サウナトランス(ととのう)にもっとも適した時間帯は朝昼夕夜のいつなのでしょう?
そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。
このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。
基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。
この記事を読んでわかることはコレ!
サウナと脳活動と時間の関係を脳科学で説き明かします。
サウナはいつ入るべき?
サウナと脳活動と時間の脳科学
- サウナに入る時間帯で朝サウナ派と夜サウナ派の人がいます。
- 脳活動が最強となる時間帯は午前中と夕方です。
- 脳活動が低下している早朝と夜にサウナに入ることがもっとも効果的と言えます。
- 自分の生活リズムに合わせて効率的なサ活を楽しんでください。
現代の日本では第3次サウナブームによって多くの施設がにぎわっています。
“サウナブームの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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サウナの醍醐味(だいごみ)は何と言っても、サウナトランス=「サウナでととのう」でしょう。
温かいサウナと冷たい水風呂、休息タイムを繰り返す温冷交代浴では、徐々に体の感覚が鋭敏になってトランスしたような状態になっていきます。
トランス状態になると、頭からつま先までがジーンとしびれてきてディープリラックスの状態になり、得も言われぬ多幸感が訪れます。
”サウナでととのうの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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サウナ―達は至高のサウナトランスを味わうためにサウナに通うわけです。
サウナに朝入る朝サウナ派、サウナに夜に入る夜サウナ派…いろいろな人がいますが、せっかくサウナに入るならより効果があっておすすめな入り方をしたいものです。
そのためには1日の時間帯ごとの脳活動を理解していることが大切です。
サウナと時間の関係
1日の時間帯を朝昼夕夜にわけると、おおよそ朝サウナ派と夜サウナ派にわかれるのではないでしょうか。
ですので、朝サウナ派と夜サウナ派にわけてそれぞれ考えてみましょう。
朝サウナ派
朝にサウナに入る一番の目的は、すっきり目が覚めて眠気覚ましになることです。
寝ている間は体を動かさないのでどうしても体内の血液の流れ=血流は悪くなります。
また睡眠中はだいたい500mlくらいの汗をかくと言われています。
朝サウナに入ることで自律神経を刺激して体内の血流を活発にし、さらに汗をかいて新陳代謝を高めることで、スッキリした状態で勉強や仕事に取りかかれます。
朝サウナをする人の多くは常連さんが多いのでマナーが守られていることも利点の1つでしょう。
“マナーの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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また朝はサウナの料金を値下げしている施設もありますのでとってもお得です。
先ほども言いましたが、夜中に寝ているあいだは想像している以上に大量の汗をかいています。
そのため起床時には脱水状態になっていることが少なくありません。
その状態でサウナに入ってさらに汗をかくと、脱水状態が悪化して体調不良におちいりやすくなります。
ですからいつも以上に水分補給をすることを心がける必要があります。
またサウナ→水風呂→休憩タイムの温冷交代浴ではかなり体力を消耗します。
ですから朝から何セットもこなしていると、せっかくオンになった活動モードのスイッチがオフになってしまいます。
そのようにならないために、朝サウナはいつもよりも短めの5分くらいを2セットこなす程度で終了にするのがお勧めです。
サウナトランスでは、自律神経のうち副交感神経が最終的に活発に働きトランス状態を体感できるのですが、朝サウナでは交感神経が活発に働いている状態でやめるのが得策です。
夜サウナ派
夜にサウナに入る一番の目的は、1日の疲れを癒(いや)して良質な睡眠をとりやすくすることです。
1日の終わりにのんびりとした時間をサウナで過ごすことによって、温冷交代浴の効果で脳も体も緊張がほぐれてディープリラックスの状態になりやすくなります。
また至高のサウナトランスを得るには相当の体力を消耗しますので、睡眠の質が向上することも期待できます。
また夜サウナでは疲労をリセットする以外にも、健康、美容、美肌面でも効果が期待できます。
心身ともにリフレッシュして良質な睡眠をとることで活動モードがリセットされて、翌日の朝にはスイッチがオンになりやすくなります。
思うようにサウナ室に入れなかったり、混雑ゆえにサウナ室の温度が下がっていたり、水風呂がぬるくなっていたり、ととのいイスが埋まっていてゆっくり休憩タイムをすごせなかったり、マナーの悪い人が多くイライラしてしまったり…などなど多くの人はきっと経験したことがあるはずです。
特にスーパー銭湯などの大きな施設では最近のサウナブームの影響もあってか、夜サウナはとても混み合っています。
それを嫌って朝サウナ派に変えた人もいるでしょう。
脳活動と時間の関係
このように考えている人が多いかもしれません。
脳は時間帯によってどうがんばってもパフォーマンスが上がったり下がったりします。
また寝ている間も脳は活発に活動を続けています。
睡眠中に脳が活発に働くお陰で、わたしたちは記憶力を上げることができるのです。
“記憶の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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ですから脳活動が盛んになりパフォーマンスが上がっている時間、逆に脳が休んでパフォーマンスが下がっている時間をしっかり理解しておくことが大切になります。
人間は動物なので食糧を確保して確実に食事をすることが生きていく上では何よりも大切です。
ですから食糧に左右される”生存本能”こそが脳の働きのリズムに最も関与しています。
つまり空腹になっている時間帯こそがもっとも脳が活発に働いている時間帯ということです。
なんていう人がいますが、それは脳科学的には間違えた見解です。
空腹時は食糧の確保をしなくてはならない時間帯なので、生きていくために脳は活発に働いて獲物をねらいます。
