日常の脳科学 脳を科学する

弱みは短所なのか?克服すべきなのか?隠すべきなのか?弱みを脳科学で探る

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あなたは自分の弱みを理解していますか?自分の弱みに打ち砕かれていませんか?

 

そのような疑問に脳神経外科専門医であるへなおがお答えします。

 

このブログでは脳神経外科医として20年以上多くの脳の病気と向き合い手術、血管内治療、放射線治療を中心に勤務医として働いてきた視点から、日常の様々なことを脳科学で解き明かし解説していきます。

 

基本的な知識についてはネット検索すれば数多く見つかると思いますので、ここでは自分の実際の経験をもとになるべく簡単な言葉で説明していきます。

 

この記事を読んでわかることはコレ!

  • 弱みの持つ真の意味を脳科学で説き明かします。

 

「わかっちゃいるけどやめられない」からこそ人類は生き延びた

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弱みの脳科学

  • 人類は合理性を欠き苦難に自分をおくことで快楽を得る新奇探索性によって生きのびてきました。
  • 人間は人間の持つ強みである「ひらめき」でAIと競うのではなく共存すべきです。
  • 自分に自信が持てない弱みを救えるのは人間の持つ「弱み」だけです。
  • 「弱み」に潰されるのではなく生きる力に変えることがうまく生きのびる秘訣なのです。

みなさんは「自分の脳をもっと良くしたい!もっと頭が良くなりたい!」と思ったことはありませんか?

 

しかしこれは脳科学的にはあまり賛同できる意見ではありません。

 

なぜなら脳科学的に「弱み」は人間にとってメリットとして機能しているからです。

 

そもそも「弱み」とは短所なのでしょうか?欠点なのでしょうか?

 

合理性を欠いているからこそ人類は生き延びた

たとえば「合理性を欠く」という言葉があります。

 

これは一般的にはとがった性質であり脳の機能としては「弱み」にあたります。

 

合理的に考え論理的な思考を持ってこそ知能が高く人間社会では上位に立つべき者である。

 

そんな考え方が現代社会においては支配的です。

 

しかし「合理性を欠く」という弱みを持ち続けているからこそ人間はここまで生き延び世界を支配するまでに至ったのです。

 

“人類史の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。

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人類の歴史を紐解いてみると「合理性を欠く」という弱みを活かしてきた工夫の連続と言えます。

 

人類の起源はアフリカにあると考えられています。

 

豊かで気候が良く生存にも生殖にも有利な地域です。

 

条件の良い場所では当然個体数が増えていき生存競争が激化していきます。

 

そしていつしかこの地域で生き延びることがレッドオーシャン化してき負け組はこの地を去ることになります。

 

人類は寒冷で厳しい環境へ移動し新しい生活を始めました。

 

競争に勝てないほど弱かったから、負け組だったから…そんな理由で移動していった人たちもいたでしょう。

 

しかしそれだけではありません。

 

合理性に基づかない判断をした人たちもたくさんいたはずです。

 

人間は新しい環境を好んで選択しようとする「新奇探索性」という合理性を欠いた考えを強く持っています。

 

“新奇探索性の脳科学”についてはこちらの記事もご参照ください。

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新奇探索性によってなまやさしい環境には満足できずあえて厳しい環境を好みそこに快楽を感じようとするのです。

 

へなお
なんとも不思議な感覚ですが新奇探索性によって人間は生き延びたとも言えます。

 

もしもディープラーニングとビックデータを集積させたAIであれば生存確率の低い寒冷の地域へ移動することは避けていたでしょう。

 

しかしこのような合理的な判断だけでは人間は現代まで生き延びることはできずここまで繁栄は出来なかったでしょう。

 

新奇探索性によって人類は生き延びた

「新奇探索性」は合理性としばしば衝突する人間の「弱み」のひとつです。

 

へなお
新奇探索性とはわかりやすく言えば「わかっちゃいるけどやめられない」という感覚でしょう。

 

非合理であるとわかっていてもやめられない快感がそこにはあるのです。

 

仏教の世界には「灰身滅智(けしんめっち)」という言葉があります。

 

