生じる理由です。
大きさの異なる円がいくつもあったとします。
ざっと円を見た時に脳は平均的な円の大きさを自動的に計算します。
脳が計算した平均的な大きさよりも小さな円は実際よりも大きく感じられ大きな円は実際よりも小さく感じられます。
この現象を「階級的符号化」と言います。
何か物体の集合を目にすると脳はその平均を計算します。
これを「アンサンブル知覚」と言います。
集合した物体の個々の特徴をアンサンブル知覚によって平均に近づけようと補正することを「階層的符号化」と言います。
チアリーダー効果にも階級的符号化が大きく関わっています。
チアリーダー効果の脳科学-その2
多数の顔を平均化した顔(平均顔)は元の顔よりも魅力的に見え元の顔を平均顔に近づけることで魅力を増すのです。
魅力的な顔の集団の中にいると魅力の低い顔でもついつい魅力的に見えてしまう「同化」という現象の影響ではないか?
しかしこれについては脳科学的には否定されています。
たとえば集団内で魅力が低い人ほど周囲への同化によって魅力度が上昇して大きなチアリーダー効果が示されるはずですがそんなことはありません。
魅力度の類似した顔を集めるとチアリーダー効果は薄れそうですがそんなこともありません。
そもそも脳が描き出す平均顔はたいていクセの少ないどこにでもいそうな顔です。
ですからどんな個性のある顔であっても魅力的に映しだされるのです。
人の顔は基本的に男女で差があります。
女性の顔は男性とは異なる女性に特徴的な「女性性」を強調するとより魅力度が上がります。
しかし男性は男性らしさである「男性性」を強調したからといって魅力が上がるわけではありません。
男性性の強い顔は荒々しく時に高い攻撃性を示したり低い協力性を露呈したりします。
ですからすべての女性に魅力的に映るとは限りません。
男性の顔は女性の性的嗜好によって好みが大きく分かれるのです。
つまり男性は女性のように安定して共通した魅力度の評価基準がないのです。
ですから男性は集団の中に入って平均顔に紛れることで一種の中和効果が働いて個性的な顔が魅力的に映りやすくなるのです。
これは裏を返せば男性は集団から離れ1人になってチアリーダー効果が消え去ってしまうと魅力が低下しやすいとも言えます。
女性は女性性を強調すると個人でも自然と平均顔に近づいていきます。
ですから女性はあえて集団の中に入らなくても魅力のある顔に写りやすいのです。
これが男性にチアリーダー効果が起こりやすい理由です。
チアリーダー効果にはまだまだ解明されていない点がたくさんあります。
顔といっても髪型や照明の明るさや表情によっても効果は変わってきます。
さまざまな影響を受けてチアリーダー効果が強く発揮されることもあれば出現しないこともあります。
チアリーダー効果は単純な現象のようで実はまだまだ解明されつくされていない奥の深い脳の高度な能力なのです。
“チアリーダー効果の脳科学“のまとめ
集団の中にいると男性が魅力的に見える理由をチアリーダー効果を脳科学で探ることで説き明かしてみました。
今回のまとめ
- 1人でいる時よりも集団内にいる時の方が人の顔は魅力的に見えるという現象を「チアリーダー効果」と言います。
- チアリーダー効果は女性よりも男性に強く働きます。
- 自分に自信のない男性は集団に紛れて魅力度をアップさせて自分磨きをがんばりましょう。
今回の記事がみなさんに少しでもお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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