なぜ今サウナはこれほどまでに人気でブームを巻き起こしているのでしょうか?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
サウナブームを勝手に脳科学で説き明かします。
サウナブームの歴史
サウナブームの脳科学
- 現在日本では第3次サウナブームで沸き上がり、多くのサウナ―が誕生しています。
- サウナブームは、サ道効果、テントサウナの流行、健康志向などさまざまな理由によって起きています。
- 脳科学的には、さまざまな脳の仕掛けたワナがサウナブームの理由になっています。
- サウナブームがブームで終わることなく、サウナ文化として未来へ継承されていくことを期待します。
街中の銭湯ではサウナ室の前に行列ができるほどです。
2021年には「現代用語の基礎知識」選 2021ユーキャン新語・流行語大賞に、サウナ用語の「ととのう」がノミネートされ話題になりました。
「ととのう」とはサウナ愛好家である“サウナー”が使う言葉で、サウナで得も言われぬ心地よさを味わった状態を表しています。
“サウナの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
参考【サウナ好き必見】「サウナでととのう」の意味、方法、効果を脳科学で探る
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しかしサウナブームは今に始まった話ではありません。
現在のサウナブームは“第3次サウナブーム”と呼ばれており、第1次、第2次サウナブームも存在します。
第1次サウナブーム
日本初の本格的なサウナ施設である「東京温泉」が東京銀座に誕生したのは1951年です。
このサウナを造った許斐氏利(このみ うじとし)氏は、1956年のメルボルンオリンピックに射撃の日本代表として参加し、選手村で体験したドライサウナを東京温泉にも取り入れました。
1964年の東京オリンピックでは選手村にサウナが造られ、その後からサウナは日本中に広まっていきます。
特に中高年男性の利用が多いゴルフ場のクラブハウスやカプセルホテルにサウナが多く作られたため、現在でも“サウナ=おじさん”のイメージを持っている人も多いかもしれません。
第2次サウナブーム
1990年に名古屋市の「竜泉寺の湯」で、それまで別料金だった銭湯とサウナをセットにして、全国で初めて「スーパー銭湯」と名乗った施設が誕生しました。
スーパー銭湯では、手ごろな価格で入浴が可能で、食事や休憩もできます。
高度経済成長期にあった1990年~2000年代の日本では、日ごろの疲れを気軽に癒せるスーパー銭湯や健康ランド、クアハウスといった施設が人気を博し、第2にサウナブームが訪れました。
第3次サウナブーム
第3次サウナブームが起きたきっかけはいろいろと言われていますが、なんといってもその中心にいるのは「サ道」でしょう。
サ道の作者は、マンガ家や映像作家など多方面で活躍するクリエイターのタナカカツキ氏です。
サ道は2009年のウェブマガジン連載開始をきっかけに、11年に書籍化、16年に漫画化、19年にドラマ化されました。
漫画では登場人物たちがサウナを体験するショートストーリーでサウナの魅力や豆知識が学べます。
さらにサ道の人気を決定づけたのは、現代のサウナブームを象徴する言葉「ととのう」です。
それまでは“サウナ=おじさん”であったイメージを一気に払拭し、“サウナに入ればととのう”という清潔なイメージが一気に広がりました。
2019年に放送されたドラマでは、サウナ&カプセルホテル北欧が中心舞台となり、さまざまなサウナ施設が紹介され、いかにして「ととのう」を体感したかがわかりやすく描かれています。
また3人の主人公はお互いを「ナカちゃんさん」「偶然さん」「蒸し男くん」と愛称で呼び合い、伝説の謎のサウナ―は「蒸しZ(ゼット)」と呼ばれています。
SNSが普及する時代において、本名ではなく愛称でお互いを呼び合い、お互いの素性については深入りせず、ただただ「サウナでととのう」を追求したスタイルは、日常生活の疲弊(ひへい)した多くの人々の共感を呼んだのでしょう。
しかし第3次サウナブームは「サ道」だけが引き起こしたブームではありません。
なぜ今サウナが人気なのか?