灰身滅智とは「身を灰にし智を滅する」という意味です。

 

分かりやすく言い換えれば「欲望の種を滅することは自らの身を灰にまで焼き滅するようなもの」ということになります。

 

へなお
東洋思想からすれば新奇探索性を捨てることは自殺行為に値すると言うのですからすごいことです。

 

人間にもともと備わった重要な機能でありながら脳のバグである「弱み」によってわたしたちは生きながらえているのです。

 

そしてその弱みを外部から適度なゆるやかさでコントロールしているのが社会道徳であったり倫理観であったりするのでしょう。

 

人が道ならぬ恋に走る元凶は新奇探索性にありそれを社会道徳が背徳(はいとく)として取り締まる。

 

そう考えると人をめぐるさまざまな現象のつじつまが合うことがわかります。

 

人間の強みである「ひらめき」でAIに挑む

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先ほど登場したAIですが圧倒的な速さで進化するAIに負けてしまうかもしれないという恐怖感から人間は「弱み」を捨てて「強み」を探すことに躍起になっています。

 

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へなお
その中で注目されているのが「ひらめき」です。

 

「ひらめき」は論理の積み重ねによって得られる人間独自の「強み」であり最後の砦のようにもてはやされています。

 

はたして人間は「ひらめき」でAIに勝てるのでしょうか?

 

はたして「ひらめき」は強みなのか?

人間にはAIほどのビックデータはありません。

 

しかしごく少ないデータからでも「ひらめき」によって物事を解決できることは人間の「強み」と言えるでしょう。

 

しかしこの強みには限界があります。

 

どんなに「ひらめいた」と思ってもだいたいのことはすでに誰かしらが同じようなことを考えています。

 

すごいひらめきだと思っていても世界の中では少なくとも10人くらいは同じようなことをひらめいているものです。

 

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ひらめいた瞬間は快感ですし興奮もあるでしょう。

 

しかしそのひらめきが社会で評価されるかどうかは別問題です。

 

「AIに負けるかもしれない」という不安のあまりひらめきの快感とその実効性を混同するという落とし穴にはまり込む可能性は大いにあります。

 

そもそもたいしたことの発想をあたかも大それた「ひらめき」として自己満足している時点で人間はAIに負けているのかもしれません。

 

「ひらめき」でAIと共存する

勝負の世界では現代のAIはまだ人間の「ひらめき」には敵いません。

 

人間の脳は窮地に追い込まれると絶妙のひらめきをひねり出すかそうでなければすんなりと負けを認めます。

 

一方AIはディープラーニングとビックデータによって目先の難局を避けるために短絡的な予測に基づいて奇妙な戦略を絞り出してきます。

 

それがうまく当たることもありますがそうでないとそこから総崩れになって自滅していきます。

 

へなお
これが現代のAIと人間の差です。

 

しかし今後さらなるデータの蓄積がなされていけばAIは圧倒的な威力を発揮し人間のひらめきなど簡単に凌駕していくでしょう。

 

そう考えると人間とAIが競合するという考え自体が無駄なことであり妥当性を欠く考えであることがわかります。

 

むしろAIの力を借りて人間の「弱み」を助け「強み」を引き出すような建設的議論をすべきでしょう。

 

へなお
しかし物事はそう単純にはおさまりません。

 

そもそもAIはわたしたちの生活を豊かにするために開発された存在のはずでした。

 

ですが新しく未知の要素が多くそれでいて人間に近い機能を持つAIの存在はすぐに不安を感じる人間にとっては今や恐怖でしかありません。

 

へなお
なんともおかしな話に聞こえるかもしれませんがこれが現実です。

 

人間の脳の進化の歴史をたどると当然合理的に考え知性を発展させることでここまで繁栄してきました。

 

しかし一方でわたしたちは合理性を適度に抑え鈍感で忘れっぽく愚かであることによって集団としての協調行動をとることが可能になったとも言えます。

 

へなお
AIはまさに人間の作り出した合理性の塊です。

 

ですから人間の非合理性である「ひらめき」をうまく補い強力なパートナーシップを築くことは充分可能なはずです。

 

