誰でも簡単にできる記憶力を上げる方法ってありませんか?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年…多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきますね。
この記事を読んでわかることはコレ!
- レミニセンス効果で記憶力を簡単に上げる方法を脳科学で説き明かします。
誰でも簡単にできる記憶力を上げる方法
レミニセンス効果で記憶力を簡単に上げる方法
- 誰でもできる簡単に記憶力を上げる方法はしっかりと睡眠をとることです。
- 睡眠による脳のレミニセンス効果は記憶力を強化することが証明されています。
- あなたもすぐにできるレミニセンス効果を活用して作業効率をアップしましょう。
睡眠をうまく活用すると簡単に記憶力を上げることができます。
でもそんなに難しいことをしないでも記憶力を上げることは簡単にできます。
勉強や仕事が忙しくて時間が足りない…
そんな人はたくさんいますよね。
きっとそんな人たくさんいますよね。
夜の睡眠時間を削るとどうしても昼間に眠くなってしまいます。
そんな方は“仕事中のパワーナップ(積極的仮眠)の効果”をご参照ください。
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睡眠時間の次に多いのが食事の時間。
そんな人もきっとたくさんいますよね。
でも睡眠時間や食事の時間を削っても勉強も仕事も効率は下がるばかりです。
睡眠は記憶力を上げるにはとても大切なんです。
ですから睡眠時間を削る作業はお勧めできません。
レミニセンス効果の秘密-その1
脳の睡眠による記憶力アップの効果を“レミニセンス効果”と言います。
レミニセンス効果の秘密-その2
レミニセンス効果によって寝るだけで記憶力は上がります。
あなたもレミニセンス効果を知って簡単に記憶力を上げて明日からの勉強や仕事の成績向上、効率アップを狙っていきましょう。
努力しないで記憶力が上がるレミニセンス効果
努力しないで記憶が上がるなんて夢のような話ですよね。
そんな夢のような話を実現させてくれるレミニセンス効果を脳科学で探っていきましょう。
睡眠は記憶のためにある
“睡眠は記憶のためにある”
なんて言う人もいるくらいですから睡眠がいかに記憶に関係しているかがわかります。
睡眠中自分は寝ているわけですから意識的に何かを努力することはありません。
レミニセンス効果の秘密-その3
寝ている時間に脳は情報を整理して刻み込んでいます。
ですから無意識の寝ている時間がとても大切なのです。
睡眠をうまく利用して記憶力を上げる方法のカギは”レミニセンス効果”にあります。
勉強や仕事をしていてなかなか覚えられなかったりアイデアに詰まったりした時に一度作業を終了して一晩おくと次の日になったらばっちり覚えていた、いいアイデアがひらめいたなんて経験したことありませんか?
レミニセンス効果の秘密-その4
作業に煮詰まった時には無理して続けるよりもあえて時間を空けたほうが記憶力が上がったりいいアイデアが浮かんだりしやすくなります。
このような脳の働きを”レミニセンス効果”と言います。
睡眠をちゃんととることがレミニセンス効果を最大限に発揮させて記憶力アップにつながるのです。
脳科学で証明されているレミニセンス効果
不規則な発音の単語を記憶してもらいちゃんと覚えているかのテストを行って記憶力を評価する研究です。
最初は全員手間取りますが1時間くらい暗記をがんばれば高い正答率となります。
途中で暗記を中断すると当然正答率はぐっと低下します。
例えば朝1時間だけ暗記をしてその日の夜にテストを行うと正答率は30%くらいに低下します。
ここまでは当然の結果で時間とともに記憶が薄れていくことは想像できます。驚くべきなのはここからです。
翌日の朝に再度テストを行うと正答率は70%近くまで上昇します。
これが睡眠による脳のレミニセンス効果です。
Fenn KM, et al, Nature, 425:614-616, 2003
レミニセンス効果の秘密-その5
脳は忘れかけた情報を睡眠によって呼び起こして記憶を補強する作業をしているのです。
2つ目の研究はそんな疑問に対する答えを示しています。
ボタンがいくつか並んでいてボタンを押す順番を記憶してもらいちゃんと覚えているかのテストを行って記憶力を評価する研究です。
いくつかのボタンを押すパターンを試してみると似たようなパターンを続けて覚えようとすると学習効率が悪くなることが示されました。
たとえばある順番のパターンを記憶した直後にわずかに異なるパターンを覚えようとすると最初に覚えた記憶が薄れてしまうのです。
このような場合には最後に覚えた情報だけが睡眠中に強化されることがわかりました。