現在湧き上がっている第3次サウナブームは衰えることなくますますの盛り上がりを見せています。
SNSで繋がる「サ道」
実は「サ道」が登場した2009年にはまだ第3次サウナブームは起きていませんでした。
しかしサウナブームの火種になったことは確かです。
そんな多くの人が抱く希望を叶えたのがSNSです。
TwitterやInstagramなどで自分の“サウナ活動=サ活”を公表してサウナ―同士で繋がり合う…まさに理想の形です。
このようなSNSでのサウナ―達のつながりがもとで「サ道」も誕生しました。
それはWEBサイト「サウナイキタイ」の誕生です。
「サウナイキタイ」はSNSを利用していない人でも簡単にWEBで全国のサウナ―と繋がることができ、しかもリアルタイムに情報交換し、全国のサウナ施設を知ることができる…まさに夢のようなサイトです。
そして追い打ちをかけたのが、2019年に放送されたドラマ「サ道」です。
ドラマの中でたびたび登場する「ととのう」と、ととのった時のきらびやかなキラキラな映像が多くの人にサウナへの興味を呼び寄せました。
「ととのう」とは、サウナ室から出た後に水風呂に入り、その後外気浴などで休息をとることを繰り返すことで得られる、至福のトランス状態のことです。
“サウナでととのうの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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ドラマのスタートはサウナ&カプセルホテル北欧で、東京の空の下で「ととのう」という最高の癒しを得られることは、多くの人の心を揺さぶりました。
2019年の年末にはスペシャルが放送されました。
北海道の星野リゾート OMO7 旭川、白銀荘などサウナに入るためだけにわざわざ飛行機に乗って旅をするという、ある意味衝撃的な内容でした。
また2021年冬にもスペシャルが放送され、行動制限が敷かれる中でも、東京のど真ん中にある豊島園 庭の湯とサウナ錦糸町(カプセルイン錦糸町)で最高の「ととのう」を体感できることが多くの人を惹きつけました。
そして2021年夏に「サ道2021」が放送され、サ道の人気を決定的なものとしたわけです。
この影響を受けて多くのサウナ―が誕生し、そしてSNSやサウナイキタイで繋がり合い、相乗効果でサウナ熱が高まっていったのです。
好まれるマイノリティー思考
バブルの時代は大規模なイベントがクローズアップされ人気を集めていました。
“多くの人が集まり、その中に自分も参加している”、“自分こそがマジョリティーである”といった思考がトレンドでした。
しかし現代ではどちらかというとマイノリティー寄りでクローズドなカルチャーにこそ特別感があり個性がある、という思考が主流となっています。
“マジョリティーとマイノリティーの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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誰でも構わず多くの人と繋がるのではなく、自分と似た個性や思考を持った人だけと繋がり、肩ひじ張らずにのんびりとした空間で癒しの時間を過ごすこと…それこそが魅力なのです。
特にアウトドアにサウナを導入したテントサウナは近年のトレンドです。
川や海の近くに専用のテントを張り、中に設置したストーブに点火して温めます。
テントサウナで十分に蒸されたら、自然の水風呂である川や海へ飛び込んでクールダウン。
テントサウナはキャンプに行かずとも、都市部でも建物の屋上などで楽しむ人もいて今大人気です。
最近では自分でテントサウナを設置しなくてもテントサウナを導入しているグランピング施設やキャンプ場も増えています。
サウナは大衆向けから個人向けのプライベートサウナへと民主化が進んでいるわけです。
サウナに求める健康志向
健康志向が高まる現代において、サウナと健康の関係も注目されています。
「サウナは健康によい」という思考は以前からも叫ばれていました。
しかし一方で、「非日常的な高温のサウナと低温の水風呂を行き来する温冷交代浴は本当に健康に良いのか?」という議論も多くなされてきました。
しかし現代では「健康に関してサウナには優れた効果がある」ということにこだわりすぎず、「とにもかくにも癒しが得られて身も心もすっきりとリフレッシュできればいい」という考え方が主流となっています。
そのための工夫として、さまざまな種類のアロマを使ったり、塩や薬草などを用いたスチームサウナなどいろいろなスタイルのサウナがあります。
“サウナとアロマの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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“スチームサウナの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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サウナブームの脳科学
ここまでサウナブームの歴史とブームの理由について探ってきました。
現代のサウナブームを脳科学的に考えると、どのようなことがわかるのでしょうか?