へなお
「AIと勝負」…そんな無意味なことをしている場合ではありません。

 

人間だけが持つ「ひらめき」でAIといかに共存していくのか…それこそがこれからの人類に求められる課題と言えるかもしれません。

 

自信がもてない弱みを救えるのは人間だけ

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人間はそもそもなんとも面白い生き物です。

 

うまく生きのびるために合理的に未来の展開を予測します。

 

しかし未来予想図を描けば描くほど悲観的な非合理な未来を詳細に想像してそれにうまく対処し準備しようとするため現代をよりネガティブにとらえやすくなります。

 

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この性質は思春期からすでにあらわれこうした感覚が鋭い人は他の生徒と比べて悲観的になりやすく自分に自信が持てないため勤勉になり成績優秀になります。

 

しかし本人の脳の中を創造するとネガティブな未来からのリアルな脅迫を感じながら日々生きていくことはかなりの苦行でしょう。

 

それを救おうとしたのが優れた芸術作品や偉人たちの言説です。

 

それらは人間の非合理という特質に働きかけてきます。

 

物理的には決して完璧ではなく有限の時間しか生きられないわたしたちに永遠を感じさせてくれたり一瞬のうちに過ぎ去ってしまう刹那(せつな)を体感させてくれたりします。

 

そうすることでわたしたちが「今生きている」ことを強く意識して生きる力を与え弱みから解放してくれるのです。

 

自分の今いる日常とは違う時間の流れを体感させてくれます。

 

このように「弱み」という非合理さをうまく解決する策をとれるのは人間だけであり合理的な選択を選好するAIには決してできない技なのではないでしょうか。

 

自己分析して弱みを強さに変えていこう

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人間は「弱み」を抱えながらもそれを力に現代まで生きのびてきました。

 

一方で「弱み」によってもたらされるネガティブな未来に対する不安を非合理的な芸術作品や言説によって絶妙に解放してきました。

 

遠い未来や手の届かない過去を認識させることによって逆説的に今生きている現代に目を向けさせ生きる力を与えるのです。

 

長期的な視座に立った「ネガティブな未来を感じる力」こそがあらゆる不測の事態に対する準備をさせより生きのびる確率を上げる能力であることをわたしたちは知っています。

 

人間は不安を抱えている方が健康で長生きすることが証明されています。

 

不安を忘れて快楽に溺れていては生き続けることはできません。

 

しかしなにも不安でいればいいと言っているわけではありません。

 

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「不安によるストレスを和らげつつも鋭く未来を見すえる力を保ち冷静に力強く対処する」

そのためのツールとして活用できるものを積極的に思考の中に取り入れることが「弱み」を生きのびる強さに変える生き方の助けになるのではないでしょうか。

 

 

“弱みの脳科学”のまとめ

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弱みの持つ真の意味を脳科学で説き明かしてみました。

今回のまとめ

  • 人類は合理性を欠き苦難に自分をおくことで快楽を得る新奇探索性によって生きのびてきました。
  • 人間は人間の持つ強みである「ひらめき」でAIと競うのではなく共存すべきです。
  • 自分に自信が持てない弱みを救えるのは人間の持つ「弱み」だけです。
  • 「弱み」に潰されるのではなく生きる力に変えることがうまく生きのびる秘訣なのです。

今回の記事がみなさんに少しでもお役に立てれば幸いです。

 

最後まで読んでくださりありがとうございました。

 

今後も長年勤めてきた脳神経外科医の視点からあなたのまわりのありふれた日常を脳科学で探り皆さんに情報を提供していきます。

 

最後にポチっとよろしくお願いします。

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  • この記事を書いた人

へなお

▶脳神経外科専門医でアラフィフおじさんの「へなお」です。▶日々脳の手術、血管内治療、放射線治療を中心に某総合病院で勤務医をしています▶一般の方でも脳についてわかりやすく理解していただけるように、あなたのまわりのありふれた日常を長年の経験からつちかった情報をもとに脳科学で探っていきます▶多くの方に脳に興味をもっていただき、少しでもこれからの生活の役に立つ知識をつけていただければと思います!

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