Walker MP, et al, Nature, ;425:616-620, 2003
このように似たものを覚えようとした時に記憶が混乱してしまうことを“記憶の干渉”と言います。
レミニセンス効果の秘密-その6
レミニセンス効果は記憶の干渉には弱みをみせるのです。
レミニセンス効果の秘密-その7
似たものを覚える記憶の干渉に弱いレミニセンス効果ですが記憶の干渉を助けてくれるのもレミニセンス効果です。
似たものを覚える場合には6時間以上の間隔をあけると記憶の干渉を起こさずに覚えやすくなります。
この6時間の間隔を睡眠にあてると記憶が強化されて似たものでも脳に定着します。
ですから一気に覚えようとするのではなくきちんと計画的に勉強や作業をして紛らわしい情報は間隔をあけて習得することがお勧めです。
一夜漬けで一気に覚えこもうとしてもなかなか覚えられないのはレミニセンス効果が発揮されていないからなのです。
レミニセンス効果を活用してさらに作業効率アップ
ここまでレミニセンス効果によって記憶力が上がること説明してきました。
レミニセンス効果は睡眠によって効力を発揮しますがよりうまく活用することで作業効率をさらにアップすることができます。
記憶の種類分けで作業効率アップ
記憶の干渉は言い換えれば“記憶のすりかわり”です。
似たような記憶はいつの間にか入れ替わってしまいます。
そのような経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
これを解決するためには時間をあけることが大切なことも説明しました。
たとえば数学と英語の勉強をするとします。
記憶の種類分け
英語は単語や文法など似たようなものを覚えることがたくさんあります。
ですから知識を丸ごと一気に覚えようとすると記憶の干渉が起きてしまいなかなか覚えられません。
英語は毎日少しずつこつこつと勉強することで効率的に記憶できます。
一方数学は論理的に数式を展開していくので記憶の干渉が起こりづらく一気に勉強しても解き方の記憶は効率的に蓄積されていきます。
このように記憶の種類分けで勉強法を変えることで作業効率は飛躍的にアップします。
レミニセンス効果でひらめき度アップ
レミニセンス効果は記憶力を上げるだけでなくひらめき度もアップしてくれます。
ある法則が隠された数字の列があります。その中の1つが空欄になっていてそこに当てはまる数字を当てるというテストを行います。なかなかの難問です。
この問題を3つのグループに分かれて考えてもらいます。
第1グループは夜問題をもらって少しだけ考えた後にしっかりと睡眠をとって翌朝回答します。
第2グループは夜問題をもらって眠らずに分かるまで考え続け分かった時点で回答します。
第3グループは朝問題をもらって少し考えた後は普通に過ごします。そして夕方に再び考えてもらい分かった時点で回答します。
どのグループの正答率が一番高かったでしょうか?皆さんもうお分かりですよね。
しっかりと睡眠をとったグループが他の2つのグループよりも3倍近い正答率となりました。朝起きて数字の法則をひらめいた人が圧倒的に多かったのです。
Wagner U, et al, Nature, 427:352-355, 2004
睡眠は記憶を強化するだけでなく記憶をきれいに並び替えて整理整頓することで新たな知識を生み出しそこからひらめきをもたらす効果があるのです。
もう睡眠時間を削るなんて言わないで
睡眠による脳のレミニセンス効果を知るといかに睡眠が大切な時間かがお分かりいただけたと思います。
レミニセンス効果の秘密-その8
レミニセンス効果をさらに発揮するためにはとにかく寝る直前に暗記することです。
寝る直前に覚えたことは記憶として残りやすいのですが寝るよりもずっと前に覚えたことは記憶に残りにくいのです。
ですから寝る前に好きなテレビ番組を見るのではなく覚えておきたい情報を整理して暗記しておくと記憶として定着しやすくなります。
たったそれだけであなたの記憶力が格段に上がることを脳科学は証明しています。
ぜひ今日からさっそくためしてみませんか?
”レミニセンス効果の脳科学”のまとめ
レミニセンス効果で記憶力を簡単に上げる方法について脳科学的に解明してみました。
今回のまとめ
- 誰でもできる簡単に記憶力を上げる方法はしっかりと睡眠をとることです。
- 睡眠による脳のレミニセンス効果は記憶力を強化することが証明されています。
- すぐにできるレミニセンス効果を活用して作業効率をアップしましょう。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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