サウナブームの陰にはたくさんのワナが脳によって仕掛けられています。
最新性愛症のワナ
日本にサウナが上陸してからすでに50年以上がたっています。
この50年間にはさまざまなことがあったとはいえ、サウナは特に目新しいものではありません。
しかしサウナのスタイルは大きく変化しています。
先ほども説明しましたが、以前は“サウナ=おじさん”というイメージがほとんどでした。
第2次サウナブームでも、スーパー銭湯でサウナに入るのはやはりおじさんというイメージだったでしょう。
サウナ室には若者が多く、また女性にもサウナは人気です。
”男と女のサウナの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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おしゃれなサウナハットやサウナ用のMOKUタオルをサウナ専用のバックに入れて持ち歩きます。
サウナハットには施設の名前やキャラクターが描かれたキーホルダーをつけて個性をアピールする人も多く見かけます。
“サウナハットの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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つまりサウナは以前のブームの時とは違い、新しい進化を続けているわけです。
脳には新しいものを見ると欲しくてたまらなくなる「最新性愛症」という作用があります。
“最新性愛症の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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たとえ今まで存在したものであっても、そこに変化が加わり脳が新しいものと認識すれば、最新性愛症によって欲しくてたまらなくなります。
多くの人はすでにiPhoneを持っていて当たり前のものです。
新しいiPhoneが発売されても機能的にはたいして変わり映えはしません。
しかし新しいiPhoneが発売されると、今使っているiPhoneが壊れたわけでも、調子が悪いわけでも、気に入らないわけでもないのに欲しくなって買ってしまいます。
脳はとにかく新しいものが大好きなのです。
ですから進化し続けるサウナに脳は敏感に反応し、新しい施設ができたり、何かイベントがあったりすると気になってしょうがなくなるわけです。
そのように思うかもしれませんが、実は最新性愛症はイノベーションの世界では重要な役割を担っています。
それは「最新性愛症」の作用が強い人は「アーリーアダプター」であるということです。
アーリーアダプターとは、新しい商品やサービスを比較的早期の段階で使う人のことを指します。
とにかく新しいもの、革新的な製品を早い段階で手に入れて、そしてそれを評価していきます。
ですからアーリーアダプターは他の潜在的なユーザーに大きな影響をあたえるオピニオンリーダーと評されています。
アーリーアダプターは新商品やサービスの導入期に発生して、市場の13.5%を占めると言われています。
流行に敏感であり、常に情報収集をしていて、先見の明があるビジョナリーとされています。
ですから新しいものを流行させるには、まずはアーリーアダプターの心をつかむことが重要なのです。
アーリーアダプターは社会の価値観との合意やズレにもとても敏感です。
アーリーアダプターに受け入れられるか否かによって、新商品やサービスが普及するかしないかが決まると言っても過言ではないでしょう。
一部の「最新性愛症」の性質が強いアーリーアダプターたちによって未来が切り開かれていることは確かなことです。
同調バイアスのワナ
「同調バイアス」とは、まわりに他人がいる場合にその人がどのようにするのかを参考にして同じ行動をとるという脳の性質です。
“同調バイアスの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
参考なぜわざわざ行例に並んでまでラーメンを食べようとするのか?「同調バイアス」を脳科学で探る
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人気のラーメン店に行ったところ長蛇の列でした。
ラーメンにたどり着くまでは相当な時間がかかりそうです。
ネットで調べてみるとすぐ近くに似たようなラーメン店がありました。
行ってみると誰も並んでおらずすぐに入れそうです。
よくありそうな状況ですが、ある意味“究極の選択”かもしれません。
急いでいる時であれば“これ幸い”と客が少ないラーメン店に入るかもしれません。
しかし多くの人はこんなふうに考えるのではないでしょうか?