この生存本能は現代社会でも残り続けています。
朝起きてから4時間後までは特に脳活動は活発になると言われています。
特に起床から2時間後までは脳の活動が最強の時間です。
この時間帯はテストステロンという男性ホルモンの濃度が一気に上がるので、決断力がグッと高まります。
ですからこの時間帯に重要なことややっかいな選択を求められることをバシバシ決断して処理していくことがお勧めです。
起床から3時間後までは記憶力が上昇します。
そして起床から4時間後ころに脳活動はピークに達します。
メンタルも最強となる時間帯ですので、会議でプレゼンテーションをしたり、知的で創造的な作業をしたりするにはもってこいの時間です。
つまり午前中はブレインパフォーマンスが最強の時間帯と言えます。
さらに昼ご飯を食べると満腹感で生存本能は低下し、脳活動はますます下降していきます。
起床から8時間後…おおよそ14-15時くらいになると、脳の中では幸せホルモンと言われるセロトニンの分泌が高まり、気分は穏やかになり、そして眠くなります。
ですからこの時間帯に会議をしたり、重要な決断をしたりすることはお勧めできません。
“パワーナップの脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
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パワーナップとはお昼寝を意味する”ナップ”と”パワーアップ”を合わせた造語です。
アメリカの社会心理学者であるジェームス・マース氏が提唱しました。
パワーナップを和訳すると「積極的睡眠」、つまり午後のちょっとしたお昼寝です。
今ではGoogleやYahooの本社をはじめとして多くの企業で推奨され実際に取り入れられています。
パワーナップによって脳のパフォーマンスはなんと34%も向上することが報告されています。
脳が疲れている時は、たとえ勉強や仕事が中断されて中途半端になっても思い切って仮眠をとった方が効果的ということです。
ただしただ仮眠を取ればいいという訳ではありません。
パワーナップで気をつけなければならないことは寝すぎないことです。
パワーナップは20分が最も効率が良いとされています。
また光と音をなるべく遮断して眠るのが効果的です。
さらに言えば、パワーナップの前にはカフェインを摂取するのが効率が良いとされています。
とお思いでしょう。
安心してください。
カフェインの覚醒効果は30分くらいしないと出てきません。
ですからお昼寝前にコーヒーやお茶を飲んでおくと20分のお昼寝をして起きた時にすっきり目覚められます。
パワーナップには夜間の睡眠の3倍の効果があるとされています。
これは脳科学的にとても大切な習慣なのです。
パワーナップ後は脳はふたたび活発に働き始めます。
しかも徐々に空腹感もアップしてくるので、ふたたび生存本能が働きだして、ブレインパフォーマンスは最強になります。
さらに言えば、この時間帯に軽く体を動かして体温を上げるとさらに脳活動は活発になります。
この午後の脳活動がアップする時間は夕食を食べるまで続きます。
そして夕食を食べて満腹感が得られると脳の活動は再び低下していきます。
このように脳活動が活発になるのは午前中と夕方ということです。
無理やり脳をたたき起こして働かせるのではなく、脳科学的な脳活動をしっかり理解して、ブレインパフォーマンスに合った行動をとることで、より効率的な生活を送れるようになるのです。
サウナと脳活動と時間の関係
脳の活動が活発になる午前中と夕方の時間帯は、勉強や仕事など自分がすべきことに充てるのが効率的です。
この時間帯にサウナに入ってリラックスするのはちょっともったいないかもしれません。
ただし脳の活動は起床から2時間後までは最強の時間と言いましたが、やはり起きたばかりの時間はさすがに脳もまだ寝ぼけた状態です。
ですから、サクッと朝サウナに入って脳の活動モードのスイッチをオンにして、午前中勉強や仕事に集中するのはとても効率的と言えるでしょう。
また脳の活動が低下する午後の早い時間帯にサクッとサウナに入って軽い休息をとり体温を上げるのも効果的かもしれません。
”脳疲労の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
参考【サウナの脳科学】脳疲労はサウナで解消されるって本当?それとも嘘?脳疲労を脳科学で探る
脳の疲れはサウナで解消されるのでしょうか? そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。 このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い ...
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夜サウナも脳活動を考えればとても効果的です。
脳活動の低下した夜の時間帯に温冷交代浴によってサウナトランスで脳をリラックスさせ、さらにサウナ飯で満腹感を得られれば、きっと良質な睡眠が期待できるでしょう。
”サウナ飯の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。
参考【サウナの脳科学】サウナのあとは何を食べる?何を飲む?サウナ飯を勝手に脳科学で探る
どうしてサウナのあとはお腹が空いて、サウナ飯を食べたり飲んだりしたくなるのでしょう? そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。 このブログでは脳神経外科 ...
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疲れているからとただやみくもにサウナに入ってサウナトランスの効果を期待するのではなく、自分の1日の脳活動を十分に理解したうえで、最適な時間帯にサウナに入ってこそ意味があるのです。
“サウナと脳活動と時間の脳科学”のまとめ
サウナと脳活動と時間の関係を脳科学で説き明かしてみました。
今回のまとめ
- サウナに入る時間帯で朝サウナ派と夜サウナ派の人がいます。
- 脳活動が最強となる時間帯は午前中と夕方です。
- 脳活動が低下している早朝と夜にサウナに入ることがもっとも効果的と言えます。
- 自分の生活リズムに合わせて効率的なサ活を楽しんでください。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。
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