同じ商品であれば早く買えた方がいいはずなのに、わざわざ一方だけに列をなしているとなれば、誰も並んでいない店に対して不安を感じる人は少なくないはずです。
そんな人々が行列のある店を選んだ結果、行列はさらに長くなるのです。
みんながそうするから…
みんなが言っているから…
だからみんなに合わせて自分も同じ行動をする
うまくいくかいかないかは別にして、そもそもみんなと同じ意見に従っていれば正しいに決まっている
このような考え方は個人でいるよりも集団でいる時の方がより一層強くなります。
TwitterなどのSNSを通じて多くの人がサウナに行っていると知ると、自分も行った方が良いのかな…と思ってしまいます。
このようにしてブームは起こるのです。
社会的証明のワナ
同調バイアスに似た脳の性質として「社会的証明」と呼ばれるものがあります。
“社会的証明の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
参考つい他人と同じ行動をとってしまうのはなぜなのか?「社会的証明」の法則を脳科学で探る
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「社会的証明」とは、他人と同じように行動するのが正しいと思い込んでしまう現象のことです。
自分の判断より周囲の人たちの判断を頼りにしてしまう…そのような状況に遭遇したことがきっとあるはずです。
まさに他人頼みです。
しかし脳は社会的証明をこよなく好み、そのワナにはまっていきます。
そのような現象です。
社会的証明では具体的な数字を出すことがもっとも効果的とされています。
ちなみにサウナ愛好家の人口は、調査の始まった2016年以降2000万人を超えて推移していました。
しかし2021年の調査では1500万人にまで減少しています。
2020年は2500万人でしたので1000万人も減ったことになります。
この原因は、おそらく近年のウイルスの流行によるもので、地方のサウナ施設の閉鎖、ライトサウナ―(2-3か月に1回程度)の層がサウナに行かなくなった、などの影響が考えられています。
後知恵バイアスのワナ
そのような質問をされると、多くの人はもっともらしい答えをするでしょう。
しかし実際に脳が感じているのは「ただなんとなくサウナが好きになった」といった程度でしかありません。
脳の嗜好癖には深い理由などなく、本人の知らないところでなんとなく作られているにすぎません。
しかし「ただなんとなく好きになった」では格好がつきません。
そこで脳は「ただなんとなく好き」に対して必ず後知恵バイアスを付け足します。
「後知恵バイアス」とは、理由があって結果が出るのではなく、まず結果があってそれに後付けで理由を付け足していく作業です。
“後知恵バイアスの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
参考レモンブームはなぜ起きた?脇役のレモンが人気の理由を脳科学で説く
なぜ今こんなにも世の中ではレモンが人気なのでしょう? そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。 このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気 ...
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そんな考えです。
所持効果のワナ
「所持効果」とは、自分で所持していることで満足度が高まり、そのモノの価値が知らず知らずのうちに自分の中で高くなる現象です。
“所持効果の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
参考レモンブームはなぜ起きた?脇役のレモンが人気の理由を脳科学で説く
なぜ今こんなにも世の中ではレモンが人気なのでしょう? そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。 このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気 ...
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そのような経験をしたことがある人は少なくないはずです。
そして所持効果は何も目に見えるモノや人などばかりにおこるわけではありません。
恋人を所持するというのはちょっと失礼かもしれませんが、これも所持効果の1つです。
さらに言えば、脳は恋人を好きになった自分も気に入ります。
そんな風に脳は自分を高く評価するのです。
これは好きな気持ちの所持効果と言えるでしょう。
何かのブームが起こる時は、この所持効果がさく裂している状態です。
今までサウナに対して興味がなかった人でも、いざサ道で知識を身につけてサウナに通うようになると、自分の中でサウナの価値がグッと高まります。
このようにどんどん所持効果の連鎖が広がってブームは起こるのです。
さらにそのブームにはまっている自分のこともますます好きになります。
脳科学的なワナはいわば脳の本能です。
本能は避けて通りすぎようとしてもなかなか逃れることはできません。
サウナブームがサウナ文化になる未来
サウナブームについてさまざまな視点から「なぜ今サウナは人気なのか?」を探ってみました。
「ブーム」とは、あることがにわかに人気を呼んで、一時的に非常な勢いで流行すること、または特定の人が熱狂的にもてはやされること、またその期間。
ブームで沸きあがっている時は、多くの新参者が現れて盛り上げていきますが、時間がたつと新参者は姿を消して、ブームは終わり忘れ去られていきます。
ですからブームで終わることなくそれが1つの文化として残っていくことはとても難しいことです。
しかし人間が地球上で独自の社会を作り上げ、人間の優位性を誇示してきた最大の要因は「文化の継承」にあります。
文化は多くの人に共有され、子どもや孫へと受け継がれていきます。
生物界では通常遺伝情報しか子孫には伝えられません。
有益な発見や知識があってもその世代限りで消滅してしまいます
匠の継承はなされないのです。
しかし人間は遺伝子と文化という2つの情報を後世に「二重継承」します。
文化の継承は人間にだけ与えられた特殊な能力なのです。
人間は社会を作り上げ、さまざまな文化を継承し発展してきました。
だからこそ人間は地球上でもっとも繁栄した生物となり得たわけです。
“サウナブームの脳科学”のまとめ
サウナブームを勝手に脳科学で説き明かしてみました。
今回のまとめ
- 現在日本では第3次サウナブームで沸き上がり、多くのサウナ―が誕生しています。
- サウナブームは、サ道効果、テントサウナの流行、健康志向などさまざまな理由によって起きています。
- 脳科学的には、さまざまな脳の仕掛けたワナがサウナブームの理由になっています。
- サウナブームがブームで終わることなく、サウナ文化として未来へ継承されていくことを期待します。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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